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産地の魅力を引き出す「でりさす×ご馳走旅」
「でりさす×ご馳走旅」は、マイナビが運営する生産者の販路支援企画「でりさす」と、レストランシェフが生産者のもとへ直接伺い食材を発掘するPDSの「ご馳走旅」がコラボレーションしたプロジェクトです。
マイナビが持つ全国の農家ネットワークの中から、まだスポットライトが当たりきっていない地域を中心に訪問。その土地の生産者や栽培環境、食材を五感で感じ、シェフが食材の魅力を最大限に引き出したご馳走を作ります。初回の訪問地は千葉県香取郡多古町です。
魅力あふれる多古町の食材
参加者たちが最初に訪れたのが多古町特産「多古米(たこまい)」を栽培する、有限会社大谷農場。多古米は皇室への献穀米 に選ばれたことがあり、寿司米としても人気 のあるブランド米です。
生産者である大谷晴美(おおたに・はるみ)さん 、達則(たつのり)さんから直接、生産方法について聞くなど貴重な機会となりました。
「大谷農場の特徴は、精米をせずにもみのまま1年間保管すること。これにより、玄米で保管するよりも品質の劣化が少なくなることが特徴です。虫もつきづらく、見た目も食味も新米に近い形に保つことができます」(大谷晴美さん)
参加者からも活発な質問が出るなど充実した時間となりました。
その後、参加者たちは多古米を試食。食べ始めると「うまい!」「すごい甘い!」「おいしいお米ですね」などの感想が次々と出てきました。
旅の一行はその後、粘り気が強くて人気のあるとろろ芋「大和芋」を生産する株式会社伊藤農園や、自社で加工・販売など6次化を行う県内屈指の養豚場、有限会社ジェリービーンズ、千葉の名産品落花生とその加工品を扱う植松商店株式会社へと足を運びました。
シェフが生産者から直接説明を受け、その場で試食も実施。この旅をきっかけに、植松商店の落花生はホテル「WITH THE STYLE FUKUOKA」で、ジェリービーンズの豚肉の骨付きロース肉(トマホーク)は「ザ・ガーデンオリエンタル大阪」で使用されることが決まりました。その他の食材も、旬の時期を確認しながら今後の活用機会が検討されています。
「多古町」の農産物認知向上へ
人口約1万3600人の多古町は、面積の約7割が山林と農地です。多古米や大和芋をはじめとする多古町の特産品に、参加者一同、舌鼓を打ちました。しかし、これらの特産品は地元の方々には知られているものの、まだまだ県外の人の認知は得られていないのが現状です。
多古町長の平山富子(ひらやま・とみこ)さんは、地域の農産物の認知向上について「でりさす×ご馳走旅」へ期待を寄せました。
「多古町にはおいしい食材や農産物がいろいろとありますが、全国的な知名度を持つには至っていません。多古町の魅力を知ってもらう機会を与えてもらえたことは、町として非常にありがたいことです」
さらに、地域の人たちにとっても「いい刺激になれば」と話しました。
「町の人たちにとっては、多古町の食材は珍しいものではなく日常的に口にしているものですが、一流シェフの方々にアレンジしてもらうことで、さらに魅力やおいしさが増すと思います。生産者からしても『こんな食材の提供の仕方があるんだ』など、新しい発見が生まれたらなと思っています」
持続可能な農業を目指す多古町の四つの工夫
多古町の今後の課題は、持続可能な農業だと話した平山さん。後継者不足が顕著で人材育成が急務になっていることから、今年度からは町として「輸出を含めた販路拡大」「新たな付加価値としてのオーガニック」「若者世代に興味をもってもらうデジタルコンテンツ」「アグリテックの活用」の4点の取り組みを始めました。このように町全体で“もうかる農業”への転換をサポートするなど、若者に魅力を感じてもらうための工夫を行っています。
「でりさす×ご馳走旅」は、今後年間12件以上の産地(自治体)への訪問を予定しています。また、このプロジェクトで出会った食材を使い、特別フェアの開催も検討中です。
(編集協力:三坂輝プロダクション)