独自のソフトとハードが決め手に。10年かけて「畑での自然薯栽培」に成功
「分け入った山にしか自生しない自然薯を畑で栽培できないか?」と考えたのが、政田自然農園の始まりです。創業者である政田敏雄さんは当時、計量機械を製造する会社を経営しており、セールスで全国を行脚するなかで自然薯の存在を知ります。
その希少性に魅せられた敏雄さんは会社経営の傍ら、自然薯栽培の研究をスタート。生育環境を調べるために全国の山々から種を採取し、栽培実験を繰り返しましたが、なかなか結果には結びつかず、商品になるような自然薯を収穫することはできませんでした。
しかし、山での調査が200カ所を超えたころ、敏雄さんはある条件(ソフト)を発見します。「根を張る地表部は腐葉土層の肥沃な土壌であるのに対し、芋が育つ地下の土は痩せている」ことが分かり、土を分けるためにパイプ型栽培器『クレバーパイプ』を考案。研究開始から5年経った1970年に、「畑での自然薯栽培」を可能にする栽培器具(ハード)を生み出します。
さらに研究を進めるなかで自然薯にも品種があることを突き止め、優良品種を発見したことが安定栽培の突破口に。この優良品種のみを『クレバーパイプ』で栽培することで、高品質な自然薯の安定栽培を1974年に日本で初めて可能にしたのです。
家庭菜園からプロ農家まで、「本物の自然薯の魅力」を全国に伝えたい
「私たちは、自然薯栽培のパイオニアとして『本物の自然薯の魅力』を全国に広め、自然薯をより身近な山菜とする事を目指しています。そのために、毎年の栽培や各種試験で自然薯の生態の解明や栽培ノウハウを更新しながら、生産者を支援しています」と、笑顔で話すのは、現在、政田自然農園を率いる政田健太郎社長。
ここではそんな政田自然農園ならではの栽培支援や自然薯栽培の流れについてご紹介します。
〇3系統の種芋を、6つの形状で提供
自然薯栽培を始めるにあたり、まず必要となるのが種芋です。政田自然農園では、日本固有の優良系統である3種類の種芋を育てています。粘りと風味に優れた『純薯(じゅんしょ)』、生育が良く大きく育つ『宝薯(ほうしょ)22号』、宝薯22号に耐病性を付加したのが『宝薯(ほうしょ)23号』です。
これらを「一本種(芽付き)」、「一本種(芽なし)」、「切芋種(カットなし)」、「切芋種(カット済)」、「切芋種(芽出し処理済)」、「切芋種(芽出し済ポット)」の6つの形状で取り揃え、生産者のニーズに応じて販売しています。
「種子は、予約販売です。春の定植期(ソメイヨシノの満開の2週間後頃から)に合わせて、政田自然農園側でご要望いただいた種芋を準備する必要があるからです」と、政田社長。
〇『クレバーパイプ』を使った栽培の流れ
種芋を手に入れたら、次は植え付けの準備です。政田自然農園のノウハウが詰まった『クレバーパイプ』は、高品質な自然薯を安定生産する究極の栽培器具。
一本一本のパイプの中で自然薯が育つため芋がまっすぐ伸び、パイプごと簡単に掘り出せるので傷をつけることもありません。
種芋から地下に伸びる自然薯を受け止め、パイプ内に誘導する「お皿」、土壌の水分量を調整する「水分調整穴」、自然薯の生育に合わせて拡張する「背割り」といった工夫が施された『クレバーパイプ』は、なんと累計販売数1400万本を突破。自然薯の栽培ツールの決定版として、生産者の必須アイテムとなっています。
この『クレバーパイプ』に栄養分の少ない土を入れ、畑に埋め込んで、その上に畝を作ります。春の植え付け適期に定植した後、支柱を立ててネットを張り、ツルが1m前後に生長したら肥料を散布、マルチで被覆するまでが植え付けの流れとなります。
夏から秋にかけては病害虫の対策などが必要ですが、比較的手が掛かりません。冬になりツルが枯れた2週間後(12月頃)から掘り出しが可能になります。
〇無料講習会で栽培をサポート
政田自然農園では、例年11月~5月にかけて「初心者向け」や「経験者向け」などの対象者を分けた無料講習会を実施しています。また、一定の栽培規模を超える生産者に対しては産地を訪問しての指導にも対応しています。
予約すれば政田自然農園の試験圃場を見学することもできるなど、栽培指導にも力を入れているので、初心者の方でも安心して取り組めます。
沖縄を除く全国で栽培が可能。簡単に始められるキットも販売
「自然薯は、北は青森から南は屋久島まで自生している山菜なので、四季のある地域なら全国どこでも栽培が可能です。注意が必要なのは、土壌の排水と保湿の管理です。水はけがよく、かつ乾きすぎないことが重要で、異常気象が続く近年ではその対策や地温の抑制も欠かせません。こうした栽培のポイントは無料講習会を通じて説明しているので、興味を持たれた生産者の方にはぜひ参加していただきたいですね。また、入門キットとなる『初心者向け栽培セット(10本分)・8800円(税込)』もご用意しているので、家庭菜園で始めてみたいという方も大歓迎」と政田社長。
米の減反政策を機に全国に広がった自然薯の栽培は、今、ジャパニーズスーパーフードとも謳われ、再び注目を集めています。
新たな作物を検討中のみなさん、政田自然農園の種芋、クレバーパイプ、手厚い支援体制を利用して、この機会に付加価値の高い自然薯を育ててみませんか。
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政田自然農園株式会社
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