耕さない畑づくりのメリット【畑は小さな大自然vol.21】

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耕さない畑づくりのメリット【畑は小さな大自然vol.21】

連載企画:畑は小さな大自然

耕さない畑づくりのメリット【畑は小さな大自然vol.21】

最終更新日:2018年12月13日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。畑仕事といえばまず土を耕すというイメージがありますが、耕すのはなかなかに大変な作業ですよね。できるだけ家庭菜園ではコストも労力もかけずに耕せないものかと、皆さん思っていませんか? そこでオススメしているのが、耕す必要がなくなる畑づくりです。常に土がフカフカで栄養豊富な状態を保ち続けることで、耕す必要性を減らしていき、最終的にはタネを蒔くときに土の表面だけ軽くほぐすだけで済むようになることも可能です。ぜひトライしてみてください。

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耕すことのメリット・デメリット

畑仕事では耕すことは当たり前だと思われていますが、とても大変な作業です。よく土は耕せば耕すほど良いと思って皆さんは一生懸命畑を耕していることでしょう。
しかし、耕せば良いとも限らないのです。耕すことにはメリットもあれば、デメリットもあります。

耕すことのメリット

①野菜が育ちやすい土壌環境になる
固まった土をほぐし、排水性・通気性を良くすることで、野菜が根を張りやすい状態を作り、好気性菌の活動を活発にします。好気性菌の活動が盛んになることで有機物の分解が進み、栄養素が土の中に放出されやすくなります。

②堆肥や肥料を土の中にまんべんなく混ぜることができる
堆肥や肥料を土の中に混ぜることで、広がった根全体で効率よく栄養を吸収できるようにします。

③雑草を取り除ける
雑草を土に混ぜ込んで分解させ、雑草が生えていない状態を作ります。

④扱いやすくなる
細かくほぐすことで、畝を立てるなど自由な形に造形出来るようになるほか、種まきや植え付けなども行いやすくなります。

耕すことの“デメリット”

①土が締まりやすくなる
耕した直後はフカフカになりますが、植物の根による構造なども崩れるので、時間の経過とともにだんだんと土が締まっていきます。

②土が乾燥しやすくなる
土の中に空気を混ぜ込み、土の表面に雑草が生えないようにすることで、土の乾燥が進みます。雨量が多く、多湿な日本ではあまり問題になりにくいですが、乾燥しやすい地域では砂漠化につながる原因となります。

③有機物が消費される
土の中の有機物が分解され、一時的に栄養が土の中に豊富になるのですが、その分一気に有機物を消費してしまい、保肥力や保水力の低下につながります。

④土壌や栄養素の流出する
細かくしていくことで、土や栄養素が雨で流れやすくなります。

耕すことが土に負荷をかけている

土が裸になっている状態は土への負担がとても大きい

耕すことで野菜が生育しやすい環境ができ、野菜の成長が一時的に促されます。しかしそれと引き換えに、土に多かれ少なかれ負荷がかかっていることも理解しておかなければなりません。その負担が大きくなると土の地力(ちりょく)が衰えていき、野菜が育ちにくい土壌になっていく可能性もあります。
しかし、多少は土を耕したりほぐしたりする作業は必要となってきます。この負荷ができるだけ大きくなりすぎないように、自然のバランスを参考にして考えてみましょう。

自然の植物は耕さないのになぜ育つのか

落ち葉が微生物によって分解・発酵されている様子。これがフカフカの土を作る

耕す必要のない畑を作るためのヒントを知るために、まずは自然の植物に注目してみましょう。
森の木々や庭の雑草たちは、耕さなくても十分に育っています。耕さないと土が硬くなると思われがちですが、特に森の中の土はとてもフカフカして柔らかいですよね。栄養も豊富です。それは主に以下の3つの働きが関係していると考えられます。

1)根の働き

植物は根の先から根酸という酸を出すことで、硬いところでも掘り進んでいくことができます。枯れた後もその根があった部分はトンネルとなり、空気や水の通り道となります。この掘り進む力や深さは植物によって異なり、硬い土地でも生えてくる雑草はこの力が強いと言えます。また無数に張り巡らされた根によって、スポンジのように柔らかいけれども締りにくい構造になっていきます。

2)「腐植(ふしょく)」の働き

微生物やミミズ、ダンゴムシなどの土壌生物たちが、枯れ草や落ち葉・生物の死骸・排泄物などの有機物と呼ばれるものを分解・再合成することでできるのが、「腐植」という物質です。積み重なった落ち葉が黒く変色していくことがありますが、この黒い色が腐植の色です。
腐植質が増えてくるとその部分を中心に、土は団子状の粒となります。この団子状の粒が増えた状態を団粒構造と呼びます。この粒は表面がプラスの電荷を帯びており、粒と粒が反発し合うため、その間に空気層ができやすくなります。この団粒構造を保てると土がフカフカの状態を保ちやすくなります。また腐植は栄養素のタンクの役割もしているので、この腐植が土中に増えることで栄養素が蓄えられやすくなります。

3)土壌生物の働き

土の中の生き物たちが土の中を移動することで、その通り道が無数にできることで、土がフカフカの状態になります。特にミミズの働きは重要です。ミミズは有機物を食べながら、フンを出していきますが、これが腐植と同じような構造であり、栄養も豊富であると言われています。

耕す必要のない畑にする方法

分解途中の雑草堆肥。腐植質が豊富

自然の森が耕さなくてもフカフカで栄養豊富である仕組みを真似ることで、耕す必要がなくなる畑を再現することができます。そのための土づくりと手入れの仕方について、説明します。

1)土台となる土づくり~土の中の腐植質を増やす

1番のポイントは土の中の腐植質を増やすことです。自然界では時間をかけて土の中に腐植質を溜め込んでいき、それが栄養の貯蔵庫として働き、フカフカな状態を保つ機能も果たします。これらを土中に増やすために、腐葉土や雑草堆肥を土の中に混ぜ込みます。野菜が健全に育つためには、フカフカで栄養豊富な土は地表面から大体40cmほどの層が必要となりますので、その層を中心にまんべんなく混ぜ込むようにします。最終的に畝を立てたときの畝の表面から40cmですので、実際に耕す深さは20cm程度で大丈夫です。
土づくりの材料や分量は以下を参考にしてください。2回目以降は野菜の生育を見ながら少しずつ減らしていきます。草木灰はミネラル分の補給として入れています。

1平方メートル当たり
○雑草堆肥 (牛糞堆肥などの有機堆肥でも可)20l
○腐葉土:20l
○草木灰:3つかみ分

2)フカフカで栄養豊富な状態を保つための手入れのポイント

耕すこと自体は畑づくりをしている限りは仕方ないことですので、消耗しすぎない程度に耕すことと、消耗しすぎないような土の手入れの仕方が大切になります。耕した後は、先ほどの耕すことの4つのデメリットを意識しながら、それを防ぐような手入れをしていきます。

デメリット①土が締まりやすくなることへの対応
方法は主に2つ。一つは野菜の生育中に生えてくる雑草の根は残して草刈りを行うこと、こうすることで雑草が土を耕し、土が締まらないようにしてくれます。またこれが土へ有機物を補給することにもつながります。ただし、根を残さない方が良い雑草も一部ありますので注意してください。詳しい草刈りの仕方については「リンク」をご覧ください。
もう一つは、特にもともと土が硬いような場所の場合、土が硬くならないようにする資材を土の中に多めに混ぜ込んでおきます。これには腐葉土・籾殻くん炭・有機堆肥などが有効です。

デメリット②土が乾燥しやすくなることへの対応
土の乾燥を防ぐためにはまず、土が直接日光や風に晒されないようにすることが大切です。そのためにはマルチングという方法が有効です。特に雑草や落ち葉でマルチングを行うことで、有機物の補給にもつながります。雑草・落ち葉マルチについては「」の記事をご覧ください。

デメリット③有機物が消費されることへの対応
土の中に有機堆肥を入れることや、雑草・落ち葉マルチを敷くこと、根を残した草刈りを行うことで、土の中の有機物が減らないようにできます。家庭でも簡単に作れる有機堆肥として雑草堆肥の作り方を紹介していますので、ぜひご覧ください
参考:初心者でも簡単!雑草堆肥で土づくり【畑は小さな大自然vol.8】

デメリット④土壌や栄養素が流出することへの対応
まずは土が直接雨に当たらないようにマルチングを行うことが一番の対策となります。また栄養素の流出については、土の中の腐植質を増やしていくことで、保肥力が高まります。腐植は落ち葉や雑草などが微生物によって分解・再合成されてできる物質ですので、落ち葉・雑草マルチを敷いたり、土に腐葉土や雑草堆肥を入れることで補給していくことが可能になります。

少しずつ耕す深さと面積を減らしていく

畝の部分のみを耕し、通路はそのままにしておく。特に冬場は雑草の勢いが弱るため、あえて刈らない方が通路の土は硬くならず、水はけもよくなる

このような土づくりと手入れを行いながら、少しずつ耕す面積と深さを減らしていきます。まずは一度立てた畝の上だけを耕し、通路部分は耕さないようにします。通路部分は踏み固められやすい場所ですが、極力通路部分も土が裸にならないように、雑草や落ち葉などを敷いたり、一部雑草を刈らずに残しておくと、その雑草の根の働きによって次が硬くなりすぎず、水はけも悪くなりません。

また耕さないと大根などの根菜が伸びないのでは?と思われがちですが、そんなことはありません。試しに棒を地面に挿してみて、どれくらいまで柔らかい層があるか確かめてみると良いでしょう。

このような土づくりと手入れを続けていくことで、地力が養われていくため、耕したり堆肥を中に混ぜ込まなくても十分に育つようになります。ただし完全に耕さずに済むようになるまでには最低4〜5年はかかります。それまで楽しみにしながら、土にも自分にも負担をかけない畑づくりを緩やかに続けていきましょう。

 

過去の記事はコチラ!【畑は小さな大自然】シリーズ

そーやんがアドバイスする【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】シリーズ一覧はコチラ!

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