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日本の地域農業を変える起爆剤に!小規模生産者と外国人人材を繋ぐ仕組みづくりへの挑戦

日本の地域農業を変える起爆剤に!小規模生産者と外国人人材を繋ぐ仕組みづくりへの挑戦

産地における農繁期の時期は限られており、多くの農家は常時雇用に踏み切ることができません。特に小規模農家の多いエリアは、一産地で人材を丸抱えするにはコスト負担が重くのしかかります。一方、制度改正により、高い専門性を持つ外国人人材の派遣が可能になり、今後の日本の農業を支える労働力として活用が期待されます。そういった状況を背景に、「特定技能外国人派遣人材を複数産地でシェア雇用する」というシステム作りに取り組んでいるのが、伊賀ベジタブルファーム代表の村山邦彦さんです。生産・流通の現場に関する豊富な知見を活かして地域農業の危機的状況に立ち向かう村山さんに、この取組について詳細をお伺いしました。

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きっかけはネパールの地域おこし。知見や人脈から生まれた課題解決の糸口

伊賀ベジタブルファーム株式会社の代表である村山さんは、エネルギー関連の開発職等のサラリーマンを経て、15年ほど前に三重県伊賀市内にて有機農業を開始しました。現在は自身がはじめた野菜の生産・流通事業のほか、各地の農業者グループや流通業者に対して経営や技術に関わるコンサルティングや業務システムの開発を行っています。
2023年10月にスタートした産地間での外国人人材のシェア雇用の背景にも、村山さんの持つ幅広い人脈がありました。

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伊賀ベジタブルファーム代表の村山邦彦さん

「ネパール人の知り合いからヒマラヤ山間部にある過疎の村の地域おこしの相談を受け、そこから二転三転して日本の農家とネパール人材を結びつけられないか、という話になりました。ちょうど特定技能外国人派遣を行う事業者とも繋がりができ、農林水産省の農業労働力確保支援事業を活用しながらプロジェクトが進んでいきました。」

ネパールの写真

受け入れ先の生産者と人材リソースの情報、要となるデータベース作り

受け入れ先の生産者に関しては、村山さんが持つ有機農業者のネットワークなどを活用することに。兵庫、和歌山、奈良、京都の生産者らに協力を仰ぐと同時に、各産地でヒアリングやアンケート調査を実施。どんなスキルを持った、どれだけの人材が必要なのか等、細かな労働力需要状況の把握に努めました。

人材リソースの確保は、今年度は農業分野での特定技能外国人派遣を行う事業者らに依頼。外国人人材コーディネーターを雇用し、外国人の生活面での相談や受け入れ生産者側をフォローする体制も整備しました。

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現地での説明会の様子

そして今回の取組で要となるのが、データベースの構築です。生産者側の人材ニーズ情報と、派遣外国人側の情報をオンライン上で共有することで、派遣先や時期、労働者の持つスキルの確認等、細かなマッチングをスムーズに行うことができます。

「今後の農業のあり方や災害時の対応を考えると、規模は小さくても自治体や地域ごとで完結できる、自立的な農業の仕組みを作っていかなければと考えています。収集した細かな労働力需要に関する情報と派遣外国人に関する情報をデータベース化し、関係者がオンラインで共有できるシステムが構築できれば、生産者が人材を確保するための有用なツールとなるはずです。」と、村山さんはデータベースの活用に強い期待を寄せます。

生産者だけでなく外国人人材のプラスになるような、持続可能なシステムに期待

実際にこのプロジェクトに協力した、三重県鈴鹿市の洋蘭農家サノ・オーキッドの佐野拓也さんにもお話を伺いました。

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サノ・オーキッドの佐野拓也さん

「農繁期は11月、12月頃でピークには25名ほどのスタッフが働いています。人材不足はどこも大きな課題の一つ。外国人人材に興味はあったので、村山さんからお話をいただき、短期でもOKという点でチャレンジしやすかったですね。11月からインドネシア出身の2名の派遣外国人を受け入れ、出荷作業を中心に頑張ってもらっていますよ。当初は4ヶ月という契約期間でしたが、2名とも期間延長を予定しています。」

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インドネシア出身のイルダンさん。村山さんの伊賀ベジタブルファームでも勤務経験があります

食文化や言葉の違いなど留意すべき点はありますが、日本人メンバーともコミュニケーションを図りながら上手くやっていたと話す佐野さん。
「日本の農業は今後も間違いなく、外国人人材に頼らざるを得ない状況です。彼らに対し、単に労働力として扱うだけでなく、将来自国で活躍できるようなスキルを身につけて帰ってほしいと思っています。例えばオーガニックの高い農業スキルを学びたい外国人人材を育成し、帰国後に彼らがそのスキルを活かした事業で成功することができれば、労働力確保というメリット以上の価値があると思います。マッチングシステムの構築には、グローバルな視点で農業を発展させていく上でも、大きな意義や必要性を感じますね。」

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同じくインドネシア出身のメルキさん。別地域のバラ農園で3年ほど就農経験があります

自立的な地域農業の実現に向けて広がるネットワーク

今期のプロジェクトの取組では、近畿圏から始まり中国地方や南九州も含めた8農家へ、延べ38名の特定技能外国人を派遣するという実績が残せました。

「当初は関西エリアの有機野菜等の産地のみで完結する予定でしたが、効果的な産地間連携を模索するために連携先対象を広げて調査を行った結果、鹿児島や熊本の農業者ともネットワークを結ぶことができました。現在はデータベースの要件定義をあらかたまとめ、試作開発~運用に向けて動いている段階なので、広がったネットワークを活かして次年度以降もオープンな情報プラットフォーム形成に向けて取り組んでいきたいですね。」と、今年度の成果について村山さんは話します。

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構築中のマッチングガントチャート

この仕組みを形にしていくためには、産地間で人材状況を共有するデータベースのブラッシュアップはもちろん、外国人労働者のための宿泊施設の確保や、技術講習会などを通じた人材育成、さらには育成したスタッフの帰国後の人事運用など、様々な要素が絡み合ってきます。
エリアごとでローテーションを組み人材をシェア雇用するマッチングシステムは、大量に人材を雇えない小規模生産者の強い味方となり、自立的な地域農業を可能にしてくれるでしょう。地域農業の現実、そして日本の農業にますます欠かせない存在となってきている外国人人材に真摯に向き合い、より良い農業、社会を目指す村山さんのプロジェクトの展開に、今後も目が離せません。

【取材協力】
伊賀ベジタブルファーム株式会社
サノ・オーキッド

【農業労働力産地間連携等推進事業に関するお問い合わせ】
株式会社マイファーム
農業労働力確保支援事務局

MAIL:roudouryoku@myfarm.co.jp
TEL:050-3333-9769

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