イチゴと特に相性の良い野菜・ハーブなど5選
イチゴは、特定の野菜やハーブと一緒に植えることで、害虫を防いだり、成長を促したりする効果が期待できます。特に相性が良いのは、ネギ、行者ニンニク、ボリジ、ペチュニア、クリムゾンクローバーの5つです。ネギや行者ニンニクは害虫忌避効果があり、ボリジやペチュニアは受粉を助け、クリムゾンクローバーは土壌改良に役立ちます。次の章では、それぞれの具体的な効果や植え方のポイントを詳しく解説していきます。
ネギ
イチゴとネギは、コンパニオンプランツとして相性の良い組み合わせです。ネギの持つ特有の香りが、イチゴの害虫であるアブラムシやハダニを忌避する効果が期待できます。また、ネギを混植することでイチゴの連作障害の防止にもつながる上、双方の収穫量が増加するメリットも報告されています。
植え方のポイントは、イチゴの株間にネギを植えること。スペースを有効活用しつつ、互いの成長を促進できます。ただし、密植し過ぎると風通しが悪くなって病害のリスクが高まるため、適度な間隔を保つことが重要です。
行者ニンニク
行者ニンニクの持つ独特の香りは、イチゴの害虫であるアブラムシやハダニを忌避する効果が期待できます。また、行者ニンニクの根には抗生物質を生成する微生物が共生しており、これがイチゴの病気予防に役立つとされています。実際、行者ニンニクとイチゴを混植した結果、病害虫の被害が減少し、イチゴの生育が良好になったという報告もあります。
植え方のポイントは、イチゴの株間に行者ニンニクを配置し、適度な間隔を保つこと。風通しを良くし、双方の成長を促進できます。ただし、行者ニンニクは成長力が強いため、定期的な管理が必要です。
ボリジ
ボリジの鮮やかな青い花は、ミツバチやマルハナバチなどの受粉を助ける昆虫を引き寄せ、イチゴの結実率を高めます。また、ボリジはイチゴの風味や甘みを向上させる効果があるとも言われています。さらに、ボリジの根は土壌中のミネラルを吸収し、葉や茎に蓄えるため、枯れた後に土に戻すことで土壌の肥沃度を高める効果も期待できます。
植え方のポイントは、イチゴの周囲にボリジを配置し、適度な間隔を保つこと。風通しを良くし、病害のリスクを低減できます。ただし、ボリジは繁殖力が強く、放置すると種が飛び散り増えすぎる可能性があるため、花が枯れたら早めに摘み取るなどの管理が必要です。
ペチュニア
ペチュニアの花は、ミツバチなどの昆虫を引き寄せ、イチゴの受粉を助ける効果があります。これにより、イチゴの結実が良くなり、収穫量の増加が期待できます。また、ペチュニアはイチゴに付く害虫を防ぐ効果もあり、イチゴの健康な生育をサポートしてくれます。
植え方のポイントは、イチゴの周囲にペチュニアを配置し、適度な間隔を保つこと。風通しを良くし、病害のリスクを低減できます。
クリムゾンクローバー
クリムゾンクローバーはマメ科の植物で、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を取り込んで栄養分に変え、土壌を豊かにする効果があります。これにより、イチゴの生育が促進されます。また、クリムゾンクローバーの赤い花は、ミツバチなどの昆虫を引き寄せ、イチゴの受粉を促進する効果もあります。さらに、クリムゾンクローバーは緑肥としても利用でき、シーズン後にそのまま土にすき込むことで、次の作物の肥料となります。
植え方のポイントは、イチゴの周囲や畝間にクリムゾンクローバーを配置し、適度な間隔を保つこと。風通しを良くし、病害のリスクを低減できます。ただし、クリムゾンクローバーは繁殖力が強いため、適切な管理が必要です。
相性の良い組み合わせを紹介
イチゴと相性の良いコンパニオンプランツを組み合わせることで、害虫を遠ざけたり、成長を助けたりする効果が期待できます。野菜では、病害虫を予防しながら生育環境を整えるものが多く、ハーブや花では、受粉を促進し、風味を向上させるものが多いのが特徴です。
この章では、イチゴと相性の良い野菜とハーブ・花の組み合わせについて、それぞれ詳しく解説していきます。
野菜編
ニンニクやネギ、行者ニンニクなどのヒガンバナ科の野菜は、イチゴの病害虫予防に効果的であり、混植することでイチゴの生育を促進する効果も期待できます。一方、レタスやエダマメは、土壌環境の改善や保湿効果があり、イチゴの栽培環境を整えるのに役立ちます。
コンパニオンプランツ | 分類 | 効果 | オススメ度 |
ニンニク | ヒガンバナ科 | 成長促進・病害虫予防 | ☆☆☆ |
行者ニンニク | ヒガンバナ科 | 成長促進・病害虫予防 | ☆☆☆ |
ネギ | ヒガンバナ科 | 病害虫予防 | ☆☆ |
レタス | キク科 | 株元の保湿・雑草抑制 | ☆☆ |
エダマメ | マメ科 | 土壌改良・生育促進 | ☆☆ |
ハーブ・花編
ボリジやペチュニアは受粉を助ける昆虫を引き寄せ、イチゴの収穫量を増やす効果が期待できます。また、カモミールやチャイブはイチゴの生育を促進し、病害虫の予防にも役立ちます。マリーゴールドは土壌改良や害虫忌避に効果的で、イチゴの栽培環境を整えるのに役立ちます。
コンパニオンプランツ | 分類 | 効果 | オススメ度 |
ボリジ | ムラサキ科 | 受粉促進・害虫忌避 | ☆☆☆ |
ペチュニア | ナス科 | 受粉促進・害虫忌避 | ☆☆ |
カモミール | キク科 | 成長促進・害虫忌避 | ☆☆ |
チャイブ | ヒガンバナ科 | 成長促進・病気予防 | ☆☆ |
マリーゴールド | キク科 | 土壌改良・害虫忌避 | ☆☆ |
混植に適さない野菜を紹介
イチゴと相性の悪い野菜を以下の表にまとめました。これらの組み合わせは、生育阻害や病害リスクの増加などの問題を引き起こす可能性があるため、混植は避けることをおすすめします。
同じヒガンバナ科でもニラとの相性が悪いのは、イチゴもニラも浅く根を伸ばす性質があり、競合してしまうからです。ネギやニンニク、行者ニンニクは根が生える深さが違うので、コンパニオンプランツとして活用できます。
混植に適さない野菜 | 分類 | 理由 |
ニラ | ヒガンバナ科 | イチゴの生育を邪魔してしまうため |
キャベツ | アブラナ科 | 同上 |
ローズマリー | シソ科 | 同上 |
タイム | シソ科 | 同上 |
ミント | シソ科 | 同上 |
後作に適した野菜・後作に適さない野菜を紹介
イチゴの収穫後、同じ畑で次に何を栽培するかは、土壌の健康や作物の生育に大きく影響します。適切な後作を選ぶことで、連作障害を避け、効率的な畑作りが可能になります。一方、イチゴの後作として避けた方が良い野菜も存在します。それぞれ見ていきましょう。
後作に適した野菜
イチゴの後に植えたい野菜は、レタス・ホウレンソウ・ダイコン・エダマメ・トウモロコシなどです。
後作に適した野菜 | 分類 | 理由 |
レタス | キク科 | 短期間で収穫可能で、土壌への負担が少ない |
ホウレンソウ | アカザ科 | 根が浅く、土壌の栄養を適度に利用する |
ダイコン | アブラナ科 | 土壌の通気性を改善してくれる |
エダマメ | マメ科 | 窒素を固定し、土壌を肥沃(ひよく)にしてくれる |
トウモロコシ | イネ科 | イチゴとは異なる栄養を利用するため、イチゴ栽培後の土壌でも比較的栽培しやすい |
後作に適さない野菜
イチゴの後作に適さない野菜は、サラダバーネット・トマト・ジャガイモ・ナス・ピーマンなどです。バラ科やナス科の野菜は、連作障害や病害虫の発生リスクが高まるため避けた方が無難でしょう。
後作に適さない野菜 | 分類 | 理由 |
サラダバーネット | バラ科 | イチゴと同じバラ科で、連作障害のリスクがある |
トマト | ナス科 | 病害虫発生リスクが高まる |
ジャガイモ | ナス科 | 同上 |
ナス | ナス科 | 同上 |
ピーマン | ナス科 | 同上 |
前作に適した野菜・前作に適さない野菜を紹介
イチゴと相性の良い野菜を前作にすることで、土壌の肥料バランス改善や、イチゴの生育促進に効果があります。連作障害のリスクを軽減し、収穫量アップにもつながりますよ。
前作に適した野菜
イチゴの前に植えたい野菜は次の3つです。
◯マメ科の野菜(エダマメ、インゲンなど)
マメ科の植物は根に共生する根粒菌の働きで、土壌に窒素を供給します。イチゴは適度な窒素を必要とするため、エダマメやインゲンを前作にすることで、肥料の吸収がスムーズになります。
◯アブラナ科の野菜(ダイコン、カブなど)
ダイコンやカブは根を深く張るため、土壌をほぐし、通気性を良くする働きがあります。イチゴの根は浅いため、こうした作物の後に植えると、柔らかい土がイチゴの根張りを助けてくれます。
◯イネ科の野菜(トウモロコシなど)
トウモロコシはイチゴと異なる養分を吸収するため、土壌の栄養バランスを整えるのに役立ちます。また、深く根を張ることで、土壌の水はけや通気性が向上し、イチゴの根が育ちやすくなります。
前作に適さない野菜
イチゴの前作に適さない野菜は次の3つです。
◯バラ科の作物(リンゴ、ナシなど)
イチゴと同じバラ科の作物は、共通の病害虫を持つため、連作障害を引き起こしやすくなります。同じ場所で栽培する場合は、少なくとも2~3年の間隔を空けるのが理想的です。
◯ナス科の野菜(トマト、ジャガイモなど)
ナス科の作物は、土壌から多くの栄養を吸収するため、イチゴに必要な養分が不足する可能性があります。また、病害虫を共有しやすいため、イチゴの前作には向いていません。
◯サラダバーネットなどのバラ科のハーブ
イチゴと同じバラ科に属するハーブも、連作障害のリスクがあるため、前作としては適していません。
イチゴのコンパニオンプランツを選ぶポイント
イチゴのコンパニオンプランツを選ぶときは、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
1.害虫忌避効果がある作物を選ぶ
イチゴはアブラムシやハダニなどの害虫の被害を受けやすい作物です。これらの害虫を遠ざける効果があるネギやニンニクなどを近くに植えることで、被害を軽減できます。
2.受粉を助ける植物を取り入れる
イチゴは人工的に受粉をさせないと果実が実らない作物です。人手で行うだけでなく、ミツバチなどの受粉を助ける昆虫を引き寄せる花を植えることで、受粉率が上がり、収穫量の増加が期待できるでしょう。
3.土壌改良に役立つ作物を選ぶ
イチゴは肥沃で水はけの良い土壌を好みます。そのため、土壌の質を向上させるマメ科などの作物をコンパニオンプランツとして選ぶことで、イチゴの生育環境を整えることができます。
コンパニオンプランツを利用する際の注意点
コンパニオンプランツを取り入れることで、害虫の抑制や成長促進、土壌改良などさまざまなメリットが得られます。
しかし、適切に活用するためにはいくつかのポイントに注意する必要があります。ここでは、コンパニオンプランツを効果的に活用するために押さえておきたい3つの注意点について解説します。
注意点①農薬について
コンパニオンプランツを活用すると農薬の使用を減らせますが、完全に不要になるわけではありません。農薬を使う際は、以下の点に注意しましょう。
◯農薬の適用作物を確認する
片方の作物には適用があっても、もう一方には適用がない場合があるため、事前に確認が必要です。
◯農薬散布時の影響を考える
密植していると、意図しない作物にも農薬がかかる可能性があるので、使用回数や希釈倍率に注意しましょう。
注意点②コンパニオンプランツの植え方について
コンパニオンプランツの効果を最大限に生かすためには、植え方の工夫が重要です。適切な配置や間隔を考慮しないと、逆に作物の生育を妨げることもあります。
◯植える間隔と配置に注意する
コンパニオンプランツを密植し過ぎると風通しが悪くなり、病害のリスクが高まります。適度な間隔を確保し、互いに成長を邪魔しないようにすることが大切です。
◯目的に応じた植え方をする
害虫忌避が目的なら、イチゴの周囲に植えましょう。土壌改良や成長促進が目的なら、イチゴと混植しましょう。
注意点③コンパニオンプランツの効果について
コンパニオンプランツは栽培を助けるメリットがありますが、過信せず適切に活用することが大切です。
◯効果には個体差がある
環境や品種によって、期待した効果が十分に発揮されない場合もあります。
◯即効性はない
害虫忌避や土壌改良の効果は徐々に現れるため、長期的に観察することが重要です。
◯単独での効果には限界がある
肥料や水やり、防除などの基本的な管理と組み合わせることで、より効果的に活用できます。
まとめ
イチゴのコンパニオンプランツを活用することで、害虫を寄せ付けにくくしたり、受粉を助けたり、土壌を改良したりと、さまざまなメリットが得られます。ネギや行者ニンニクは害虫忌避に、ボリジやペチュニアは受粉促進に、クリムゾンクローバーは土壌改良に役立ち、それぞれの特徴を生かして組み合わせることで、より健康的なイチゴ栽培が可能になります。
ただし、効果には個体差があり、即効性がないため、長期的な視点で管理することが大切です。また、植える間隔や農薬の使用に注意しながら、他の管理方法と組み合わせて実践することで、より効果的にコンパニオンプランツを活用できます。
この記事を参考に、コンパニオンプランツを取り入れたイチゴ栽培に挑戦し、おいしく健康的なイチゴを育ててみてください!
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