圃場で髪を守るのはとにかく難しい! そんな農業女子に贈るシャンプーを
農業女子プロジェクトに参画する近藤かおりさんは、6年前に販売職から農家に転身。夫の慎吾さんと2人で、スイートコーン(80a)と露地キュウリ(8a)を栽培しています。
「一日中外で作業するので紫外線で髪がすごく傷みました。太くて量が多い髪質なのでバサバサになって、美容師さんに“ちゃんと紫外線ケアしてね”と言われ続けています」と近藤さんは髪の悩みを話します。
しかし、UVカットスプレーはこわばる感じが好きではなく、帽子を被ると跡が付き、肥料を撒くと臭いも付着するので髪を洗うまでどこへも行けません。夏は1日3回シャンプーをするので刺激も気になります。
髪のケアは半ば諦めていた近藤さんに、農業女子プロジェクトの新たな商品開発案件が舞い込んできました。美容サロン向けシャンプーを開発する大興貿易、本件のアドバイザーであるタキイ種苗、農業女子の共同開発による「農業者向けシャンプー」のモニター募集です。
「商品を一からつくり上げることが魅力で、ぜひ参加したいと手を挙げました」と近藤さん。
こうして北海道から九州まで全国30人の農業女子がモニターとなり、2020年春にプロジェクトが始動しました。
農業女子からのダメ出しが、新処方のシャンプーを創るモチベーションに
「人と環境に優しい価値あるモノづくり」をテーマに商社からメーカーとして実績を積み上げてきた大興貿易。1990年にコスメティック事業を立ち上げ、人体への低刺激性や環境に配慮した頭髪化粧品を製造・販売し、自社ブランドとして、激戦区である東京の青山界隈をはじめ、全国の美容室に採用されてきました。
一方、同社の農業園芸事業で現場に足しげく通う社員が、炎天下で長時間仕事をする農業者のために何かできないかと考え、コスメティック事業で培った技術で業界初の「農業者のことを考えたシャンプー」の開発に取り組むに至りました。
しかし、大興貿易が送り出した1回目の試作品にモニターの農業女子はダメ出しを連発。近藤さんも「洗い上がりがごわごわでシャンプー後の爽快感がまったくありませんでした。正直にこれならいらないと答えました」。
開発は振り出しに戻されました。
「農業者の悩みを吸い上げるために、農業女子プロジェクトの協力を得て商品開発を進めようと考えたんです」と大興貿易の町田淳一社長は共同開発の経緯を話します。
開発の基本は、合成のものはできるだけ減らし、よりオーガニックで安全・安心な成分で、農業者に満足のいくシャンプーをつくること。
2019年秋の着想から約1年後、自信を持って送り出した試作品に対する農業女子の意見は厳しいものでした。
「過酷な環境で働く農業者の髪の悩みは、一般的な処方では解決しないことがわかりました。つまり農業者が満足できるシャンプーはまだ世の中にないということ。ますます開発の意欲が燃えてきました」と町田社長。
最も難しかったのは、しっとり感を高めると洗浄力を妥協しなければならないこと。どちらも譲らないために洗浄成分や配合のバランスを変えながら何度も試作を繰り返しました。
「2回目の試作品は驚くほど改善されて大興貿易さんの本気を感じました」と近藤さん。
開発が軌道に乗ったところで大興貿易はモニターに商品のネーミングを募集しました。26候補の中からメンバーによる投票の結果、大多数票で【nôʊ】(ノウ)に決まりました。
「農業に関係する名前でも、多くの人に興味を持ってもらえるように、直接的な表現は避けました。シンプルで覚えやすく、ちょっとおしゃれに発音記号にしました」と話す近藤さんが名付け親です。
メーカーが農業者のために、こだわり抜いた3つのポイント
こうして約2年に及ぶ開発期間を経て誕生した農業者向けシャンプー、トリートメント【nôʊ】。農業者のことを考え、妥協することなく、徹底的にこだわった3つの代表的な特徴を紹介しましょう。
【1】紫外線カット
毎日長時間にわたり紫外線に晒される髪のケアにシア脂を採用。「保湿の王様」と言われるシア脂は、UV-Bを吸収する働きが期待される「エステルオイル」を含み、アフリカでは紫外線対策として古来愛用されています。
【2】クレンジング力
洗浄・脱脂が特徴の石鹸系と、もっちりとした泡質とうるおいのあるアミノ酸系のハイブリッド処方で、髪に付着した土埃など汚れをしっかり落とし、うるおいを残してしっとり感を与えます。
【3】野菜エキス配合
農業者に親しみのある野菜の力を活かしました。抗酸化作用が期待される「トマト果汁」は、タキイ種苗の代表品種「桃太郎トマト」から抽出し配合。SDGs(食品ロス削減)の観点から規格外トマトを使用しています。
ほかにも、消臭効果、帽子跡軽減、虫よけ成分などが配合され、洗髪の時間が短縮できる泡ギレのよい処方など、農業者への思いが詰まっています。
パッケージにも農業女子の意見が反映されています。
「農業女子のみなさんに選んでいただいた四角柱の容器は、厚みを持たせてガラスのような高級感に。表面には農業女子プロジェクトのロゴマークを入れ、背面には農業をイメージしたイラストが立体的に見えるようにしました」と大興貿易デザイナーの荒井裕子さん。
近藤さんも「お風呂の中で映えるピンクで、インテリアとしてもいいですよね」と嬉しそうです。
プロジェクトの盛り上がりも最高潮に、3回目の試作品は合格点をクリア。いよいよ完成です。
待望の【nôʊ】がついに発売! 今こそ伝えたいシャンプー開発にかけた思い
完成したシャンプーとトリートメントを使った近藤さんは、
「今まで使用していたシャンプーとは比べものにならないほどの泡立ちで、気持ちよく隅々までしっかり洗うことができます。トリートメントは伸びがよくサラッとしていて、流した後の嫌なぬるぬる感はありません」と高評価。
「特に【nôʊ】で洗った髪は嫌な臭いが付きにくく、畑に石灰窒素を散布した日の洗髪時に感じていた不快な臭いが少ないことに驚きました。夫も喜んで使っています」と気に入っていただけたようです。
そして「今までいろいろなシャンプーを試しましたが、どれも変わりがないように思って安価なものを選んでいました。そんな私でも違いがわかります。髪に優しい成分でつくられているので、農家以外の方にもぜひ使ってほしいです」と太鼓判をいただきました。
また、近藤さん以外の農業女子の皆さんからも「とてもいい香りでテンションが上がります」「明らかにドライヘアが解消されました」「少しの量でしっかり洗えるのに、洗浄成分が優しくて安心」などと喜びの声が聞かれたそうです。
自ら開発を進めてきた町田社長は、「過酷な環境の中でも作物にこだわりを持って一生懸命に取り組む農業者の方々に美と癒しをお届けすることで、次の活力の源になればうれしいです。農業人口が減っていく中で、若い人たちが農業に就きたいと目を向け、農業が活性化するきっかけの一つになれば本望です」と思いを語ってくれました。
農業者への思いを込めて農業女子と開発した業界初のシャンプー・トリートメント【nôʊ】は、タキイ種苗を代理店にインターネットや種苗店で販売中です。髪にお悩みを持つ方はぜひ一度お試しください。
取材協力
しゃんと畑 近藤かおりさん
お問い合わせ先
大興貿易株式会社 農園芸事業部
住所:東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル5F
電話:03-3346-9761
購入先
詳細は下記までお問い合わせください。
タキイ種苗株式会社 資材部
電話:075-365-0123(代表)
もしくは下記の通りご検索ください。