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スーツ姿で畑仕事? デートに行ける作業着で農業のイメージを変える

スーツ姿で畑仕事? デートに行ける作業着で農業のイメージを変える

ビジネスのイメージが強いスーツ。農作業には向かないと思われがちですが、そのイメージを覆すスーツの開発が行われることに。スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」を開発・販売する株式会社オアシススタイルウェアと、スーツ姿で農作業をすることで注目を集める山形の若手農家「スーツ農家 齋藤君」がタッグを組み、農業向けのワークウェアスーツの共同開発をすると発表しました。スーツのような農作業着を提案するその背景とは?

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スーツで農作業という新しい提案はなぜ?

“スーツ農家 齋藤君”こと齋藤聖人さん

山形県東置賜郡川西町で農業を営む「スーツ農家 齋藤君」こと齋藤聖人(さいとう・きよと)さんは、スーツを着て農作業を行うことで注目を集める若手農家です。トラクターを運転するときも、田んぼのぬかるみで作業するときも、常にスーツ姿。帽子・シャツ・ネクタイはおしゃれなビジネスマンのようです。
齋藤さんがこのような姿で農作業をするわけは「農業のマイナスイメージを払拭し、若い世代などさまざまな方に農業に注目してもらいたいから」。実際、彼の取り組みはメディアにも多く取り上げられています。

そんな齋藤さんに、株式会社オアシススタイルウェアは作業着としての機能性とフォーマル感を両立させたスーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」を導入してもらうことに。
去る5月25日に齋藤さんの畑で対談イベントを開き、今後、農業用にワークウェアスーツを展開していくにあたっての意見交換を行いました。

スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」

3月に発売されたワークウェアスーツ。女性用も展開している

人手不足分野のイメージを変えるために

農業分野では「きつい・汚い・もうからない」のマイナスイメージが先行し、若手の人材不足が深刻です。実は、オアシススタイルウェアの本体である水道設備会社、オアシスソリューション社も同じ問題を抱えていました。いわゆる3Kの現場は若い人材に人気がなく、同社も採用に苦慮していたのです。

そこで、清掃・設備・建設業界の総務・人事担当者、そして20代~30代の就職・転職希望者を対象に、業界のイメージと作業着に関する意識調査を実施。両者の視点から、各業界の問題と、作業着に関する『きつい・汚い・格好悪い・身だしなみが悪い』というネガティブなイメージが浮き彫りとなりました。このようなイメージを払拭するためには作業着そのものの改善が必要だと、新たな作業着の開発が始まったのです。

「おしゃれな作業着を作ろうと男性経営陣が試行錯誤していたものの、良い案が出ませんでした。そこで女性社員に『そのままデートに行ける作業着を考えてほしい』とオーダーしたところ、“スーツスタイルの作業着”というアイデアが生まれました」と語るオアシススタイルウェア社の広報担当、素原勇人(すはら・はやと)さん。
3月の発売後、同様の問題を抱えるごみ回収会社やマンション管理業界でも採用されており、販売実績が単月販売目標の5倍を超え、品切れが続くほどの人気商品となっています。

開発の目的である「業界そのもののイメージを変える」というコンセプトが、“スーツ農家”として活躍する齋藤さんの「農業のイメージを変える」という考えとマッチし、今回の農業分野でのワークウェアスーツの開発でタッグを組むことにつながりました。

ビジネス向けにも使える

そもそも作業着としてのニーズを想定して作られたワークウェアスーツですが、水道工事で一般家庭に入ってもきっちりとした印象を与えられるようにデザインされているため、一般のビジネスマンが着ても違和感がない仕様です。
ビジネスシーンでのニーズについて、素原さんは次のように語っています。
「作業着のように毎日洗え、アイロン不要で次の日気持ちよく着用できる点にニーズがあると考えています。ジャケットをカバンに入れておいてもシワにならないため、出張の多い方にも適しています」
また、通勤にも非常に便利な面があるとのこと。「最近はスニーカーで通勤する人も増えています。ジョガータイプのパンツはスニーカーに合いますし、伸縮性が高く防水機能もあるので、雨の日の通勤や自転車通勤にも適しています」

生産者も農業経営を行うビジネスマンと考えるならば、ビジネスシーンでの活用はそのまま取引先との商談などの場面とリンクし、ワークウェアスーツの着用シーンは広がりそうです。

農業のイメージを変えるために

農業向けの開発のポイントとは?

オアシススタイルウェア社は、齋藤さんと農業用ワークウェアスーツの開発を進め、10月ごろの発売を予定しているとのこと。素原さんに、農業向けにどんなことを意識してスーツづくりをしようと考えているのかを伺いました。

「常に意識しているのは『農業のイメージを変える』という根本の思いです。農業をもっと若者に受け入れてもらいやすくするために、より機能性が高くファッショナブルな製品を考案中です」とのこと。
共同開発を行う齋藤さんからは、具体的な要望がたくさん出ているそうです。
「齋藤さんから『汗をよく吸収して毎日洗える帽子があると良い』『スーツに合う長靴や手袋を開発してほしい』等のご意見や製品開発にあたってのアドバイスをいただいています。小物一つにしてもオシャレであり、かつ機能性の劣らないものの普及が、業界のイメージアップに繋がると考えています」

服が変われば意識も変わる?

着ているものが変わると、周りの見る目が変わるのはもちろんですが、「服が変われば(服を着ている本人の)意識も変わる」というのがオアシススタイルウェア社の考えです。農業界でも同様に、スーツのような農作業着を着ることで、生産者自身の農業に対する考えが変わり、これまで以上に農業に誇りを持つことにつながること。それが今回の開発のゴールです。
10月に発表されるという新しい農家のためのスーツ。農業界のみならず、農業をめぐる他の業界や農業に興味を持つ若者の意識に、大きな影響を与えそうです。

株式会社オアシススタイルウェア

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