おいしいジャガイモと、甘いトマトがなる「トムテト」
地上にはチェリートマトが鈴なりに育ち、その根元を掘ると大きくておいしそうなジャガイモが育っている、という不可解な野菜がイギリスで生まれました。園芸の通信販売会社である「トンプソン&モーガン社」が実際に販売している「トムテト」という野菜です。
「トムテト」は、遺伝子組み換え技術から生まれたのでなく、人の手によって作られました。開発には15年の歳月がかかり、売り物として生産できたのは初めてとのこと。ちなみに、トマトもジャガイモもナス科ナス属の野菜なので、適合するのは自然なことなのだそうです。
同社サイトによれば、トマトは“店で売っているトマトが食べられなくなるほどの味わい”で、ジャガイモの方は“どんな料理にも使える、おいしくて白いジャガイモ”なのだそう。
ナスとジャガイモが一緒になる「エッグアンドチップス」
トンプソン&モーガン社は、さらに「エッグアンドチップス」というハイブリッド野菜も作りました。これは地上にナスが育ち、地中にジャガイモがなるという作物です。
同社サイトによれば、この植物ならイギリスの厳しい生育環境下でも、たくましいジャガイモの力を借りて高品質のナスができるようになるとのこと。さらに、2 in 1のソリューションによって、温室やバルコニーなどの栽培スペースを倍増できるメリットもあります。
育て方も難しくなさそうなので、もし手に入るのなら庭やベランダの片隅で作ってみたい野菜ですね。
実は、日本でもハイブリッド野菜を作っている!
ここまでは海外企業の取り組みを紹介しましたが、ハイブリット野菜は日本でも作られています。例えば、奈良県フラワーセンターが作った「キャベコン」という野菜は、地上にキャベツ、地下にはダイコンがなる野菜です。これも接木の技術で作ったもので、簡単にできるものではないそうです。ちなみに、販売される予定はないようです。
他には、メロンとカボチャを掛け合わせた「メロチャ」もあります。これはメロンとカボチャが同一の株になるというよりは、メロンとカボチャ両方の特徴を備えた野菜がなるそうです。どんな味や食感なのか、ぜひ一度味わってみたいものです。
「トムテト」や「エッグアンドチップス」のような一石二鳥の野菜は、まだ大量に作られているわけではありません。でも、もしこうした栽培技術が一般的になれば、農家さんに限らず一般の人にとっても野菜づくりがより面白くなるかもしれません。