ドローンによる薬剤散布の可能性が広がる
世界の人口増加に伴う食糧需要の増加、日本の農家の担い手不足などの課題解決のための農業の省力化や効率化が求められており、バイエル クロップサイエンスは昨年から中国のXAG社と共同で、農薬の散布試験などを行っている。
バイエル クロップサイエンスのハーラルト・プリンツ代表取締役社長は「これまで日本各地でドローンの飛行のデモンストレーションや農薬散布試験を行い、様々な栽培条件や作物に関する技術が確立しつつある」として、今後化学薬品の散布量の削減の可能性にも言及した。
同社の執行役員で日本・韓国カスタマーマーケティング本部の仁木理人(にき・まさひと)本部長は、「日本の農家に対し、より効率的な営農を実現するためのテーラーメードのサービスを提供する」として、XAG社と共同してデジタルコンテンツの開発し、データの相互補完もしていくと発表した。
現在、同社ではドローンでの散布が可能な農薬31品目を登録済みで、さらに12品目の追加を予定している。これにより、現在対応可能な8つの作物(水稲・小麦・大麦・トウモロコシ・バレイショ・タマネギ・柑橘)に加えて、さらに8品目(小豆・インゲン豆、キャベツ、白菜、レタス、リーフレタス、非結球レタス、てんさい)にも、ドローンによる農薬散布が可能になるとしている。
XAG社の新ドローンP30も発表
バイエル クロップサイエンス社の農薬の精密な散布を可能にするドローンの新機種として、XAG社の新商品「P30」の説明も行われた。登壇したXAG社のジャスティン・ゴン共同創業者兼副社長はP30の性能について、「誤差数センチの高精度の測位システムであるRTKを使用しているため、精密な薬剤散布が可能。搭載したAIによってドローンの故障を予測でき、また、スマート液剤タンクによって使用する農薬量の予測ができる」として、農家の使い勝手の良さを強調した。