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新米シーズンいよいよ到来! お米マイスターが選ぶ、今年食べてみたいお米品種20選

sato tomoko

ライター:

新米シーズンいよいよ到来! お米マイスターが選ぶ、今年食べてみたいお米品種20選

いよいよ、新米の季節がやってきます。日本人の主食であるお米は全都道府県で作られており、主食用うるち米だけでも300近くの品種が栽培されています。それぞれ食味に特徴があり、好みで選んでも、食べ比べても、料理に合わせてもよし。新米のシーズンを前に、今年食べてみたいお米を、米穀商・古谷商店(埼玉県狭山市)の4代目、五つ星お米マイスターの古谷祐一朗(ふるや・ゆういちろう)さん・三つ星お米マイスターの由華さん監修のもと選びました。

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良食味で作付面積が多い3品種

 
多くの日本人にとっておいしいお米といえば、甘くて粘り気があるコシヒカリ。そのコシヒカリを親とするひとめぼれ、あきたこまちも人気の良食味米です。
 

コシヒカリ

コシヒカリ(佐渡)

令和5年・新潟県佐渡産

食べたときの粘り・香り・甘みのバランスの良さは、さすがお米のトップブランド。
日本で最も作付面積が多く全体の33.4%(令和4年産)を占め、北海道と沖縄を除く日本各地で生産されています。1944年に新潟県で交配され、福井県で系統育成されて、1956年に「農林100号」として品種登録されコシヒカリと名付けられました。新潟県の代表品種で、北陸の富山県、福井県のほか、多古米(千葉県)、仁多米(島根県)などの産地ブランド米としても流通しています。

ひとめぼれ

ひとめぼれ

令和5年・宮城県産

やわらかい口当たりが魅力。粘り・ツヤ・うまみ・甘みのトータルバランスが良く、いろいろな料理に合う優等生です。
作付面積は第2位で全体の8.5%(令和4年産)を占めています。コシヒカリを親として宮城県で育成され、1992年に品種登録されました。宮城県をはじめ、岩手県、秋田県、福島県など東北地方を中心に全国的に生産されています。

あきたこまち

あきたこまち

令和5年・秋田県産

うまみと甘みが強いにもかかわらず、意外とあっさり。どんな料理にも合うオールマイティーなお米です。
作付面積は第4位で全体の6.7%(令和4年産)を占めています。1975年に福井県農業試験場でコシヒカリを母として交配され、1977年に秋田県農業試験場で食味の良いものが選抜育成され、1984年に新品種として誕生しました。秋田県をはじめ、長野県、茨城県、愛媛県など全国的に生産されています。

硬めのお米が好きな人におすすめの品種

粒立ちが良いお米は、総じて弾力があり、しっかりとした硬めの食感。丼物、カレー、揚げ物にも合います。

はえぬき

米の一粒一粒がしっかりしていて、弾力のある歯応えが魅力。回転ずしチェーンのシャリや中華料理店のチャーハンにも採用されています。
いもち病に弱く倒伏しやすかったササニシキの後継品種として10年かけて育成され、1992年にデビューした山形県のオリジナル品種。ササニシキ、コシヒカリ、あきたこまちなどの良食味米をルーツに持っています。
 

天のつぶ

粒ぞろいがよく、光沢があり、しっかりとした食感。お米表面はコシヒカリより硬く、粘りは強め、しっかりめのお米です。油や汁が染み込みすぎないので、丼物やチャーハンにおすすめ。
栽培しやすく、品質と食味の良い品種を目指して、1995年に福島県農業試験場で育成が始められ15年の歳月をかけて完成。2011年に本格デビューした福島県のオリジナル品種。コシヒカリ、ひとめぼれなどをルーツに持っています。

きたくりん

ほどよい甘さとしっかりとした粘りが特徴で、特A評価のななつぼしにも負けず劣らずの高い評価を得ています。甘みと弾力が特徴のふっくりんこの系統を持つ、北の大地のクリーンなお米から名付けられました。高い耐病性があり、農薬散布回数を減らせることでも注目のお米です。2013年に品種登録されました。

雪若丸

雪若丸

令和5年・山形県産

しっかりとした粒感、際立つ白さとツヤ、弾力のある食感が特徴。その粒立ちの良さは、食べ応えがあり、カレーや丼物、チャーハンに向いています。
つや姫の弟分として2003年に交配・育成され、2018年に本格デビュー。山形県のオリジナル品種です。

やわらかいお米が好きな人におすすめの品種

もっちりとやわらかいお米といえば、低アミロース米。通常のうるち米と比べてアミロースの含有量が少なく、もち米とうるち米の中間にあたります。味の濃い肉料理と好相性。タレが絡んだお肉をご飯の上でワンクッションさせて食べるのにぴったり。

ミルキークイーン

ミルキークイーン

令和5年・埼玉県産

低アミロース米。乳白色の粒は、もち米に近くモチモチ食感。冷めても硬くなりにくいのでお弁当やおにぎりにも向いています。
突然変異したコシヒカリを系統育成してアミロース含有量をコシヒカリの5分の3程度に下げ、炊飯したときの粘りを高めた品種です。1995年に新品種として登録され、2000年に茨城県の認定品種として採用されました。同県をはじめ東北以南の米どころで全国的に栽培されています。

ゆめぴりか

ゆめぴりか

令和5年・北海道産

低アミロース米。北海道の最上級米。ほどよいもっちり感・ツヤ・香りがあり、安定の食味。どんな料理にも合い、味の濃いおかずにも負けないおいしさです。
北海道がササニシキやコシヒカリのような良食味米の開発を目標に1980年にスタートさせたプロジェクトで、1997年に交配した系統の中から約10年の歳月を経て誕生し、2009年に北海道の優良品種に認定されました。北海道のみで生産され、例えばJA新すながわでは、利雪低温倉庫でもみを保存するなど北海道らしいクリーン農業で生産しています。

だて正夢

だて正夢

令和5年・宮城県産

低アミロース米。目指したのはとびっきりのもっちり感。かむほどにあふれだす甘みとうまみが特徴。お弁当やおにぎりにも向いています。
良食味米のササニシキとひとめぼれ発祥の地、宮城県が、炊き上がりのもちもち感を徹底的に追求し、12年の歳月をかけて開発育成。2018年に登場した新品種です。

甘いお米が好きな人におすすめの品種

炊き上がりがもちもちと弾力のあるお米は、かむほどに甘みが感じられます。そのまま食べてもおいしく、味の濃い料理にも合います。

コシヒカリ

食べたときの粘り・香り・甘みのバランスの良さは、さすがお米のトップブランド。誕生から半世紀以上たっても多くの人に好まれ、良食味米として、新品種開発のベンチマークになっています。

サキホコレ

食味のよさを徹底的に追求。ふっくらもっちり食感、甘み、香りも秋田県の最上位品種!
2022年に秋田県でデビューした新品種。
コシヒカリを超える極良食味品種をコンセプトに開発されました。品種特性を安定的に発揮できる地域に作付けを限定し、農薬の使用回数を慣行の半分以下に削減。生産団体登録制度で高い生産技術を有する生産者に栽培を限定しています。

いちほまれ

いちほまれ

令和5年・福井県産

コシヒカリ発祥の地、福井から生まれたコシヒカリを超える米。絹のような白さとツヤ、粒感と粘り、広がる甘みが特徴です。
福井県が次世代を担う新品種として、コシヒカリの孫にあたる粘りのある品種と粒がきれいな品種を交配。1991年に試験栽培を始め、2018年に本格的に栽培を開始しました。化学肥料を地域基準から2割以上削減したエコ栽培以上の、定められた品種基準をクリアしたものだけが出荷されます。

つや姫

つや姫

令和5年・山形県産

山形県の最上級米。粒に弾力があり、粘りすぎず歯応えもよく、コシヒカリを上回る評価も得ています。
山形県立農業試験場庄内支場で、1998年から10年かけて開発育成された品種。100年前に庄内町の篤農家が育て、コシヒカリやササニシキに良食味性が引き継がれた品種「亀ノ尾」のDNAを受け継いでいます。山形県のほか、宮城県、島根県、大分県などで生産されています。

あっさりとしたお米が好きな人におすすめの品種

あっさりとした良食味米の代表格といえばササニシキ。今やその生産量は減っていますが、魚料理などの和食と相性が良く、酢飯に向いていることから需要が高く、後継品種が開発されています。

ササニシキ

ササニシキ

令和5年・宮城県産

コシヒカリと比較すると、粘りが少なくあっさりとした、口の中でほどけるような食感は、寿司や和食に向いています。
宮城県の古川農業試験場で1963年に育成され、1989年には栽培面積20万ヘクタールを超えるまでに拡大し、コシヒカリと並び称される主要品種でした。栽培が難しいことに加え、気候の変化に弱いため1993年の記録的冷夏で大打撃を受けて作付面積が減少しました。現在は宮城県などの一部の地域で作られ、希少な品種となっています。

彩のかがやき

タンパク質値が低いため、やわらかくて粘りが強く、さっぱりとした味の中にほのかな甘さを感じます。
1992年に埼玉県農業技術研究センターで交配され、1994〜97年の2年間は沖縄県で二期作で育苗を行い育種期間を短縮して2002年に誕生。コシヒカリの系統を母、ササニシキの系統を父に持つ品種。減農薬栽培に適しています。

東北194号

宮城県の古川農業試験場で、ササニシキを母、ひとめぼれを父に育成された新品種。ひとめぼれの育てやすさとササニシキのあっさりとした良食味を受け継いでいます。2013年に宮城県で奨励品種に採用され、栗駒市では「いくよちゃん」、大崎市では「ささ結び」のブランド米で栽培を推進しています。

大粒のお米が食べたい人におすすめの品種

一粒一粒が際立ち、食べ応えのある大粒米。かめばかむほど甘みも感じられます。

福、笑い

福、笑い

令和5年・福島県産

福島県が新しいおいしさを追求して生まれたお米。大粒でもっちり粘りがあり、香りが立ち、強い甘みが感じられます。選ばれた作り手だけが育てることができます。
コシヒカリの系統を母、ひとめぼれの系統を父に持ち、開発に14年かけて2019年に福島県で奨励品種への採用が決定。認証GAPを取得した生産者だけが作ることができ、玄米タンパク質含有率6.4%以下、ふるい目1.9mm以上という厳しい基準を満たしたものだけが「福、笑い」を名乗ることができます。年末年始の贈答用にも人気。

新之助

大粒で、きれいなツヤがあり、多品種と比べて硬めでありながら、粘りが強い。しっかりとした粒感と粘りが特徴の新潟米の新エース。
新潟県がコシヒカリに匹敵する新品種として2008年に開発をスタート。コシヒカリよりも稲が実る時期を遅らせた晩生(おくて)品種で、地球温暖化の進行にも備えています。500種の交配から20種類を選抜育成して米の輝きと食味のチェックを重ね、2017年に本格デビューしました。

ふくまる

茨城県が生んだ全国トップクラスの大粒米。さっぱりとした味わいで、際立つ粒の大きさとやや弾力があり、かみ応えのある食感で、口の中で一粒一粒の存在感があります。
茨城県で育成された早生(わせ)品種で、大粒、良食味で炊飯適性に優れています。高温の年にも品質の安定が確認されています。2014年に品種登録され、茨城県全域で普及拡大を推進中。

冷めてもおいしい。お弁当やおにぎりにおすすめの品種

おいしいお米は、冷めてもおいしいのが基本ですが、お弁当やおにぎりにするお米は、食べ応えのあるもっちりタイプと、ぎゅっと詰めても粒がほぐれやすいタイプに好みが分かれます。どんなおかずにも合う4品種を紹介します。

あきたこまち

粒がほぐれやすいタイプ。うまみと甘みが強いにもかかわらず、意外とあっさり。どんな料理にも合うオールマイティーなお米です。

ななつぼし

粒がほぐれやすいタイプ。ほどよいしっかり感と甘みのバランスが抜群。食味ランキングで特Aを獲得しています。握りやすさから寿司米としても人気があります。
1993年に北海道立中央農業で交配され、2001年に北海道の奨励品種として採用されました。ひとめぼれの孫にあたり、味と食感のバランスが良く、洋食・和食のどちらにも合います。もっちり系のゆめぴりかと対をなすあっさり系の北海道米です。

ゆめぴりか

もっちりタイプ。北海道の最上級米。ほどよいもっちり感・ツヤ・香りがあり、安定の食味。どんな料理にも合い、味の濃いおかずにも負けないおいしさです。

ミルキークイーン

もっちりタイプ。乳白色の粒は、もち米に近くモチモチ食感。冷めても硬くなりにくいのでお弁当やおにぎりにも向いています。

米どころからブランド米が続々

同じ品種でも、産地の土壌や気候によって特徴が異なり、年によっても味わいが違うお米。食味の追求はもちろん、気象条件への対応や、病害虫に強く、倒れにくいなど、栽培のしやすさも狙った新品種の開発や品種改良が重ねられています。米どころの各県では、オリジナル品種の育成に力を入れ、生産方法までこだわったブランド米が誕生するなど、ますますお米から目が離せません。主食として食べ続けているだけに、いつも決まった品種・産地を選びがちですが、新米が出そろう機会に気になる品種を食べ比べて、好みをアップデートしてみてはいかがでしょう。お米マイスターの米穀店で相談しながら選ぶのも楽しいですよ。

監修:おいしいお米の専門店 古谷商店

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