パクチーの栽培時期
パクチーの発芽適温は20~25度、生育適温は18~20度です。暑い時期に食べるイメージがありますが、寒さに比較的強い一方で、意外と夏の暑さには弱い植物です。夏場はプランターの場合は日陰に移動させたり、畑では寒冷紗(かんれいしゃ)をかけたりして育てるといいでしょう。種まきや植え付けは3~5月、9~10月ごろがおすすめです。暖かい時期には花が咲いて枯れてしまうので、長く収穫したい場合は種まきを何回かに分けて行うと収穫し続けることができます。
パクチーの播種(はしゅ)
パクチーは直根性といって太い根が張るので直まきに向きますが、苗を植え付けても十分育ちます。少ない本数を栽培する場合はホームセンターで苗を購入するといいでしょう。
たくさんパクチーを栽培したいなら種がおすすめです。パクチーの種は硬い殻に覆われています。この殻のせいでなかなか芽が出ないため、播種前にすり鉢で殻を割っておくとかなり発芽しやすくなります。このとき、すりこぎをトントンと落とすようなイメージで殻を割ると中の種があまり傷つかず、殻だけを割ることができます。ゴマすりのように強くすりつぶしてしまうと種が壊れてしまい発芽できません。十分気を付けてください。
種をまくときはセルトレイならば1、2粒ずつ、ポットならば4~5粒ずつまきます。大きなプランターにまく場合は2列のすじまきにして、収穫をかねて間引きしながら育てます。
畑に直まきする場合は条間30センチですじまきにします。パクチーの種は好光性種子といって発芽に光が必要なため、覆土は薄く5ミリ程度で大丈夫です。発芽までは乾燥しないように気を付けて随時水やりをしましょう。芽が出たあとは日当たりの良い場所に置いてがっちりした丈夫な苗に育てます。パクチーの初期生育はゆっくりしていますが、それが正常なので慌てることはありません。
パクチーの間引き
直まきの場合は芽が出て葉が混みあってきたら元気の良い株を残して間引きます。本葉2~3枚で3〜4センチ間隔、本葉4~5枚で10センチ間隔、本葉7〜8枚で20センチ間隔を目安とし、間引き菜も収穫してさっそく食べましょう。あくまで目安なので厳密にする必要はなく、お互いの葉が絡みつくほど大きくなる前に間引いてあげれば大丈夫です。初めから播種量を減らし間引きなしで育てても構いませんが、その場合は株間に雑草が生えてくるので除草の手間がかかります。また、パクチーは初期の生育が遅いですが、間引き菜を収穫すれば一足早く味わうことができます。
パクチーの定植
パクチーは酸性土壌を嫌うため、定植の2週間前までに石灰を入れて耕しておきます。堆肥(たいひ)もこのときに投入しましょう。定植前には元肥を入れ畝を立てます。排水が悪いと根が腐りやすいため、そのような土壌であれば高畝にしてやります。
セルトレイに播種した場合は本葉3~5枚、ポットで大きくした場合は本葉5~7枚で定植します。定植する際は根つきを良くするために苗にたっぷりと水をやっておきます。根が傷つくと生育が悪くなるので、根はできるだけ触らないように優しく植え付けましょう。畑では条間30センチ、株間20~30センチくらいを目安に植え付けます。
パクチーの追肥
葉の色が薄かったり黄色っぽかったりするときは化成肥料を株元にまくか、規定の倍率に薄めた液肥をじょうろでやりましょう。一般的に肥料のやりすぎは香りの低下を招きます。株元から一気に収穫する場合は植え付け前に与えた元肥で足りることもあるので追肥は必須ではありません。
パクチーの収穫
定植から4~5週間後、草丈が20センチくらいになったら収穫します。株元から抜き取って根っこごと収穫すれば根も食べることができます。また、ハサミで外葉から少しずつ収穫すると長期間収穫を楽しむことができます。収穫してから時間がたつと香りも弱くなってくるので、食べる分だけ刈り取ってフレッシュな香りを味わいましょう。長く収穫する場合は刈り取ったあとに化成肥料や液肥などを与えると生育が衰えずにずっと伸び続けます。
パクチーを長く収穫する方法
パクチーは暖かくなってくると花を咲かせます。葉を長く収穫したい場合は花芽を見つけたらすぐに切り取ってください。花芽がついた茎は普通の茎より一段と太く、また葉っぱは人参の葉のように細かくツンツンしているので見分けることができます。花が咲き実がなると一年草であるパクチーは枯れてしまい葉は収穫できなくなります。長く収穫するためにはとにかく花を切ることです。
また、梅雨時期などムシムシするときは雨による泥はねから土中の菌が植物に付着して病気になりやすいです。泥はね防止にマルチやわらをパクチーの根元に敷いてやるといいでしょう。真夏の暑さでも葉焼けを起こしたり、乾燥で枯れたりすることがあります。水やりはしっかりと、しかし株元はすっきりさせ蒸れないようにしてあげましょう。
冬場はわりと強いのですが、霜にあたると株が弱ります。プランターであれば室内に移動させ、畑ではトンネルをかけるといいでしょう。
パクチーの種の収穫
種を収穫したい場合は花を摘まずにそのまま咲かせます。全体的に枯れて種も茶色くなったら茎ごと刈り取り、さかさまにつるして乾燥させます。すっかり乾いたらビニールシートなどの上に広げ、種をとります。種はしっかり乾燥させれば長期保存が可能です。パクチーの種は葉とは全然異なり、かんきつ系のとても爽やかな香りがするので、カレーや肉料理のスパイスとして活躍します。また来年の播種用としても利用することができます。
パクチーの主な病害虫
アブラムシやハダニ、ヨトウムシなどがよく来る害虫です。ヨトウムシは大食漢のため、見つけたらすぐに処分しましょう。パクチーはカメムシの香りに似ていますが、カメムシもよってきます。また、特にアブラムシはパクチーが大好きなので家庭菜園用の農薬を使うなどして対処します。ハーブに登録のある化学農薬はとても少ないので注意が必要です。農薬に頼らない防除方法としては、防虫ネットがおすすめです。クリップや洗濯ばさみを利用してすきまから虫が入るのを防ぎます。
病気ではうどん粉病になります。梅雨時期は特に病気になりやすい時期です。もし病気になったら他の株にうつらないように、病気の株を抜き取って処分します。あまりひどくない場合は粉をふいた葉だけを取り除いてもいいでしょう。湿気が多いと病気になりやすいので、通気性と排水性の確保が重要です。
パクチーは葉や茎はもちろん、花もトッピングとして利用できます。また、根っこは風味が強く通に人気の部位です。種はスパイスとして活用できるので、「全ての部位が食べられる」ハーブと言えるでしょう。ぜひ家庭菜園でパクチーを育てて、余すところなく味わいつくしてくださいね。