脱サラし、新規就農。3つの牧場を経営
『栗栖畜産株式会社』は、生まれたばかりの仔牛が、搾乳可能な経産牛になるまでの約1年間、近隣牧場から仔牛を預かります。現在、約650頭の若い牛を飼育しています。
牧場を経営する栗栖代表は、18歳から31歳まで、建築業界などで働いてきた元サラリーマン。今から10年程前に「世界人口が増え、食糧危機となる」というニュースを耳にし、第1次産業への転職を決めたそうです。その後、地元の牧場などで経験を積み、新規就農を目指しました。「最初に働いた牧場で、哺乳担当になり、仔牛の可愛さを知りました。搾乳も行う新規就農を目指していたのですが、何もない状態から、億単位の牛舎を持つのはハードルが高いと感じていました。その時、飼育委託も取り組んでいる牧場でお世話になり、これなら始めることができると思いました」。
離農予定の農家を1軒ずつ回り、牧場を譲ってもらったそうです。「現在、賃貸も含めて3つの牧場を経営しています。今後、取り組んでみたいと思っている、搾乳牛を飼育する牧場も、どこかを譲り受ける形態で始めたいと思っています」と話します。
介護職からあこがれの酪農へ! 経験を生かせる仕事
未経験者から酪農に挑戦したスタッフが多いのも『栗栖畜産株式会社』の特徴です。今年入社したばかりのお2人にお話を伺いました。
5月に入社した、佐野美穂さん(27)は、介護職員として働いていました。
佐野さんは、北海道根室市厚床出身。高校卒業後から介護職に就いていましたが、子供の頃から、動物全般が好きで牧場に興味があったそうです。結婚後、子供が1歳になり、再就職を考えた際に、この牧場の求人を見付けて働いてみたいと思ったそうです。
「仕事は、朝8時半からで17時半まで。主に餌やりと牛のベッドを整えることをしています。新しくなったわらに、安心して横になっている牛の姿を見ると、癒やされます。若い牛が多いからか、意外とやんちゃな面もあって、脱走したりするのを追いかけるのは大変です。他の牧場から生まれたばかりの仔牛をトラックで運ぶ仕事もあるんですが、乗りたがらない子もいます。その時は、介護の仕事で培った、移動の方法を生かして、牛がけがをさせないようにしています。忙しいですが、思い切って、この仕事に飛び込んで、良かったと思いますね」。
東京から中標津町へ転職して感じる、牛と暮らす生活
8月に入社した館大輔さん(17)は、牧場で1番の若手。出身地である札幌市内の中学校を卒業後、東京でとび職として働いていました。館さんの親が転勤で、中標津町に暮らしていたこともあり、両親にこの牧場を紹介されたそうです。「忙しい毎日ですが、体がつらいと思ったことはありません。とび職より疲れないし、性に合っている気がしています」と話します。
働き始めたばかりのころ、「出社したら空腹で鳴いている牛がいて、生き物を相手にしている仕事なのだと強く感じました。それからは、帰り際に、餌のチェックをするようにしています」。
中標津町で暮らすのは初めての経験という館さん。休日は、札幌や東京にいる友人と電話をしたりして過ごしているそうです。「東京にいたころも、そうした生活だったので、特に不便は感じていません。ここで働き始めて、風景が奇麗だと思うことが多くなりました。都会だと、大きな建物に囲まれていることもあって、常に同じ景色なんです。けれど、ここでは、自然の中なので毎日違う景色が見ることができます。転職して良かったと思える部分です」。
やりたい気持ちを応援する、スローライフをかなえる牧場
栗栖代表は、本州で就職したこともあったそうですが、都会の暮らしの中で、心の余裕を持ちにくくなっていたそうです。「生まれ育った北海道が好き。ここでは、やるべき仕事を終えたら、のんびり過ごすことができる牧場でありたい」と話します。
福利厚生の一環として、5人でシェアできる一戸建て住宅があり、光熱費、水道代、通信費無料。車も、仲間でシェアしながら利用できます。
また、中標津町は、町内に空港や大型スーパーもあり、仕事もプライベートも満喫できます。
「来年中には第4牧場を用意して、搾乳牛を飼育し、搾乳を始めたいと考えています。牛の立場になって考えることができたり、牛を大切に思い、愛情を注げる方なら大歓迎です」と栗栖代表は話します。
『栗栖畜産株式会社』は、新規就農で始めたからこそ、酪農の経験の有無を問わず、“酪農をやりたい”という気持ちを応援してくれます。経験を積めば、複数ある牧場のうちの1つを任せることも視野に入れているそうです。共に汗を流し、働く仲間を求めています。
中標津町のゆったりとした自然の中で、牛と暮らすスローライフを体験してみませんか。
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栗栖畜産株式会社
〒088-2683
北海道標津郡中標津町字上標津196-2
TEL 015-378-1030
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