林業の仕事の種類を紹介
「林業=木を切り倒す仕事」というイメージではないでしょうか? 間違いではありませんが、もちろんそれだけではありません。
ここでは林業従事者がどのような仕事を行っているのか、詳しく紹介していきましょう。
事前調査
林業に携わる人たちは思いつくままに伐採を行うわけではありません。綿密に計画を立てて担当する森林の手入れを行います。
そのために必要となるのがその区域について事前に知っておくことです。木の状態はもちろん、正確な面積や傾斜の状況、現地までの道のりの状態など、詳細を確かめておかねばなりません。
必要な人数、機材や作業スケジュールなどは事前調査を基にして作られるのです。
地拵え・苗植え・苗木の生産
地拵え(じごしらえ)は、樹木を伐採した後にどうしても残ってしまう切り株や枝など、不要なものを整理する作業のこと。そのままでは新しい苗木を植えることはできません。
また、種子をポットやコンテナを使って、現地に植えることができるようになるまで育てることも仕事の一つです。
苗木の成長は時間がかかるもので、一般的には3年ほどの歳月を要します。年単位で計画的に作業を続けることが必要なのです。
育林・造林・造園
森林を育てて適切に整備を行い続ける作業を総称して育林や造林と言います。造園はそれよりも小規模で、森林ではなく公園や庭園が対象となります。
苗木を植える「植林」や、下に紹介して行く「枝打ち」や「下刈り」など、一連の作業は全て育林、造林の一環です。
枝打ち
樹木が大きく育ってくると幹が太く成長します。「節(ふし)」はこの際に枝の一部が幹に取り込まれて生まれるものです。節の多い木材は良質と評価されにくい傾向があります。
そのため、枝を付け根部分から取り除くことが必要です。これが「枝打ち」です。
同時に枝に成長する養分が流れるのを防ぎ幹の成長を促す効果や、太陽光を木や地面にまで行き渡らせて森林を健康に保つ効果もあるのです。
下刈り
森林を放っておくと、みるみるうちに雑草や他の木が生えてくることはおわかりでしょう。これを放置しておくと、育ってほしい木に行き届いてほしい地中の水分が奪われたり、高さによっては光合成が阻害されたりして成長できないこともあり得ます。
これを予防するために雑草・木を取り除くのが「下刈り」です。状態によりますが年に1・2回は必要で、管理する範囲が広い場合は大変な作業となります。
路網作設(作業道整備)
想像してみてください。山の中に生えている大木を伐採するには何が必要でしょうか?
ただ木のもとに行くだけであれば、歩いて向かうこともできます。しかし林業の場合、たくさんの切り倒した大木を運び下ろして来なくてはいけないのです。
作業に必要な機材、伐採した木をスムーズに行き来させるためには、作業をするための道(路網)の整備は欠かせないことです。これもまた、林業という仕事の一つなのです。
伐採・伐倒
林業と言えば「木こり」という言葉を思い浮かべる人も多いことでしょう。
目的の木を切り倒すことを伐採や伐倒と言います。チェーンソーなどの機器や、ハーベスタと呼ばれる大きな機械を使用して大きな木を倒す様子を考えるとわかるように、安全への配慮を欠かすことのできない危険な作業です。
斜面の向きや角度を確かめながら障害物のない方向へ大木を倒すには、豊富な経験と高い技術が求められます。
製材・造材
伐倒した木はそのまま出荷するわけではありません。運ぶためには丸太の状態にする必要があり、その作業を造材と呼びます。
また、丸太を角材や板材に加工する工程を一般的に製材と言います。樹種や太さ、長さや品質など、求められる内容が記された仕様書に従って造材しなくてはいけません。
以前はチェーンソーを使って長さを切り揃えていましたが、枝払い・測尺・玉切り(長さに合わせて木を切ること)を一括で行うプロセッサと呼ばれる高性能な機械が一般化したため、正確な寸法で加工しやすくなっています。
一定の長さにそろえた木は、フォワーダと呼ばれる機械で土場(どば、木材の集積場のこと)へ運ばれます。
木材の販売
林業の場合、その会社が直接、建築会社などに販売するという仕組みは取られません。
「原木市売市場」(丸太市場や共販所とも言われます)など卸先が土場を訪れ、そこでセリや入札を行うのですが、当然質の良い木材ほど高値で落札されます。
傷が少なくキレイな状態で出荷するには、伐採の現場で丸太を積み上げる作業(巻き立て)から注意を払わなければなりません。
巻き立てはフォークリフトなどの作業機械を使用しますが、丁寧な仕事が求められるのです。
原木や木材の搬出・運搬
みなさんも木材を大量に積んだトラックが道路を走行しているのを見たことがあるでしょう。
造材、製材した木材を目的地へと慎重に運搬しているのです。
丸太は1本で1トンの重さがあるものも珍しくありません。それ故に運搬トラックへ積み込む作業(集積)にも細心の注意が求められます。
集積作業が適切でないと崩落するなどの危険性が増します。安全に、そしてスピーディな積み込みが現場では求められるのです。
未経験から林業に転職するメリット
林業への転職を検討しているけれど、大丈夫だろうか? 業界の未経験者なら当然、不安を覚えることでしょう。
この項では、そんな人にとって安心材料や転職メリットとなる情報を紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
筋力や体力が付いて健康になる
「自分が林業の仕事をやっていけるのだろうか?」というのは一番の不安ですね。
そこを補ってくれるのが【緑の雇用】という林野庁による未経験者育成制度です。
未経験から始まり、年次に応じた講習や研修プログラムが10年スパンで用意されていて、林業のスペシャリストとしての知識や技能を身に着けることが可能です。
研修生として雇用を受けながら研修で専門知識を学べるので、未経験から林業に転職を考える際には、心強い制度といえます。
※制度の対象である経営体に雇用される必要があります。
機械化が進んでいる
林業と言えば、険しい山を登って大木に向かって重いチェーンソーを扱う、肉体的に大変な仕事というイメージでしょう。
確かにひと昔前まではそれに近いものがありました。しかし、近年は機械化が急速に進み、重機を操って作業を行う場面が増えています。
これにより、力仕事の割合は減り、女性の林業の現場への進出が増えています。林野庁がスマート林業を推進していることもあり、今後は益々作業負荷が軽減されることが予想されています。
基本的に残業が無く定時に帰れる&山や森など自然の中で働ける
林業の仕事において残業はほとんどありません。
暗くなると危険が増し、山林での作業ができなくなるため、遅くても16時半くらいには片づけを始めて下山することとなります。
青空の下で木漏れ日を感じ、鳥たちのさえずりに耳を傾け、緑の香りに包まれながら仕事ができるのは、都会で会社員をしている時とは全く違う開放感に満たされます。
毎日のように山歩きをすることになるので、最初はつらいかもしれませんが、自然と体力も磨かれることでしょう。
日本全国に働き先がある
日本は国土の約7割が山林の、言わば森林大国という環境です。
地域によって気候が違うために生える樹種は異なりますが、基本的な林業の技術を身に着けてしまえば、全国のどこに行っても通用します。まさに「手に職」と言える仕事です。
日本できれいな水を飲めるのも山のおかげ。山から流れたミネラルは海の生き物への恵みにもなっています。
また温暖化対策として森林の役割も再認識されている時代です。林業この先もなくてはならない仕事なのです。
未経験から林業に転職するデメリット
前項では未経験から林業への転職に関して、恵まれた点やメリットを記しました。
しかし、どんな仕事でもそうであるように、良いことばかりではありません。転職する前に知っておくべき懸念事項もあるので両面を知っておきましょう。
怪我をする危険性がある
最も留意しておくべきは、危険度が高い作業もあるということです。
山林が仕事の現場であること、チェーンソーなどの機器を操ること、扱うものが大木という巨大なものであることなどが理由として挙げられます。
実際、就業中に事故で亡くなる方、大きなケガをされる方がいらっしゃることを認知しておきましょう。
しかし、業界全体で事故を防ぐための取り組みは進化しています。もし転職を果たした際には、安全を第一に動いてください。
労働環境や待遇が不安定な場合もある
賃金を含めた待遇面は転職するにあたって重要視される点です。
結論から言えば、他の業界と比べて給料が高いわけではありません。
作業可能な時期が決まっているため、季節雇用や日給月給制(1日の賃金×勤務日数で給料が決まる)で働いている人も少なくありません。
しかし、従事者不足に悩んでいる業界でもあるため、通年雇用を行う経営体も増えています。待遇面と併せて会社探しの際に確認しましょう。
山奥や森林だと電波が通じないことがある
山奥や奥深い森林ではスマートフォンが圏外となり、使用できないことも珍しくないため、休憩時間中にニュースをチェックしたり、家族や友人に連絡を取ることなどができません。
最初は不便さと違和感を覚えてしまうかもしれませんが、とはいえすぐに慣れてしまうものです。
周りの人に理解されにくいことがある
親族や友人に林業に携わっている人はいらっしゃいますか? 多くの方が「いない」と答えることでしょう。林業の従事者数は全国で約45000人(2015年調査)。実はこの20年で40%以上減少しているのです。
それもあって、仕事の内容を理解してもらいにくくなっている状況で、親などに林業への転職を相談しても納得してもらうのが難しいかもしれません。
林業への転職がおすすめな人
人間は一人ひとりに個性があります。どんな仕事でも向き不向きはあるものです。
ここでは林業に向いているのがどんな人かをお伝えします。あくまで一般論ということを理解した上でご覧ください。
仕事で達成感を味わいたい人
達成感、やりがいを得ることができれば人は仕事を続けられるものです。林業の場合は、仕事を始めてすぐに大きな達成感は得られにくいかもしれません。
しかし、自分で植えた苗木が少しずつ成長する姿、手入れによって暗かった森に光が届くようになる様子……。林業は毎日の仕事の積み重ねで景色を作ることもできるのです。
地道な積み重ねが大きな喜び、感動につながる。そのことにやりがいを感じる人にはおすすめです。
技術やスキルを付けたい人
様々な業務を行うため、仕事で必要なスキルも様々な林業。
最初は小さな木から始まり、徐々に大木の伐採ができるようになったり、作業道の開設を効率よく行えるようになるなど、自分の成長を実感できます。
経験を積めばロープを使って高所で作業する特殊伐採の技術を身に着けたり、森林インストラクターなどの資格を取得することも可能です。
知識や技術を向上させたいという意欲的な人にとっても林業の現場はおすすめです。
林業の仕事に対して興味がある人
当然ですが、林業に強い興味や関心を持っている人はその世界へ転職することを検討してほしいと思います。
山への憧れ、樹木への関心、大自然の開放感、機械が好き……。人によって、どのような分野が気になっているかは様々でしょう。もちろん、何であっても構いません。
現場に立って経験を積めば、より深い知識や技術が得られ、関係する仕事にも広がりが生まれます。「林業のここが気になる」というものを一つで良いので持っていることは重要です。
社会に貢献したい人
「社会に役立つ、みんなに喜ばれる仕事がしたい」。そんな願望を持っている人にも林業はおすすめの業界です。
まず山林の整備をして樹々を育てることは二酸化炭素の削減につながります。全世界で問題になっている地球温暖化問題の対策となる仕事です。
また前述したとおり、林業は自然の景色を作る仕事です。樹々に包まれた美しい山の景色を眺めることで心を癒される人も多いことでしょう。これも立派な社会貢献です。
外仕事や肉体労働が好きな人&動物が好き
自然の中で過ごすのが好きで、肉体労働を楽しめることが重要な要素となるでしょう。
そして当然、虫は普通に周囲を飛び回っていますし、リスなど小動物と出くわすことも珍しくありません。それを気にせず楽しめることも大切です。
深い森にはクマなど、危険な動物も生息していますし、実際の現場では野犬が人間にとっての脅威となる場面もありますので、そういったことも頭に入れておきましょう。
都会ではなく地方や田舎で仕事をしたい人
林業の会社があるのは当然、山林が近くにある地域です。よって大都会とは言えない場所で暮らし働くことになるケースがほとんどです。
毎日の買い物、休日の遊び方、過ごし方などは今までと全く違ったものになるかもしれません。ご近所づきあいも含めて地域ならではの人間関係も大切にしなくてはいけません。
「自分が生活する上でなくてはならないものは何か」を分析した上で、どの町のどの会社に入るかを検討する必要があるでしょう。
未経験から林業の転職でよくある失敗理由
未経験から新しい仕事へのチャレンジ。全ての人に成功してほしいですが、現実はそう上手くはいきません。
林業において、転職失敗においてどのようなことが原因になっているのか紹介しますので参考にしてください。
事故が発生したり危険性のある仕事のため
林業は活躍の場が山林というのは前述している通りです。山には急な傾斜地が多く、未開の地を自分たちで拓く場合があるなど大変な仕事が少なくありません。
ケガや事故などの労働災害が発生する確率は他の産業よりも高くなっています。
作業する場まで道を造るのが困難な場合、チェーンソーなどの機械やその燃料を運ぶのは自力となります。肉体的な過酷さも仕事の継続を断念する理由の一つとなっています。
労働環境が悪い現場もあるため
大自然が作り出した山林での仕事ですから、楽な現場ばかりでないことは説明したとおりです。そして季節や天候に応じて、その過酷さは変化します。
夏の猛暑はもちろん、冬は雪の積もっている山林で寒さにも耐えなければなりません。突然の雨などもあり得ることですが、屋内に避難することも簡単にはできません。
自然の中での仕事ならではの大きな喜びもありますが、その半面、過酷さもあります。転職してまだ仕事に慣れない時期に、挫折する人が出るのは不思議ではありません。
思ったより給料が低かったため
給与を始めとする待遇は転職する前に必ず確認しておかなければいけません。
どれだけ憧れが強くても自分や家族の生活が成り立たなければ最終的には離職する結果となります。
もちろん勤め先に寄りますが、一般的に林業は他の産業に比べて給与が高いとは言えません。日給月給制や出来高制を採用している企業も多いのが現状です。
今の暮らしだけでなく、将来の家族構成の変化も想像して、先輩社員の給与状況なども確認しておきましょう。
人間関係が合わなかったため
業界が違えばそこで働く人の個性も変わってきます。転職して今まで接したことのないタイプの先輩、同僚と働くことがストレスになってしまうのはどんな業界でも起こり得ることでしょう。
林業の場合、よほどの熟練者でない限り、一人で現場に行って働くケースはありません。そのためチームワークはとても重要です。
それをおろそかにした場合、不慮の事故が発生することもあり得ます。今までの人生で培ってきたコミュニケーション能力を発揮しましょう。
林業経営の将来に不安を感じたため
林業は就業人口が減少し、高齢化も進んでいる業界です。そのため、転職はしたものの将来性への不安が徐々に大きくなってしまい離職を選んでしまう人も少なくありません。
いわゆる会社法人は全体の1割に満たず、家族を主とする個人経営体が圧倒的に多いということもあるでしょう。
しかし、国土における山林の割合が高い日本にとって林業は欠かすことのできない産業です。その事実を踏まえて転職を検討してほしいと思います。
失敗せずに未経験から林業へ転職する方法
続いては、林業への転職を成功に近づけるためにどうすべきかをお伝えします。
勤務先の選定や事前準備など、必要な手順を踏むことが大事です。林業ならではのものもありますので、しっかり理解して行動に移しましょう。
林業の現場の生活状況やコミュニティの情報収集をする
林業について漠然としたイメージしか持てていない場合、まず現場でどんな仕事をするのか、日々の生活はどんなものかを確かめることから始めましょう。
全国各地で一次産業への転職を応援するイベントが随時開催されています。実際にそこで働き、生活している人の生の声を聴くことは転職への第一歩です。
インターンシップなどで林業の仕事を体験してみる
実際に転職へ踏み切る前にインターンシップを活用して職場を体験することをおすすめします。現地や会社の雰囲気を確認して、入社した際に現場で一緒に働くことになるかもしれない先輩が日々頑張っている仕事を体感できます。
今に至るまでの苦労ややりがいなどを尋ねても良いでしょう。下記サイトではインターンシップ先を紹介しています。ぜひ活用してください。
林業の勉強をして仕事に活かせる資格を取得する
今はインターネットやSNSで様々な情報を入手できる時代です。会社ホームページや仕事の内容を紹介しているサイトなど、検索すれば閲覧することができるのでそこで予備知識を身に着けましょう。
また、仕事に必要な資格の取得や講習のために勉強しても良いでしょう。実際に働き始めてから【緑の雇用制度】を活用すれば取得費用を節約できるので、それに向けた準備とするのがベターです。
- 立木の伐木作業者(チェーンソー作業者)
- 小型移動式クレーン
- 玉掛作業主任者
など
林業で生計を立てる計画をする
生活を支えるためのお金についてもちゃんと考えておきましょう。
毎月もらえる給料がどのくらいになるか、交通費(ガソリン代)や住宅手当、賞与の有無なども勤める経営体によって変わりますので確認が必要です。
試用期間がある場合はその期間や、給料・待遇面で本採用と違いがあるかも確かめましょう。あなた自身と家族みんなが幸せな毎日を送れるのかをちゃんと考えましょう。
体力や筋力をつけておく
何度も言いますが、林業は肉体的にとても過酷な仕事です。
険しく、足場が不安定な山道を登って下るのは当たり前。しかも重たい工具類を担ぎながら道のりを行き来し、現場で作業を行うのです。学生時代に運動を頑張っていても音を上げてしまう人がいるくらいです。
特に夏場はスタミナも重要となるでしょう。転職活動をしながらも筋力トレーニングやランニングなどで肉体を鍛えておくことをおすすめします。
未経験から林業への転職活動のポイント
未経験の業界へ新たな一歩を踏み出す。それには思い切りと決意が必要です。そしてしっかり準備をしなくてはなりません。
林業という業界へ向けて転職活動を行うにあたってのポイントをいくつか紹介していきます。
自己分析して目標やキャリアプランを考える
林業の世界を職場にして「仕事で何を達成したいのか」「将来的に何を目指したいのか」また「どんな人生を歩みたいのか」など、自分を客観的に分析して、進むべき方向や目標を立ててみましょう。
それが無くては転職をすること自体がゴールとなってしまいかねません。未経験で肉体的にも過酷な仕事を始めるのですから、目指すべき姿をイメージすることが大切です。
うまく考えられない場合は、イベントで担当者に相談してみるのも良いでしょう。
転職活動を実際行って情報収集を行う
日本は狭いようで広いのです。林業という一つの業界でも地域や会社の規模などによって個性は様々です。
気になっている会社が自分のキャリアプランにマッチしているのかは情報収集をしてみないとわかりません。ホームページやSNSを開設している場合はチェックをし、より関心が生まれた際は直接電話やメールで連絡を取っても良いでしょう。
できれば1社だけではなく複数社にコンタクトを取って比較検討をすると、より各社の個性が見えてくるものです。
今最も需要の高い仕事も視野に入れる
近年、機械化が進んでいることは前述しましたが、ドローンを使うことによる森林構造把握の省力化など、スマート化も急速に進んでいます。
機械や技術が開発・進化するのは今後も必要とされる仕事の証です。もしも山から木がなくなったら、降った雨や雪により土砂崩れや洪水などが頻繁に発生します。
林業は山林国である日本から無くなることなく、発展し続ける仕事と理解しておきましょう。
転職サイトや人材紹介サービスなどで求人を探す
林業を始め、農業、水産業などの一次産業は近年、人手不足の状態が続いています。
そのため、求人情報は公的機関が公開しているのはもちろん、就職・転職サイトなどにも数多く掲載されています。そちらには、先輩社員の声などが掲載されていることもあるので会社研究の参考になるでしょう。
現場仕事以外の働き方も検討してみる
「いきなり現場に出るのは不安が大きすぎる。でも林業には興味がある」という場合は、まず現場職ではなく、林業を手掛けている会社の別部署の求人を探してみる手があります。
またそれらの会社と関りのある木材建材事業への転職からスタートするという方法も。そこで林業について学び、納得のできるタイミングで最初の目的である会社へ再度転職を目指すことになります。
ただし、林業は肉体労働の占める部分が大きいので、できるだけ若い内に現場に出る必要があることも覚えておきましょう。
未経験から林業に転職する際の注意点や心構え
改めてということになりますが、転職活動を始めて林業の世界に飛び込む人にしっかりと頭に入れておいてほしいことを記したいと思います。
住む場所を変え、仕事も変えることは人生の大きな挑戦。心構えは大切です。
滑落事故など命の危険にさらされることもある
林業の仕事現場での事故発生率は他の産業に比べてとても高いものがあります。大木の伐採中、集材中、さらには山の斜面での滑落事故なども報告されています。
そのため、ヘルメットはもちろん、チェーンソー事故から身を守る器具の装着など、義務付けられていることが多くあります。せっかく入った新しい世界なのに、事故で断念することになっては悔やみきれません。安全第一を心掛けましょう。
都会から田舎に移住が必要な場合ある
いわゆる都会から林業の仕事をする現場に通勤するのは困難な場合が多いです。
朝が早い仕事でもあるため、地方へと引っ越す必要が生じます。大都市でしか暮らしたことがないという人にとっては慣れない環境となります。
コンビニも遠いし、カフェも徒歩圏にはほとんどありません。地域のお祭りへの参加など、ならではのしきたりもあり得ます。会社や仕事内容だけでなく、住む場所についても調べておきましょう。
野生動物や虫に遭遇することもある
仕事現場となる山林は野生の生き物が暮らす地域でもあります。
かわいい鳥やリスなどの小動物がいる一方、クマや猪など、人間の生命に危険を及ぼす動物と出くわす可能性もあります。またスズメバチなどの危険な昆虫も存在します。
出合ってしまった場合の対処法をしっかり頭に入れておく必要があります。会社や先輩たちから危険と言われた地域には絶対に足を踏み入れてはいけません。
若手が歓迎されるがポテンシャルがあれば40代以上でもOK
現在の年齢はいくつでしょうか?何度もお伝えしているように林業はきつい肉体労働を伴うため、10代、20代の若手を歓迎する風潮が見られます。しかし、熱意と体力などのポテンシャルを持っている人であればその限りではありません。
例えば40代でも20代以上の体力を誇っている人はみなさんの周囲にも思い当たる人がいるでしょう。その場合は応募書類や面接などの機会にしっかりアピールしましょう。
林業の年収は就業場所や就業形態により差がある
最後に大切な給料、金額やその体系、また休日を始めとする待遇についてです。これは他の業界と同じように、勤務先によって全く異なるものです。
日給月給制としているところが多くありますがその限りではありません。その日給もそれぞれなのです。
また民間の企業に就職するか、地域の林業組合に勤めるかによっても待遇は変わってきます。生活を維持し、仕事を長く続けるためにもしっかり確認して転職活動を行いましょう。
転職失敗しないように林業のメリットとデメリットを理解しよう
林業という業界とそこへの転職について説明してきました。人手不足のため転職自体は難しいものではありませんが、仕事を続けていくためのハードルが存在することも理解してもらえたと思います。
森林が国土の大半を占める日本において林業従事者が担う役割はとても大きなものです。そして実は昭和の林業最盛期に植えられた苗木が今、伐採適齢期を迎えています。放置したままでは森が荒廃し、大きな災害につながる恐れがあります。
【緑の雇用制度】のように10年スパンにわたって国費を使った人材育成が行われていることからも、その重要性が伝わります。国民の安全な生活と次世代につながる美しい景色を守るのが林業です。その第一歩を踏み出してください。