そもそもじゃばらとは?
邪気を払うほどすっぱいという例えから名付けられた「じゃばら」。ユズともスダチとも違う酸味と香りとほろ苦さが特徴の香酸柑橘(こうさんかんきつ)です。原産地は和歌山県東牟婁(ひがしむろ)郡北山村。ユズとクネンボ(九年母)、紀州ミカンなどの自然交雑種で、この地にしか自生しておらず幻の果実と呼ばれてきました。北山村ではかなり昔から食酢の代用品として珍重されていましたが、品種登録されたのは1979年。比較的新しい品種です。寒さに強く、主な出荷時期は12~2月にかけて。収穫初期の11月頃のものは果皮が緑色で、熟すにつれてだんだんと黄色に色付いていきます。現在では北山村だけでなく、和歌山県内の各地や愛媛県、三重県などでも生産されています。
ミカンなど他柑橘類との違いについて
じゃばらは甘みがあってそのまま食べやすいミカンなどとは違い、ユズやスダチのように果汁や果皮を調理用に利用します。見た目や味はユズに似ていますが、「香りのユズ」に対して「果汁のじゃばら」と言えるほどに果汁が豊富でとてもジューシー。酸味は強いものの、糖度も意外と高いのでまろやかな味わいです。また、種がほとんど入らず食べやすい・搾りやすいのも魅力の一つ。焼き魚やピクルス、鍋ものや飲み物に大変重宝します。後から追いかけてくるほろ苦さもお料理のアクセントにぴったりです。
じゃばらは花粉症に効果あり?
じゃばらは「花粉症の症状緩和に効果がある!」と口コミで噂が広まり、近年大変注目されています。北山村は口コミをヒントに2001、2002年にインターネットで1000人を対象とした「花粉症モニター調査」を行いました。そこでは全体の約50%が「効果があった」と回答しています。
じゃばらが花粉症に効くと言われる理由
グラフを見るとわかるように、じゃばらにはフラボノイドの一種であるナリルチンが他の柑橘と比べて6~7倍も多く含まれています。このナリルチンが花粉症(アレルギー)の抑制に一役買っている可能性が高いと考えられています。特に果皮に多いので、果皮を効率的に摂取できるパウダーや果皮ごと搾った果汁などの加工品も多く作られています。
現在も自治体などでモニター調査や研究は続いており、今後じゃばらと花粉症の関係がより明らかになる日はそう遠くないかもしれません。
じゃばらのおいしい食べ方
酸味と苦みの強いじゃばらは生食にはあまり適していません。ユズやレモンのようにお料理の香りづけやアクセントとして使ってみてください。ここではじゃばらをおいしく食べる方法をいくつかご紹介します。
果汁を搾って
豊富な果汁を搾ってポン酢にしたり、ジュースにしたり、酎ハイにしたり。はちみつと一緒にヨーグルトに混ぜて食べてもおいしいです。
マーマレードにして
マーマレードにして皮ごと食べるとじゃばら特有のほろ苦さが味わえます。暑い日は炭酸水、寒い日はお湯で割ってドリンクに。紅茶に落としてもいいでしょう。
料理の香りづけに
さわやかでふわりとほろ苦さを感じさせる風味は魚との相性抜群。米酢の代わりに使うと、いつもとは一味違う酢飯に仕上がります。ちらし寿司や海鮮丼におすすめです。また野菜との相性もいいため、和え物やピクルスのお酢としても使ってみてくださいね。
花粉症の方におすすめNo.1のじゃばらをおいしく食べよう
じゃばらはナリルチンだけでなくビタミンCやβ-カロテンなどを含む、風味付けにぴったりの柑橘です。花粉症でお悩みの方もそうでない方も、お料理に活用してみてはいかがでしょうか。
監修:日本野菜ソムリエ協会