福岡の酪農を支え、将来を見据えて働く安心感。事業継承のチャンスも!
福岡県酪農ヘルパー利用組合では、休日を取る酪農家の農場に、牛の搾乳をしたり、餌を与えたり、子牛への哺乳をしたり、牛舎まわりの掃除を行う酪農ヘルパーを派遣しています。ペットを飼った経験がある方ならイメージが湧くと思いますが、動物を飼育するとなると毎日餌を与えなければいけませんし、トイレ掃除も欠かさずしなければストレスが溜まります。もちろん、酪農家として乳牛の搾乳もしなければなりません。とはいえ、それらの仕事を365日、毎日欠かさず行うのは難しいもの。病気やケガをしたとき、家族や友人との用事があるとき、リフレッシュしたいときなど、酪農家が安心して休めるようサポートしているのが酪農ヘルパーです。
福岡県酪農ヘルパー利用組合では、酪農ヘルパー制度があるから酪農家が安心して休むことができる体制をつくるとともに、酪農ヘルパーにとっても安心して長く働けるという関係性を大切に育んできました。
専門性が高く社会的な意義も大きな仕事だけに、待遇や福利厚生が充実しているのも酪農ヘルパーの仕事の魅力です。通常の会社員と変わらない安定した収入を得ることができるのはもちろん、「将来は結婚して、子どもができたらマイホームを建てたい」という人生設計を描きながら、50代、60代と現役酪農ヘルパーの先輩たちのように長く活躍することもできます。
中には、農業高校や大学校などで酪農を学び、新規就業を考えているけれど、いきなり事業をはじめるのは不安という酪農家志望の若手が酪農ヘルパーの仕事に就きながら、いろいろな農家のやり方を学び、仕事のノウハウを覚え、人間関係を築いていく中で事業継承に辿り着いたケースもあります。
「酪農がしたいと相談に訪れた就農希望の方に、今は空きがないから酪農ヘルパーとして人脈を築いてはどうかと提案し、しばらく酪農ヘルパーとして働いてもらっていたところ、『後継者を探している』という酪農家が現れ、今年の4月から農場を引き継いで就農できたメンバーもいます」と福岡県酪農ヘルパー利用組合の志岐さんに教えていただきました。

福岡県酪農ヘルパー利用組合の志岐 秀雄(しき ひでお)さん
そして、そんな福岡県酪農ヘルパー利用組合で「酪農ヘルパー」として働く阿南さんに酪農ヘルパーの実情をお聞きしました。
『酪農ヘルパー』として2年目を迎える阿南さんの仕事に密着

酪農ヘルパー 阿南 紗耶さん
大学を卒業後、地元・大分から遠く離れた県で仕事していたという阿南さん。営業として働いていましたが、九州に戻りたいと転職を考えていたころ、インターネットで『酪農ヘルパー』の募集を目にしたそうです。
「もともと動物が好きで、牛のお世話をする仕事に興味を持ちました。福岡県酪農ヘルパー利用組合では、どんな仕事なのかを体験する機会もいただけました。3日ほど職業体験できたことで、安心して入職することができたと思います。“乳牛ってこんなに大きいんだ!”というのが第一印象(笑)。優しい目が可愛いと思いました」と阿南さん。

「酪農家の方と事前に電話で打ち合わせするなど必要最低限のコミュニケーションができれば、対人業務が得意でなくても不安を感じることはありません」と阿南さん
酪農ヘルパーのいちばんの魅力は、朝夕の仕事の合間に長い自由時間が持てること。買い物はもちろん、病院や役所に行くことができるのも便利だと言います。そんな阿南さんがチームを組むのは、入職7年目のリーダーと酪農歴30年の大ベテラン。
農場の飼育頭数により2人または3人で現場に向かいます。1日のスタートは早朝の5:30。農場により少しの違いはありますが、基本的な業務や流れは同じ。パイプラインミルカーの殺菌からはじめ、子牛に哺乳し、搾乳の準備ができたら順番に搾乳し、牛たちに餌を与えます。

酪農ヘルパー7年目の上間 葵さん
搾乳が終われば、機械を丁寧に洗浄し、牛舎の清掃をします。作業をはじめて約4時間後の9:30には朝の作業が終了。
夕方16:00に再び集合するまでは自由な時間です。午後からもパイプラインを殺菌し、哺乳し、牛に餌をあげて、次の日の餌づくりまでできたら、その日の仕事が終わります。朝と夕に4時間ずつ。実働8時間を目安に日々の業務を進めています。

酪農歴30年の宗野 喜一さん
「前職で法人営業をしていたころは、役所の入札や法人向けの営業が多く、数字の達成以外に直接的なやりがいを感じる機会が少ないと感じていました。今は農家さんと直接お話しする機会があり、自分たちの仕事が役に立っていると目に見えてわかるだけに、やりがいを感じることができます」
阿南さんが心掛けているのは、安全第一で作業を進めることです。牛の体調が優れず、落ち着きがなかったり、搾乳を嫌がったりすることもあるため、早めに牛の異常に気づき、素早く対応できるようになりたいと先輩たちから学んでいるところだそうです。また、翌日には酪農家さんがいつも通りに仕事しやすいよう、道具などを元通りに片付けることも大事にしています。

「入職後は志岐さんと一緒に酪農家さんをまわり、地図に出てこない牛舎の場所をマップにピン止めするなど、迷わないよう配慮していただきました。今も何かあればすぐに相談しています」と阿南さん
異なる業界から転職し、未経験からスタートした阿南さん。最初はわからないことも多くありましたが、先輩たちのおかげで少しずつ仕事に慣れることができたといいます。今は小型のトラクターの操縦方法を学んでいる最中。酪農ヘルパーとしてできることを増やし、仕事領域を広げたいと考えています。「未経験から『酪農ヘルパー』をめざす方には、私自身も動物が好きという理由だけで未経験からできていますし、興味があれば体験できるので気軽にチャレンジしてほしいと思いますね」
休日になると実家に帰省したり、ショッピングに出かけたり、有給を取得して好きなアーティストのライブに行くなど、充実した日々を過ごしています。
先輩たちが『酪農ヘルパー』を選び、長く働き続けている理由はココ!
『酪農ヘルパー』の仕事に興味はあるけれど、自分にできるかどうか不安という方のために、福岡県酪農ヘルパー利用組合の志岐さんに質問しました。
Q.未経験でも大丈夫ですか?
Q.先輩が『酪農ヘルパー』を選んだ理由は?
Q.希望日に休むことはできますか?
Q.入社前に特別なスキルや資格は必要ですか?
「組合員の皆さまが酪農ヘルパー制度を利用することで安心して休めるよう、酪農ヘルパーの確保と技能向上に努めています。また、酪農ヘルパー自身も安心して業務ができるよう、就業環境の整備に努めています」と福岡県酪農ヘルパー利用組合の原口演理さん。
子どもたちを育てる家庭はもちろん、お料理やお菓子づくりに使う牛乳は、私たちの暮らしに欠かせないものです。その源となる酪農を支えているのが、日々牛と向き合い、酪農家を陰で支える酪農ヘルパーの存在。誰かの「食」を守り、「暮らし」を支えるという確かな実感、そして、地域の酪農を未来へとつなぐやりがいを感じられる仕事に、あなたも一歩踏み出してみませんか。

甘木朝倉支部で活躍する3人の酪農ヘルパーと利用組合の志岐さん。作業の終わりに談笑して解散するなど、和やかな雰囲気が漂います
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福岡県酪農ヘルパー利用組合
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