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次世代の農業資材・バイオスティミュラントとは? 協議会が講演

次世代の農業資材・バイオスティミュラントとは? 協議会が講演

「農薬でも、肥料でも、土壌改良材でもない農業資材」として、注目を集めつつある「バイオスティミュラント」の理解を促進しようと、日本バイオスティミュラント協議会が東京大学で講演会を開催しました。新たな農業資材について知識を深めようと、参加者らは熱心に研究成果発表などに耳を傾けていました。

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農業資材メーカーなど関連企業8社が発起した、日本バイオスティミュラント協議会の遠藤昌人(えんどう・まさと)会長が、「2018年1月の協議会設立から、1年半ほどで正会員17社、賛助会員29社、個人会員11名という大きな団体になりました。バイオスティミュラントという資材が、農業に多大な貢献をしていくだろうという期待や、将来性を高く評価している企業・個人がいかに多いかという事実を確認しました」と冒頭にあいさつ。会場は満員で、バイオスティミュラントに対する関心の高さが伺えました。

冒頭であいさつする遠藤会長

バイオスティミュラントとは?


同協議会の須藤修(すどう・おさむ)事務局長が、バイオスティミュラントの定義と意義について講演。「バイオスティミュラントは、農薬、肥料、土壌改良材のいずれのカテゴリーにも収まるものではありません。植物の健全さ、ストレス耐性、収量と品質、収穫後の状態及び貯蔵などについて、植物に良好な影響を与えるものと定義付けられます」と、説明しました。
「バイオスティミュラントを上手に使いこなすために大切なことは、第一にその植物がどのようなストレスに遭遇しているかを、自己診断で理解することだと思います」。

植物が受ける非生物的ストレス(※)とその影響の連鎖について解説する須藤事務局長

(※)非生物的ストレス…病気や害虫(生物的ストレス)に対して、高温や低温、乾燥、多雨、塩類土壌などの物理化学的ストレスのこと。

最後に、「日本バイオスティミュラント協議会の会員は、発足2年目にして50社に到達しようとしています。日本の農業と生産者の役に立つバイオスティミュラント資材で、新しい農業資材市場の創造に向けて努力して参ります」と締めくくりました。

規格標準化で安全性・効果確保へ

同協議会技術・調査委員会の西川誠司(にしかわ・せいじ)委員長は、「バイオスティミュラントの規格の設定」をテーマに講演しました。

西川さんによると、作物は発芽から収穫期の長きにわたり、生物的・非生物的ストレスにさらされ、本来収穫できるはずだった収量が減少していきます。これに対して、従来は①優秀な作物遺伝子資源の開発 ②植物栄養の供給 ③生物的ストレス(病害虫、雑草)を制御することで、生産性を確保してきました。一方、バイオスティミュラントは、高・低温や日照不足などの非生物的ストレスに対する反応を制御することにより、気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、植物の健全性を守ります。
技術・調査委員会では、海外文献や欧米の法制の調査、農業資材規格の現状を議論し、バイオスティミュラント資材の規格標準化を目指しています。

バイオスティミュラント効果が期待される資材は、腐植質、海藻抽出物、タンパク質、アミノ酸、無機類、微生物など多種多様で、このような資材を製品規格として一律に標準化することは容易ではないといいます。今後は、安全性や効果確保を目的とした規格標準化を目指すため、「国内外の植物生理学的な研究、欧米の法制上課題整理の現状を確実にキャッチアップしすることで国内の農業事業者に安心して便利につかってもらう農業資材の提供を目指し、議論を深めていく」と、西川さんはまとめました。

講演会の後半では、国内のバイオスティミュラント、植物生理学、微生物学などの研究者らが、成果を発表しました。遠藤会長はマイナビ農業のインタビューに対し、「ヨーロッパのバイオスティミュラント市場は、毎年二桁パーセントの成長を遂げていて、2021年には2900億円 に達する見込みとも言われています。 日本での普及はまだこれから。正しい知識や理解を促進していきたい」と語りました。

日本バイオスティミュラント協議会

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