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<詳報! アグリテックはここまで来た!> 自然エネルギー・最新の栽培技術・IoTのタッグで耕作放棄地問題と農業振興に取り組む

<詳報! アグリテックはここまで来た!> 自然エネルギー・最新の栽培技術・IoTのタッグで耕作放棄地問題と農業振興に取り組む

最終更新日:2018年08月28日

農業の担い手不足に悩む岩手県八幡平市が、地域の宝である自然エネルギーと最新の栽培技術、IoT制御システムを融合させ、新たな農業スタイルの確立による地域再生に挑んでいます。高齢化による離農で放棄されたビニールハウスを活用し、東京、福岡といった地域外の知見や技術も借りて、地熱発電所から供給される熱水を暖房に利用したバジル栽培のプロジェクトに取り組みました。厳しい冬を越えて夏を迎え、実証実験の1年目をまもなく迎える同地の取り組みを取材しました。

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放棄されたビニールハウス群

岩手県八幡平市は雄大な裾野を広げる秀峰・岩手山の北麓に位置し、豊かな自然に恵まれ、コメや野菜、畜産、さらには全国一のシェアを誇るリンドウなどの花卉栽培が主産業となっています。

株式会社MOVIMAS

同市では30年以上も前から、日本で初めて商業運転を始めた松川地熱発電所から供給される熱水を暖房に活用するビニールハウス(熱水ハウス)での農業に取り組んできました。しかし、ほかの地方都市と同様に、昨今は高齢化が進み、離農者が増え、熱水ハウスが続々と放棄されています。

株式会社MOVIMAS

ビニールが剥げ、パイプも折れ、雑草に覆われた未活用の熱水ハウスが目立つようになり、その数は、同市上寄木と高石野の2地区で計60棟。とりわけ高齢化が著しい高石野地区では、50棟のすべてが休眠している状態です。地熱という自然エネルギーの有効活用は、同市にとって大きな課題。田村正彦市長は、放棄状態で老朽化した熱水ハウスを最新の技術力でなんとか再生できないかと考えます。

株式会社MOVIMAS


左側:株式会社MOVIMAS 代表取締役 兒玉則浩さん
中央:八幡平市 市長 田村正彦さん
右側:グリーンリバーホールディングス株式会社 グループCEO 長瀬勝義さん

同市が直面するこの課題に着目したのが、東京でクラウドIoT制御システムの開発を行う株式会社MOVIMAS(モビマス)でした。同社代表取締役の兒玉則浩さんは、あるスマートコミュニティ関連の展示会で八幡平市の職員と出会い、熱水ハウスの現状を耳にします。

「話を聞くにつれ、吸い寄せられた」――と兒玉さんは、熱水ハウスの再生にIoTが使えるのではないかと考え、福岡に本社をおく農業ベンチャー、グリーンリバーホールディングス株式会社 グループCEO 長瀬勝義さんに声をかけ、2017年6月に八幡平市へ視察に出かけました。

グリーンリバーホールディングスは再生エネルギーとその活用を得意とするほか、独自の縦型水耕栽培を実践。兒玉さんの脳裏には、農業技術の展示会に出展されていたその栽培システムが刻まれており、八幡平の熱水ハウス再生に使えるのではと考えたのです。

サステナブルな農業を目指し一気に進んだプロジェクト

現地の資源を有効活用した“稼げる農業”で地方再生に取り組む長瀬さんは、現地を視察して地熱に大きな魅力を感じ、「これはいける」と直感したといいます。「サステナブル(環境を保全しつつ持続可能な産業や開発)な次世代農業を実現するには、自然エネルギーの活用しかないという信念をずっと持っていました。八幡平のこの貴重な資源を使わない手はないと確信しました」と視察時の印象を語ります。

株式会社MOVIMAS

再生へのアイデアを聞いた田村市長も「熱水を利用するには、感覚ではなく科学的な知見が必要。まさに両社の技術がフィットすると思いました」と高く評価。グリーンリバーホールディングスの栽培技術とMOVIMASのIoT制御システムの融合で熱水ハウスを再生し、将来的な新規就農者参入に結びつけることを目的とした『スマートファームプロジェクト』は、こうして一気に動き出します。

株式会社MOVIMAS

栽培作物にはバジルが選定されました。イタリア料理のイメージが強いバジルは、南国で育つハーブで、露地栽培なら20~30度が適温とされます。厳冬期には氷点下20度に達するこの地で、はたして無事に生育するのか…。また、現地ではなじみの薄いバジルに対して「なぜ?」という声も上がりましたが、長瀬さんにはもちろん勝算があったといいます。

株式会社MOVIMAS

「熱水ハウスなら、冬場でもバジルにとっての適温をキープできます。加工品の原材料となる作物は一年を通して食品加工メーカーに安定して売れる。ただ、原材料は単価が安いため大量に作る必要があります。そこで縦型水耕栽培装置を使った周年栽培により、圧倒的な収量を得ることを考えたのです。植えて2週間で収穫できるのもバジルの魅力でした」

株式会社MOVIMAS

それまでグリーンリバーホールディングスが利用していた縦型水耕栽培装置は米国製で、壁面緑化向けに片面だけ植物を植える仕組みでした。熱水ハウスでは「圧倒的な収量」を目指すため、両面で生育できる装置を独自開発します。そもそも縦型の水耕栽培を選択したのも、小さな面積でより多い収量を得るためでした。装置開発以外にも同社は、ハウス内の設備構築をはじめ、実際のバジル生育、販路開拓、出荷までのすべてを担います。

株式会社MOVIMAS

一方のMOVIMASは、厳冬期でも生育に適した環境を保ち、安定した周年栽培をサポートするため、熱水ハウスの温度・湿度・養液供給・換気などをクラウドで制御・管理するIoTシステムを開発しました。現地視察から2カ月後の8月には、市から借り受けた上寄木地区の熱水ハウス整備が一部完成。9月7日に市と両社で同プロジェクトの基本合意書を締結し、10月24日にはハウス産バジルの初の出荷式が執り行われました。

株式会社MOVIMAS

事業化と新規就農者参入に向けた次のステップへ

実際に熱水暖房でバジルの栽培を始めたのは、八幡平が寒い冬の入り口を迎えた11月のことです。地熱発電所からの熱水で暖められたハウスでは、バジルが無事に育ち、一年を通しての出荷にこぎ着けました。両面栽培を採用したことで、210平米のハウス1棟あたり2.5~3トン(通常の露地栽培の約108倍/㎡)という「圧倒的な収量」も実現しています。このバジルは、雪深い大地で作っていることから「八幡平スノースウィートバジル」と名付けられ、順調に出荷を続けています。

株式会社MOVIMAS

「人手不足が顕著な農業分野はIoTとの相性がいい。今後は八幡平の新しい産業にまで持っていくのが当社の使命だと考えています」と、兒玉さんは展望を語りました。また、田村市長は今回の実証実験をこう振り返ります。「新しい農業の形を構築できることが実証されたと思います。長瀬さん、兒玉さんからも、八幡平の環境は事業化に向けてポテンシャルが高いとお墨付きをいただきました。今後は都会に出たUターン組、都会からやってくるIターン組、さらには異業種の民間企業にも働きかけ、八幡平の産業として発展させるために行政としても手助けしていきたいと考えています」

株式会社MOVIMAS

実証実験は当初、上寄木地区の2棟でスタートしましたが、2018年3月には5棟に拡大しています。そして、50棟が放棄されている高石野地区の再生に、いよいよ着手していくとのこと。高石野地区には無線カメラ監視ソリューションを導入することでIoT制御システムも進化させ、熱水ハウスの環境制御を無線カメラ監視ソリューションAI画像分析サービスにより遠隔でも行えるように進めていく予定です。次のステップに動き出した『スマートファームプロジェクト』の展開に今後も目が離せません。

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