先物取引における売買価格の決め方
第一回目でコメの先物市場があることのメリットをいくつか示した。メリットを享受するには先物市場に参加しないといけないと思われた方がいるかもしれないが、そんなことはない。
例えば、Aさんと言うコメの生産者が今(2025年7月)、買い手の集荷業者やコメ卸、外食企業などと今年10月に収穫される新米の受け渡しの価格について値決めをしたい場合、先物市場で形成されている10月限の価格で決めるようにすればよい。
受け渡しの契約書では、価格について「コメ先物市場で形成される10月限の最終決済価格による」と明記しの上、買い手と契約するのが望ましい。10月限の最終価格がいくらになるのか不安だと思うなら現在形成されている10月限の価格で受け渡しすることを契約書に明記して契約すればよい。
これによって生産者Aさんは、将来のコメの販売代金が収穫前に確定できるというメリットを享受できる。自ら先物市場に参加せずとも先物市場で形成される価格を利用することも可能である。
もちろんAさんが自ら先物市場で10月限に売り注文を出して所得を確定することもできるが、それには堂島取引所のコメ指数先物がどのようものなのかしっかり理解した上で、売り買いに参加する具体的な手順や資金、リスクについて学ぶ必要がある。
その「コメ指数」が何たるかについて、以下で詳しく解説していく。
先物取引で売買されるコメ指数とは?
堂島取引所のコメの指数先物取引の特徴は前回記事で示したように、売り買いされる対象品目は特定産地の銘柄米そのものではなく、全国に118ある産地銘柄の1等米価格を平均した「指数」であるということだ。つまり、米価の全国平均とも言い換えることができる。
株式市場の先物取引で日経225先物があるが、これと同じで代表的な225銘柄の株の平均価格を先物で取引していると思えばよい。従って、買い占めようと思っても全国の118産地銘柄のコメを全部買い占めなくてはコメの指数は値上がりしないため、事実上不可能である。
堂島取引所は毎月末に「現物コメ指数 」を公表しており、先物で売り買いしている限月が当限に廻って来た時に、この現物コメ指数の一の位を四捨五入した値が最終決済価格になる。このあたりが現物の受け渡しを伴わないコメ指数取引のわかりづらいところだが、江戸時代の堂島米市場でも「建物米」という名目上のコメを売買していた歴史がある。その仕組みを理解すれば、短時間に大量の取引ができ、さらに平均的価格が形成されることによって各産地銘柄米もこの平均価格から格差を設ける(格付け)ことによって現物の受け渡しも可能になる。
それにはちゃんとした現物市場が必要になるが、このことについては後述する。
現物の受け渡しを念頭において売り買いしている当業者にとっては、指数取引はわかりづらいかもしれないが、一般投資家にとっては現物の受け渡しが伴わないことで、売りポジションに立っても現物を用意する必要がないことや買いポジションに立っても現物を買い受ける必要がなく、安心して取引に参加できる。
堂島取引所が毎月末に公表する「現物コメ指数」の算出要素として、最も大きなウエイトを占めるのは農水省が毎月公表している相対取引価格である。これに米価DIや需給DIと言ったものを加味して算出される。相対取引価格と堂島取のコメ指数先物の相関関係は下記グラフのようにパラレルになっている。

試験上場中のコメ先物取引では、最終決済価格は取引している限月が当限に廻って来た時、月末に納会が行われ、反対売買しないで現物を渡したり、買受けしたりすることで、その受渡し価格が最終決済価格になったが、コメ指数先物取引の最終決済価格は、堂島取が月末に公表する「現物コメ指数」の一の位を四捨五入した値になる。
「堂島コメ平均」の商品概要
現物コメ指数先物取引は、通称「堂島コメ平均」とも呼ばれているので、この呼び名で商品概要を示したい。
取引対象:将来における主食用米の平均価格(平均米価)
呼値:1俵(60㎏)当たりの価格
呼値の単位:10円刻み
取引単位:3t(50倍)
取引時間:日中立会のみ
8:45~15:45
※土日祝日、夜間取引はない
取引の期間(限月):新甫発会日から12ヶ月以内の偶数月(2月限、4月限、6月限、8月限、10月限、12月限)
当限月取引最終日:偶数月の最終営業日の前営業日
最終決済日:当限月の最終営業日
新甫発会日:奇数月の最初の営業日
次回は、具体的にコメ指数先物取引に参加する方法や必要になる資金、それで得られるメリットなどについて具体的に説明したい。


















