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3月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で春の息吹を味わう

3月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で春の息吹を味わう

雪が解けて一気に顔を出す山菜や、若採り・掘りたての芽や実など、3月は生命力にあふれた春野菜が旬です。「旬」には「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの段階があり、その時々に適した調理法と食べ方があります。各段階の野菜を知って旬を逃さず味わうヒントをお届けします。

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旬とは?

その野菜の味が最もよい食べごろの時期を旬といい、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、手頃な価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。
3月旬の野菜をカット

旬の「走り」の野菜はみずみずしくフレッシュ。可能であれば生のまま、あるいは水分を生かした調理方法が適しています。「盛り」はベストタイミング。栄養価が高く価格も安くなるので、いろいろな調理法でたっぷり楽しんで。「名残」は水分量が少なくなり味が凝縮されるので加熱調理がおすすめです。

3月が「走り」の野菜

3月走りの野菜
熟して豆になる前のグリーンピースやソラマメ、掘りたての新ゴボウ、新ジャガイモ、新タマネギなどが出回り始めました。春らしい鮮やかな緑色、みずみずしさを楽しみましょう。

グリーンピース

エンドウの未熟な実は「実えんどう」と呼ばれ、グリーンピースもその一種。サヤエンドウよりも生長したタイミングで実だけを食べます。大きく濃い緑色になった実は栄養価がアップ。たんぱく質、炭水化物、鉄、銅、亜鉛などのミネラル、ビタミンB1が豊富に含まれています。豆ごはんや煮物、スープなどに調理すると流れ出た栄養分も逃しません。できればサヤ付きを選び、乾燥に弱いのでビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

調理例:グリーンピースご飯、卵とじ、グリーンピースと新タマネギのポタージュ

ソラマメ

完熟する前に若採りした豆を食べます。サヤが空に向いて伸びているので「空豆」と呼ばれ、熟すと下へ垂れます。たんぱく質が豊富で、炭水化物、カリウム、カロテンも比較的多く含まれています。鮮度よく味わうために、できればサヤ付きを選び、ゆでる直前に取り出します。保存は硬めにゆでて冷蔵または冷凍で。

調理例:塩ゆで、ソラマメと桜エビの炊き込みご飯、ソラマメと新ジャガの煮物

新ゴボウ

完全に生長する前のゴボウを若採りしたもので、春から夏までが出回り時期。秋から冬にかけて出回るゴボウと比べてやや短く色白で、香りが高くやわらかいのが特徴です。あく抜きをして生食できるものもあります。食物繊維が豊富で、ビタミンC、カルシウムを比較的多く含みます。保存は秋冬のゴボウと同じで、泥付きは新聞紙に包んで冷暗所へ。洗ってあるものはラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:新ゴボウと鶏肉の炊き込みご飯、ナムル、温野菜サラダ

新ジャガ

ジャガイモの収穫時期は産地によって異なりますが、掘りたてで出荷されるものを「新ジジャガ」と呼びます。早いものでは九州産が3月頃から店頭に並びます。小ぶりで皮が薄く、みずみずしいのが特徴で、皮ごと調理するのに向いています。栄養素は、炭水化物、ビタミンC、カリウムが多く含まれています。保存は新聞紙に包んで通気性のいい冷暗所または冷蔵庫の野菜室で。

調理例:甘辛煮、皮つき揚げ焼きポテト、新ジャガと新タマネギのサラダ

新タマネギ

タマネギは乾燥させた貯蔵ものが一年中出回っていますが、収穫後すぐに出荷されるものを「新タマネギ」と呼びます。収穫時期は産地によって異なりますが、早いものでは九州産が春先から店頭に並びます。みずみずしくて柔らかく、辛みが少なく感じられるので、生食に向いています。炭水化物、ビタミンCが多く、辛み成分の硫化アリルはビタミンB1の吸収を助け、血液の凝固を抑える働きがあります。保存は新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:オニオンスライス、丸ごとレンジ蒸し、グリル/オーブン焼き

3月が「盛り」の野菜

3月盛りの野菜
全国各地の里山から山菜が出そろう季節になりました。山菜は旬が短くあっという間にシーズンが終わってしまうので、スーパーにも並ぶ盛りの時期に各種山菜をいろいろな調理法で味わってみてはいかがでしょう。

こごみ

食用シダ類のクサソテツの若芽。くるくる巻いた形が人の屈(かが)んだ姿に似ていることからこの名前がつけられました。山林の湿った場所などに自生し、南は3月、東北や高冷地は5月~6月中旬ごろから採取されますが、生長が早いため各産地の旬はあっという間です。あく抜きがいらないため使いやすい山菜です。栄養は、カロテン、食物繊維、ビタミンCが豊富です。保存は洗わずに新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で2~3日。

調理例:ごまあえ、マヨネーズあえ、こごみと油揚げの炒め煮

フキノトウ

春を告げる山菜の一つで3月が出荷のピーク。フキの蕾(つぼみ)がフキノトウで、花が咲いた後に地下茎から伸びた葉の部分がフキです。栄養価はフキよりも高く、カリウム、カルシウム、鉄を比較的多く含んでいます。独特の苦みがあり、塩を少し加えた熱湯でゆでて冷水にさらし、あく抜きをして使います。保存は湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で1~2日。

調理例:フキノトウみそ(フキみそ)、アヒージョ、フキノトウとツナのパスタ

行者(ぎょうじゃ)ニンニク

ニンニクのような強い香りが特徴で、雪解け後が採取時期です。修行僧が強壮のために食べたとされたことがその名の由来。あく抜きが不要で使いやすい山菜の一つです。独特のにおいのもととなる成分は硫化アリルで、糖をエネルギーに分解する際に必要なビタミンB1の吸収を助ける働きがあります。保存は湿らせたキッチンペーパーに包み、冷蔵庫に立てておきます。

調理例:しょうゆ漬け、豚バラ肉巻き、卵炒め

蕾菜(つぼみな)

春の訪れを告げる野菜として比較的新しく登場した蕾菜は、アブラナ科の野菜です。大型からし菜の一種でその脇芽を食用とします。福岡県でいち早く導入され、県内のJAで生産・出荷されるようになりました。コリコリした食感とほどよい辛みが特徴です。リラックス効果が報告されているギャバやうまみ成分のグルタミン酸を豊富に含んでいます。保存は湿らせたキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:蕾菜とベーコンの炒め物、ホイル焼き、ピクルス

3月が「名残」の野菜

冬から春にかけて旬の野菜を迎えた野菜は名残の時期。栄養価が高いものが多く、食材としてもうまく冬と春の橋渡しをしてくれます。走りの野菜と組み合わせて春の訪れを感じてみてはいかがでしょう。

ナバナ(菜花)

春の訪れをいち早く告げるナバナ。出荷時期は産地によって異なりますが、ピークはおおむね3月まで。名残のナバナは、味が凝縮されているので炒め物や濃いめの味付けにも向いています。栄養は、カロテン、ビタミンCが豊富で、鉄、カルシウムも多く含まれます。冷凍保存は、軽く下ゆでして冷水にさらした後に水気を切り、小分けにしてラップに包み、冷凍用保存袋に入れて約3週間。電子レンジで解凍しておひたしやあえ物にも使えます。

調理例:ナバナと新タマネギのあえ物、バターしょうゆ炒め、ナバナと豚肉の中華風炒め

セリ

春の七草の一つに数えられ、香りがよく根までおいしい冬セリは3月までが旬。鍋料理や煮物で活躍した冬セリの後は、サラダや薬味としても楽しめる水耕栽培のセリが通年で流通します。栄養は、カロテン、ビタミンCが多く含まれます。冷凍保存は、軽く下ゆでして冷水にさらした後に水気を切り、小分けにしてラップに包み、冷凍用保存袋に入れて約3週間。汁物などに凍ったまま使えます。

調理例:セリと新ゴボウのサラダ、セリと鶏肉の炊き合わせ、セリと厚揚げの炒め物
 

ブロッコリー

2026年度から「指定野菜」への追加が発表されたブロッコリー。「指定野菜」は消費量が多く食生活で重要性が高い野菜を国が指定するもので、半世紀ぶりにブロッコリーが追加されて15品目になります。その旬は11月~3月。ビタミンとミネラルをバランスよく含み、特にビタミンCとカロテンが豊富で、食物繊維も比較的多く含まれます。冷凍保存は、生のまま、房を小分けにしてラップに包んで冷凍用保存袋に入れて約1カ月。凍ったまま炒め物などに使えます。

調理例:ブロッコリーとソラマメの煮びたし、ブロッコリーと新タマネギのスープ、ブロッコリーと新ジャガのホットサラダ

まとめ

山菜や春野菜の苦みの多くは、抗酸化物質のポリフェノールに由来しています。「春の皿には苦みを盛れ」ということわざがあるように、山菜や春野菜の苦みは、脂肪や老廃物をため込んだ冬の体をリセットしてくれると考えられています。3月は旬の盛りを迎えた山菜を食卓に取り入れるチャンス。足が早い山菜ですが、しょうゆ漬けやみそ炒めなどの常備菜にすると、毎日少しずついろいろな味が楽しめます。

山菜(こごみ、フキノトウ、行者ニンニク)の調理例

こごみのごまがけ(手前の皿)、行者ニンニクのしょうゆ漬け(左奥)、フキノトウみそ(フキみそ、右奥)

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