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サツマイモ生産が北海道で広がる。温暖化の影響か?

サツマイモ生産が北海道で広がる。温暖化の影響か?

中央アメリカ原産で、大航海時代に世界に広まったサツマイモ。日本には1600年頃に中国から伝わり、さらに琉球から薩摩(今の鹿児島県)へと伝わって栽培が始まったといわれています。やせた土地でも育つことから、古くから救荒作物として人々を飢饉(ききん)から救ってきました。これまで比較的温暖な土地で栽培されてきたサツマイモですが、栽培可能な地域が温暖化により少しずつ変わってきているようです。冷涼な地域では育たないとされてきたサツマイモの生産が、最近では北海道でも行われているのです。

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北海道でサツマイモの作付け面積が拡大傾向

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サツマイモの生産量は鹿児島県が最も多く、茨城県、千葉県、宮崎県と続き、2022年産ではこの4県で全国生産量約71万トンのうち約80%を占めます(※1)。これらの地域の特徴は比較的温暖な気候であること。一方で、北海道は冷涼な気候のためサツマイモの栽培には適しておらず、あまり栽培が行われてきませんでした。ところが、2022年の生産量は620トン、2023年は1000トン以上(※2)になると予測されています。

北海道の気候が比較的温暖になってきたことから、JAあさひかわ管内ではサツマイモの作付けが増加。2022年には9戸の農家で1.3ヘクタールほどだった作付けが、2023年には20戸で3ヘクタールとなり、生産量も約60トンとなりました。冷涼な地域でも栽培できる新品種「ゆきこまち」が開発されたことも追い風となり、北海道でのサツマイモの作付け面積は今後も拡大傾向が続く見込みです。

※1 出典:農林水産省「作物統計調査
※2 出典:北海道新聞「道産サツマイモ 初の千トン超えへ 23年産、作付面積2倍近くに

産地ではブランド化を目指している

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北海道産のサツマイモでブランド化を試みる動きも。北海道の中部にある由仁(ゆに)町と栗山町の若手農業者の団体が栽培する「由栗(ゆっくり)いも」もその一つです。由仁町で行われる「由栗いもフェスティバル」では各飲食店で由栗イモを使ったメニューが提供され、地元の活性化にも一役買っています。

JAあさひかわの担当者も「今後、旭川産サツマイモをブランド化して売り出していきたい」と話します。「今後は機械導入や、(収穫後に土壌へのすきこみが可能な)生分解性マルチ導入による作業の省力化を進めていきたい。また、苗の購入代金が高いため、自前での苗増殖を検討していきたい」と説明してくれました。

地球温暖化によりさまざまな作物に影響が出ている

北海道でサツマイモ栽培が広がりつつある理由として、地球温暖化の影響で北海道の気温が上昇していることが挙げられます。実際、サツマイモの安定的な生産に必要とされる栽培期間の積算気温2400°Cが、北海道においても確保できるようになってきました。かつては、福島県あたりが商業的なサツマイモ栽培の北限といわれていましたが、温暖化で事情が変わってきているようです。

こうした地球温暖化の問題は、日本国内で栽培される他の作物にも影響を与えています。近年では本州や四国でも熱帯果樹の栽培が広がっています。一方2023年は猛暑だったため、稲作においては高温障害により未熟粒が発生し、米どころである新潟県で一等米の比率が大幅に下がりました。

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地球温暖化がもたらす影響は品質の低下や収穫量の減少だけではありません。適温地域が変わることで、新しい作物に挑戦できる機会も広がっていくことでしょう。変わりゆく自然の変化に適応するためには、「今までの作物事情」にとらわれず、臨機応変に対応していく必要がありそうです。

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