旬とは?
その野菜の味がもっとも良い食べごろの時期を旬と言い、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、手頃な価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。

旬には三つの段階があります。その野菜が出始める「走り」、収穫・出荷のピークを迎える「盛り」、時期が終わりにさしかかる「名残」です。「走り」の野菜はみずみずしくフレッシュ。可能であれば生のまま、あるいは水分を生かした調理方法が適しています。「盛り」は食べごろのベストタイミング。栄養価が高く価格も安くなるので、いろいろな調理法でたっぷり楽しんで。「名残」は水分量が少なくなり味が凝縮されるので加熱調理がおすすめ。保存食への加工にも向いています。
8月が「走り」の野菜
季節の移ろいを感じさせてくれる「走り」の野菜。8月は、香り高いマツタケ、ほくほくのギンナン、ゆでておいしい生ラッカセイ、南国生まれの青パパイヤなど、食通の心をくすぐる個性派が顔をのぞかせます。秋の訪れを感じさせる味覚を先取りしてみてはいかがでしょう。
ギンナン(銀杏)
イチョウの雌株にできる種子のギンナンは、独特の香りとほのかな苦みがあり、古くから滋養食として親しまれてきました。秋の味覚として知られていますが、早いものは8月中旬ごろから、外側の果肉が緑色のうちに収穫が始まります。ギンナンの中身も黄色ではなく翡翠色(ひすいいろ)のみずみずしい外見をしています。愛知県稲沢市祖父江町は「祖父江ぎんなん」のブランドで有名であり、「早出し」の産地としても知られています。

栄養
ビタミンA・Cが豊富で、免疫力の維持や粘膜の健康をサポートしてくれます。炭水化物も多く、夏の終わりのエネルギー補給にも適しています。ただし、食べ過ぎには注意が必要で、大人でも一度に10粒程度が目安とされています。
食べ方
殻を割って茶色い薄皮を取り、塩ゆで、茶わん蒸しや土瓶蒸しの具、揚げ物などに利用します。加熱することでほくほくとした食感が引き立ちます。加熱時間が短いほど、走りならではの翡翠色とみずみずしさが生きてきます。殻付きのまま封筒に入れて電子レンジで加熱する方法が手軽です。
選び方
果肉を取り除き、乾燥させて、殻付きで販売されるのが一般的です。乾燥ギンナンは、殻が割れておらず、表面にカビや汚れがないかをチェック。肉質系の外皮が付いている場合は、実がふっくらと大きく、果皮が柔らかすぎないものが良品です。
保存方法
乾燥させた殻付きギンナンは、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存すると風味を保てます。
走りのギンナンは時間が経つと縮んで硬くなるため、できるだけ早く調理して食べましょう。
調理例
ギンナンの塩ゆで、ギンナンの白だし茶わん蒸し、ギンナンとエダマメの冷製あえ物だしジュレ仕立て
ラッカセイ(落花生)
マメ科ラッカセイ属の一年草で、原産地は南米。日本には江戸時代に伝わり、現在では千葉県をはじめとする温暖な地域で広く栽培されています。ラッカセイは開花後に、花の根元から伸びた子房柄が地中に潜り、土の中で実をつける珍しい性質をもつことが「落花生」の名の由来。完熟子実(ピーナツ)は種子類に分類され、未熟子実の生ラッカセイは野菜類に分類されます。晩夏から秋が収穫時期で、8月には生ラッカセイの走りが店頭に並びます。

栄養
ビタミンEやB群、オレイン酸を含み、抗酸化作用や血流改善が期待できます。たんぱく質や食物繊維も豊富で、栄養バランスのよい食材です。さらに、アルコールの分解を助けるナイアシン(ビタミンB3)も多く含まれており、酒のツマミにするのも理にかなった食べ方です。
食べ方
ラッカセイはさや(殻)付きの「生」の状態で出回るため、新鮮なうちに塩ゆでにして、素材の甘みとホクホクした食感を味わうのが定番です。ゆで方のコツは、鍋にたっぷりの水と水に対して約3%の塩を加え、弱火で30分ほどかけてゆっくりと。火を止めてそのまま余熱で10分間ほどおくと塩味がしみ込み、甘みがより引き立ちます。炒め物や炊き込みご飯の具にしてもおいしく、乾燥品とはまったく違う味わいが楽しめます。
選び方
さやにツヤと張りがあり、重みのあるものが新鮮です。ふっくらとした形で、カビやシミがないものを選びましょう。袋入りの場合は結露や水分がたまっていないかも確認します。
保存方法
生ラッカセイは傷みやすく日持ちしないため、すぐにゆでて食べるのがおすすめ。ゆでたあとは冷凍保存も可能です。
調理例
モロヘイヤのゆでラッカセイあえ、ゆでラッカセイと鶏肉の中華炒め、生ラッカセイとエダマメの炊き込みご飯ショウガ風味
青パパイヤ
パパイヤは熱帯アメリカ原産のトロピカルフルーツですが、完熟前の果実である「青パパイヤ」は野菜として利用されます。日本では沖縄や九州南部などで栽培され、夏の終わりから秋にかけてが収穫期。8月は青パパイヤが市場に出始める走りの時期にあたります。果皮は緑色で、果肉は淡い黄緑色。シャキシャキとした歯ざわりと、クセのない淡白な味わいが特徴です。

栄養
青パパイヤは、たんぱく質分解酵素のパパインを含み、たんぱく質の消化を助ける働きがあります。また、ビタミンCやカリウム、食物繊維も豊富で、夏の疲れた体を内側から整える効果が期待されます。抗酸化作用をもつβカロテンや葉酸も含まれています。
食べ方
クセがなく生や加熱調理で幅広く使えます。サラダにする際は、千切りにして水にさらすとシャキッとした食感が際立ちます。炒め物や煮物にも利用でき、加熱するとややしんなりとした食感に。パパイン酵素が肉や魚を柔らかく仕上げます。タイ料理のソムタム(青パパイヤのサラダ)のほか、和風のきんぴらなど味付けも幅広く楽しめます。
選び方
果皮にツヤがあり、表面に傷がなく、手に持ったときにしっかりとした重みがあるものが良品。ほんのり黄みがかっているものは完熟に近づいている証拠で、加熱料理向きです。
保存方法
丸ごとの場合は新聞紙で包んで常温で保存。数日置いて黄色みが増してきたら、早めに使い切るようにしましょう。カットしたものはラップで包んで冷蔵庫へ。冷凍も可能で、炒め物用なら千切りなど、使う大きさにカットして冷凍用保存袋に入れておくと便利です。
調理例
青パパイヤのサラダ(ナンプラー風味)、青パパイヤと豚バラ肉のみそ炒め、青パパイヤとニンジンのきんぴら
マツタケ(松茸)
キシメジ科キシメジ属のきのこで、日本の秋の味覚を代表する高級食材です。アカマツ林などの特定の環境でしか育たないため人工栽培が難しく、国産の天然物は希少。肉質は硬く締まり、歯ごたえと香りを楽しみます。走りのマツタケは輸入が多いものの、主産地の長野県、岩手県などの寒冷地で、早ければ8月下旬から採れ始めます。

栄養
ビタミンB1・B2が比較的多く、糖質や脂質の代謝をサポートします。また、うまみ成分のグアニル酸も豊富に含まれており、だしを使わなくても深い味わいが楽しめます。カリウムやビタミンD、ナイアシンも含まれ、低カロリーながら栄養バランスに優れています。
食べ方
香りを生かすため、シンプルな調理法が最適です。焼きマツタケ、土瓶蒸し、炊き込みご飯などが代表的。走りの時期は、歯ごたえが比較的柔らかめなので、軽く火を通す程度で、風味を楽しむ料理がいいでしょう。
選び方
傘が開ききっておらず、軸が太くて締まっているものが良品です。表面に張りがあり、乾燥しておらず、切り口が白くみずみずしいものを選びましょう。走りのものは全体的に小ぶりですが、香りが高いものが上物とされています。
保存方法
香りが飛びやすいため、購入後はすぐに使うのが理想。保存する場合は湿らせたキッチンペーパーで包み、ラップや密閉容器に入れて冷蔵庫へ。数日以内に使い切るようにしましょう。長く保存したい場合は、軽くあぶってから冷凍保存する方法もあります。
調理例
焼きマツタケにすだちを添えて、マツタケとハモの土瓶蒸し、マツタケの炊き込みご飯(薄口しょうゆ仕立て)
8月が「盛り」の野菜
真夏の日差しをたっぷり浴びた露地野菜が、一年でもっともおいしくなる「盛り」の時期。ナスやピーマン、エダマメといった定番に、栄養価の高さで注目されるツルムラサキも加わります。果菜、豆、葉物がバランスよくそろうこの季節、夏野菜の力強い味わいで暑さを元気に乗り切りましょう。

ナス
ナス科ナス属の果菜で、日本各地で広く栽培されています。インド原産とされ、奈良時代にはすでに日本での栽培が始まっていたといわれています。露地ものは初夏から出回り、最盛期は8月。夏ナスは皮が厚く身が詰まっているため、加熱調理でも煮崩れしにくくさまざまな料理で楽しめます。地域によって多様な品種があり、賀茂ナス、長ナス、小ナス、水ナスなどが出そろう盛りの時期は、食感や用途に合わせて選ぶ楽しさもあります。
栄養
ナス自体の栄養価はそれほど高くありませんが、皮に含まれるナスニンというポリフェノールには抗酸化作用があり、生活習慣病予防に役立つとされています。また、水分が多くカロリーが低いため、夏の水分補給や体を冷やす効果も期待できます。
食べ方
煮ても焼いても揚げてもおいしい万能野菜。加熱によって油を吸収しやすい特性があるため、調理方法次第で満足感のある一品になります。皮の色や食感を生かすには、加熱しすぎないことがポイント。また、冷やし焼きナスや浅漬けなど、暑い季節にぴったりの涼やかな一品にも向いています。
選び方
皮にツヤと張りがあり、ヘタの部分がピンと張り、トゲが尖っているものが新鮮です(トゲのない品種もあります)。持ったときにしっかりと重みを感じるものが良品です。
保存方法
冷やしすぎると低温障害を起こすため、新聞紙に包んで常温か野菜室で保存し、できるだけ早めに使い切るのが理想です。保存する場合は薄切りにして天日干しで乾燥ナスにするといいでしょう。また、冷凍保存は、乱切りにして炒めるか素揚げにして下ごしらえしておくと便利です。
調理例
焼きナスのショウガじょうゆ添え、冷やし焼きナスのだし浸し 、ナスとミョウガの大葉入り浅漬け
ピーマン
ナス科トウガラシ属の果菜で、辛みのないトウガラシ(甘味種)をピーマンといいます。原産地は中南米で、日本には江戸時代以降に伝わり、昭和に入って一般家庭にも普及しました。ハウス栽培により通年出回っていますが、露地栽培のものは6月から9月が出荷時期で8月にピークを迎えます。しっかりとした香りと苦み、肉厚でみずみずしい果肉が特長です。主な産地は茨城県、岩手県、福島県など。完熟したピーマンは、品種によっては赤色や黄色、オレンジ色になり、カラーピーマンとして出回っています。これらは苦みが少なく甘みがあり、サラダなどの生食にも向いています。
栄養
ビタミンCが非常に豊富で加熱しても壊れにくいのが特徴です。βカロテン、ビタミンEなどの抗酸化成分も含み、免疫力の維持や美肌づくり、疲労回復に役立ちます。皮に含まれるピラジンという成分は血流促進作用があるとされ、生活習慣病の予防にも期待されています。
食べ方
炒め物や揚げ物、焼き物など、加熱調理に適しています。ピーマン特有の苦みや青くささが苦手な場合は、細く縦切りにする、下ゆでをする、油でしっかり炒めるなどの工夫で食べやすくなります。 盛りの時期のピーマンは果肉が厚く、丸ごと焼いたり、肉詰めや煮込み料理などにも最適です。
選び方
鮮やかな緑色で表面にツヤがあり、ヘタの切り口が変色していないものが新鮮です。手に取ったときに弾力と重みがあるものを選びましょう。
保存方法
乾燥しないようポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。3〜4日を目安に使い切るのが理想です。冷凍する際は洗って水気をよく拭き取り、丸ごと、または使いやすい大きさにカットして冷凍用保存袋に入れます。
調理例
ピーマンの肉詰めトマトソース煮込み、焼きピーマンのおかかじょうゆがけ 、ピーマンとじゃこのきんぴら
エダマメ(枝豆)
マメ科ダイズ属の一年草で、大豆を未成熟のうちに収穫したものがエダマメです。古くは平安時代から食べられていたとされており、栄養豊富な夏の風物詩として親しまれてきました。旬は7月から9月で、8月は出荷の最盛期。粒がふっくらと太り、香りや甘みももっとも強くなり、塩ゆでなどのシンプルな調理で、素材そのもののおいしさが楽しめます。 品種が多く、茶豆(新潟)、だだちゃ豆(山形・庄内地方)、9月には晩生の黒豆(兵庫・京都の丹波地方)などの在来品種も出回り、食べ比べも旬ならではの楽しみ方です。
栄養
植物性たんぱく質が豊富で、ビタミンB1・B2・C、葉酸、鉄、カリウム、食物繊維なども含まれます。特にビタミンB1は糖質の代謝を助け、夏バテ予防に役立ちます。また、アルコールの分解を助けるメチオニンというアミノ酸も含まれており、ビールのおつまみにも適しています。イソフラボンやサポニンなど、大豆由来の機能性成分も摂取できます。
食べ方
定番は塩ゆで。豆のうまみを引き出すには、さやを塩でもんでうぶ毛を取り、塩を加えた熱湯でゆでるといいでしょう。冷やしても味が落ちにくく、サラダやあえ物、炊き込みご飯にもおすすめです。
選び方
さやの緑が濃く、うぶ毛がしっかり残っているものが新鮮です。張りと弾力があり、ふっくらとした実入りのものを選びましょう。枝付きはより鮮度が高く、香りや甘みも豊かです
保存方法
エダマメは収穫後すぐに糖分が失われ始めるため、購入したらできるだけ早く調理しましょう。保存する場合はさや付きのまま湿らせた新聞紙などに包み、冷蔵庫へ。すぐに食べない場合は、かためにゆでて冷凍します。冷凍したものはそのまま自然解凍やレンジで加熱して食べられます。
調理例
枝付きエダマメの蒸し焼き、さやごと焼きエダマメ、 エダマメと雑穀の炊き込みご飯
ツルムラサキ(蔓紫)
ツルムラサキ科ツルムラサキ属のつる性の一年草で、熱帯アジア原産。日本では古くから染料として用いられ、江戸時代の書物にその名が記述されていますが、食用として普及したのは戦後になってからです。暑さに強く、真夏でもぐんぐん育ち、8月にはもっともおいしい「盛り」の時期を迎えます。葉や茎にぬめりがあり、加熱するとつるりとした食感とともに、ほんのりと土の香りと特有の青みが楽しめます。主な産地は、山形県、福島県、宮城県など。家庭菜園でも育てやすい野菜として人気があります。
栄養
βカロテン、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいます。特にβカロテンとビタミンCの含有量はホウレンソウにも匹敵し、抗酸化作用や美肌効果、免疫力維持に役立つとされています。
食べ方
さっと塩ゆでしてお浸しやあえ物に。加熱するとぬめりが出るので、オクラやモロヘイヤなどの「ねばねば食材」との相性も良く、みそ汁やスープに加えてもおいしく食べられます。クセが気になる場合は、ポン酢やごま、ツナなどコクのある食材と合わせると食べやすくなります。 盛りのツルムラサキは葉が肉厚で茎も柔らかいので、さっと火を通すだけで風味が楽しめ、栄養補給にもなります。
選び方
葉に張りとツヤがあり、肉厚で濃い緑色をしているものが新鮮です。茎は太すぎず、切り口がみずみずしいものを選びましょう。
保存方法
乾燥しやすいため、濡らしたキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存し、2〜3日以内に使い切りましょう。軽くゆでて水気を絞り、小分け冷凍しておくと、みそ汁の具や炒め物などにすぐ使えて便利です。
調理例
ツルムラサキとオクラのねばねばあえ、ツルムラサキとベーコンのソテー 、ツルムラサキと卵の中華風スープ
8月が「名残」の野菜
夏の盛りを過ぎた8月下旬、そろそろ季節の移ろいを感じ始めるころ。見た目も楽しく調理しやすいズッキーニや万願寺とうがらし、清涼感のある高原レタス、香りと風味がアクセントになるエゴマの葉など、「名残」の野菜には個性派がそろいます。今だからこそ、まだまだおいしく楽しめます。

ズッキーニ
ウリ科カボチャ属の果菜で、見た目はキュウリに似ていますが、カボチャの仲間です。原産地は中南米で、16世紀以降にヨーロッパで改良され、イタリア料理やフランス料理で広く使われるようになりました。日本では1970年代以降に本格的な栽培が始まり、現在では全国各地で夏野菜として親しまれています。露地栽培の出荷は7〜8月が最盛期で、8月後半は旬の名残。主な産地は長野県、宮崎県、高知県など。緑色の一般的なズッキーニのほか、黄色やしま模様の品種も流通しています。名残の時期には大ぶりで肉厚なズッキーニが多く、じっくり火を通すことでとろけるような食感が楽しめます。
栄養
ズッキーニは低カロリーで、カリウム、ビタミンC、βカロテンなどを含みます。特にカリウムは、体内の余分な塩分を排出する働きがあり、むくみ予防や高血圧対策に役立ちます。皮ごと食べられるため、栄養を余さず摂取できます。
食べ方
クセが少なく、油との相性がよいため、炒め物や揚げ物、グリル、煮込み料理など幅広く利用できます。
選び方
皮に張りとツヤがあり、表面に傷がなく、ヘタの切り口がみずみずしいものを選びましょう。手に取ったときに適度な重みを感じるものが新鮮です。大きくなりすぎたものは種が硬くなることがあるため、加熱調理に適しています。
保存方法
乾燥を防ぐために1本ずつラップで包むかポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。3〜5日以内に使い切るのが理想です。使いやすいサイズに切って冷凍保存しておくと、炒め物やスープの具材に便利です。
調理例
ズッキーニの肉詰めオーブン焼き、ズッキーニとエビのガーリック炒め、角切りズッキーニとジャガイモのスープ
高原レタス
キク科アキノノゲシ属の葉菜で、古代エジプト時代から栽培されていた歴史ある野菜です。日本では明治時代以降に広まり、現在は一年を通じて全国各地で栽培されています。なかでも長野県や群馬県などの高冷地で栽培される「高原レタス」は、昼夜の寒暖差を利用して育てられ、みずみずしくシャキシャキとした食感が特徴です。出荷は6月から始まり、7〜8月に最盛期を迎え、8月下旬は名残の時期。主な産地は長野県の川上村や八ヶ岳山麓、群馬県、岩手県など。
栄養
水分が多くカロリーは低めですが、ビタミンC、βカロテン、食物繊維などを含みます。特に外葉に多く含まれるβカロテンは、抗酸化作用があり、肌や粘膜の健康維持に役立ちます。葉の白い部分にはラクチュコピクリンという苦み成分が含まれ、リラックス効果が期待されています。
食べ方
生のままサラダとして食べるのが一般的ですが、名残の時期は葉がしっかりとしてくるため、炒め物やスープなどの加熱調理にも向いています。さっと火を通すことでかさが減り、甘みが引き立ちます。
選び方
葉先までみずみずしく、巻きがゆるやかでふんわりとしているものが新鮮です。切り口が変色していないもの、芯の部分が白くて太すぎないものを選びましょう。
保存方法
乾燥を防ぐため、新聞紙やキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で芯を下にして保存します。芯をくり抜いて湿らせたペーパーを詰めておくと鮮度が長持ちしますが、できれば3〜4日以内に食べ切るのが理想です。
調理例
高原レタスと豚バラの重ね蒸し、高原レタスのニンニク炒め、高原レタスと卵の中華スープ
万願寺とうがらし
ナス科トウガラシ属の果菜で、辛みのない甘トウガラシ(甘味種)の一つ。京都府舞鶴市の万願寺地区で昭和初期に栽培が始まったとされ、「京の伝統野菜」にも指定されています。実が大きく肉厚で、長さは10〜20センチほどにもなります。風味豊かで柔らかな食感が特徴。露地ものの出荷は6月頃から始まり、7〜8月に最盛期を迎え、8月下旬〜9月にかけては名残の時期です。主な産地は京都府のほか、福井県や長野県など。夏の終わりには完熟して赤く色づいたものが出回ることもあり、甘みが増してまた違った味わいが楽しめます。
栄養
ビタミンC・Eやβカロテン、ビタミンEなどの抗酸化成分を多く含み、夏の疲労回復や免疫力の維持に役立ちます。皮に含まれるピラジンには血流を促す働きがあるとされ、生活習慣病の予防にも期待されています。また、カリウムも多く含まれており、体内の塩分排出を助ける働きもあります。
食べ方
果肉が柔らかく、種やワタも少ないため、丸ごと焼く・揚げるなどの加熱調理に向いています。加熱すると甘みが引き立ち、皮も柔らかくなります。肉詰めや炒め物、天ぷら、煮浸しなどに。完熟した赤い万願寺とうがらしは、色味も華やかで、甘みがより濃く、煮込み料理やソースにも活用できます。
選び方
表面にツヤと張りのあるものを選びましょう。ヘタの切り口がみずみずしく、持ったときにしっかりとした重みがあるものが新鮮です。赤く色づいた完熟タイプは日持ちがやや短いため、早めに使うのがおすすめです。
保存方法
乾燥を防ぐため、ポリ袋やラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存し、3〜4日以内に使い切るのが理想です。冷凍する際はヘタを取り、使いやすい大きさに切って冷凍用保存袋に入れておくと便利です。
調理例
万願寺とうがらしの焼き浸し、万願寺とうがらしと豚肉のみそ炒め、赤万願寺とうがらしのトマト煮込み
エゴマの葉
シソ科シソ属の一年草で、大葉に似た見た目ですが、香りや味わいはまた違った独特な葉野菜です。本来、種子を搾って油を取るために栽培されてきた作物で、古くから東アジアで食用や薬用として利用されてきました。韓国料理や薬味野菜としての需要も高まり、近年は日本国内でも生産が増えています。エゴマの葉は、6月ごろから出回り始め、夏を通じて出荷され、8月下旬になると名残の時期を迎えます。主な産地は長野県、岐阜県、奈良県など。
栄養
エゴマの葉には、βカロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維などが豊富に含まれています。独特の香り成分ペリルアルデヒドには、食欲増進や消化促進の効果もあるとされます。
食べ方
独特の香りと苦み、わずかな甘みがあり、焼肉やごはんを包む・巻くなどのほか、ナムルやキムチ、みそ・しょうゆ漬け、あえ物などに活用されています。名残の時期は葉がしっかりしてくるため、しょうゆ漬けや甘辛く煮込む調理法が向いています。
選び方
葉が大きすぎず、色鮮やかな緑でツヤと張りのあるものを選びます。香りが強く、軸がみずみずしいものが新鮮です。
保存方法
湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋や保存容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。乾燥に弱いため、密閉して保管し、できれば2〜3日以内に使い切るのが理想です。しょうゆ漬けやみそ漬けにしておくと長く楽しめます。
調理例
焼き肉のエゴマの葉巻き、エゴマの葉の天ぷら、エゴマの葉の青唐辛子入りみそ炒め
個性豊かな野菜を味方に、晩夏を元気に過ごす
真夏の強い日差しをたっぷり浴びて育った8月の旬野菜は、味も栄養もまさにピーク。ナスやピーマン、エダマメなどの夏野菜に加え、名残のズッキーニや高原レタス、走りのマツタケやギンナンなど、季節の移ろいを感じさせる多彩な顔ぶれがそろいます。
夏の疲れが出やすいこの時期こそ、旬の食材の力を上手に取り入れたいもの。冷製や蒸し料理、香味をきかせた炒め物など、食欲をそそる工夫で旬の恵みをおいしくいただいてはいかがでしょう。走りの味覚で季節を先取りするのも夏の終わりの楽しみ方です。

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|高橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 花図鑑 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(新食品成分表編集委員会編|東京法令出版発行)


















読者の声を投稿する
読者の声を投稿するにはログインしてください。