サンセベリアとは?

サンセベリア(Sansevieria)はアフリカ(熱帯・亜熱帯地域)やアジアが原産の観葉植物です。
乾燥にとても強く、初心者でも管理が簡単な「枯れにくい観葉植物」として知られています。出張が多いビジネスパーソンやショールーム、オフィスなどのインテリアグリーンにもおすすめです。
長く直立した剣状の葉に白や黄色の斑が入る品種が多く、その姿から「スネークプラント」や「トラノオ(虎の尾)」と呼ばれることもあります。風水の世界では長く尖った葉が「邪気を払う」とされ、日本でも人気があります。
花言葉は「永久・不滅」。千年蘭(ちとせらん)という和名があり、長寿のお祝いの贈り物としても人気を集めています。
サンセベリアの空気清浄効果
NASA(米航空宇宙局)が1989年に行った空気清浄研究では、空気中の有害物質を除去する能力が高い植物として紹介されています。
洗剤やたばこの煙に含まれるベンゼンをはじめ、家具や建材に含まれるホルムアルデヒド、シンナーや塗料に含まれるトルエン、塗料やスプレーから放出されるキシレン、洗剤や溶剤に含まれるトリクロロエチレンなど、シックハウス症候群の原因となる揮発性の化学物質を葉や根から吸収し、微生物との協力で分解する仕組みを持っているとされ、上述したNASAの実験では、密閉空間で24時間あたり50~90%の有害物質の除去が確認されました。
また、一般的な植物は昼に光合成をして酸素を放出するのですが、センセベリアは夜間に二酸化炭素を吸収して酸素を放出する「CAM型光合成」を行うため、寝室に置くことで夜間の空気質の改善や睡眠環境の向上が期待できます。
人気の品種
サイズや形状が多様なサンセベリアには、実に70以上の品種があります。用途や趣向に合わせて、好みの品種が選べることも人気の理由。品種によってシルエットや色にかなりの違いがあります。
ここでは、特に人気なサンセベリアの品種について紹介していきます。
ムーンシャイン

幅広でシルバーがかった淡緑の葉とモダンな見た目が人気の中型品種です。落ち着いた色合いなのでどんなインテリアとも調和します。
ブラックコーラル
黒に近い濃緑で、滑らかで光沢がある葉が多肉植物のような雰囲気を醸し出す品種です。モダンで洗練されたインテリアにマッチします。
ローレンティー

「虎の尾」の愛称でも知られる、代表的な品種です。スッと伸びたシルエットと白いフチが美しく、空間にモダンで華やかな印象を与えます。
ハーニー/ゴールデンハーニー
放射状に広がるコンパクトな葉を持つ品種です。背丈が低く、卓上サイズで育てやすいため、インテリアグリーンとして人気があります。
フツラ
葉が短く幅広で、緑のフチに黄色の縞斑が特徴的な品種です。葉にねじれがみられるのもフツラの魅力。エスニックスタイルのインテリアにマッチします。
ゼラニカ

濃い緑色の葉にゼブラ柄のような白い縞模様が入る背が高く伸びる品種です。剣状の葉がまっすぐ伸びる姿がスタイリッシュで、リビングにおすすめです。
品種の選び方のコツ

手のひらサイズの鉢植えからリビングや玄関の床置きに映える葉の長さ1m以上のものまで、さまざまな種類から選べるサンセベリア。空間やインテリアとの相性を考えながら選ぶのがおすすめです。
北欧スタイルに合わせるならシルバーリーフの「ムーンシャイン」や「ブラックコーラル」、ナチュラルな雰囲気のインテリアが好みなら緑の濃い「ゼラニカ」や「ローレンティー」がおすすめ。風水を意識するなら鋭い葉が邪気を払うとされる「ローレンティー」や「フツラ」が人気です。
葉にハリとツヤがあり、色が鮮やかで元気な鉢植えを選び、異臭やカビ臭がないかもチェックしましょう。
サンセベリアの育て方
日常の手入れがとても簡単なことがサンセベリアの人気の理由でもあります。ちょっとしたコツをつかめば、初心者でも元気に育てられます。
サンセベリアの寿命は5〜10年ほどですが、生育環境によっては20年近く生きることも。また、挿し木でも比較的簡単に増やすことが可能です。
適切な置き場所

サンセベリアは耐陰性が強く、蛍光灯程度の弱い光でも育ちますが、窓際のカーテン越しの光や室内の明るい場所が理想です。
強すぎる直射日光は葉焼けの原因になるため、真夏の直射日光や西日がよく当たる場所は避けましょう。暗い場所で育てる場合は、時々明るい場所に移動させます。
乾燥に強いですが、エアコンの風が直接当たる場所は葉先が乾燥で茶色くなる可能性があるため避けます。また、換気が悪いとカビのリスクがあるため、風通しのいい場所で育てましょう。
水やりの頻度と方法
サンセベリアは水やりの頻度が少なくても元気に育ちます。過湿は根腐れの原因になるため、水やりの頻度はむしろ控えめがおすすめ。土が完全に乾いてから2〜3日後にたっぷり与えます。
成長期の4月~9月は 2~3週間に1回程度、休眠期となる10月~3月は月に1回程度の水やりで十分です。気温が15℃以下になると成長がほぼ止まるため、水やりは大幅に減らしましょう。カビの発生原因となるため、葉水も不要です。
土選び、鉢選びのポイント
サンセベリアは比較的乾燥に強い植物ですが、根腐れのリスクがあるため水はけの良い土と鉢を選ぶことがポイントです。
赤玉土、ピートモス、パーライト、軽石などがブレンドされた「観葉植物用培養土」や「サボテン・多肉植物用土」が手軽で使いやすいと思います。粘土質の重い土や保水力の強い園芸用土は不向きです。
鉢は鉢底に穴があるものが必須。鉢底石を置くことで、水はけがさらに向上します。
肥料の与え方
サンセベリアは栄養要求量が少なく、肥料なしでも育ちます。 成長期の春~夏にかけてのみ、葉のハリや色を鮮やかに保つために少量の肥料を施肥するのがおすすめです。過剰な肥料は根を傷めるのでご注意ください。元肥が入っている「野菜や花用の園芸用土」も使わないほうが無難です。
濃度が調整でき、肥料焼けのリスクも低い液体肥料を水やりのタイミングで与えるのが効果的です。
植え替えの方法と時期

サンスベリアは2〜3年ほどで植え替えが必要になります。根が鉢底から出てきたり土が固くなるなど、鉢が窮屈そうになったら植え替えのサインです。
植え替え適期は春から夏ごろ。成長期なので根が早く定着します。植え替え前の1~2週間は水やりを控えて土を乾かしておくことで、根が取り出しやすくなります。
根についた土を軽く手で払い、絡まった根をほぐして植え替え、水は植え替えてから1週間後に土が乾いた状態でたっぷり水を与えます。植え替え直後に水をやりすぎると根腐れの原因になるため、乾くまで待つようにしましょう。
病害虫対策と予防方法
サンセベリアは病害虫に強い植物ですが、水のやりすぎによる根腐れだけは要注意。葉が黄色くなって根元からぐらついたり、 土や根から異臭がして根が黒くドロドロになったりします。
根腐れした場合は腐った部分を清潔なハサミで取り除き、健全な白い根だけを残して植え替えます。
葉の付け根(ロゼット部分)に水が溜まることで、葉が腐敗する軟腐病や、カビによる葉斑病が起きる場合があります。罹患した部分は清潔なハサミで切り取り、切り口に殺菌剤を塗りましょう。状態が悪い時は健全な部分を挿し木にして繁殖を試みます。
害虫の被害はあまり起きませんが、ハダニやカイガラムシ、根に寄生するメアリムシの被害などが見られます。根や葉をこまめにチェックし、異常が見られたら殺虫剤などで対処すると長く健康に育ちます。
サンセベリアの根腐れ対策
サンセベリアの葉がしおれる。根元からぐらつく。土や根から異臭がする。根が黒くドロドロになる。これらが根腐れのサインです。サインが見られたらすぐ鉢から取り出し、根の状態を確認しましょう。
過度な水やりや水はけ不良、用土が合っていないことなどが根腐れの原因となるため、水はけのいい環境で育て、しっかり乾いてから水やりする習慣をつけましょう。
根腐れがひどい場合は、葉の健康な部分を挿し木して増やしてみましょう。水差し、土挿しのどちらでも大丈夫です。根元が見える水差しのほうが管理はしやすいですが、発根は土挿しのほうが早い傾向があります。
サンセベリアを育てる際の注意点
初心者にも育てやすいサンセベリアですが、注意が必要な点もあります。
サンセベリアの葉には「サポニン」という成分が含まれており、ペットや赤ちゃんが誤食すると嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。鉢植えを手が届かない場所に置くなどの工夫が必要です。
サンセベリアをインテリアに取り入れるコツ
水やりが少なく、明るい場所じゃなくても育つサンセベリアはインテリアグリーンとしてとても優秀なだけでなく、空気清浄効果まで期待できます。そんなサンセベリアをインテリアに取り入れるコツをご紹介します。
スタイリッシュな空間づくりのアイディア
■ 窓際のアクセントに

風水では、サンセベリアを窓際に置くことで人間関係の幸運が舞い込むと言われています。手のひらサイズの鉢植えがおすすめです。
■ 玄関に
邪気を払い、良い気を呼び込む効果があるサンスベリアの尖った葉。背の高い鉢植えを玄関に置くことで、空間の浄化にも役立ちます。
■ トイレに

空気清浄効果が認められているサンセベリアをトイレに置くことで、トイレの悪い気を抑えます。視覚的にもリラックス効果をもたらします。耐陰性にも優れているのでトイレ内の弱い光量でも育ちます。
■ 寝室に
CAM型光合成により、夜間に二酸化炭素を吸収し酸素を放出。寝室の空気を改善して快適な睡眠環境をサポートします。シャープで直線的な葉は、シンプルモダンや北欧風の寝室に似合います。大型の鉢植えをコーナーに置いてもいいですし、小型品種をナイトテーブルに置くのもおすすめです。
インテリアスタイルごとのおすすめ品種
サンセベリアの品種を部屋のインテリアスタイルに合わせて選ぶことで、統一感と洗練された印象を演出できます。定番の4スタイルとおすすめの品種をご紹介します。
■シンプルモダン
<おすすめ品種>
ムーンシャイン(シルバーリーフ)/ブラックコーラル(濃緑)
シャープで直線的な葉と洗練された見た目が、シンプルモダンスタイルのインテリアにマッチします。モノトーンカラーとミニマルな装飾がサンセベリアのイメージと調和します。
■北欧スタイル
<おすすめ品種>
ローレンティー(緑に白の縞)/ゴールデンハーニー(黄緑の斑入り)
ナチュラルな木目や柔らかい色調、温かみのある素材が特徴的な北欧スタイル。サンセベリアの明るい緑や斑入りの葉が、優しく居心地の良い空間を演出します。
■エスニックスタイル
<おすすめ品種>
ハーニー(小型)/フツラ(幅広でねじれた葉)
異国情緒あふれる装飾とカラフルなテキスタイルや天然素材を合わせるエスニックスタイル。サンセベリアの個性的な形状とカラーが活気ある空間を演出します。
■ジャパニーズスタイル
<おすすめ品種>
ゼラニカ(濃緑)/ローレンティー(緑に白の縞)
サンセベリアのシャープなシルエットと緑がジャパニーズスタイルのインテリアに調和します。静かで洗練された和の空間を演出してくれます。
インテリアにサンセベリアを取り入れて、快適でスタイリッシュな毎日を!
乾燥にとことん強く、丈夫で育てやすいサンセベリアは初心者にもおすすめの観葉植物です。葉の模様や形が個性的なのでインテリアに合わせて選ぶ楽しさもあります。
インテリアをスタイリッシュに彩るユニークな姿はもちろん、空気清浄効果や風水的メリットも活かし、部屋のスタイルに合わせたコーディネートで美しさと機能を楽しみましょう!



















