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※歩留り(ぶどまり)=原料や素材の投入量に対し、実際に商品化した生産数量の割合
収穫しても調製・計量・結束などの出荷作業を行う人手が不足し、生産量を増やせない…。みなさんの産地はこのようなジレンマに直面していないでしょうか。
特に出荷前の計量作業は、多くの人手を要し、経験で培われた感覚も必要となるため、自動化や省人化が長い間求められてきました。
省人化と歩留りを向上
ニラは細長く曲がりやすい上に柔らかいため、傷みやすい野菜です。そのため、出荷作業を機械化することが難しく、高知県などの大産地では生産者に加えて内職の従事者が人海戦術をとり、調製・計量・結束作業を行ってきました。しかし、近年では少子高齢化や人件費の高騰などもあり、担い手世代がニラ栽培に取り組んでも、人手不足が障壁となり、生産量を増やせないという状況に陥っていました。
この課題解決に取り組んだのが、老舗はかりメーカーのイシダです。同社では古くから野菜計量の機械化に取り組んできました。1972年には、複数のはかりに量りたいものを投入すれば、目標の重量になるようにコンピュータが自動で組み合わせる“組み合わせ計量機”を開発し、人海戦術や熟練者の感覚に頼らない高速計量を実現。現在、この方式を採用した計量機がさまざまな野菜をはじめ、スナック菓子や袋詰食品などの計量で活用されています。

西日本産機システム部 西日本広域営業課 松村徹二さん
「当社では組み合わせ計量機の開発当初から、ピーマン・ジャガイモ・タマネギといった塊状の野菜の自動計量を実現し、長物野菜の小ネギの計量にも2000年頃に成功しています。ただ、ニラは小ネギよりも傷みやすく、小ネギ向け計量機でニラを量ると葉が折れたりねじれたりして商品価値が落ちてしまうため、ニラ専用機の開発はなかなか進みませんでした」と話すのは、同社で営業を担当する松村さんです。
産地が抱える課題に対し、イシダではニラが傷みにくいように構造を工夫した計量機を開発し、2012年に1号機を高知県内のJAに納入しました。ただ、この計量機は“組み合わせ計量”ではなく、投入する人が目標重量に合わせて自らニラを足したり引いたりする“加減算方式”のものでした。この方式では、計量自体の手間を減らして省力化には貢献できるものの、組み合わせ計量ほどの無駄のない計量は難しく、歩留りのメリットは出せなかったといいます。
そこで取り組んだのが、2015年に商品化した『ニラ用組み合わせ計量結束機RCKシリーズ』です。まずはメインのはかりに目分量で投入して計量。そこにサブの複数のはかりから不足分を組み合わせ、目標重量に自動調整した上で、結束と根元のカットまでを一貫して行います。はかりへの投入には3人程度の人手が必要ですが、従来と比べてもはるかに少なく済み、最高で毎分40束の高速計量が可能です。更にコンピュータが最適な組み合わせを行うことで、無駄を減らすことができます。
「当社の加減算方式の機械と比較して、1束当たり4gの歩留りメリットを確認しています。1日1t生産する集荷場の場合、年間では約8万束も多く生産できる計算になり、計量の省人化だけでなく、歩留りの点でも大きな効果があり、収益アップにも貢献します」と、笑顔で話す松村さん。

ニラ用組み合わせ計量結束機 RCKシリーズ

メインのはかり(右)に目分量のニラを投入。奥側の投入口(左)には1本単位で数gのニラをセット
さまざまな野菜や産地の要望に対応
デリケートな野菜の組み合わせ計量機には、他にも実績があります。ミニトマトでは、鮮度を判定する際にヘタを目安とする市場関係者もいるため、実を傷めない上にヘタを残した状態で計量できる機器の開発が望まれていました。
従来の組み合わせ計量機は、計量時の効率性を考えて円形状に複数のはかりを配置する構造でした。ただミニトマトの場合は、落差や転がる距離が長いと傷むリスクが高まるので、落差が少ない構造を採用し、緩衝材なども設置しています。この構造は、もともと割れ欠けしやすい菓子向けに開発したものをミニトマトに応用したものだといいます。

ミニトマト専用の計量システム
1990年代初頭にはコンピュータスケールの高性能化に加え、現場からの要望に応える工夫を盛り込み、“計量”だけでなく“パック詰め”までも高速で自動化できる『ミニトマト専用の計量システム』を商品化。毎分最大45パックの能力があり、JAの共選場やスーパーマーケットのパックセンターなどで使われています。こちらの機械も省人化に加えて、歩留りメリットが期待できます。
「ミニトマトの場合、最近はラグビーボール状や細長いタイプなどさまざまな種類があり、それぞれに応じた搬送形態のカスタマイズを行っています。もちろん、パック詰めだけでなく、袋詰めなどの包装形態に応じたライン提案も可能です。ミニトマト以外でも、ニラは計量後に根元をカットしますが、ネギは鮮度維持のために根を残すので、計量後の作業が異なります。このように、野菜ごとにさまざまな専用機をラインナップしているのも当社の特徴です」と、松村さんは同社のニーズへの対応力を語ります。
当地区(日高村)では、作業員の確保が困難なため、ミニトマトの集出荷の開始当初よりコンピュータスケール(2017年導入)をはじめとした機械化を推進しています。まずはパック詰めの速さと計量の正確さに驚きました。6~7人分以上の仕事をこなしてくれ、ロスも少なく助かっています。機械化したことで作業時間が読めるので作業計画を立てるのも簡単です。また、機械の導入でパック詰めによる出荷が可能となり、消費者のニーズに合わせた販売形態をとりやすくなりました。

電解次亜水生成機 i-CLシリーズ
「大規模な事業者から個人経営の生産者まで、ニーズに合わせた機械の提供とそのカスタマイズを承っています。当社は計量機だけでなく、選別から包装、検査、出荷までトータルにご提案することが可能です。近年では除菌へのニーズが高まり、塩と水道水から除菌用の電解次亜水を生成する機器も注目されています。産地で課題やお悩みがあれば、まずは当社にご相談いただければと思います」と、最後にマーケティングを担当する東野さんが締めくくってくれました。

マーケティング・商品企画部 東野匠馬さん
当社のウリはココ! |
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