やっぱり農業がいい! 越智家は新規就農1年目

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やっぱり農業がいい! 越智家は新規就農1年目

やっぱり農業がいい! 越智家は新規就農1年目

最終更新日:2018年08月27日

越智雅紀(おち・まさのり)さん・みどりさん夫妻は、2018年4月に晴れて新規就農家として認定されました。介護職から農業を目指して転職した後、建築を目指した時期もありましたが、「やっぱり農業がやりたい」と、再度方向転換をします。現在は理解ある地主さんにも巡り合って、約5,000平方メートル(5反)の畑で農業を行い、販売の工夫にも取り組んでいます。そんな越智さんに、農業への思いや販売の工夫について聞きます。

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紆余曲折を乗り越えて 新規就農するまで

農家転身のきっかけは、子どもが生まれたこと

もともと、埼玉で10年ほど介護の仕事をしていた越智さん夫妻。身近に田畑はなく、特に栽培経験などもなかったのですが、子どもが生まれたことと健康への関心をきっかけに農業に関心を持つようになったと言います。当時生後半年の子どもともっと一緒に過ごしたい、子どもを健全に育むための環境や安全な食べ物を得たいと思って、知人に相談をしました。「地球環境や、子どもたちの未来について真剣に考えている地元の方や農家さんを紹介してもらい、単純に『かっこいいなあ』と感じたのが最初のきっかけです」。
また、前職の介護の仕事で感じていたことも後押ししました。「職業柄、体調を崩して困っている方を支援することが多かったので、健康の大切さが身にしみていました」。

苦い経験もしたけれど やっぱり農業

行動の速い雅紀さん、反対するみどりさんを説き伏せ、子どもが1歳近くなるころには千葉県に移住しました。さっそく知人とともに約3000平方メートル(3反)の畑でキクイモなどの栽培を始めます。当初は「機械を使って作業をするという発想すらなかった」そうで、すべて手作業で行い、体を壊してしまったこともありました。必死に育てた作物も、「私たちの不手際もありましたが、当初の話よりも低い買い取り額でがっかりでした」と言います。
翌年は建築学校に通うものの「やっぱり農業がいい」と思い直して、2017年に千葉県の農業大学に入ります。紆余曲折もありましたが念願の農家となった今は、「慣行農業にも学ぶところはたくさんありますが、私個人としては有機栽培や自然栽培を目指しています」と栽培の工夫をしながら、独自の販売ルート開拓にも取り組んでいます。

以前は怖かったという草刈り機も今は普通に使えるように。
「不便さを経験したので、道具のありがたさがよくわかります」


 

就農のコツ 準備や下調べはしっかり!

短期間でも農業の勉強を正式にする

移住した地域にも溶け込み、自分の理想とする農業を目指す越智さん。農業大学に入ったのがまずよかったと言います。
「農地を貸す方も、よく知っている相手に貸すのなら別として、知らない人で、農業の経験もまったくない人となると不安ですよね。農業大学で学んだという実績があると、地主さんの不安も和らぎます」。越智さんは千葉県の農業大学の社会人コース1年過程を終了。有機栽培など新しいことに取り組んでいますが、「越智さんはきちんと農業を勉強してきたから」と、地域の方も理解を示しています。

農業大学で勉強した成果か、今年植えたキクイモは、人の背丈をこすほどの高さに育っている

コストを意識する

農業の勉強をするのと同時に、自家用に野菜やお米の栽培をするとよいと言います。「自分が食べる物を作れば、勉強にもなって一石二鳥ですよね。準備期間や就農したての頃は収入が少ないので、積極的に支出を減らす工夫をしてきました。お金を使わなくても、家族で野菜を育てたり収穫したり、十分に楽しいことがあります」。
また行政の補助金などで、活用できるものもあります。「45歳未満で条件を満たした人なら『農業次世代人材投資資金』という国からの補助金が年間最大150万円申請交付される(※)ので、活用できる人は活用した方がよいと思います」。

※就農前の研修段階及び就農初期段階の青年就農者に対する支援

自分に合った土地を探す

新規就農する際に、生まれ育ったところなど縁がある土地以外で就農する場合、どこで就農するかを選ぶのに迷う方もいるでしょう。実際に越智さんも、日本全国を回って土地を見たと言います。「移住しやすさの目安の一つは、先人の移住者がいるかどうか。移住者のコミュニティーを通して、地域の人とつながっていくことも期待できます」。
地域に自分が入っていけるかどうか、少し「お試し」の期間を設けるのもいいようです。「2年も地域にいると、いろいろな方と知り合いますし、地域の行事にもお呼びがかかるようになります。私たちの場合、その中から助けてくださる方が現れました」。

自分も柔軟に 地域に積極的に入っていく

自分から、地域に入っていく心がけも必要です。それには立ち話が有効だと越智さんは言います。「我が家では、近所で地域の方に会ったとき、相手の方に時間がありそうならば、立ち話をするように心がけました。自分の想いや人となりをアピールするチャンスです。地域全体に瞬時に話したことが伝わります」。
また、他人のアドバイスもいいと思ったらすぐに取り入れるのが越智さんのスタイル。人からのアドバイスをありがたいと思って聞き感謝をすることで、サポートしてくれる人も増えると言います。

土質改善に役立つと教えてもらい、畑のわきに溝を掘って刈り草や木の枝などを敷き詰めた。空気と水の通り道


 

農家にこそ販売や経営の工夫が必要

独自販売ルートの開拓

過去の経験から、独自の販売ルートの必要性を実感した越智さん。今年の夏は、イベントでの直接販売に挑戦しました。都心部からきて農作業をする方に向けて、冷やした浅漬けキュウリを販売。「体を冷やす効果があると言われるキュウリに塩分を追加して、汗で失われた塩分を補えるように考えました」。購入した方からは、「1本500円でもいいくらいおいしい!」という声も出ました。
野菜の直販所を兼ねた休憩所での後払いにしたところ、ついでに農産物を買っていく方が続出したそうです。対面販売だけでなく、秋口からはサツマイモのオンライン販売を始める予定とのことです。

「秋の収穫に向けて、自然栽培しています。おいしいサツマイモをお届けしたいです」

食と農にまつわるワークショップ

越智さんは“移住者であり新規就農者”の視点を生かしたワークショップなども開催しています。この秋には、芋掘りと草刈り機体験を組み合わせてセミナーを開いてみようかと思案中です。
実は、正式就農する前にも、ニワトリ解体のワークショップを開催しています。「普段食べているものについて、どのように育てられ、肉となって売られるのかに関心を持ってほしいと思い始めました。大人の食育と言えるかもしれません」。参加者は一様に、「食材になってくれた命への感謝や畏怖を感じた。無駄なく食べる」と口にしたそうです。

数年後にもきちんと農家を続けていたい

地主さんからナラの木を分けてもらい原木栽培しているシイタケ。うまくいけば本格的に栽培を始める

当初移住を反対していたみどりさんとは、3年経ってダメだったら農業を諦める、と約束していましたが、移住4年目となった今では、みどりさんも満足しているそうです。「毎日毎日新しいことの連続です。第2の青春がきたように充実しています。そして、家族との時間も確実に増えました」。
現在は、野菜栽培と並行してシイタケの原木栽培や養鶏などにも試験的に取り組んでいます。鶏舎は、建築学校で学んだことを生かして自分で建てる予定です。過去の経験を生かしています。「新規就農して数年後に生き残っているかどうかが、本当に成功できたのかどうかの判断になると思うので、2年、3年…と着実に続けていきたいです」。

【取材協力・写真提供】「陽と月(ひとつき)農園」

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