悩みにこたえる新品種「ゆめたま」の開発経緯と特長
なぜ「ゆめたま」なのか?課題から生まれた新品種の特長
新タマネギはみずみずしさが魅力な反面、しおれやすく、日持ちがしないため出荷ロスや、その扁平(へんぺい)な形状から加工ロスがつきものでした。さらに、収穫適期が短く、天候に左右されやすいため、思うように作業が進まず頭を抱える生産者も少なくありません。そんな課題に真っ向から向き合い、誕生したのが「ゆめたま」です。
・みずみずしさを保ちながら、ある程度の貯蔵性も実現
・真ん丸の形状でカット部分が少なく加工適性が高い
・収穫適期が長く、作業スケジュールに余裕が持てる
しかも、葉がコンパクトにまとまるため収穫時の葉切り作業がスムーズ。葉の絡まりが少ないので、収穫前の作業が圧倒的にラクになるのもうれしいポイントです。

扁平にならず、きれいな球形に生育する「ゆめたま」
鱗片(りんぺん)数の多さも特長

左:他品種 右:「ゆめたま」 佐賀県 4月中旬の様子
収穫期前でも形がまとまり青切りも可能
加工・出荷・調理。三拍子そろった万能型
「ゆめたま」は、出荷ロスを減らすことにも一役買います。L〜2Lサイズが安定してとれ、青果でも加工用でも使える“ちょうどいいサイズ感”が魅力。見た目は真ん丸で白く、緑のスジも入らず、サラダや加工用でも映えます。
さらに、硬めのパリッとした食感で、生でも加熱でもおいしくいただける二刀流タイプ。辛みが少なく、サラダはもちろん、炒め物にもぴったりです。ご家庭でもプロの現場でも、扱いやすくて汎用(はんよう)性が高く、幅広い層に愛されるポテンシャルを秘めています。

左:2L 右:L 静岡県 収穫後の様子
5月上旬収穫で、L、2L 合わせて80%の歩留まり
「夢」の名にふさわしい。選ばれる理由はここにある
「ゆめたま」が愛される秘密は…
●作業のストレスを大幅軽減
「収穫作業が一気に来て手が回らない…」そんなときでも「ゆめたま」なら安心。収穫適期が長く、天候不順によるスケジュール変更にも柔軟に対応できます。特に5haほどの規模感の生産者には理想的。メインの収穫を他の品種でまかないつつ、「ゆめたま」を一部に取り入れることで、収穫期の集中を分散し、全体の作業効率がぐんとアップします。
●市場価格を守る“保険”にも
一気に大量に出回るタマネギによって価格が暴落するリスク、経験ありませんか?「ゆめたま」は適度なサイズで大きくなりすぎず、品質をキープ。出荷量をうまく調整することで、市場全体の価格安定にもつながります。リスクを抑えながらしっかり収益を出したい方にぴったりの戦略的品種です。
●育てやすさと対応力の高さ
定植の幅が広く、マルチ栽培も露地栽培もOK。2024年のように10月の高温・少雨の影響で定植が遅れても、年明けの雨でぐっと根が動き、順調に育った実例もあります。「ゆめたま」は、今後さらに増えるであろう気候変動の中でも、対応力を発揮してくれる頼れる存在です。
「ゆめたま」が切り開くタマネギ栽培の未来
新規就農者にとって大事なのは、“失敗しにくさ”と“収益の見通し”。「ゆめたま」は、その両方をバランスよくかなえてくれる品種です。収穫タイミングの柔軟性、形状の美しさ、調理のしやすさ、そして市場ニーズへのマッチ。どこを取っても、「よくできているな」と実感できるタマネギです。まずは一部の圃場から、お試し導入してみてください。きっと、栽培スタイルに“余裕”と“夢”をもたらしてくれるはずです。
こんな方にこそおすすめ!「ゆめたま」で得られるメリットを最大化できるのは?
「ゆめたま」は、すべての生産者におすすめしたい品種ですが、特に次のような方にはその真価を存分に発揮していただけます。
✔ 作業のピークを分散したい中規模生産者の方
5ha前後の規模で複数の品種を栽培している生産者さまには、「ゆめたま」が強い味方になります。収穫適期が長く、急いで収穫する必要がないため、畑ごとの順番調整がしやすく、収穫作業のピークを分散することができます。毎年4~5月の慌ただしさを少しでも緩和したい方には特におすすめです。
✔ 少量から新しい品種を試してみたい方
「いきなり全圃場に導入するのはちょっと不安…」という方でも、「ゆめたま」は安心です。既存の主力品種と組み合わせて、まずは2〜3割からの導入でもその効果を実感していただけます。収穫期を少しずらす“リスクヘッジ品種”としてもおすすめです。
✔ 市場価格の暴落リスクを抑えたい方
市場に同一品種のタマネギが一気に出回ると、単価が下がってしまう——そんな経験、ありませんか?「ゆめたま」は既存品種より遅めの出荷が可能なので、価格の乱高下に左右されにくいのが特長です。出荷ロスを抑えながら安定収益を目指す方に適しています。
✔ 作業のしやすさ・扱いやすさを重視する方
収穫前の葉切り作業で苦労されている方には、特に「ゆめたま」の葉のまとまりやすさとカット作業のしやすさが大きな助けになります。
普通は成長と共に葉がどんどん大きくなりますが、「ゆめたま」はある程度まで葉が成長した後、折れながら適度なサイズにまとまってきます。すると、葉が圧倒的に絡まりにくくなるというメリットになります。

折れながら適度なサイズにまとまってくる葉の様子
✔ まずは試して、手応えを確かめたい新規就農者の方
「何から始めたらいいのか分からない…」という方も、「ゆめたま」なら安心です。導入のハードルが低く、収穫や出荷のタイミングを柔軟に調整できるため、初めての方にも向いています。まずは一部の圃場で試してみて、自分の栽培スタイルとの相性を確かめてみてください。
このように、「ゆめたま」は導入しやすく、得られるメリットが非常に多い品種です。栽培の自由度を高めたい方、効率と収益性の両方を求める方には、まさに理想的な選択肢といえるのではないでしょうか。
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株式会社サカタのタネ 野菜統括部
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