肉牛(黒毛和種)の体重推移
黒毛和種とは?
黒毛和種は、小型で成長するのに時間のかかった在来和牛に、大型で成長が早いなどの特徴をもつ外国の品種を交配して作出されました。現在は全国で飼育されている品種で、和牛の9割を占めるといわれています。
肉牛(黒毛和種)の体重推移
月齢 | 体重 | 備考 |
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出生 | 約30kg | 繁殖農家で生まれ、雄は生後2カ月頃去勢される。離乳は通常は4カ月程度だが、早期の場合、生後5日程度で行う。6カ月頃に離乳する場合もある |
生後約10カ月 | 約285kg | 繁殖農家が生後10カ月頃に子牛市場に出荷したものを肥育農家が購入し、肥育する |
生後約32カ月 | 約750kg | 肥育農家で約22カ月間肥育し、食肉市場へ出荷。地域や経営形態による飼育方式の違いなどで、出荷時の月齢や体重が異なる |
乳用種肥育牛の体重の推移
肉牛の乳用種とは?
肉牛の乳用種とは、乳牛の雄の子牛を去勢して肉用に肥育したもの。乳用として必要とされるのは乳を出す雌だけなので、雄牛は肉用として飼育されます。
乳用種肥育牛の体重の推移
月齢 | 体重 | 備考 |
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出生 | 約40kg | 酪農家で生まれ、生後2カ月頃に去勢 |
生後7カ月 | 約260kg | 子牛市場に出荷され、肥育農家で15カ月程度肥育される |
生後22カ月 | 約780kg | 食肉市場に出荷 |
繁殖牛(母牛)の体重の推移
繁殖牛とは?
子牛を生産するための雌牛です。多くの牛が凍結精液を使用した人工授精によって繁殖生産されています。
繁殖牛(母牛)の体重の推移
月齢 | 体重 | 備考 |
---|---|---|
出生 | 約27kg | 繁殖農家で生まれ、離乳は通常は4カ月程度だが、早期の場合、生後5日程度で行う。6カ月頃に離乳する場合もある |
生後約10カ月 | 約285kg | 生後10カ月頃に子牛市場に出荷され、繁殖農家が購入するほか、自身の繁殖経営用の繁殖牛として育成する場合がある |
生後約17カ月 | 約350kg | 種付け。280日から285日の妊娠期間を経て、生後26カ月頃に初産分娩(ぶんべん) |
生後約39カ月 | 約450~550kg | 2産分娩。以降8歳(生後96カ月)までに6産するのが平均的) |
─ | 約650kg | 繁殖を終えた後は、4カ月程度肥育され、約650kgで食肉市場へ出荷される |
乳牛の体重推移
ホルスタイン種とは?
ホルスタイン種は日本の乳牛の代表的な品種です。毛色は白黒もしくは赤白のまだら模様で、大きく豊かな体格が特徴です。
ホルスタイン種の体重の推移
月齢 | 体重 | 備考 |
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出生 | 約40kg | 生まれて5日間は母乳で育ち、その後、生乳や脱脂粉乳などを使った代用乳と離乳期用の飼料が与えられる。この時期は哺乳子牛と呼ばれ、離乳までの期間は2~3カ月間。雌だけを育成する |
生後約6カ月 | 約170kg | 離乳から妊娠までの期間は育成牛と呼ばれている。育成時期に預託牧場で放牧する場合がある |
生後約24カ月 | 約540kg | 生後14~16カ月で受胎。妊娠期間は280日で、生後24~26カ月に初産分娩。初産分娩を迎えると経産牛とよばれる。分娩後は初乳期間の5日を過ぎてから泌乳牛として牛乳(生乳)を生産し、出荷する |
生後約36カ月 | 約610kg | 分娩後、60~140日で再び受胎できる状態になる。2産目以降は分娩予定前の約60日間乳の生産を休み、生後36カ月頃に2度目の分娩をする。これを繰り返し、6年で4産をするのが一般的 |
─ | 約650~700kg | 乳量や乳質の低下などで生産性が下がると、乳牛としての役目を終え、食用として出荷される |
牛の体重の測定方法
牛の体重は「平ばかり」などを使って計測します。巻き尺で牛の胸囲を測定して、体重を推定する方法もあります。体重計はJAなどを通じて購入します。メーカーに依頼すると要望に合わせ、カスタマイズをしてくれることもあります。
巻き尺で測る方法
巻き尺で子牛の胸囲を測り、体重を推定する方法もあります。推定尺と呼ばれる方法で、これにより体重計を持たない生産者でも牛の体重を推定することが可能です。胸囲と体重の関係は深く、次の計算式は熊本県農業研究センター畜産研究所大家畜研究室が考案したもので、測定した黒毛和種の子牛の胸囲を入れて計算すると体重が推定できます。
推定体重(kg)=55.256-2.114190×胸囲(cm)+0.024323×[胸囲(cm)]2
注意点としては、適しているのは畜舎で育成している牛であることと、測定は飼料を給与した後2時間以上経過してから実施することなどがあります。
黒毛和種子牛における推定体重早見表
牛の体重を知って健康管理をしよう
乳牛でも肉用牛でも、大切なことは牛の状態を観察することです。毎日のエサやりのときに食欲をみたり、ボロ出し(※)のときにふん尿の状態を観察して、牛の健康状態をこまめにチェックすることが生産性の向上につながります。もし、エサが残っていたり、ふん尿に血が混じるなどいつもと様子が違うときには獣医師に相談するなど、早めの対応が大切です。乳牛や繁殖牛では、発情の有無を確認して適時に人工授精をすることも大切です。
※ ボロ出し:ふんと尿を畜舎内で分離し、床に残ったふんを畜舎の外に搬出する作業