タバコガ・オオタバコガの生態と特徴
タバコガとオオタバコガはチョウ目の虫で、多くの野菜や花き類に被害を与える害虫です。特にオオタバコガは1994年頃から発生が増加しています。
トマトやナス、ピーマン、オクラ、イチゴ、キャベツといった野菜だけでなく、バラやカーネーションなどの花きにも被害を及ぼし、作物の品質や商品価値を大きく低下させます。また、オオタバコガは殺虫剤に対する耐性が高いため、有効な薬剤が限られていることも課題です。
タバコガ・オオタバコガを見分けることは難しく、どちらの幼虫も成長すると体長40ミリほどになり、体色は淡緑色から濃褐色までさまざまです。成虫は体長約15ミリ、羽を広げたときの幅は35ミリ程度で、一般的に褐色ですが、個体ごとの違いが大きいのが特徴です。
幼虫は葉を食べるだけでなく、果実や蕾、茎、結球の内部にも侵入して食害を行い、特にトマトやイチゴなどでは果実に入り込むことで商品価値が著しく損なわれます。更に、キャベツやレタスでは結球の内部に入り込み、深刻な被害を与えます。1匹の幼虫が複数の果実を移動しながら加害するため、発生量が少なくても被害が広がりやすい点も問題です。
タバコガ類が生息している場所
タバコガ類は広く世界に分布しており、日本、東アジア・東南アジア、インド、オーストラリア、アフリカで見られます。国内では北海道から沖縄まで生息しているため、防除をしっかり行うことが必要です。
タバコガ類が発生しやすい時期
タバコガ類は暖かい気候を好みます。そのため、4月~11月の春から秋にかけて2~3回発生します。気温が高まり、湿度が低い時期が続くと発生しやすくなり、8~10月に被害が増える傾向にあります。
人体への影響はある?
タバコガ類には毒性がないので、触っても大丈夫です。ただ、害虫を捕殺するときは軍手や手袋などをしたほうが安心です。
タバコガが発生しやすい作物を種類別に紹介!
タバコガとオオタバコガはあまり違いのない害虫ですが、発生する作物が異なります。どのような違いなのか、簡単に説明します。
タバコガ
タバコガは基本的にナス科野菜に発生しやすいのが特徴です。ナス、トマト、ピーマン、トウガラシなどでよく被害が見られます。
オオタバコガ
オオタバコガは、ナス科野菜以外の作物にも幅広く発生しやすいのが特徴です。ナス科野菜に加え、オクラ、キュウリ、カボチャ、イチゴ、レタス、キャベツ、ニンジンなど家庭菜園でも栽培することの多い人気の高い野菜にもよく発生します。
タバコガの駆除におすすめの殺虫剤・農薬
タバコガ類は殺虫剤・農薬が効きづらいといわれています。そのため、薬剤選びはしっかり行わなくてはなりません。また、効果が弱いなと感じたら、他の薬剤を使ったり、直接捕まえたりするなど、多角的に防除することも大切です。
本記事では、特に家庭菜園でも使いやすい薬剤をいくつか紹介します。
STゼンターリ顆粒水和剤
STゼンターリ顆粒水和剤は自然界にいる天然生物が作る有効成分をもとに作られた薬剤です。化学殺虫成分を含んでいないため安全性が高く、有機栽培でも使うことができます。タバコガ類では、葉物野菜やトウモロコシの防除に使うことができます。
ベニカXネクストスプレー
ベニカXネクストスプレーは5種類の有効成分が含まれた殺虫殺菌剤です。スプレータイプなので、調合をせずにそのまま使うことができます。トマトやナスなど家庭菜園でよく育てる作物のタバコガ類防除に使うことができ、入手もしやすく便利な薬剤です。
アファーム乳剤
アファーム乳剤はオオタバコガをはじめとして、タバコガ、ハスモンヨトウなどの大型チョウ目害虫に素早く効く薬剤です。トウモロコシ、ズッキーニ、トマト、ナス、ピーマン、ブロッコリーなど、家庭菜園で育てられることの多い作物のオオタバコガ防除に使うことができます。現役農家からの支持も厚く、さまざまな場所で使われている農薬です。
殺虫剤や農薬を使わずにタバコガを駆除する方法
タバコガ類を薬剤を使わずに駆除する方法と、発生数を抑制するために気をつけたいことを簡単に紹介します。どちらの内容もやること自体はシンプルですが、栽培している作物の量が多かったり、植え付け範囲が広かったりすると手間がかかりますので、根気よくやっていきましょう。
実の穴を見つけて、幼虫ごと実を処分する
タバコガの幼虫は、果実に穴を開けて、中に潜って食害します。トマトやナスなどの果実をよく観察して、穴が空いている場合はタバコガの幼虫が潜んでいる可能性大です。果実をもぎ取って中を開いて内側を確認してみましょう。
もし幼虫が多発してしまい、穴の空いた果実だらけになってしまうと、これまでの努力が台無しになってしまいます。タバコガに限らず、害虫駆除は早期発見早期対策が鉄則です。日々観察を行い、汚れや傷を見つけたら、周りを注意深く見て、どのような病害虫が原因なのかを考えることも大切です。
タバコガを抑制するために気をつけること
タバコガ類の発生数を抑えるためには、早期発見早期対策に努め、寄生密度の低いうちに薬剤散布や捕殺などで防除することが重要です。タバコガ類は老齢幼虫や成虫になるにつれ薬剤の効果が減っていくので、若齢幼虫の間にどれだけ防除できるかが肝になります。
タバコガ類は草勢が弱まっている株や、成長バランスが崩れている株に好んで産卵します。土壌の窒素分過多や肥料過多が原因になるので、適切な施肥量を守って栽培することが大切です。
タバコガ類は赤色を好みます。畑の近くに赤色の物を置かないこと、赤い花を植えないことも大切です。反対に黄色を嫌がるという性質もあるので、マリーゴールドなどの黄色い花を野菜の近くに植え付けたり、黄色いLEDライトを使って成虫の飛来を抑止するという方法もあります。防虫ネットを使うのも効果的でしょう。
まとめ
タバコガ類は作物の果実を直接食べてしまう、厄介な害虫です。食欲も旺盛で、放っておくと大量に発生してしまうので、せっかく丹精込めて育ててきた作物が、気づいたら駄目になってしまったなんてこともありえます。
発生初期の段階で殺虫剤や農薬を使って防除すること、土壌の肥料成分をしっかり管理すること、タバコガの嫌う黄色を活用することなど、多角的に防除するよう心がけましょう。
ぜひ本記事を参考にしてタバコガ類の防除を行ってみてください。
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