緑色のトマトでも諦めないで! 家庭でできる緑色を赤色にする秘訣
中南米のアンデス高地が原産といわれるトマト。寒暖差もあり、決して肥よくな大地ではありませんでしたが、工夫を凝らして栽培されました。日本に入ってきたのは17世紀ごろです。食用にされ始めたのは明治時代で本格的に栽培が始まったのは昭和になってから。現在は品種改良が盛んになり、味だけでなく、さまざまな大きさや色のトマトが栽培されています。
店頭に並ぶものの多くは緑色が残る状態で収穫されたものです。これは、日持ちを考慮したためです。
緑色が残ると「甘さが足りないのではないか…」と思いませんか。 トマトは完熟して真っ赤に色づいたものが食べごろ。緑色のトマトでも家庭でおいしい真っ赤なトマトに近づけることが出来ます。
トマトには「追熟」といって、収穫後も20℃以上の環境であれば色づく性質があります。熟した時点で、糖度が決まるので甘味は期待できます。一番良いのは、枝についたまま完熟させたもの。枝付き完熟トマトの方が栄養価は優れています。
店頭ではどれも赤くなっているので、熟し具合を比較するのは難しいのですが、収穫後に時間がたっているものは、ヘタが乾いていたり、黒ずんだりしているので、次のポイントを参考にし、しっかり見極めてから購入してくださいね。
・ヘタや切り口がみずみずしく、緑色のもの
・しっかりと重みがあるもの
・皮にツヤと張りがあるもの
追熟まで待てない! という人はこのトマトを選びましょう
普通のトマトは追熟させることでヘタがしなびてきます。追熟するのが待ちきれない! という方はミニトマトを購入するのが良いでしょう。普通のトマトと違って熟してから収穫されます。また、皮が厚いため完熟させても崩れにくいです。
追熟してもしなくても、トマトは低温に弱い野菜です。10℃以下では水浸状に軟化したり、腐敗するといった低温障害を生じるので、冷蔵庫での保存はほどほどにしましょう。
トマトが赤くなると医者が青くなる?! トマトに秘められた健康効果とは
「トマトが赤くなると医者が青くなる」これは、ヨーロッパで昔から言われていることわざです。それほどトマトには栄養がたっぷり詰まっています。
医者が青くなる理由はトマトの色にあります。トマトの赤色は「リコピン」という成分で、リコピンには有害な活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があり、がんや動脈硬化などを予防する効果が高いことがわかっています。この強い抗酸化作用はβカロチンの2倍、ビタミンEの約100倍もあるのです。
さらにトマトは、βカロチンもたっぷり含み、同じく抗酸化力をもつビタミンCも豊富です。リコピンと合わせてトリプルで強力な抗酸化作用を持っています。
強い抗酸化作用があれば医者いらずなわけではありません。しかし、活性酸素の発生の元となる紫外線やストレス、大気汚染など近年増加傾向にある原因が影響しているので、これらから少しでも身体を守れるのであれば、医者としては青くなるということでしょう。
さらに、トマトには体内の余分な塩分を排出させるカリウムも多く、高血圧対策に役立つことから、いろいろな意味で生活習慣病予防にとても効果的です。
トマトに含まれるビタミンCは他の野菜とは一味違う!
ビタミンCは安定性に欠けるので、貯蔵中または加工、調理中に失われることが多いと言われている栄養素です。そのため、「ビタミンCを多く含む野菜を茹でるときは煮汁ごと食べるようにしましょう」と見聞きすることはありませんか?
ビタミンCは水に溶け出てしまうので、煮汁ごと食べると栄養を漏れなく摂取できるのですが、トマトの場合は少し違います。
トマトに含まれるビタミンCは温度や貯蔵期間にあまり関係なく、収穫後の変化もほとんどみられません。また、加熱しても壊れにくいのが特徴で、煮込み料理などにも適しています。煮込むとほかの栄養素も凝縮されてたくさん摂ることができますよ。
そのままでも、煮込んでもおいしい
暑い季節は熟したトマトを冷やして切っただけでもおいしいですよね。
このように、日本ではサラダや付け合わせなど生で食べることが多いですが、欧米では加熱調味料として使われています。
うま味のもとになるグルタミン酸だけではなく、トマトの酸味やペクチンが肉や魚類の脂っこさを和らげてくれます。またトマトは、肉や魚のほか野菜、豆、卵など多くの他の食材と相性抜群!
加熱することでトマトの甘味やうま味がグッと増します。増えるのは甘味やうま味だけではありません。リコピンは、加熱することで細胞壁が壊れ、油に溶けやすい性質も相まって吸収率が3から4倍にアップすると言われています。
欧米では、「トマトのあるところに、料理下手はいない」と言われているほど、トマトにはうま味成分がたっぷり含まれています。日本のうま味成分を多く含む干し椎茸や昆布のように、トマトはあらゆる料理のうま味のベースになっているんですね。
生のトマトを加熱するのはちょっと。
生のトマトを加熱するのに抵抗がある場合は、瓶や缶詰になっているピューレやホールトマトを使うと良いでしょう。栄養価は生とほとんど変わりません。
缶詰の持つ甘味と、生の風味や酸味を上手に使い分けるとおいしく仕上がりますよ。
トマトのうま味成分であるグルタミン酸は果肉よりも種の周りのゼリー部分に多く含まれています。サラダはもちろん、加熱して使うときもそのまま入れてくださいね。
調理に使ってみよう!ドライトマト
一時期、ブームになった「ドライトマト」。ドライトマトの中でも塩トマトが有名でしたね。
ドライトマトをぬるま湯で戻し、やわらかくして使いましょう。ぬるま湯で戻すことで、塩抜きにもなります。戻ったら、刻んでパスタソースや煮込みなどに入れると良いでしょう。
トマトはトマトピューレやホールトマト、ドライトマト、ケチャップなど幅広く加工されています。
さまざまな品種があるトマトですが、加工専用品種もあるんですよ。
一番の旬は夏! 年中楽しめるトマト
ハウスを中心に一年中栽培されているトマト。しかし、露地栽培では6から9月が旬です。
6から10月ごろの旬の時期に採れるのが夏秋トマト。北海道や茨城県、福島県で約3割を生産します。
また、11から5月ごろに採れる冬春トマトは熊本県が第1位。次いで、愛知県、栃木県、千葉県の4県で全体の約4割を占めています。一番の旬は今の時期ですが、品種の多いトマト。産地によって、味の違いを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
トマトの赤色はリコピンであることは有名ですが、追熟すると緑色が赤く色づくことやリコピンの効能については意外と知らない方も多かったのではないでしょうか。
真っ赤なトマトを生で食べるのもいいけれど、たまには煮込み料理にも。いつものカレーやミネストローネ、ミートソースにぜひ入れてみてください。