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8月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」と移ろいゆく味覚で夏の終わりをおいしく彩る

8月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」と移ろいゆく味覚で夏の終わりをおいしく彩る

立秋を過ぎても、なお厳しい暑さが続く8月。夏の名残とともに、果物売り場には少しずつ秋の気配も漂い始めます。水分と栄養が豊富な果物は、夏に疲れた体をやさしく労わり、味わいからも季節の移ろいが感じられます。「旬」には「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの段階があり、それぞれに異なる味わいや楽しみ方があります。今が食べごろの果物を知り、旬の味覚をよりおいしく楽しむヒントをお届けします。

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旬とは?

果物の旬とは、その果物の味がもっとも良い食べごろの時期で、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなるので安い価格で、おいしく栄養価の高い状態の果物を手に入れることができます。また、貯蔵されて食べごろを迎えた果物も、その時期が旬と言えるでしょう。

旬の走りの果物は、みずみずしくフレッシュな味わいで、生食や水分を生かした調理法がおすすめです。盛りはベストタイミングで、さまざまな食べ方で楽しめます。名残の果物は味が凝縮され水分が少なめなので加熱調理にも向いています。

8月が「走り」の果物

8月には、店頭に秋の果物が顔を出し始めます。なかでも注目は、旬の走りを迎えるブドウと日本ナシ(和梨)。みずみずしい果汁と爽やかな甘みが魅力で、暑さの残るこの時季にぴったりの味わいです。いち早く秋を感じさせてくれる走りの果物を楽しんでみませんか。

ブドウ

ブドウ科ブドウ属のつる性植物であるブドウは、古代エジプトやギリシャでも記録が残るほど歴史が深く、現在では世界で多く生産されている果物のひとつです。世界的にはワインの原料としての利用が主ですが、日本では約9割が生食用。多様な品種が栽培され、果皮の色によって、黒皮・赤皮・白皮(緑皮)系に大別されています。8月に入ると、主産地の山梨県、山形県、長野県で出荷量が一気に増え、黒皮系の「巨峰」や「ピオーネ」、白皮系の「シャインマスカット」などの人気品種が店頭に並び始めます。

栄養

糖質(ブドウ糖、果糖)を多く含み、即効性のあるエネルギー源として夏バテ対策に最適です。また、果皮にはポリフェノールの一種であるアントシアニンやレスベラトロールが含まれ、皮ごと食べられる品種なら抗酸化作用も期待できます。

食べ方

そのまま冷やして生食します。皮が厚い品種は一粒ずつ皮をむいて食べますが、「シャインマスカット」や「ピオーネ」「ナガノパープル」は皮ごと食べられると人気。冷凍してシャーベット状にしたり、ヨーグルトやチーズと合わせたりするなどスイーツ感覚でも楽しめます。

選び方

房全体に張りがあり、粒がそろっていて隙間なく詰まっているものが新鮮です。果皮の白い粉(ブルーム)は新鮮さの証しで、皮を保護する天然成分です。

保存方法

新聞紙やキッチンペーパーに包んで冷蔵庫で保存。水気をふき取り、乾燥しないように密閉容器に入れるとよいでしょう。冷凍する場合は、房から外して1粒ずつバラし、保存袋に入れて凍らせます。

調理例

冷凍ブドウのヨーグルトソースがけ、シャインマスカットとカッテージチーズのサラダ、ブドウの白ワインコンポート

日本ナシ(和梨)

ナシはバラ科ナシ属の果樹で、アジア原産。日本では古墳時代の遺跡からも種子が発見されており、非常に長い栽培の歴史があります。ヨーロッパで主に流通している洋ナシ(西洋ナシ)と異なり、日本ナシは「和ナシ」とも呼ばれ、シャリシャリとした歯ごたえとジューシーさが特徴。冷やして食べると、夏の暑さをすっと和らげてくれる清涼感があります。
主に茶褐色の「赤ナシ」と、黄緑がかった「青ナシ」に大別されます。8月には赤ナシの「幸水(こうすい)」や「愛甘水(あいかんすい)」などの早生(わせ)品種の出荷が始まります。走りの産地として、東日本では千葉県や茨城県、中部の愛知県、西日本では鳥取県や福岡県などが知られています。

栄養

水分が約90%と非常に多く、暑さで失われがちな水分やカリウムの補給に最適。アスパラギン酸やソルビトールといった成分が含まれ、疲労回復や利尿作用が期待されます。水溶性食物繊維のペクチンも含まれており、整腸にも一役買います。

食べ方

皮をむいてそのまま食べるのが定番。すりおろしてドレッシングやタレに加えると、自然な甘みととろみがプラスされて料理に深みが出ます。ジュースやスムージーにも適しています。

選び方

表皮にツヤがあり、持ったときにずっしりと重みを感じるものが良品。皮に傷がなく、全体がふっくらと丸みを帯びているものを選びましょう。 赤ナシは表面のコルク質がザラザラしているほうが新鮮です。

保存方法

乾燥しやすいため、新聞紙などで包んで冷蔵庫の野菜室で保存するのが理想です。数日で食べきれない場合は、カットして冷凍保存も可能。シャーベット感覚で楽しめます。

調理例

日本ナシの生ハム巻き、日本ナシとキュウリの塩こうじマリネ、冷しゃぶのナシのすりおろしドレッシングがけ

8月が「盛り」の果物

夏も後半に差しかかる8月は、果物のバリエーションがぐっと広がる時季。甘くジューシーなモモやスモモ類、爽やかな酸味のラズベリー、シャキッとした夏リンゴ、やさしい甘さのマクワウリなど、旬の味覚が勢ぞろいします。果肉の食感や風味も多彩で、まさに果物好きにはたまらない盛りの時期。旬の恵みを思いきり楽しんでみましょう。

夏リンゴ

爽やかな酸味とみずみずしさが魅力の夏リンゴ。一般にリンゴの最盛期は秋から晩秋ですが、極早生や早生品種は8月から「夏リンゴ」として出回ります。「夏あかり」「恋空」「シナノレッド」、青リンゴの「夏緑」などが代表的な品種です。東北や信州などの冷涼な産地では、8月中旬から下旬にかけて夏リンゴが出荷のピークを迎えます。
リンゴはバラ科リンゴ属の果樹で、原産地は中央アジア。日本には平安時代に伝わったとされますが、現在のような本格栽培は明治期以降に広まりました。秋の品種に比べて、夏リンゴはやや酸味が強く、軽やかな風味が魅力。暑さが続く季節に、ひときわ爽やかな味覚を届けてくれる果物です。

栄養

リンゴ酸やクエン酸を含み、夏の疲労回復や食欲増進に効果的とされます。ペクチン(食物繊維)も豊富で整腸作用があり、皮ごと食べればポリフェノール類も摂取できます。低カロリーで栄養バランスの良い果物です。

食べ方

皮をむいてそのまま食べるのはもちろん、皮ごと薄くスライスしてサラダに加えれば彩りもアップ。酸味が生きるため、キャロットラペやヨーグルトなどとの相性も抜群です。加熱すると柔らかくなりすぎるため、生食がおすすめです。

選び方

全体に色ムラが少なく、皮に張りがあってしっかりと重みのあるものが良品。夏リンゴは水分量が多いため、皮にしわが寄っているものや軽いものは鮮度が落ちている可能性があります。

保存方法

高温に弱いため、購入後は冷蔵庫の野菜室で保存を。乾燥を防ぐため1つずつ新聞紙やペーパーで包んで保存するのがおすすめ。早めに食べきるのが基本ですが、カットして冷凍しておけばスムージーなどに活用できます。

調理例

夏リンゴとニンジンのラペ、夏リンゴとクルミのサラダ、夏リンゴとヨーグルトのグラスデザート

モモ

とろけるような果肉と甘い香りで夏の果物の代表格とされるモモ。品種によって旬の幅はありますが、8月は「白鳳」「あかつき」「川中島白桃」などの人気品種が次々に出そろい、まさに旬の盛りを迎えます。山梨県や福島県、長野県などが主産地で、産地リレーによって7月から9月上旬まで広く楽しめます。冷やしたモモを頬張る瞬間は、夏ならではのぜいたくです。
モモはバラ科モモ属の果樹で、中国原産。日本には弥生時代に伝わり、古くから縁起物や薬用としても重宝されてきました。果皮や果肉の色、硬さなどが異なる多くの品種があり、食べ比べも旬の盛りならではの楽しみ方です。

栄養

カリウムが豊富で、体内の余分な塩分を排出する働きがあり、むくみ対策や熱中症予防にも適しています。また、果糖やショ糖などの糖類がエネルギー源となり、疲労回復にも役立ちます。食物繊維(ペクチン)も含まれており、整腸作用が期待されます。

食べ方

皮をむいてそのまま食べるのが定番。酸化しやすいため、カット後はレモン汁をふりかけておくと変色を防げます。スムージーや冷製スープ、ヨーグルトやチーズと合わせたデザートにも適しています。完熟したモモは柔らかく崩れやすいため、やさしく扱いましょう。

選び方

全体にうぶ毛があり、皮に赤みが濃く出ているものが熟して甘い証拠。手に持ったときに少し柔らかさを感じる程度が食べごろです。香りも目安になり、甘い香りが強いものほど完熟に近い傾向があります。

保存方法

未熟なものは常温で追熟させ、食べごろになったら冷蔵庫の野菜室で保存します。冷やしすぎると風味が落ちやすいため、食べる1〜2時間前に冷やすのが理想です。柔らかくなりすぎたものはスムージーやジャムに活用を。

調理例

モモとモッツァレラのサラダ、冷たいモモのポタージュ、モモとヨーグルトのグラスパフェ

スモモ類(プルーン)

スモモ類の中でも西洋スモモのプルーンは、青紫色でやや楕円形をしており、8月から9月が収穫の最盛期。主産地である長野県から「サンプルーン」や「サマーキュート」「サンタス」などの主力品種が出荷されます。ドライフルーツの印象が強いプルーンですが、生果ならではのジューシーでさっぱりとした味わいが、暑い時期にぴったりです。
プルーンはバラ科サクラ属の果樹で、ヨーロッパ原産。日本では明治時代に導入され、冷涼な気候を好むことから長野県の高原地帯や北海道、青森県で栽培されています。

栄養

食物繊維(ペクチン)や鉄分、カリウムが豊富で、整腸作用や貧血予防に役立ちます。抗酸化作用のあるビタミンCやポリフェノールも含み、美容や健康を意識する人にも人気の高い果物です。ドライプルーンに比べてカロリーが控えめです。

食べ方

生のままよく洗って皮ごと食べられます。皮にはポリフェノールが含まれており、軽い酸味が甘みを引き締めてくれます。ヨーグルトやグラノーラのトッピングに、また半割りにして種を取り、ジャムやコンポートにもおすすめです。

選び方

表皮の色づきが濃いものを選びましょう。手に持って少し柔らかさを感じるものは完熟に近く、甘みも強めです。表面にシワが寄ってきたら食べごろのサイン。ブルーム(白い粉)が表面についているものは新鮮な証拠です。

保存方法

やや硬めの状態であれば常温で追熟可能。完熟したものは冷蔵庫で保存し、なるべく早く食べきるのが理想です。皮ごと冷凍してスムージーやデザートにも使えます。

調理例

生プルーンとリコッタチーズのカナッペ、プルーンの赤ワイン煮、プルーンと豚肉のソテー バルサミコソース

ラズベリー(木いちご)

バラ科キイチゴ属の果樹で、日本では「木いちご」とも呼ばれています。原産地はヨーロッパや北アメリカで、栽培には冷涼な気候が適しており、日本では比較的限られた地域での生産となっています。小さな実の中に豊かな香りと酸味が凝縮されており、洋菓子やソースなどに広く使われていますが、生果の旬を味わえるのは盛夏のわずかな期間です。
初夏から収穫が始まり、8月に最盛期を迎える品種も多く、国産の露地ものが出回る貴重な時期です。収穫量は少ないながらも、長野県や北海道などの高原地帯を中心に生産されています。

栄養

ビタミンCや食物繊維、カリウム、カルシウム、鉄分を含み、美肌効果や整腸作用、疲労回復に役立ちます。特に注目されるのが、アントシアニンやエラグ酸などのポリフェノール類で、抗酸化作用が高く、アンチエイジング効果が期待されます。

食べ方

洗ってそのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトやアイス、パンケーキのトッピングにも最適。裏ごししてピューレにすることで、ドレッシングやソース、スムージーにも応用できます。果汁の色と香りを生かしたお菓子作りにも重宝します。

選び方

果皮に張りとツヤがあり、粒がつぶれていないものを選びましょう。柔らかくデリケートな果実のため、パックの底で傷んでいないかを確認するのがポイント。

保存方法

冷蔵保存が基本です。洗わずにペーパータオルを敷いた容器に入れ、ラップをして保存します。鮮度が落ちやすいため、早めに食べきるのがおすすめです。 冷凍する場合は小分けしておくと使いやすく、ジャムやスムージー作りに便利です。

調理例

ラズベリーのソルベ、ヨーグルトのラズベリーソースがけ、ラズベリーとハーブのサラダ

マクワウリ

ウリ科キュウリ属の果菜で、南アジア原産。日本では縄文時代早期の遺跡から種子が発見されており、奈良時代には食用として定着していました。「真桑瓜(まくわうり)」の名は、かつて名産地であった岐阜県真桑村に由来します。メロンの祖先ともいわれ、日本の夏の食卓に欠かせない果物として、古くから親しまれてきました。果肉は白や淡いオレンジ色で、味わいは控えめで上品。高温障害に強く、家庭菜園でも育てやすい果物のひとつです。全国的には流通量が限られますが、8月は露地ものの収穫が最盛期を迎え、各地の直売所や産直市場で見かけることが増える時期です。地方ごとに独自の品種が残されており、例えば、岐阜県の「金俵まくわ」、福島県の「甘泉」、島根県の「銀泉」、京都の「伏見まくわ」など、それぞれに色や形、風味の個性があります。伝統野菜として保存・継承している地域もあります。

栄養

水分が90%以上と豊富で、体を冷やしてくれる夏の果物。カリウムやビタミンCも含まれており、熱中症予防やむくみ対策にも適しています。カロリーが低めでさっぱりと食べられるのも魅力です。

食べ方

皮をむいて種を取り除き、冷やしてそのまま食べるのが一般的。クセのない甘みなので、酢の物や白あえ、サラダに加えても違和感がありません。果肉が柔らかいため、すりおろしてジュースやシャーベットにも。

選び方

表皮にツヤがあり、手に持って軽く弾力を感じるものが食べごろ。果皮の黄色がしっかり出ていて、芳香が強いものは完熟のサインです。青みが残っているものは追熟させてから食べましょう。

保存方法

冷やしすぎると風味が落ちるため、食べる数時間前に冷蔵庫に入れるのがベスト。完熟したものは傷みやすいので早めに食べきるのが理想。カット後はラップで包み、冷蔵庫で保存します。

調理例

マクワウリの塩ヨーグルトあえ、マクワウリとミントの冷製スープ、マクワウリと甘酒のスムージー

8月が「名残」の果物

夏の終わりが近づき、今だけの果物を名残惜しみながら味わう季節。スイカをはじめ、ベリー類のブラックベリーやカシス、知る人ぞ知るモモとネクタリンの交配種・ワッサーなど、多彩な果実が楽しめます。旬の風味をそのまま楽しむのはもちろん、ベリー類はジャムやソースにして夏の記憶として残すのもおすすめです。

スイカ

夏の風物詩として親しまれてきたスイカも、8月下旬になると名残の時期に入ります。6月下旬から出荷が始まり、7月にピークを迎えたあと、8月後半になると出荷量は徐々に減少していきますが、産地リレーにより長野県や東北地方、北海道など冷涼な地域からの露地ものが流通し、最後の甘さとみずみずしさを楽しめる季節です。
スイカはウリ科スイカ属の果菜で、アフリカ原産。日本には16世紀ごろに伝わったとされ、現在では全国各地で栽培されています。果肉が赤いものが一般的ですが、黄色、オレンジ、白などの品種も存在します。大玉スイカの代表品種は「縞王」「祭ばやし」など。長野県の「松本ハイランド」、北海道の「でんすけすいか」、山形県の「尾花沢スイカ」、秋田県の「あきた夏丸」など、ブランド化された産地品種も数多くあります。

栄養

90%以上が水分で、体を冷やして熱を逃がす働きがあります。カリウムやシトルリンといった成分が含まれ、むくみ対策や血流改善にも効果が期待されます。リコピンやβカロテンなどの抗酸化成分も豊富で、夏バテ予防や美肌にもひと役買ってくれる果物です。

食べ方

そのままカットして冷やして食べるのが一般的。甘さが控えめな部分はジュースやスムージー、ゼリーなどに加工しても楽しめます。白い皮に近い部分は漬物や炒め物にも活用でき、実は捨てるところが少ない果物です。

選び方

表皮のしま模様がくっきりと鮮やかで、ツヤがあるものが新鮮。持ち上げてずっしりと重く、たたいたときにポンポンと澄んだ音がするものが熟しているサイン。小玉スイカの場合は、果皮に傷がなく、丸く締まった形のものを選びましょう。

保存方法

丸ごと常温保存が基本ですが、カット後はラップや密閉容器で包み、冷蔵庫で保存します。冷やしすぎると甘みが感じにくくなるため、食べる1〜2時間前に冷やすのがベスト。食べきれない分は冷凍してスムージーやアイスの材料に。

調理例

スイカとミントのグラニテ、スイカの冷製スープ、スイカの白い皮とキュウリの塩もみサラダ

ワッサー

シャキッとした食感と濃厚な甘みが特徴のワッサーは、モモとネクタリンの自然交雑から生まれた果物で、7月下旬から8月下旬の短い期間が旬です。発祥は長野県須坂市で、1970年代に同市の果樹農家の園地で偶然発見された実生から育成され、1990年に品種登録されました。須坂市を中心にごく限られた地域で生産されていますが、近年では山形県や福島県などでも栽培が始まり、少しずつ産地が広がりつつあります。
ワッサーはバラ科モモ属の果樹で、果皮はネクタリンのようにつるりとした手ざわり。果肉は硬めで繊維が少なく、糖度が高い一方でほどよい酸味も感じられ、モモともネクタリンとも違う独特の味わいがあります。

栄養

モモに近い栄養価をもち、カリウムや食物繊維、ビタミンCが含まれています。体内の水分バランスを整え、夏の疲れやむくみの対策に効果的。ネクタリンのように皮ごと食べられるため、果皮に多く含まれる抗酸化成分も摂取できます。

食べ方

皮が柔らかく、うぶ毛がないため洗ってそのまま食べられます。ほどよい硬さを生かして、皮ごとくし切りや角切りにしてサラダやヨーグルトにトッピングすると色味も鮮やかです。

選び方

表皮に張りがあり、手に持ったときにしっかりと重みを感じるものが良品。全体が赤く色づき、香りが立ってきたら食べごろです。硬すぎる場合は常温で数日追熟させると甘みが増して食べやすくなります。

保存方法

常温で追熟させ、食べごろになったら冷蔵庫で保存します。完熟後は柔らかくなりやすいので早めに食べきるのが理想です。冷凍する場合はカットして小分けにすることで、スムージーやトッピングに使いやすくなります。

調理例

ワッサーと生ハムの冷製サラダ、ワッサーのハチミツマリネ、ワッサーとヨーグルトのグラスデザート

ブラックカラント(カシス)

スグリ科フサスグリ属の低木果樹で、日本では「カシス」の名で知られる果実。ヨーロッパ原産のベリーで、ジャムやソース、果実酒など、加工向きの果物として古くから親しまれています。国内では青森県を中心に東北地方の冷涼な地域で栽培され、特に青森市は「あおもりカシス」のブランドで、全国生産量の7~9割を占める最大の産地です。露地ものの収穫は6月末から始まり、8月にかけて名残の時期を迎えます。、全国的にはまだ珍しい果物ですが、長野県や山形県、福島県などでも一部の生産者が栽培しており、フレッシュなカシスに出会える貴重な季節です。

栄養

ビタミンCが豊富で、同じベリー類の中でも群を抜いています。アントシアニンやカテキン、ビタミンEも含まれており、抗酸化作用や眼精疲労の軽減、美肌効果などが期待されます。

食べ方

生食する場合は完熟の実を厳選し、酸味を生かしてヨーグルトやアイスのトッピングに。ジャムやソース、果実酒にすると香りと甘みが引き立ちます。果汁を絞ってカシスリキュールの原料にするなど、加工適性の高い果物です。

選び方

大きさがそろっていて、皮にツヤがあり、ふっくらと丸みのある実を選びましょう。つぶれやすいため、容器の底も確認を。

保存方法

冷蔵庫で保存し、できるだけ早く食べきるのが基本。冷凍すれば香りを保ちながら長期保存でき、少量ずつ料理やお菓子作りなどに使えます。

調理例

カシスと夏リンゴのジャム、チーズケーキのカシスソース、カシスと炭酸水のフルーツドリンク

ブラックベリー

ブラックベリーはバラ科キイチゴ属の果樹。果実は真紅色から黒色に変わり、ラズベリーより大きめでやや硬く、果肉がしっかりとしていて酸味よりも甘みが強く、生食向きのベリーとして人気があります。中まで実が詰まっている点がラズベリーとの違い。8月が露地ものの収穫終盤にあたり、名残の時期に入ります。ツル性の多年草で栽培が比較的容易なため、家庭菜園でも親しまれています。日本ではまだ流通量が少ないものの、長野県や北海道をはじめ、一部の生産者が出荷しています。

栄養

アントシアニンやエラグ酸などのポリフェノールが豊富で、抗酸化作用や眼精疲労予防が期待されます。ビタミンC・E、食物繊維も多く、腸内環境や美肌にも役立つ栄養バランスです。

食べ方

完熟した実はそのまま食べられ、ほんのりとした甘みと野性味のある味わいが特徴。酸味が強い場合は、ジャムやピューレに加工するとより食べやすくなります。小さな種が気になる場合は裏ごしします。ベリーソースとして肉料理とも好相性です。

選び方

粒がつぶれておらず、ふっくらとつややかなものが良品。果実の粒が黒くなったら完熟のサインです。張りとツヤのあるものを選びましょう。

保存方法

とても傷みやすいため、購入後は冷蔵し早めに消費を。冷凍保存する場合は、小分けにしておくと使いやすく、スムージーや焼き菓子に重宝します。

調理例

ブラックベリーティー、ポークソテーのブラックベリーと赤ワインソース、ブラックベリーのクラフティ

豊富な果物を味わい尽くす、日本の夏

夏の終わりが少しずつ近づく8月は、果物売り場にも秋の気配が感じられるようになります。ブドウや日本ナシといった「走り」から、モモや夏リンゴ、スモモ類などの「盛り」、スイカやワッサー、ベリー類の「名残」まで、旬の果物が勢ぞろい。みずみずしい果汁や爽やかな酸味、深まる甘みなど、味わいのバリエーションも豊かです。

果物は、水分補給と栄養補給を兼ねた心強い味方。朝食やおやつ、料理の食材や保存食としても活躍し、夏の疲れた体をやさしく癒してくれます。旬の味覚を楽しむことは、国産の果物を支えることにもつながります。季節の終わりに向けて、果物の恵みをたっぷり味わいましょう。

果物のゼリーテリーヌや盛り合わせで夏から秋への味覚を楽しんではいかがでしょうか

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|高橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 花図鑑 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(新食品成分表編集委員会編|東京法令出版発行)

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