地産地消とは?
地産地消とは、地元で生産されたものを地元で消費しようという取り組みです。地元で生産・収穫されたものを、輸送に時間をかけることなく消費者のもとに届けられるため、新鮮なままおいしく味わうことができます。
地元で生産されたものは、生産者と消費者が近いのが特徴です。物理的距離だけでなく、消費者にとって地元の食べ物は興味や愛着を持ちやすいため、心理的距離も近くなるといわれています。
また、遠くに食べ物を輸送する場合はトラックや飛行機などを使います。するとガソリンなどのエネルギーを使うことになり、二酸化炭素を多く排出するため地球温暖化にもつながります。地産地消は安全でおいしいものを食べられるだけでなく、地球環境にも良い取り組みといえます。
都内で地産地消に取り組んでいる企業の事例
株式会社エマリコくにたち
株式会社エマリコくにたちは、東京都国立市で東京野菜の流通を行っている企業です。東京の市街地に隣接している場所にも、多くの農家が存在します。
エマリコくにたちは、自社での集荷・買取を行い、農家が生産に注力できる環境を提供しています。そして収穫された農作物を新鮮なうちに、生産者の情報やこだわりポイントなどと共に流通させることを目的としています。
現在、エマリコくにたちは、直売所・飲食・卸の3つの事業を行っています。
1.直売所事業
エマリコくにたちの主要事業です。現在は多摩地域で地元野菜の直売所を運営しています。毎日自社トラックで農家へ向かい、採れたての野菜を集荷し、各店舗へ届けます。
店舗に並ぶ野菜は、生産地・生産者名・収穫時期・栽培方法・食べ方・生産者のこだわりポイントなどを明記して販売されます。また店舗はいずれも、駅前路面型か商業施設型にこだわって展開しています。野菜のおいしさを決める大きな要因である鮮度を落とさないために、毎日の利用者が多く利用しやすい店舗作りを心がけています。
2.飲食事業
地元野菜タパスと厳選されたワインを楽しむカジュアルバル「くにたち村酒場」と、全国のクラフトビールを楽しめるビアパブ「CRAFT! KUNITA-CHIKA」を展開しています。
どちらもJR国立駅徒歩3分の同ビル内にありますが、内外装、メニュー構成、接客のスタイルは全く違う要素を持っています。しかし、両店舗とも地元の農家をはじめとする熱い思いを持った生産者を応援し、国立の街を盛り上げたいという共通の思いがあります。
3.卸事業
近隣のスーパーマーケット、百貨店、飲食店への卸事業を行っています。自社店舗以外にも東京都の採れたて野菜を多くの方に届けるため、現在拡大中の事業です。
株式会社エマリコくにたち
住所:東京都国立市中1-1-1
TEL:042-505-7315
URL:http://www.emalico.com/
磯沼ミルクファーム
磯沼ミルクファームは、東京都八王子市にある牧場です。アニマルウェルフェア(家畜福祉)(※)の考え方を取り入れており、乳牛の命の尊厳と自主性を尊重しています。
地産地消の考えから、東京の名前がついたブランド「東京牛乳」の生産者の一人となっています。また、都市近郊という立地を生かして、牛乳の販売だけではなく、牧場内の乳製品製造工房で個性あふれるデザイナーズヨーグルトや乳製品の製造も行っています。
育成牛は放牧場で牧草を自由に食べ、運動をして育ちます。また、搾乳牛は牛舎の中で放牧され、干し草を自由に食べて、沖縄の化石サンゴの粒子でまろやかにした水を飲んで育ちます。さらに自家牧草地の新鮮な牧草や、都市近郊の食品工場から仕入れたエコ飼料も与えて飼育されています。
牛舎のベッドには、コーヒー工場やチョコレート工場から取り寄せたコーヒー皮やカカオ殻、豆や粉などが毎朝撒かれています。できたたい肥は完熟コーヒー牛糞たい肥となり、農家・家庭菜園・学校農園などで肥料として喜ばれています。
また磯沼ミルクファームは、アニマルウェルフェアを学べる場として、研修生の受け入れを行っています。これからも短期牧場体験、新規就農希望者の研修、牧場体験教室などを開催していく予定です。
※アニマルウェルフェア…人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなどの取り組みにより、動物の心理学的幸福を実現する考えのこと。
磯沼ミルクファーム
住所:東京都八王子市小比企町1625
TEL:042-637-6086
URL:http://isonuma-farm.com/
地産地消は地方だけの取り組みではなく、都市部でも動きが生まれてきています。今回は東京都内で行われている事例を紹介しました。6次産業化の動きと合わせて、地産地消は注目したい取り組みの一つといえるでしょう。