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手軽な小型センサーでハウス栽培を変革! ―タキイ種苗とNTTテクノクロスがIoTを活用した新しい栽培支援システムの実用化を目指し、実証実験をスタート

手軽な小型センサーでハウス栽培を変革! ―タキイ種苗とNTTテクノクロスがIoTを活用した新しい栽培支援システムの実用化を目指し、実証実験をスタート

「手軽な小型センサーを使って、ハウス内の環境情報(場所ごとの温度や湿度など)を簡単に見える化し、作物の収量や品質アップにつなげよう」という実証実験が徳島県でスタートしています。この記事では、現場となる徳島県名西郡石井町のTファームいしい株式会社の栽培施設に伺い、プロジェクトの主体であるタキイ種苗株式会社とNTTテクノクロス株式会社のキーパーソンに、この実証実験の取り組みや目的について取材しました。

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スマート農業…? 環境制御ハウス…? センサー? AI…? 農業の利益率を分っているの?――そんな現場の本音を理解するタキイ種苗株式会社と、センシングやAI技術、ビッグデータ分析などのノウハウを持つNTTテクノクロス株式会社が、「手軽な小型センサーを使って、ビニールハウスなどの栽培施設の環境情報を簡単に見える化し、作物の収量や品質アップにつなげよう」という実証実験をスタートしたということで、一路、徳島に飛びました。

オープンイノベーションで農業に変革を

NTTテクノクロス株式会社

現場となるTファームいしい株式会社(徳島県名西郡石井町)は、『とくしまアグリサイエンスゾーン(徳島県と徳島大学が民間企業と連携し、次世代型農業の研究や人材育成を推進する地方創生特区の拠点)』に、タキイ種苗が2016年に出資した農業法人で、連棟型の環境制御ハウスでトマトの栽培を行っています。

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「タキイ種苗は長きにわたり育種や品種開発、栽培技術の研究などを行ってきましたが、実証する環境をより充実させるためにTファームいしいに出資しました。ここでは1号棟から3号棟の3つの施設(合計 約1万500㎡)で、『桃太郎ホープ』『フルティカ』『TY千果』『オレンジ千果』といったトマトの人気品種を栽培し、関西圏の大手スーパーマーケットに販売しています」―と、説明してくれたのは、タキイ種苗からTファームいしいの代表取締役に就任した菊地義和さん。

NTTテクノクロス株式会社

Tファームいしい株式会社 代表取締役 菊地義和さん

「環境制御ハウスでの栽培は、オランダで生まれ、日本ではまだ新しい栽培技術なので、そのノウハウの確立はとても重要です。論より証拠で、先進的なオランダの情報や機器メーカーなどの想定値と、実際の栽培現場(Tファームいしい)で培ったノウハウとの融合が必要です」と、タキイ種苗 開発部 マーケティングチームリーダーの宮本明典さんは話します。

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タキイ種苗株式会社 開発部 マーケティングチームリーダー 宮本明典さん

「近年、NTTグループ全体として、食農分野に積極的に取り組んでいます。その中でタキイ種苗ともいろいろと情報交換する機会があり、そのご縁もあって、今回、Tファームいしいの栽培施設で農業ICTの実証実験を行うことになりました。これまで篤農家の経験や勘に頼ってきた最適な栽培環境をデータとして見える化し、栽培品目に適したノウハウづくりをサポートしたいと考えています」と、今回の経緯を話してくれたのはNTTテクノクロス フューチャーネットワーク事業部 マネージャーの尾崎公望さん。

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NTTテクノクロス株式会社 フューチャーネットワーク事業部 第一ビジネスユニット マネージャー 尾崎公望さん

「今は、ビジネスが1社だけで完結できる時代ではありません。タキイ種苗は品種改良や栽培に関する技術と、Tファームいしいという実践の場を持っていますが、NTTテクノクロスの得意分野であるセンシングやAI技術、ビッグデータ分析といったICTに関する知見はありません。今回の共同実験でお互いの得意分野を融合させることで新しい農業のカタチを生み出せるのではないかと考えています」と、オープンイノベーションへの期待を笑顔で語るのはタキイ種苗 営業部の桑田なつみさん。

NTTテクノクロス株式会社

タキイ種苗株式会社 営業部 法人課 桑田なつみさん


 

配線不要の小型センサーで、ハウス内の温度差を3次元ヒートマップで表示

NTTテクノクロス株式会社

小型センサーをハウス内の複数個所に設置して測定

これまでTファームいしいの環境制御ハウスでは、「環境制御」の定石どおり施設中央に設置した1基のセンサーでハウス内の温度や湿度などを測定して管理していました。

今回の実証実験では、NTTテクノクロスが電池式の小型センサーを複数個所に設置。小型センサーには省電力の無線通信機器が搭載されているので、配線作業は不要です。測定データは、ゲートウェイを介して常にクラウドサーバーに蓄積されるので、スマートフォンなどで、いつでもどこでもハウス内の温度や湿度を確認することができます。

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「実証実験の前段階で設置した小型センサーのデータから、環境制御ハウスといえども、場所によっては温度や湿度にバラつきがあり、ハウス内の環境が一定に保てていなかったことが分かりました。昨年、収量が少なかった場所と照らし合わせることで、その理由が裏付けられました。また、センサーで収集したデータは単なる数値の羅列ではなく、色分けされた3次元ヒートマップで立体的に視覚化されるので、分かりやすく、対策が取りやすい」とTファームいしいの菊地さんは早くも効果を実感しています。

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「現在、実証実験を行っている3号棟(3828㎡)には、20個ほどの小型センサーを成長点や株元付近などに設置し、数や設置場所を試行錯誤しながら日々ノウハウを蓄積している段階です。センシングや無線技術は当社の得意分野なのですが、街中や工場に設置するのとは勝手が違います。また、今はまだ温度と湿度の基礎データを収集している段階ですが、栽培にかかわる要素は日射量やCO2濃度、培地水分量など多岐にわたります。データ採取のためのセンサー数は、生産者の方の導入コストにも跳ね返るので、バランスを考えて優先順位をつける必要もありますね」と、NTTテクノクロスの尾崎さんは実験の様子を話します。

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「生産者にとって、光熱費(暖房費)は人件費と並んで経営を左右する大きな課題です。今回の実証実験によって、効率的な温度管理や施設改善ができるようになれば光熱費の削減にも効果があるのでは…と期待しています」と、菊地さんが強調するようにハウス内の環境情報を細かく見える化できれば、作物の収量や品質向上だけでなく、生産コストの削減にもつながります。

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Tファームいしい・タキイ種苗・NTTテクノクロスの三者は、「今はセンサーの情報を見える化し、試行錯誤しながらデータを収集している段階だ」と話しながらも、「今後はデータをどのように活用していくのかも一緒に考えたい」とプロジェクトの展望を共有しています。

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「来作では早めの温度対策や、光熱費の削減にデータを活用したい」―とTファームいしいの菊地さんが話せば、「この小型センサーと3次元ヒートマップの見える化ツールは、既存の環境制御ハウスの効率アップのコンサルティングに生かせたり、実験で得られたノウハウは、全国各地で栽培指導を行っている担当者とも連携すれば、IoTを活用した新しい栽培支援サービスとして生産者に提供したりすることも可能です」とタキイ種苗の宮本さんと桑田さん。

NTTテクノクロスの尾崎さんは「最終的にはAI技術を活用したサービスにまで発展させたいと考えていますが、AI技術に必要なデータ量にはまだまだ足りません。とはいえ、今回の実証実験で得られるものは大きなものなので、まずは農業の現場で役立つノウハウづくりをサポートしていきたいですね」と抱負を語ります。
 
 
今回お話を伺った実証実験は、これまで取材してきた『スマート農業の最前線』という感じではありませんでした。それは、取り組みや導入技術がハイテクに偏りすぎず、実用性やコストを考え、現実的に導入できるものを目指しているからかもしれません。今の農業界が本当に必要なソリューションはそんなサービスだと思います。今後もこの実証実験から目が離せません。
 
 
【お問い合わせ】

Tファームいしい株式会社
〒779-3233 徳島県名西郡石井町石井字石井2144-3
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タキイ種苗株式会社
〒600-8686 京都府京都市下京区梅小路通猪熊東入
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フューチャーネットワーク事業部 第一ビジネスユニット
〒167-0043 東京都杉並区上荻1丁目2-1 インテグラルタワー14階
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