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蜜芋「紅はるか」とは? 特徴・焼き芋レシピ・栽培方法まで紹介

さとう ともこ

ライター:

蜜芋「紅はるか」とは? 特徴・焼き芋レシピ・栽培方法まで紹介

サツマイモの中でも、ねっとりとした食感と濃厚な甘さで「蜜芋」として人気の高い紅はるか。焼き芋や干し芋にするととろけるような甘みが楽しめます。本記事では、紅はるかの特徴やおいしい見分け方、保存のコツをはじめ、簡単に調理できる焼き芋レシピ、砂糖を使わないスイーツまで幅広く紹介。全国でブランド化が進む注目の紅はるかを、家庭でもおいしく味わうためのポイントを解説します。

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紅はるかはどんなサツマイモ?

紅はるか3本

焼き芋や干し芋で人気の高いサツマイモ品種「べにはるか(紅はるか)」。ねっとりとした食感と驚くほどの甘さで、「蜜芋」としても知られています。農研機構が「蒸し芋で甘い品種」を目指して開発し、2010年に品種登録されました。

紅はるかは、従来の主力品種(高系14号やベニアズマなど)よりもデンプンが糖に変わりやすい性質を持っています。サツマイモは熟成を経て甘みを増しますが、紅はるかは収穫直後から甘みを感じやすいのが特徴です。さらに貯蔵によって糖度が高まり、時間をかけて熟成させることで、より深く濃厚な甘みが引き出されます。

食味の特徴

蜜芋紅はるかの焼き芋

紅はるかの魅力は、ねっとりとした食感と強い甘みです。加熱するとデンプンが糖に変わり、砂糖を使わなくてもスイーツのような濃厚な甘さが引き出され、しっとりした口あたりになります。特にじっくり火を通して焼き芋にすると、内部に蜜がにじみだす「蜜芋」特有のとろける食感が楽しめます。

従来のサツマイモの主力品種である高系14号(鳴門金時など)やベニアズマが、加熱によりホクホクとする粉質系であるのに対し、紅はるかはねっとりとした粘質系。この性質は主にデンプンの構成成分の違いによるもの。紅はるかは、粘り気を生むアミロペクチンの割合が高いことに加え、デンプンを分解する酵素の働きが活発です。加熱によって糊化(こか)したデンプンが酵素で分解され、麦芽糖(マルトース)などの糖に変化することで甘みがいっそう引き立ちます。

また、紅はるかのしっとりとした口あたりは、比較的多く含まれる水分によるものです。収穫後に追熟させることでデンプンが糖へ変化するとともに、水分が適度に抜けて甘みが凝縮し、濃厚な味わいが増していきます。

見た目の特徴

ざるにのった紅はるか

「紅はるか」という名前の由来は、食味・外観ともに従来品種よりも“はるかに優れている”ことにあります。皮は薄く、鮮やかな赤紫色でツヤがあり、表面の凹凸が少なくなめらか。整った紡錘形(ぼうすいけい)でやや細長い形状です。果肉は黄白色で、加熱すると黄金色に変化します。

外皮と果肉のコントラストがはっきりしており、焼き芋にすると色味の美しさがいっそう際立ちます。見た目の良さと甘さから、市場でも特に焼き芋用として高い人気を博しています。

旬の時期

焼き芋いにした紅はるか

紅はるかの収穫期は、主に9月下旬から11月にかけて。収穫したばかりの芋も甘みがありますが、貯蔵中にデンプンが糖へ変わることで、さらに甘さが増します。

特に温度と湿度を管理しながら1カ月以上追熟させた芋は、ねっとりとした食感と蜜のような甘みが際立ちます。そのため、市場に多く出回るのは11月以降から冬にかけて。寒い時期になるほど糖度が上がり、焼き芋にもっとも適した“食べごろ”を迎えます。

栄養

紅はるかは、栄養面でも優れています。エネルギー源となる炭水化物のほか、食物繊維やビタミンC、カリウムが豊富で、便通改善やむくみ予防にも効果的です。

サツマイモのビタミンCはデンプンにより守られているため、加熱調理で焼き芋や蒸し芋にしても損失が少ないのが特徴です。また、皮には食物繊維のほか、抗酸化作用をもつポリフェノールの一種であるアントシアニンが多く含まれるため、皮ごと調理するのがおすすめです。

焼き芋小1本(150g)のカロリーは約230kcalで、白ごはん1膳(150g・約235kcal)とほぼ同等かやや低め(※)。自然な甘さと栄養のバランスから、健康的なおやつや朝食代わりにも人気です。
※日本食品標準成分表2020版(八訂)

紅はるかの産地

紅はるかは、現在では全国各地で栽培されていますが、主な産地は茨城県・鹿児島県・宮崎県・大分県などです。中でも茨城県は干しいもの原料産地として、鹿児島や宮崎は焼き芋用として知られています。温暖で排水性のよい火山灰土壌や砂地でよく育ち、収量・品質が安定しやすいのも特徴です。農研機構の開発後、甘さと外観の良さから急速に普及し、各地でブランド化が進みました。

全国で進む「紅はるか」ブランド化、人気の蜜芋6選

紅はるかのブランド芋「紅天使」

ねっとり甘く、焼き芋や干し芋に人気の紅はるかは、全国各地でブランド化が進んでいます。ここでは、熟成や貯蔵技術によって甘さと香りを極めた代表的なブランドを紹介します。

紅天使(茨城県)|焼き芋専用ブランドの先駆け

カルビーかいつかスイートポテト株式会社が展開するサツマイモブランド。独自の熟成技術で糖度は約47度に達し、なめらかな口どけと豊かな香りで人気を集めています。

旭甘十郎(茨城県)|熟成が生む極上の蜜芋

JA茨城旭村が手がけるブランド芋。紅はるか(またはシルクスイート)を40日以上定温熟成させたものを旭甘十郎とよびます。糖度60度を超えることも。焼き芋にすると蜜があふれるような濃厚な甘みとねっとりした食感が特徴です。

いもジェンヌ(新潟県)|砂丘地が育む上品な甘さ

新潟県の砂丘地で育つ紅はるか系統のブランド。水はけの良い砂丘地と寒暖差が甘みを凝縮し、焼き芋にするとしっとりと上品な味わいに仕上がります。

甘太くん(大分県)|40日熟成でとろける甘さ

JAおおいたが管理するブランド。紅はるかを収穫後40日以上熟成させ、糖度検査に合格した芋だけが出荷されます。蜜がにじむほどのとろける甘さが魅力です。

かのや紅はるか(鹿児島県)|火山灰土壌が育む濃厚蜜芋

鹿児島県鹿屋市で生産されるブランド。火山灰由来の黒ボク土壌と温暖な気候が、焼き芋にしたときの濃厚な甘みとねっとり感を生み出します。

葵はるか(宮崎県)|低農薬・熟成のやさしい甘み

宮崎県串間市のくしまアオイファームが手がける紅はるか。減農薬栽培と独自の熟成技術で、やさしい甘さとしっとりした食感を実現した蜜芋です。

おいしい紅はるかの見分け方

3本並べた紅はるか

ねっとり甘い焼き芋で人気の紅はるかを選ぶポイントは「形」「皮」「重さ」「表面の状態」です。形はふっくらとした紡錘(ぼうすい)形で、太さが均一なものを。皮は濃い赤紫色でツヤがあり、しなびていないものが新鮮です。手に持ってずっしりと重みを感じるものは水分が多く含まれ、加熱するとしっとり仕上がります。

また、表面に黒い蜜のようなしみが見られることがありますが、これはヤラピンと呼ばれるサツマイモ特有の成分で、腸の働きを助ける作用があります。もともとは乳白色ですが、熟成が進む過程で黒くにじみ出ることがあり、皮にこのヤラピンが見られる紅はるかは、内部の糖化が進み、より甘くねっとりした食味であることが多いとされています。

紅はるかの保存方法

紅はるかは低温に弱く、冷蔵庫に入れると低温障害を起こしやすいため、常温での保存が基本です。洗わずに新聞紙に包み、10〜15℃前後の涼しい室内で保管しましょう。土がついている場合は落とさずに、土を乾燥させた状態で保管するとより長く鮮度を保つことができます。

保管中は、湿気を避け、風通しが良く直射日光の当たらない暗所に置くのが理想です。収穫後1〜2週間ほど置くとデンプンが糖に変わり、より甘みが増してきます。長期保存したいときは、1本ずつ新聞紙に包み、段ボール箱などに入れて冷暗所に置くのがおすすめです。

紅はるかの焼き芋|家庭でできる簡単レシピ3選

ねっとりとした食感と高い糖度が特徴の「紅はるか」は、焼き芋に最適なサツマイモです。おいしく仕上げるコツは、65~75℃程度の低温でじっくりと加熱すること。この温度帯で酵素が活発に働き、デンプンが糊化・糖化して、紅はるか特有のとろける甘さが引き出されます。ここでは、家庭にある調理器具で甘さを最大限に引き出す、おいしい焼き芋の作り方を3パターンご紹介します。記載の焼き時間は、Mサイズ(約200g)程度の安納芋を目安とした場合です。

炊飯器で「ねっとり蜜芋」

炊飯器で紅はるかの焼き芋

炊飯器は火加減を気にしなくても約70〜80℃を保てるため、もっとも手軽にねっとり甘い焼き芋を作ることができます。

  1. 紅はるかの表面をきれいに洗い、新聞紙やキッチンペーパーで包んでから全体を水で濡らし、アルミホイルでしっかり包む
  2. 炊飯器の内釜に入れ、芋が1/3ほど浸るくらい(200ml程度)の水を加える
  3. 「玄米モード」や「おかゆモード」(低温でじっくり加熱できるモード)を選択し、なければ「普通炊き」でスイッチを入れる
  4. 炊き上がったら、そのまま保温モードで1〜3時間放置する。竹串がスッと通れば完成

魚焼きグリルで「香ばしい焼き芋」

魚焼きグリルで紅はるかの焼き芋

グリルの高温を利用して、表面を香ばしく仕上げる方法です。アルミホイルで包むことで中までしっとりと蒸し焼きにできます。

  1. 紅はるかをきれいに洗い、水気を拭き取らずそのままアルミホイルで二重に包む
  2. 魚焼きグリル(片面焼き・両面焼きどちらでも可)に並べ、弱火でじっくり加熱する
  3. 片面焼きの場合は途中で裏返し、約30〜40分を目安に火を通す
  4. 竹串がスッと通るようになれば完成

フライパンで「しっとり蒸し焼き芋」

フライパンで焼いた紅はるか

フライパンにふたをして、少量の水で蒸し焼きにする方法です。オーブンがなくても簡単に甘い焼き芋が作れます。

  1. 紅はるかの表面をきれいに洗い、そのままフライパンに入れる
  2. 大さじ2〜3杯程度の水を加え、ふたをして極弱火にかけます。水がなくなった場合は、焦げないように少量を足す
  3. 片面を約20〜25分加熱したら裏返し、さらに同じ時間加熱する
  4. 竹串がスッと通れば完成

家庭でもできる!干し芋の作り方

紅はるかの干し芋づくり

干し芋作りのコツは、紅はるかをしっとり甘く蒸し上げ、適度に水分を残して乾燥させることです。紅はるかは糖化しやすく、干すことで自然な甘みがぎゅっと凝縮されます。

  1. 紅はるかをよく洗い、蒸し器で竹串がスッと通るまで(約40〜60分)じっくり蒸す。蒸し器がない場合は、鍋にざるを重ねて即席の蒸し器にしたり、炊飯器の「玄米モード」などでじっくり加熱してもよい
  2. 粗熱が取れたら皮をむき、繊維に沿って厚さ1cmほどにカットする
  3. 風通しのよい干し網やざるに並べ、冬場なら3日〜1週間ほど天日干し。天候が悪い日は、オーブンを80〜100℃に設定して1〜2時間ほど低温で乾かしてもよい
  4. 表面が乾き、押すと少し弾力が残る程度で完成。密閉容器に入れ、冷蔵または冷凍で保存する

砂糖を使わず簡単!紅はるかのスイーツレシピ3選

ねっとり甘い「紅はるか」は、砂糖を使わなくてもスイーツのように濃厚な味わいが楽しめます。ここでは、家庭で手軽に作れる砂糖不使用のスイーツを3品ご紹介。焼き芋からのアレンジも可能で、紅はるかの自然な甘みとしっとりした食感を生かしたレシピです。

紅はるかのスイートポテト風焼き芋プリン

紅はるかのスイートポテト風焼きプリン

紅はるかの焼き芋を裏ごしして卵と牛乳を混ぜるだけ。砂糖を使わなくても、紅はるかの自然な甘さで十分スイーツになります。蒸した紅はるかでもOKです。

材料(2人分)
焼き芋(紅はるか)100g、卵1個、牛乳150ml、バター小さじ1

作り方

  1. 焼き芋を熱いうちに裏ごしし、卵と牛乳を加えてよく混ぜる
  2. 耐熱皿に流し入れ、160℃のオーブンで約20分焼く
  3. 竹串を刺して液がにじまなければ完成
  4. 仕上げに黒ごま(分量外)を散らしてもよい

紅はるかのグルテンフリーパンケーキ

紅はるかのグルテンフリーパンケーキ

砂糖も小麦粉も使わず、紅はるかと米粉の自然な甘みで仕上げるモチモチ食感のパンケーキです。焼き芋を使うと甘みと香ばしさが増し、スイートポテト風の味わいに。焼く前に生地を10分ほど休ませると、ふっくら仕上がります。

材料(2人分)
蒸した紅はるか80g、米粉40g、卵1個、豆乳40ml、ベーキングパウダー小さじ1/2

作り方

  1. 紅はるかをボウルに入れてフォークでつぶし、米粉・卵・豆乳・ベーキングパウダーを加えてよく混ぜる
  2. フライパンを中火で温め、薄く油を引いて、生地を適量流し入れ、両面をこんがり焼く
  3. 好みで砕いたナッツやヨーグルト、はちみつ(いずれも分量外)を添えてもよい
    1. 紅はるかとヨーグルトのなめらかムース

      紅はるかとヨーグルトのなめらかムース

      紅はるかの甘みとヨーグルトの酸味が相性抜群。ミキサーで混ぜて冷やすだけの簡単ヘルシースイーツです。焼き芋を使うと甘みと香ばしさがより引き立ちます。

      材料(2人分)
      蒸した紅はるか100g、プレーンヨーグルト80g、牛乳80ml、ゼラチン小さじ1/2(約2g)、水大さじ1

      作り方

      1. ゼラチンを水でふやかし、電子レンジ(600W)で10秒ほど温めて溶かす
      2. 紅はるか・ヨーグルト・牛乳をミキサーでなめらかにし、ゼラチン液を加えて混ぜる
      3. カップに注ぎ、冷蔵庫で2〜3時間冷やせば完成
      4. 仕上げに刻んだ干し芋やシナモンパウダーなど(いずれも分量外)をトッピングしてもよい

      紅はるかの栽培方法

      掘りたての紅はるか

      紅はるかは病害に強く、家庭菜園でも比較的育てやすい品種です。植え付けは気温が安定する5月中旬〜6月上旬、収穫は10月頃が目安です。

      準備

      日当たりと水はけのよい場所を選び、耕してから堆肥を混ぜ込みます。プランターの場合は深型を選び、野菜用培養土を使うと手軽です。

      植え付け

      種いもではなく苗を使用し、畝を立てて30cm間隔で斜めに差し込みます。

      管理・水やり

      植え付け直後はたっぷり水を与え、その後は乾燥気味に育てます。つるが地面を覆い始めたら、節から根が出るのを防ぐために「つる返し(つる起こし)」を行い、風通しと芋の肥大を促します。

      収穫

      葉が黄ばみ始めたら掘り取りの合図。収穫後は1〜2週間ほど風通しのよい場所で乾かすと甘みが増します。

      蜜芋「紅はるか」で味わう幸福感

      紅はるかは、収穫したその日から甘みを感じられるほど糖化しやすく、追熟によってさらに甘みが増す粘質系の品種です。その焼き芋は、同じ粘質系の安納芋にも劣らない高い糖度と、上品な後味で知られています。焼き芋や干し芋、スイーツなど、調理法次第で味わいの幅が広がり、保存性にも優れています。いまや全国でブランド化が進み、家庭でもその魅力を手軽に楽しめる時代になりました。濃厚な“蜜芋”の甘さを、季節のごちそうとして味わってみてはいかがでしょう。

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