夏野菜なのに名前に「冬」がつく理由とは
冬瓜の名前の由来。それは夏に収穫されますが、皮が厚く、丸のまま冷暗所に保存しておけば冬までもつことから「冬瓜」という名前がつけられました。
冬瓜の原産地は熱帯アジアのジャワ島やインドと言われています。
奈良時代の『正倉院文書』には「冬瓜」や「鴨瓜(かもうり 冬瓜の和名)」、平安時代の『本草和名』には「白冬瓜」の項目で「和名 加毛宇利(かもうり)」と記載があることから、日本では古くから親しまれてきたようです。
このように、和名では「かもうり」と呼ばれている冬瓜ですが、一部の地域ではまた違った呼び名がついています。
富山県では「カモリ」、沖縄県では「シブイ」など地域によって呼び方が異なります。
そして、沖縄県では冬瓜の呼び名シブイのシ(4)と冬瓜のトウ(10)をかけて4月10日を「冬瓜の日」と提唱しているそうです。
冬瓜に粉が吹いている!もう食べられない?
丸のまま店頭に置かれている冬瓜の中には全体的に白い粉が吹いているものがあります。この白い粉は「ブルーム」と言って、完熟した証拠。未熟なうちは全体にうぶ毛が生えていて、熟するにつれてうぶ毛が落ち、完熟すると全体がブルームで白っぽくなります。このように全体的に白っぽくなる丸型の冬瓜は「大丸冬瓜」という品種です。
大丸冬瓜に対して、完熟しても白い粉が吹かず表面にツヤがある縦長の冬瓜が「琉球冬瓜」です。最近では大丸冬瓜よりもこちらの琉球冬瓜が店頭に並んでいることが多いです。
琉球冬瓜という名前の通り、沖縄県で栽培されています。沖縄の他に、愛知県や岡山県でも冬瓜は作られます。
このように大きく分けて2種類ある冬瓜。次の3つのポイントを参考にして購入してみてください。
・表面に傷や傷みがないもの
・緑色は濃く鮮やかな色
・持ったときにずっしりと重いもの
小さいものを購入したいときには
冬瓜を丸のまま買うと2~3㎏の小さなものから15㎏ほどの大型までさまざまなサイズがあります。
丸のままでも、1~2㎏の小型の「小冬瓜」や「姫冬瓜」と呼ばれる品種もあり、扱い易い物もありますが、冬瓜を食べるのは初めてで少しだけ食べたい場合はカットしてあるものを購入してみてください。
カットされた冬瓜は冬瓜と言えど、長くは日持ちしないので早めに使い切るようにしましょう。
カットされた冬瓜の購入ポイントは次の通りです。
・切り口がみずみずしく真っ白なもの
・種の部分までしっかりと詰まっているもの
・茶色っぽく変色しているものは避ける
汎用性が高い! 冬瓜を使ったオススメ料理
調理するときは縦にカットし、中のワタと種をスプーンなどで取り出して皮をむきます
一般的に、皮とワタと種は取り除き捨ててしまいますが、皮は千切りにしてきんぴらにしたり、ワタと種は味噌汁に入れたりと、実は食べることができます。
果実は使い勝手がよく、さまざまな料理として楽しむことできます。
冬瓜の味というのは淡泊なのであまりありませんが、果肉が柔らかいので出汁や一緒に合わせる食材のうま味を滲み込ませる煮物やスープが代表的な調理法です。
水から茹でて使いますが、茹ですぎに注意しましょう。
火を通すと見た目は大根のようですが、大根よりも味が滲みてトロッとして口どけの良い食感がたまらなく美味しいです。
餡をかけて冷製にして召し上がるのもおすすめです。
その他に、千切りにして炒め物、和え物などにも使われます。
低カロリーで夏のむくみ解消に効果あり
キュウリと同様に冬瓜の95%は水分で、栄養価は低く、低カロリーなのが特徴です。
しかし、利尿作用のあるカリウムを多く含んでいるので、むくみの解消や高血圧に効果があります。
夏野菜である冬瓜は身体を冷やす作用もあるので、冬瓜を食べて、むくみと一緒に暑さを取り除いてスッキリしたい時に最適です。
カリウムの他に、肌の健康維持や風邪などに対する抵抗力を高めるビタミンCを含んでいます。
中国やインドではこんな使われ方をする冬瓜
漢方では種を「冬瓜子(とうがし)」や「冬瓜仁(とうがんにん)」と言います。
美容クリームの原料に使われ、肌を滑らかにし、白くするとされていたようです。
乾燥した種に便秘解消や去痰、利尿、鎮咳作用があると言われています。
また、緑の皮の部分の「冬瓜皮(とうがんひ)」には利尿作用が高く、水分代謝が悪い水太りタイプにはダイエット食材として取り入れられるそうです。
インドの伝承医学アーユルヴェーダでは「気を降ろす作用がある」ということから、せき止めや解熱に用いられています。
瓜二つ! 冬瓜に似た野菜がある
冬瓜と同じウリ科で、見た目が似ている食材があるのはご存知でしょうか。
その食材は「夕顔」です。夏の夕方、開いた白い花が翌日の午前中にしぼんでしまうことから名付けられました。
よく似た名前の植物に「朝顔」「昼顔」「夜顔」がありますがこれらはいずれもヒルガオ科の植物であるので夕顔の仲間というわけではありません。ただし、夜顔が夕顔と呼ばれる場合もあります。
原産は北アフリカとされていて日本には平安時代に中国から伝わったとされています。
形は球形や長楕円形で冬瓜に似ていますが、皮の色は黄緑色です。
味はないため、どんな味付けにも馴染みますが夕顔を冬瓜のように調理する人はあまりいません。果実をひも状に剥いて乾燥させ「干瓢(かんぴょう)」にします。水で戻して巻き寿司やちらし寿司に入れることが多いです。
なぜ、干瓢というかというと、夕顔の実は「瓢(ふくべ)」と呼ばれ、それを干したものだからです。
普段、店頭で見かけていたけど購入まで至らなかった人も、使い方がわからなかった人も、名前と使い方は知っていた人も冬瓜について色々わかったのではないでしょうか。
旬の終わりに近づいてきましたが、暑い日は冬瓜を食べてむくみを取り除いて乗り切りましょう。