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資源循環で胡蝶蘭文化をサステナブルに 帝人ソレイユ、国内初の「胡蝶蘭回収・再利用サービス」を開始

資源循環で胡蝶蘭文化をサステナブルに 帝人ソレイユ、国内初の「胡蝶蘭回収・再利用サービス」を開始

ビジネスや祝いの場で欠かせない胡蝶蘭。しかし、美しい花の寿命を終えた後は、処分の手間や費用が課題となってきました。帝人株式会社の特例子会社・帝人ソレイユは、こうした現状を変えるべく、国内初となる「胡蝶蘭の回収・再利用サービス」を開始しました。資源循環と障害者雇用を結び付け、贈る側・贈られる側双方にとって心地よい新しい贈答文化の創出を目指しています。

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贈る側・贈られる側の双方にメリットを提供

胡蝶蘭は、その気品ある姿から企業の開業祝いなどで広く親しまれています。しかし、一般的に観賞期間は1~3カ月ほど。その後は枯れ、処分の手間やコストが贈られた側に重くのしかかるという課題がありました。陶器やプラスチックの鉢、金属の支柱、そして植物部分といった多様な素材が混在しているため、分別や産廃処理に費用が発生するのです。

この現状に着目したのが、帝人株式会社の特例子会社である帝人ソレイユです。同社は2025年9月11日、枯れた胡蝶蘭を回収・分別し、リユースやリサイクルにつなげるサービスを本格始動しました。国内の特例子会社として胡蝶蘭の回収から再利用までを一貫して担う取り組みは初めての試みです。

これまで贈答用胡蝶蘭は「贈ると喜ばれる一方で、処分が大変」という矛盾を抱えていました。しかし今回のサービス導入により、贈られた側は廃棄の手間や費用から解放され、贈った側も「環境に配慮した胡蝶蘭を選んだ」という付加価値を得られます。

胡蝶蘭の回収サービスを始めた背景について、帝人ソレイユの取締役社長補佐である鈴木崇之さんは、次のように語ります。
「胡蝶蘭の花言葉は、「幸せが飛んでくる」です。贈って嬉しい胡蝶蘭は、もらって嬉しい胡蝶蘭である一方で、大企業の社長交代時のような多くの胡蝶蘭が贈られる機会には「もらったはいいけど、枯れた後が大変」「廃棄するのが心苦しい」というお困りごともよく耳にしていました。高級なお花であるからこそ贈答品としてとして定着しており、秘書部の方々のように受取り主が次の贈り手となることがよくあります。だからこそ、「いただいて困るもの(胡蝶蘭)を自分も贈る」ことに矛盾が生じます。このように、贈り贈られることが今後も永続するのかと自問自答したとき、このままでは贈答品としての胡蝶蘭が廃れてしまうのではないかという危機感があり、このような回収サービスを開始することを思い至りました」

美しい胡蝶蘭が栽培されているポレポレファーム

背景にある農福連携事業

帝人ソレイユは2019年に設立され、現在は41名の障害者が勤務しています。オフィスサポート事業と並んで、千葉県我孫子市の自社農場「ポレポレファーム」で農業事業を展開。2020年からは胡蝶蘭の生産・販売に参入し、従業員一人ひとりの特性に応じた役割分担によって高品質な胡蝶蘭を育ててきました。その成果は市場平均を上回る価格で取引され、2022年には農林水産省の「ノウフクアワード」を受賞するなど、障害者雇用の新たなモデルとして評価されています。

今回のサービスでは、まず東京都全域と神奈川県の横浜市・川崎市の一部地域を対象に展開。自社製品に限らず他社製品も含め、1鉢あたり3,300円(税込)で回収します。回収した胡蝶蘭はポレポレファームに運ばれ、専用焼却炉で焼却。その灰は野菜栽培用の肥料として再活用されます。鉢や金属製の支柱は分別のうえ、リユースやリサイクルに回され、資源を無駄なく循環させます。

「弊社の我孫子農場では農薬や除草剤を使わない野菜づくりを行っています。胡蝶蘭を焼却した結果として残る灰は草木灰として畑の土壌改良剤または肥料として有効活用できますので、野菜の品質や収量の向上が期待できます。また、「廃棄するのが心苦しい」というお客様にとって、枯れた胡蝶蘭が野菜という新しい命として蘇る(再生産される)ことで、ちょっとした救いになれば嬉しいです」(鈴木さん)

焼却した灰は野菜栽培用の肥料として再活用

サステナブルな贈答文化の創出へ

帝人ソレイユは今後、回収サービスの運用体制を強化し、全国展開を視野に対象地域を広げる計画です。将来的には自社製品に限らず、他社胡蝶蘭の回収も積極的に進めていく方針です。帝人グループ全体としても、多様な人材が活躍できるダイバーシティ経営を推進しており、障害者雇用の促進を通じて社会貢献を深める姿勢を明確にしています。

鈴木さんは、回収・引取サービスが生み出す効果を次のように語ります。「本サービスを始めることで、ハンディキャップのある社員が担う、分別・焼却といった新たな業務が生まれます。本サービスは、お客様のお困りごとの解決(回収・引取)、資源のリユース・リサイクル、そして障害者の雇用創出という3つのメリットがあるのです。胡蝶蘭の生産にとどまらない、弊社のトータルの取り組みを知っていただけますと嬉しいです」

日本特有の慶弔文化を担ってきた胡蝶蘭。その循環利用は、単なる廃棄物削減にとどまらず、資源循環や障害者雇用の拡大といった社会的課題の解決に直結します。帝人ソレイユの取り組みは、これからの贈答文化のあり方を問い直す象徴的な試みといえるでしょう。

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