大停電下の北海道の牧場で電力供給を支援
2018年は、記録的な大雪(平成30年豪雪)に始まり、6月には大阪府北部地震、7月には全国各地で被害が出た集中豪雨(平成30年7月豪雨)、さらに9月には北海道胆振東部地震が起こるなど、大規模災害に見舞われた一年で、改めて事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の重要性がクローズアップされた一年になりました。
特に北海道胆振東部地震では、北海道全域が未曾有の大停電(ブラックアウト)に見舞われました。ライフラインである電力供給がストップすることの影響の大きさを記憶する機会となりました。
そんな大停電の影響を受けなかった牧場が有限会社ドリームヒルです。
十勝地方の上士幌町(かみしほろちょう)にあるドリームヒルは、1000ha超の広大な牧場で経産牛2600頭、育成牛850頭を飼養する国内トップクラスの大規模酪農業者で、年間3万tの生乳を生産しています。

ドリームヒルの乳牛
ドリームヒルでは、牛の飲み水に地下水を使用しています。1日当たり牛1頭で約100ℓの水が必要で、3450頭分の水を汲み上げるポンプ設備にも電気は欠かせません。つまり、停電=断水ということになり、電気の確保は、文字通り死活問題といえます。
これだけ大きな牧場を維持するのに必要な電力量は膨大です。搾乳もロボット化が進み、電気なしでは牛の乳を絞ることもできません。また、絞った生乳を保存するためのバルククーラーも鮮度を保つために電気が必要です。
北海道胆振東部地震によるブラックアウトの際は、北海道の多くの牧場が搾乳に苦労し、停電解消後も牛にストレスがかかって乳量が落ちたり、乳房炎になってしまうなど、トラブルが続きました。
そんな緊急事態下でも、ドリームヒルは影響を受けませんでした。電力インフラを支えたのが、発電設備のトップブランドであるデンヨー株式会社の『DCAシリーズ』です。
「うちの牧場では、ほぼ24時間体制で搾乳をしているので、電気が途絶えるのは、非常に困るわけです。搾乳を止めるわけにはいかないので、停電を瞬時に補える発電機は必ず設備するようにしています。おかげさまで、あの時の大停電も問題はありませんでした」と語るのはドリームヒルの小椋幸男代表。

いつもにこやかな小椋代表だが、BCP対策を語るときの眼差しは真剣そのもの
さすがに北海道全域が停電することになるとは考えていなかったといいますが、これだけの自家発電設備を備えた理由については、「やはり台風や豪雪、落雷などで停電するというリスクは常にあるわけですから…。停電による経済的な損失もさることながら、私たち酪農業というのは命を預かる仕事ですから、牛のことを第一に考えると、まずは停電に備える必要があるんです」と話します。

小椋代表とホルスタイン これだけ清潔な牛舎は滅多にない
ドリームヒルの自家発電設備への取り組みは早く、2006年に遡ります。
2つ目のロータリーパーラーができた時に合わせて最初の発電設備を導入しました。さらに2016年の台風10号の被害を機に設備の拡充を図り、現在では8基の発電機が非常時に備えています。
「実は、最初の発電機はデンヨーさんの製品じゃなかったんです。ただ2台目からは、全部デンヨーさんですよ」と、小椋代表はデンヨー製品を高く評価しています。

ドリームヒルで導入されているデンヨーの発電機
その理由を伺うと、まずはラインナップの豊富さだといいます。
「寒冷地の北海道では、冬場に凍結の心配があります。デンヨーさんの製品には灯油で動く機種があることや、音が静かなことがポイントです。牛にストレスをかけないように静粛性は重要です。また、動力用電源だけではなく、事務所用の電源にも使える機種もある。そういった製品のバリエーションがデンヨーさんへの評価に繋がっている」と小椋代表。
第一次産業の現場での電源対策は最重要課題
静粛性についてはドリームヒルで導入している機種についても超低騒音型建設機械に指定されていますが、デンヨーの標準タイプの機種でも低騒音または超低騒音の指定が得られています。
静粛性が高く、牛にストレスを与えないデンヨーの発電機について、デンヨーの非常用発電課 花房一都さんにお話を伺いました。

実は国内屈指の発電機メーカーなんですと話す花房さん
「私たちデンヨーは、エンジン駆動の電気溶接機から発展し、エンジン駆動の発電機などを開発するようになりました。社名は一般の方には馴染みがないかもしれませんが、可搬形発電機ではトップシェアで国内シェア約65%を誇ります。防災設備用の発電機では、デンヨーグループとして国内2位です」と花房さん。
製品ラインナップの豊富さについてこう続けます。
「こちらでも採用いただいている『DCAシリーズ』は、非常用発電機・可搬形発電機など、さまざまな用途に対応する機種をラインナップしています。『DCAシリーズ』だけで100種類以上の機種を揃えることで、ユーザーの細かなニーズにも、最適な機種を提案できると考えています」
ドリームヒルでは、三相の動力用発電機だけでなく、事務所の照明やパソコンなどへの電源として利用できる単相電源を同時出力できる機種も導入しています。
「お金の問題じゃないんです」第一次産業の現場でBCP対策は最重要課題
小椋代表は、発電機の導入について「お金の問題じゃない」と強調します。
「ブラックアウトのような大規模停電はそうそう起こることではないでしょう。でも、いつ、どれだけの時間、電気が止まるかは誰にも分かりません。そんな不測の事態でも電力の供給が途絶えることがないという日々の安心感は何物にも代えられません。そのため、毎月、非常用発電設備の点検に来てもらっています」と、発電機の設置だけでなく、維持・管理についても目配りを欠かしません。
デンヨーとしてもメンテナンスについては、認定サービス工場を全国63カ所に配し、不具合の際にも安心して利用できる体制を整えています。

DCAシリーズは開口部が広く、メンテナンスしやすい設計
今回の取材先は酪農の現場でしたが、花房さんは第一次産業に発電機は欠かすことができない非常用設備だといいます。「生鮮食料品を扱っていれば、貯蔵庫に電気が必要ですし、養鶏場の換気扇や養殖場の水槽の循環設備など、例を挙げればきりがありません。ご要望や使用環境もさまざまでしょう。
繰り返しになりますが、弊社の強みは製品ラインナップが豊富なことだと思っています。これまで事業継続計画(BCP)対策について検討されていないお客様や、どの発電機を使えばよいか分からないというお客様にも、最適なご提案ができると思っていますので、ぜひご相談いただければ」と花房さん。
ここ数年、大規模災害に見舞われることの多い日本において、もはやBCP対策は最重要課題といっても過言ではありません。発注から納品まで数カ月のリードタイムが必要な機械なだけに、思い立ったときに検討しておくべきでしょう。
ラインナップが豊富なデンヨーの発電機から、みなさんの営農環境に合った機種を選んでみてはいかがでしょうか。
さらに静かな発電機『Malie(マーリエ)』
特に騒音対策についてはニーズが高いため、無負荷値で43dB(デシベル)、負荷値でも49dB(デシベル)を実現し、その静粛性からブラインドサッカーの大会会場でも採用されました」と騒音対策への取り組みについて語ってくれました。
また、デンヨーでは騒音とともに排ガスも環境災害と捉えており、第3次排ガス規制への対応も怠りなく取り組んでいるとのことでした。
デンヨー株式会社
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