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農業をやめたら土地はどうする?農地売却の手続き・高く売る方法を解説

農業をやめたら土地はどうする?農地売却の手続き・高く売る方法を解説

「農業をやめたいけれど、土地はどうすればいいのか…」そう悩む方が近年増えています。後継者が見つからず、耕作を続けるのも限界。放置すれば雑草が生い茂り、固定資産税の負担だけが増していく、そんな状況に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、農業をやめた後に土地をどう扱えばよいのか、売却や活用の選択肢、注意点や高く売るためのポイントまで、わかりやすく解説します。

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農業をやめる人が増えている理由

農業人口の減少が止まらない

農林水産省の統計によると、日本の基幹的農業従事者数は、2000年の約240万人から2023年には約116万人にまで減少しました。つまり、この20年間で実に半分以下にまで落ち込んだ計算です。さらにそのうち65歳以上が約70%を占めており、若手の担い手が極端に少ないことも大きな課題です。農業を支える人材が減るなか、「継続が難しい」「今後に展望がない」と感じて離農を選ぶ人が増加しています。

高齢化と後継者不在が加速

農林水産省の農業構造動態調査によれば、個人農業経営体のうちおよそ7割が「後継者がいない」と回答しています。高齢化が進む中で、体力的な限界や健康不安から離農を決断する高齢者が多い一方、子や孫が農業を継がないという家庭も珍しくありません。結果的に農地が放置され、耕作放棄地が全国的に拡大する原因にもつながっています。

農業をやめると土地の問題が残る

農業をやめたいと考えたとき、多くの人が直面するのが「農地は売れるのか?」「どうやって手放せばいいのか?」という問題です。農地は宅地や雑種地とは異なり、農地法という厳しい法律に守られているため、誰にでも自由に売れるわけではありません。結果として、耕作もできず、売却もできない状態に陥るケースが多発しています。農業をやめる=土地の処分問題が必ずセットになるという認識が今、必要とされています。

農地の知っておくべき法律と制度

農地法による許可制とは

日本の農地は農地法によって厳しく規制され、原則として勝手に売買したり転用したりすることはできません。農地法第3条では農地や採草地の所有権移転や賃借権設定には許可が必要と規定されており、これにより農業以外の人へ売る際には農業委員会または知事の許可が不可欠です。
さらに、宅地や駐車場など、農地を農地以外に転用する場合には、農地法第4条(自己転用)または第5条(他者による転用)の許可が別途必要です。特に第5条は他人が農地を転用するための権利を取得する際に許可が必要としているため、取引先が農業者でない場合は手続きが複雑になります。

農地中間管理機構とは?

2025年4月からの改正により、農地の売買・貸借では、従来の農地法第3条許可に加え、農地中間管理機構(農地バンク)を介した手続きが制度化されました。この機構は農業委員会や自治体が指定する中立の公的機関で、離農者から農地を買い取り、担い手農家へ橋渡しします。
メリットとして、非農家への直接売却より制度上のハードルが低く、譲渡所得税の特別控除(800万~1,500万円)など税制上の優遇も得やすい点があります。一方、デメリットは手数料(売買価格の2.0~2.5%)が発生し、価格交渉の自由度がやや制限される点が挙げられます。

農地売却の主な選択肢

認定農業者への売却

もっともシンプルな売却方法が、近隣の認定農業者や農家に農地を譲渡するケースです。農地としての利用が継続されるため、転用手続きが不要で、農業委員会の許可さえ得られれば比較的スムーズに取引できます。特に、地続きの農地を拡大したいと考える農家にとっては需要が高く、地形や条件が合えば相場より高値で売れる可能性もあります。ただし、買い手が限定されるため、地域によっては交渉までに時間がかかる点には注意が必要です。

農地中間管理機構を通す

農地の売却を急ぎたい方や、買い手を自分で探すのが難しい方には、農地中間管理機構(農地バンク)を通じた譲渡が向いています。この仕組みでは、機構が農地を預かり、条件に合う担い手農家にマッチングしてくれます。自分で交渉する必要がなく、申請から譲渡までの流れも明確。さらに、一定条件を満たせば1,500万円までの譲渡所得控除が適用されることもあります。一方で、売買価格は市場価格より低くなることもあるため、スピードと確実性を優先したい方向けの選択肢といえるでしょう。

転用して宅地などに変更

市街地や交通の便がよい場所にある農地なら、「地目変更(転用)」を行って宅地や駐車場、事業用地として売却する方法もあります。農地としてではなく不動産資産として評価されるため、売却価格が大きく跳ね上がる可能性があります。ただし、転用には農地法第5条の許可が必要で、手続きに数か月を要するうえ、用途制限や地域区分(市街化調整区域か否か)によっては認められないケースもあります。事前に自治体や不動産専門家との相談が不可欠です。

不動産業者への買取

近年では、農地や転用可能な土地を積極的に買い取る不動産業者も増えています。こうした業者は農地の権利関係や転用に詳しく、書類作成や許可申請まで一括で代行してくれるため、離農後にすぐ土地を処分したい人には非常に便利な手段です。また、現金化までのスピードが早く、売却価格の目安も事前に提示されることが多いため、計画が立てやすいという利点もあります。ただし、転用や造成を見越した買取価格となるため、相場よりやや安めになることもあります。

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農地売却までの流れと必要な手続き

1. 農業委員会に相談(所要時間:30分〜1時間)

最初のステップとして、地元農業委員会への相談が不可欠です。売却の理由、土地の地目・面積、希望する買主(農家・機構・転用可否など)を伝えることで、必要な許可の種類や手続きの流れ、許可が下りるまでの期間(通常1〜2ヶ月程度)が明らかになります。月1回程度の審議スケジュールを持つ委員会もあり、申請タイミングを逃すと手続きが遅れる可能性があるため、事前予約がおすすめです。

2. 登記確認と相続登記(所要期間:1〜3ヶ月)

次に、所有者情報が最新かどうか法務局で登記簿を確認します。相続で取得した農地で登記が未了の場合、必ず相続登記を済ませましょう。2024年4月から相続登記は義務化されており、3年以内に届け出をしないと過料(最大10万円)の対象になります。相続登記には戸籍や住民票の取得、申請書作成が必要で、一般的に数週間から数ヶ月かかります。

3. 転用の申請(必要な場合/所要期間:約2ヶ月〜)

売却予定の土地が市街化区域などで宅地などへの転用が可能な場合、農地法第4条または第5条に基づき転用許可の申請が必要です。申請には土地の図面、計画書、用途確認書など複数の書類が求められ、書類作成や役所との調整で時間がかかります。許可が下りた後には地目変更登記が必要で、これも期限内(原則1ヶ月)に行わないと罰則の対象になります。

4. 買い手の選定または機構申請(所要期間:2〜6ヶ月)

買い手が決まっている場合は、農業者の資格や転用の有無を踏まえて適切な契約条件を整えます。一方、農地中間管理機構を通す場合は、申し込みから譲渡先決定までに2〜3ヶ月程度かかることが一般的です。どちらのケースでも農業委員会への許可申請が必要で、月1回の審査日程に合わせたスケジュール管理が求められます。契約書には「許可が下りなければ無効」といった特約を設けるのが通例です。

5. 売買契約と決済(所要期間:約2〜3週間)

農業委員会の許可が下りたら、正式な売買契約を結び、登記手続きと決済を行います。所有権移転登記には司法書士の関与が必要で、登録免許税や印紙税、仲介手数料などの費用が発生します。現金決済であれば登記と同時に引き渡しとなり、不動産譲渡益が出る場合は確定申告を忘れずに行う必要があります。

農地を高く・早く売るためのコツ

草刈りや地目整理で印象アップ

見た目が整った農地は、買い手からの印象がよく、査定にも好影響を与えます。反対に、雑草が生い茂っていたりゴミが散乱していたりする農地は管理されていないという印象を与え、購入を敬遠されがちです。売却前には草刈りや不要物の撤去、排水路の清掃、境界の確認など、最低限の整備を行っておくことが望まれます。また、地目の確認と整理もしておくことで、転用や登記時の手続きがスムーズになります。

隣接地の農家へアプローチ

農地を最もスムーズに売却できる可能性が高いのは、隣接地を所有する農家への直接交渉です。農家は、すでに作業環境や設備が整っているため、地続きの土地には高い関心を持っています。不動産仲介を通さずに個別でアプローチすることで、柔軟な価格交渉や早期の契約が期待できます。実際、農業委員会でもまずは周辺農家に打診してみることを推奨するケースが少なくありません。

農機具や資材の同時売却提案

買い手にとって魅力的なのが、農地+農機具・資材のセット販売です。とくに就農予定者や規模拡大を検討している農家にとっては、トラクターや軽トラ、ビニールハウス資材などが揃っていれば、初期投資を抑えられる大きなメリットになります。農地単体では値がつきにくいエリアでも、機材を組み合わせることで売却の可能性が高まることもあります。現地の実物確認ができるよう写真や明細を用意しておくと、交渉もスムーズです。

よくある質問(FAQ)

Q. 農地を売るには許可が絶対に必要ですか?

農地を農地のまま第三者に売却・譲渡する場合は、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必須です。無許可で売買契約を結んだ場合、その契約は無効とされ、最悪の場合は原状回復(元の状態に戻す)を命じられる可能性もあります。買い手が農業従事者であっても、許可の手続きを省略することはできません。

Q. 転用すれば誰にでも売れるようになりますか?

転用許可(農地法第5条)を取得して農地以外の用途に変えれば、非農業者への売却も可能になります。ただし、転用が認められるのは市街化区域など一部に限られており、市街化調整区域などでは基本的に認められません。また、自治体によって転用許可の基準が異なるため、事前に確認が必要です。

Q. 中間管理機構を通すと価格が安くなるのですか?

一般的に中間管理機構を通じた売却は、自由な価格交渉ができないため、相場よりやや低めに設定される傾向があります。ただし、手続きの簡素化や早期成約、税制上の優遇措置(最大1,500万円の譲渡所得控除など)が得られるというメリットもあります。価格面だけでなく、トータルの効率や安心感を重視する方に適しています。

Q. 相続登記が終わっていないと売れませんか?

売却はできません。2024年4月から相続登記は義務化されており、相続によって取得した農地を売却する場合、法務局に正しく名義を移しておく必要があります。登記未了のままでは、売買契約も許可申請も進めることができず、3年以内に届け出をしないと過料(最大10万円)の対象にもなります。

Q. 無許可で農地を売却するとどうなりますか?

農地法に基づく許可を得ずに農地を売却した場合、その契約は無効となり、買主は土地を使用する権利を得られません。さらに、農業委員会から原状回復を命じられるほか、違反の程度に応じて過料が科されることもあります。特に、転用目的で無許可売買を行った場合には、自治体からの行政指導や改善命令が出されるケースもあります。

まとめ

農業をやめた後、農地をどう扱うかは非常に重要な課題です。農地法の許可制や相続登記の義務化など、法律面の理解が不可欠であり、売却には手間と時間がかかります。ただし、整備や適切な売却手段を選べば、高く・早く手放すことも可能です。迷ったときは、農業委員会や専門業者に相談し、後悔のない選択をすることが成功への近道です。

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