レモンの木の剪定の適期は3月
レモンの剪定は基本的に、真冬と真夏以外であればいつでも可能ですが、3月ごろが適期になります。レモンは寒さに弱いため、真冬の剪定は枯れる原因となります。また、木が最も成長する真夏の時期の剪定は、木にダメージを与えて木を弱めてしまいます。
休眠期から成長期へと移り変わる3月にしっかりと剪定を行い、それ以外の季節は透かし剪定など軽く枝を整える程度にとどめておくのが無難でしょう。こうすることで樹形が整えられ、木全体に日光が届くようになり風通しも良くなるため、病害虫の発生を防ぐことができます。それにより、実付きを良くして収穫量を増やすことにもつながります。
レモンの剪定、なぜ必要?
剪定を行うことで病害虫リスクを減らし、実付きが良くなることは先述した通りですが、その他にも不要な枝や弱い枝を取り除いてコンパクトに仕上げることで、木が吸収したエネルギーを効率的に実に届けることができるといったメリットがあります。
これにより、大きくておいしいレモンの収穫につながります。枝が密集していると実が小さくなったり、数が減ったりする可能性があるため、適度に間引くことが重要です。
また、安全性や管理のしやすさも理由の一つです。伸び過ぎた枝や低い位置にある枝を切ることで、庭や人が傷付くのを防ぎ、収穫作業もしやすくなります。
レモンの木の剪定に必要な道具
レモンの木の剪定に必要な道具をご紹介します。鉢植えレモンの剪定は手袋と剪定バサミがあれば大丈夫。大きく育った地植えレモンの剪定にはノコギリや脚立、癒合剤が必要になります。
手袋
レモンの木には鋭いトゲがあります。ケガをしないよう、できるだけ厚手の手袋をして安全に作業を行ってください。
剪定バサミ
剪定バサミには大きさや形状など、さまざまなバリエーションがあります。自分の手にフィットする剪定バサミが見つかると、効率がアップして気持ち良く作業が行えます。
ノコギリ
太くなり過ぎた古い枝には実が付きにくくなるので更新する必要があります。折り畳んでコンパクトに収納できるノコギリがあると便利です。
脚立
成長した地植えレモンの剪定には脚立があると便利です。高枝切りバサミも便利ですが使い続けると腕が疲れるので、脚立を立てて作業するのがおすすめです。
癒合剤
樹木の自然な回復を助け、傷の治りを促進します。切り口からの病害虫の侵入やカビの発生を防止し、病気予防に効果があります。切り口からの水分蒸発を抑え、乾燥を防いでくれます。
レモンの木の剪定方法
剪定のコツは、木の全体を見て理想の形をイメージすること。すっきりコンパクトに仕上げることで、木の細部まで日が当たり、風通しも良くなって病害虫も防げます。樹形が縦ではなく横に広がる「開心自然樹形※」に仕立てるのが理想です。
※幹から伸びた太い枝から細い枝を放射状に伸ばすように仕立てる方法
1年目の剪定
1年目の剪定は強い骨格を作ることに重点を置き、弱い枝や不要な枝を取り除くことで主幹や主要な枝にエネルギーを集中させます。ホームセンターなどで購入してきた苗木が長過ぎる場合は50cmほどの高さで切り戻し、新しい枝が伸びるよう促します。1年目は木が幼いため、過度な剪定は避けましょう。
2年目の剪定
1年目で決めた主幹から伸びた枝の中から、状態の良いものを3本ほど残します。これらが将来の主要な骨格になります。選ばなかった枝は取り除き、エネルギーを生産性の高い部分に集中させます。徒長枝や木の内側に向かって伸びる枝、交差して絡み合う枝を剪定し、主枝も先端の1/3程度を切り戻して新しい側枝の成長を促します。根元や幹から生える「ひこばえ」は栄養を奪うため、必ず取り除きます。2年目で実が付くこともありますが、木の成長を優先してできれば摘果してください。
3年目の剪定
2年目までに選んだ3〜5本の主枝を中心に、できるだけ横に広がっていくよう剪定します。2年目と同じように徒長枝、木の内側に向かって伸びる枝、交差して絡み合う枝、ひこばえを剪定し、木が大きくなり過ぎないよう全体の高さを抑える剪定も行います。実が付きはじめますが、まだ若い木なので全てを育てようとせず、少量だけ残して見守るのも良いでしょう。剪定後は水やりと肥料を施して木の回復を助けます。
4年目以降の剪定
4年目になると樹形がほぼ完成し、安定して実を収穫できるようになります。主枝が伸び過ぎた場合は先端を軽く切り戻し、側枝が混み合わないよう間引きます。また、古くなって実を付けにくくなった枝は切り落として若い枝への更新を促します。レモンは上方向に伸びていくため、収穫や管理がしやすいよう木の高さを2m程度に保ちましょう。また、レモンは豊作と不作の年が交互に来る「隔年結果」が起きやすいので、実が多過ぎる年は摘果して木の負担を調整するのがおすすめです。
レモン剪定の6つのポイント
剪定は以下の6つのポイントを押さえると上手に作業が行えます。
また、剪定枝の根元を残すとそこから枯れてしまうことがあるため、必ず付け根から切るようにしましょう。
トゲは切っても大丈夫
レモンのトゲを切っても生育に大きな影響はありません。トゲは怪我の原因になるだけでなく、せっかく育った実がトゲに触れて傷付いてしまうこともあります。気になるトゲはカットしてから剪定作業を進めてください。
枯れた枝を剪定する
枯れた枝や細過ぎる枝を剪定します。余分な枝をスッキリ剪定することで届かせたい枝や実に養分を行きわたらせることが可能です。
古くなった枝を剪定する
古くなった枝には実が付きにくくなるため、木がしっかり成長してからは枝の更新を計画的に行います。また、前年に実を付けた枝には実がならないため、収穫時には実だけでなく枝までカットしてもOKです。
伸びすぎた枝を剪定する
勢いよく伸び過ぎた枝は「徒長枝」とよばれます。徒長枝には実が付きにくく、実が付いても重さに耐えられず下がってしまうので切っておきましょう。また、レモンは上に成長していくので、あまり高くなり過ぎないよう剪定することも重要です。
内側に生えた枝を剪定する
木の内側に向かって生える枝を剪定することで日当たりや風通しが良くなり、「開心自然樹形」という理想の樹形に近付きます。
混み合った場所をスッキリさせる
枝や葉が混み合った場所は風通しが悪くなり、病害虫の発生源になりやすいです。スッキリ剪定して風通しを良くしてあげましょう。
上手に剪定するコツ
レモンの剪定はコツをつかむとスピードも仕上がりもアップします。木の健康と果実の質を保ちながら、効率的に作業を進めるためのポイントを紹介します。
適切なタイミングに剪定する
春先(3月〜4月)や収穫後の秋に剪定するのがおすすめです。寒すぎる冬や暑すぎる夏は避けましょう。
道具を清潔に保つ
剪定ばさみやノコギリは、刃のアルコール消毒をしておくと、病気の感染を防げます。他の植物を剪定した後は特に注意しましょう。
切り方を工夫する
枝を切る時は芽の向きに注意し、外側に向かう芽の上で切ると、新しい枝が外に伸びやすくなります。
剪定し過ぎない
一度に切り過ぎないよう注意しましょう。初めての剪定は、少しずつ様子を見ながら進めると安心です。
レモンの樹高を低く保つ
木が高くなると収穫や剪定が難しくなります。低く育てることで樹勢が抑えられ、栄養が木の全体に届いて実付きも良くなります。
レモンの木の剪定についてよくある質問
Q.育てていてもなかなか実ができません。
A.レモンは樹が十分に成長していなかったり栄養が足りないと花が咲いても実を自分で落下させてしまいます。諦めずに愛情を持って手入れを続ければ、数年後には安定して収穫できるようになると思います。
Q.低く育てるにはどうしたらいいですか?
A.レモンの木は上方向に成長していきます。背が高くなり過ぎると収穫時に手が届かなくなるため、頂上枝を切り戻して樹高を抑えましょう。
Q.トゲは処理しても良いですか?
A.レモンのトゲは処理しても生育に大きな影響はありません。怪我や実を傷付けてしまう原因になるため、気になる部分のトゲは剪定バサミでカットしましょう。
Q.剪定適期の3月を逃してしまいました。どうすればいいでしょうか。
A.真冬と真夏以外は剪定をしてもかまいませんが、強く剪定すると木へのダメージが大きいため軽めの剪定にとどめましょう。日当たりや風通しを良くするため、剪定自体はした方が良いです。
Q.鉢植えと地植えの剪定に違いはありますか?
A.基本的な考え方や適期は同じです。収穫できる実の数が限られる鉢植えは、できるだけコンパクトな樹形にした方が立派な実ができます。地植えは大きく育つため、背が高くなり過ぎないよう樹高のコントロールに気を付けましょう。
Q.剪定後に気を付けることはありますか?
A.レモンは柑橘類の中でも特に“肥料食い”だといわれています。剪定後は株周りに有機肥料もしくは緩行性化成肥料を与えてください。また、乾燥を嫌うので剪定枝や落ち葉をマルチングかわりに敷くのもおすすめです。
剪定で樹形をそろえて、おいしい実を収穫しよう!
白く可憐な花が咲き、黄緑色の実がグングン大きくなっていき、冬が近づくに連れて黄色く色付くレモン。レモン栽培はその成長を見守るのもすごく楽しいですし、収穫した実は香り高く、料理に大活躍してくれます。自身で育てた無農薬のレモンなら、紅茶の中に皮ごと入れても気になりませんよね。
レモンをはじめとする柑橘類は剪定することで枝が若返り、実を付けやすくなります。剪定することで病害虫対策にもなります。毎年忘れずに剪定し、おいしい実をたくさん収穫してください。