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沖縄県で農業版ワーケーションのモデルを実証。収穫期の短期雇用の安定化を目指す

沖縄県で農業版ワーケーションのモデルを実証。収穫期の短期雇用の安定化を目指す

慢性的な人手不足と新型コロナの影響で農繁期の人材確保が難しさを増す沖縄県。新たな働き手の創出を目的に、旅行事業を展開する農協観光がJA沖縄中央会と連携し、県外の社会人や大学生をマッチングするツアーを実施。「農業」と「観光」をつなぐ新たな労働力確保モデルの構築について、その成果と展望を聞きました。

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農業をドメインとする旅行会社が、働き手の創出の新規事業に着手

株式会社農協観光(以下、農協観光、通称・Nツアー)は、JAグループの旅行会社として平成2年に設立。全国各地のJAとのネットワークを持ち、グリーンツーリズムなどの農業をドメインとする旅行事業を展開しています。

アグリ人材バンクのHP

アグリ人材バンクのHP

令和2年には、従来の産地との交流的なツアーとは別軸の新規事業として、JA全農・JA中央会と連携のもと、農業労働力不足を支援する専門部署を本社に設置。令和3年に「アグリ人財バンク」を組織して、法人や大学生の援農ボランティア(JA援農支援隊)と人手不足に悩む全国各地の農家・農業法人のマッチングなどを通して、多様な働き手の創出に取り組んでいます。

令和4年度に実施した農業労働力産地間連携等推進事業では、慢性的な労働力不足に悩む沖縄県で、同地らしいリゾート型の新しい労働力支援のモデルを作ろうと、沖縄県農業協同組合中央会(以下、JA沖縄中央会)とタッグを組みました。

沖縄県の人手不足が深刻化、収穫期の短期雇用が焦点

沖縄県では離島や農村の高齢化と過疎化により、人手不足は喫緊の課題です。コロナ禍で外国人材の不安定さも見えてきました。
「特にパイナップルやサトウキビの収穫に人手が必要で、農繁期は取り合いになるほど人材確保が困難」と、JA沖縄中央会の担当者は窮状を語ります。

JA沖縄中央会でも、職業紹介事業所としてパート・アルバイトの募集・紹介・斡旋に取り組んでいますが、島内での完結は困難なのが現状。そこで県外から多様な人材を招き入れるために求人サイト運営や広告で農協観光と連携。以前から対策についての議論を重ねた結果、今回のプロジェクトに至りました。

農協観光労働力応援事業課の石井唯之さんは、「日本屈指の観光地である沖縄県の独自性を活かして、ワーケーションの農業版を作り、人手不足の解消への効果を検証するトライアルになりました」と話します。本プロジェクトでは、沖縄県の農家・農業法人の短期雇用の求人に対して、興味のある人材を首都圏や那覇市から募集、マッチングと調整を行うことで労働力確保を支援します。

株式会社農協観光 労働力応援事業課の石井唯之さん

株式会社農協観光 労働力応援事業課の石井唯之さん

 

首都圏から多様な人材をマッチング、産地の状況にも対応

プロジェクトでは、JA沖縄中央会が巡回で各農家に本事業の情報提供を行い、求人のニーズや現場の環境を把握しました。これを受けて、農協観光がツアーを企画し、参加者を募集。大学生や社会人をターゲットに、アグリ人財バンクの登録者へのメルマガ、SNS広告を配信。有力な法人や大学ゼミには直接の案内を行いました。

また、雇用契約や就労管理に関する法令の周知が受け入れ側の課題となるため、農協観光が社労士監修のガイドラインを作成。その内容をわかりやすく解説する動画を制作し、個別視聴と会合で使用できるようにオンライン上に公開しました。

作成したガイドブック

作成したガイドブック

農家と参加者のマッチングでは、JA沖縄中央会が個別に受け入れの心得を説明し、トイレや休憩所などの環境を確認して、参加者の要望とすり合せを行いました。

ツアー参加者には、農協観光が宿泊と送迎を手配し、タクシーに相乗りして雇用先を往復して、収穫や雑草抜きなどの農作業に従事してもらいました。最終的には名護市、糸満市、小浜島、石垣島、西表島の14軒の農家で、首都圏を中心に関西と那覇市からも含めて延べ26名が、パイナップル、サトウキビ、花き、野菜、畜産などで6〜10日の農作業に従事しました。

ツアーの募集チラシ

ツアーの募集チラシ

このように産地の実情に応じて、短期間で商品を作って募集できたのは、旅行会社ならではの機動力。「ツアー募集で農家の求人活動の負担を軽減できたことも大きい」と石井さん。JA沖縄中央会の担当者は、この仕組みを「多様な人材の確保を理解して、時代に合ったやり方で、沖縄の個性的な農業の魅力を伝えたい農家が積極的に利用した」と話します。受け入れ農家からは、人材の真面目さや確実に作業が進んだことを高く評価する声が得られました。

働き方や価値観の変化を捉え、援農で交流人口を増やす

JA沖縄中央会では、農作業も一つの観光資源と捉えています

観光業は沖縄県の主要産業のひとつ。JA沖縄中央会は、旅行や観光を目的に沖縄を訪れる人材が、プラスで農業に関わることで収穫の人手が見込めれば、農業生産の拡大につながると見ています。また、今回のツアー参加者に沖縄県での就農希望者がいたことから、新規就農者を誘致する入口としても期待されています。

「日本人の働き方や若者の価値観が変わり、食や農業への関心が高まる中で、ボランティアや副業、ワーケーションで、少しでも農業に関わりやすいプラットフォームを準備して関係人口を増やし、交流人口につなげたいと考えています。JAグループ内はもちろん、新たな協業にもフラットに構えて、様々なチャレンジをしていきたい」と石井さんが抱負を語ってくれました。

問い合わせ

株式会社農協観光 事業統括部 労働力応援事業課
〒143-0006 東京都大田区平和島6丁目1−1 TRCアネックス 1階
HP:https://ntour.jp/
TEL:03-6436-8289

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