菊芋の特徴は?
菊芋とは北アメリカ原産の作物です。菊に似た黄色い花が咲くこと、根っこの部分が芋のように膨らむことから菊芋と名付けられました。ほんのり甘みを感じる味わいで、クセが少なく食べやすいのが特徴です。
菊芋は大きく分けて、白菊芋と紫菊芋という種類がありますが、日本で栽培されているのは白菊芋がほとんどです。紫菊芋は収穫が難しいなどの理由で、多くの農家では栽培されていません。
菊芋の歴史
菊芋は元々アメリカ先住民が食べていたとされています。江戸時代末期に家畜の餌として輸入され、第二次世界大戦頃からは人も食べるようになったとのこと。日本では積極的に食べられていなかったものの、近年になり菊芋の栄養価が評価されて、健康野菜として注目されるようになりました。
菊芋を食べるときに気をつけることは?
菊芋はキク科に分類されるため、キク科の食物に対してアレルギーを持つ方は症状が出るかもしれません。菊芋は食物繊維が多いので、たくさん食べると腸の働きが活発になりお腹がゆるくなる可能性もあります。また、菊芋の食べ過ぎによって血糖値が下がり過ぎてしまうケースがあるため、血糖値を下げる薬を飲んでいる方は注意が必要です。
菊芋の旬の時期は?
菊芋は9月〜10月頃に黄色い花を咲かせて、11月以降に収穫できるようになります。収穫時期は11月〜3月頃で、旬の時期は11月〜12月頃。気温が低いと多くの栄養価が蓄積されて甘みや食感が良くなるため、11月〜12月頃がおすすめな旬の時期となります。ただし、雪が多い地方では雪が降る間に収穫ができないので、11月頃または翌春に収穫される場合が多い傾向にあります。
美味しい菊芋の見分け方は?
美味しい菊芋を見分ける際は、まず大きさに注目しましょう。なるべく5cm以上の大きいサイズの菊芋を選んでください。丸みを帯びたフォルムはしっかり栄養が蓄えられている証拠です。また、硬くて実が締まっているものを選ぶのがポイント。鮮度が落ちてしまうと、しなびて柔らかい菊芋になってしまいます。
菊芋の購入方法
旬の時期になれば、スーパーや八百屋、野菜の直売所などで販売されています。しかし、まだまだ手に入りにくい地域もあるので、近くの店舗では購入できないかもしれません。その場合は、インターネットで菊芋を検索してみることをおすすめします。
菊芋の美味しい食べ方は?
菊芋には水溶性食物繊維のイヌリンを多く含んでおり、腸内環境の改善や糖尿病対策など、健康に良い効果があると期待されています。菊芋の栄養をしっかり取り入れつつ美味しく食べるには、食べ方にも気をつけましょう。ここからは、菊芋の美味しい食べ方を紹介します。自宅で簡単に作れるレシピもお伝えしますので、ぜひ作ってみてください。
まずはしっかり下処理をする
菊芋の皮は薄いため、土をきれいに洗い落とせば皮ごと食べられます。土をしっかり洗い落としたら、水に10分程度さらしてアク抜きします。菊芋のアクはポリフェノールが酸化したものなので、アク抜きしなくても使えます。ただ、アク抜きしないまま調理すると、皮をむいたり切ったりしたところが黒く変色してしまう場合があります。特に問題はありませんが、色味が気になる方はアク抜きすることをおすすめします。
菊芋の名称に芋がついているため、じゃがいものように芽に毒があるか気になる方も多いと思います。しかし菊芋は芋ではなく、ごぼうの仲間です。菊芋に毒はないので、そのまま食べても安心です。
菊芋のツナサラダ | DELISH KITCHEN
材料 | ・菊芋 ・にんじん ・きゅうり ・白いりごま |
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調味料 | ・ツナ缶(オイル漬け) ・酢 ・塩 ・こしょう |
調理目安時間 | 10分 |
費用目安 | 300円 |
菊芋は生で食べると、シャキシャキした食感を楽しめます。生で食べる場合は菊芋をよく洗い、皮付きのまま2mm程度にスライスします。手軽に生の菊芋を楽しみたいなら、甘酢漬けがおすすめです。ポリ袋に菊芋と大さじ4〜5の調理酢を入れたら、好みの漬かり具合になるまで漬け置きするだけで完成します。その他に、サラダにして食べるのも良いでしょう。菊芋とにんじん、きゅうりを千切りにして、ツナ缶の汁を軽く切っておきます。ボウルに全ての具材と小さじ2の酢、小さじ1/4の塩、こしょう少々を入れて混ぜ合わせたら完成です。調味料を入れずにお好みのドレッシングを入れて和えるのもおすすめです。
>>DELISH KITCHENの「菊芋のツナサラダ」より引用 | 詳しい作り方は公式サイトをチェック!
菊芋と鶏肉の甘辛炒め | DELISH KITCHEN
材料 | ・鶏もも肉 ・菊芋 ・塩こしょう ・片栗粉 ・サラダ油 ・細ねぎ(刻み) |
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調味料 | ・酒 ・みりん ・砂糖 ・しょうゆ |
調理目安時間 | 15分 |
費用目安 | 300円 |
菊芋に含まれるイヌリンは長時間加熱すると減少するといわれているので、サッと炒めるだけで完成する菊芋と鶏肉の甘辛炒めなどの炒め物がおすすめです。菊芋は1cm幅に切り、一口大に切った鶏肉に塩こしょうを振って片栗粉をまぶしておきます。フライパンにサラダ油を入れて、鶏肉の皮目を下にした状態で熱します。焼き色がついたらひっくり返して、火が通るまで弱火で2〜3分程度蒸し焼きにしましょう。菊芋を加えてサッと炒めたら、大さじ1の醤油・酒、大さじ2のみりん、大さじ1/2の砂糖を加えて水分が少なくなるまで炒めます。
>>DELISH KITCHENの「菊芋と鶏肉の甘辛炒め」より引用 | 詳しい作り方は公式サイトをチェック!
菊芋のミネストローネ | DELISH KITCHEN
材料 | ・菊芋 ・にんじん ・玉ねぎ ・キャベツ ・ベーコン ・オリーブオイル ・水 ・パセリ |
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調味料 | ・トマトジュース ・塩 ・こしょう ・コンソメ |
調理目安時間 | 10分 |
費用目安 | 400円 |
茹でたり煮たりするとイヌリンが溶け出してしまうので、スープにして汁までしっかり飲み干すのも良いでしょう。おすすめレシピは菊芋のミネストローネです。菊芋は皮をむいて一口大に切り、水にさらしておきます。にんじん、玉ねぎ、キャベツは1cmの角切り、ベーコンは1cm幅に切ります。鍋にオリーブオイルを入れて、食材がしんなりするまで炒めます。水200ccを加えて煮立ったら、蓋をして具材が柔らかくなるまで煮込みます。トマトジュース200cc、コンソメ小さじ1、塩小さじ1/3、こしょう少々を加えて、中火で3分程度煮込んだら完成です。
>>DELISH KITCHENの「菊芋のミネストローネ」より引用 | 詳しい作り方は公式サイトをチェック!
菊芋の保存方法は?
菊芋を長く楽しめるように、購入したらすぐに適切な方法で保存することをおすすめします。ここからは、菊芋の保存方法について紹介します。
土がついた状態で保存する方法
土を洗い流すと味が落ちてしまうため、すぐに食べない場合は土がついた状態で保存するのが良いでしょう。土がついた状態の菊芋を1つずつ新聞紙やキッチンペーパーで包み、冷蔵または常温で保存します。
菊芋は20度以上だと発芽して5度以下だと低温障害を起こす可能性があるため、気温に応じて保存方法を使い分けてください。夏場は野菜室で冷蔵保存し、冬場は暗くて風通しの良い場所で常温保存するのが適しています。なお、保存期間は1週間程度です。長く放置すると、菊芋から発芽したり根が生えてくる可能性があるので注意が必要です。じゃがいもと違って芽や根に害はありませんが、本来食べる部分ではないので、切り取る必要があります。
皮をむいて保存する方法
長期間保存したい場合は、皮をむいて冷凍保存しましょう。菊芋の皮をむいたらラップに包んで保存袋に入れて、冷凍庫で保存します。一口サイズに切って冷凍すると、解凍後に使いやすいのでおすすめです。保存期間は1カ月程度です。冷凍すると食感が少し変わってしまうので、解凍後は生食ではなく加熱調理して食べるのが良いでしょう。
土に埋めて保存する方法
野菜を育てるスペースがあるなら、土に埋めて長期保存する方法もあります。土に菊芋を埋めておくと、芽を出す春までなら保存することが可能です。温度が高くなると芽が出てしまうので、寒い冬限定の保存方法となります。寒い地域の場合は、屋内の凍らない場所に置いたプランターなどに埋めて保存するのがおすすめです。
薄くスライスして保存する方法
菊芋の皮をむいて薄くスライスした後、天日干しで乾燥保存する方法もあります。天気の良い日に3〜4日ほど乾燥させたら、保存袋に入れて暗くて風通しの良い場所で保管します。乾燥させれば、1年程度保存できるといわれています。長期保存は可能になるものの、食べ方が限られてくるので注意が必要です。乾燥保存する場合は、水で戻して漬物にしたり油で揚げてチップスにするのがおすすめです。
菊芋の育て方は?
菊芋は種ではなく、種芋を植え付けて育てます。育てる場所は、日当たりと水はけの良いところを選びましょう。2週間前くらいに石灰を入れて耕したら、堆肥や元肥を加えて土を馴染ませておきます。雑草や石などがある場合は、あらかじめきれいに取り除いておきましょう。晩霜の心配がなくなったタイミングで、菊芋を植え付けます。
関東地域では3月上旬頃、冷涼地では4月下旬から5月中旬頃までに植え付けるケースが多いです。基本的には深さ10〜20cm程度、50cm〜1m程度の間隔で植え付けましょう。乾燥に強く過湿は苦手な作物なので、やや乾き気味の状態で管理しても問題ありません。菊芋を植えたときにたっぷりと水を与えた後は、土が乾いたタイミングで水やりをすれば大丈夫です。
土の状態や天候をチェックしながら水やりの有無を判断してください。特に追肥する必要はないものの、養分が不足していると感じた場合は堆肥を施すのが良いでしょう。種芋から多数の芽が出た場合は2〜3本程度の芽だけ残して、後は取り除くとよく育ちます。
菊芋は草丈がぐんぐん伸びていくので、6〜7月頃に茎の周りの土を10〜15cmぐらい手で土を寄せる土寄せを行います。土寄せの後に、土をほぐし、雑草を取り除く中耕を行います。花が終わり葉茎が茶色く枯れてきたら、地上部を20cm程度残して茎を刈取ります。
11月下旬以降は試し掘りをしながら、食べる分だけ順次収穫しましょう。なお、菊芋は連作に適していない食物です。翌年も栽培したい場合は違う畑を選ぶことが最適です。どうしても連作を行う場合は、堆肥などで土にしっかり栄養を与えてから育てるようにしてください。
菊芋は家庭菜園できる?
菊芋はプランター栽培ができますので、家庭菜園でも育てることが可能です。市販の培養土と直径40cm以上・深さ30cm程度のプランターを用意します。基本的な育て方は畑栽培と同じです。種芋の間隔を20〜30cm程度離して植え付けます。
種芋を使う場合は畑と同様に3月〜5月頃、苗を使う場合は5月頃に植え付けを行いましょう。苗が入ったポリポットと同じ大きさの穴をあけて、根鉢を崩さないように苗を植えます。種芋の場合は、5cm程度上から土をかぶせてください。
最後にたっぷり水を与えたら、植え付けは完了です。プランター栽培の場合も、土の表面が乾いたら水をやりましょう。土が湿っているときは水やりをする必要はありません。
植え付けから2カ月程度経ったら、支柱を立てて株を支えます。長さ240cm程度の支柱を用意し周りを囲ったら、高さ30cm間隔で紐を張ります。生長具合に応じて、紐を増やしていきましょう。葉がたくさん茂ると生育の邪魔になるので、半分くらい切り戻します。
畑栽培と同様に、6〜7月頃には土寄せをしてください。収穫する際は根茎を傷つけないように、周辺の土をスコップなどで崩しながら掘り上げます。
美味しい菊芋料理を食べよう!
クセが少なく食べやすい菊芋は、色々な料理に活用できる便利な食材です。旬の菊芋を手に入れて、菊芋を使ったレシピに挑戦してみてはいかがでしょうか。菊芋は初心者でも簡単に栽培できるので、自宅で育ててみるのもおすすめです。これまで菊芋を食べたことがなかったという方も、ぜひ普段の食卓に菊芋料理を取り入れてみてください。