【ぶどう農家に最適】摘粒作業が楽になる農作業アシストスーツ『TAFWAN（タフワン）』に注目

公開日：2023年06月30日

近年人気の『シャインマスカット』や『ピオーネ』など、大粒系のぶどうは「摘粒（てきりゅう）作業」が不可欠で、ぶどう農家にとって長時間腕を上げたままで行う作業が大きな負担となっています。今回は「首や肩、腕がパンパンになる」というつらい腕上げ作業の負担を軽減する農作業アシストスーツ『TAFWAN（タフワン）』について、開発メーカーである太陽パーツ株式会社の大槻さんと、開発に協力したぶどう農家の今堀さんにお話を伺いました。

ぶどうの適粒作業が農家の大きな負担に

生駒山地の北端に位置する大阪府の交野山の麓は、水捌けがよい土壌の特性を生かしたぶどう栽培が古くから盛んで、旨味の詰まった高品質な『神宮寺ぶどう』の産地として名を馳せてきました。この地で『デラウェア』や『シャインマスカット』などを育てる園主の今堀さんは、ぶどう栽培50年以上のプロフェッショナル。一粒一粒丁寧に育てられた今堀ぶどう園のぶどうは、全国各地にたくさんのファンを抱えています。

太陽パーツ株式会社

近年人気の『シャインマスカット』などの大粒系の品種は、10年ほど前から栽培を始めたそうで、従来の『デラウェア』ではなかった摘粒作業のつらさを体感することに…。

「適粒」は、余分な果粒を一つひとつハサミで取り除き、一房40粒くらいになるまで間引くという作業で、仕上がり時のぶどうの形はもちろん、食味にも影響する重要な工程なのですが、体力的に非常に過酷な作業です。

「適粒作業は1日中腕を上げての作業になるので、ひどい時は痛みで腕を下げて眠ることができないんです。周りのぶどう農家も病院や整骨院に通いながらやっています。繊細な作業なのですが、つらくて丁寧にできなくなることも…。また、摘粒作業は暑い時期に行うので、本当にしんどいんです」と今堀さんは苦笑い。

太陽パーツ株式会社

そんな時に大阪府立環境農林水産総合研究所から紹介されたのが、大阪の堺市で機械部品や住宅機器の設計・製造を行う太陽パーツ株式会社の農作業アシストスーツ『TAFWAN（タフワン）』でした。

太陽パーツ株式会社

『TAFWAN（タフワン）』は電力を一切使わない腕上げ専用のアシストスーツで、軽量かつサッと腕を下ろせる安全機構も備えた優れもの。農家出身である太陽パーツ・城岡会長の「ものづくり企業の力で、農家の負担を軽減したい」という熱い思いのもと、同社の設計・製造の技術を詰め込んだ製品として誕生しました。

『TAFWAN Ⅱ（タフワン2）』の詳細はこちら

摘粒作業の救世主！つらい腕上げ作業をアシスト

農業人口の減少や高齢化に対応すべく、「スマート農業」の一環としてモーターや人口筋肉などを用いたアシストスーツの商品化や研究開発が進められていますが、農家が求める機能や値ごろ感とまだまだ溝があり、農業現場での導入が進んでいません。

そこで、太陽パーツでは「農家が導入しやすい価格設定」と「機器自体の扱いやすさ」をテーマに、農業で働く人をサポートする『ワークアシストシリーズ』を立ち上げ、その第一弾として果樹農家の中でも重労働とされる、ぶどう農家の腕上げアシストを目的とした『TAFWAN（タフワン）』を開発。

太陽パーツ株式会社

開発のモニタリングに協力したぶどう農家の今堀さんは、「初期品を装着した際に、これは良い、作業が楽になると感じましたね。特に『腕が完全に固定されていない』という点がポイントだったね。摘粒作業は常に上を向いた姿勢で行う仕事で、傾斜のある所や雨や朝露で濡れた地面は滑りやすいんです。切り替え操作なしで腕が下げられるので、腕が固定されたままこけるという心配がありません。腕の上げ下げの自由がきくというのが重要なんです。また、リクエストしたことで改良型の『TAFWAN Ⅱ（タフワン2）』は、腕のパーツ部分のフィット感やクッション性もアップして、より使いやすくなりました」とニッコリ。

太陽パーツ株式会社

「腕を自由に下ろせる安全性と同じくらいこだわったのが着け心地です。着脱性や動きやすさにこだわり『面倒だから使わなくなる』ということがないような製品を目指しました。装着するパーツは、腰・左腕・右腕の3つだけです。まず、腰ベルトを固定し、そこに左右の腕につながるパーツを挿入した後、腕を通した腕パットのベルトを固定すれば完了です。慣れれば30秒ほどで着脱できると思います。肩に背負わない形状のため、密着面積も少なく、メッシュ素材で蒸れにくい構造にしています。電気を使わないため、充電や天候を気にする必要もありません」と話すのは、開発者である太陽パーツ・技術部の大槻さんです。

太陽パーツ株式会社