セリとは?

セリは日本各地の水辺や湿地に自生する多年草で、古くから日本人の食卓を彩ってきた香味野菜です。密生して競り合うように伸びる姿から「セリ(競り)」と名づけられたとされ、爽やかで清々しい香りと、シャキシャキとした歯ざわりが特徴。葉・茎・根まで余すところなく食べられ、日本の食文化に深く根ざしています。
春の七草の一つ

セリは春の七草の一つで、1月7日の七草粥に使われる代表的な野菜です。「セリ・なずな・ごぎょう…」と続く七草の中で最初に名を連ね、新年の無病息災を願う行事食として重要な役割を担ってきました。独特の爽やかな香りと風味は、お正月で疲れた胃腸を整える効果があるとされ、日本の伝統的な食文化を象徴する食材といえます。
セリの特産地
国内では東北地方や茨城県を中心に栽培され、特に東北には品質の高さと独自の食文化で知られるブランド産地が点在しています。
仙台セリ

宮城県名取地域を中心に栽培される「仙台セリ」は、冬の郷土の味覚として親しまれています。9月〜3月に出荷される「根セリ」は白く美しい根まで食べられ、冬の名物「仙台セリ鍋」や「セリそば」とともに全国に知られるようになりました。強い香りと歯応えが特徴の根セリに対し、4月〜6月に出荷される新芽を摘んだ「葉セリ(春セリ)」は柔らかく爽やかな香りが魅力です。
三関セリ

秋田県湯沢市で栽培される「三関(みつせき)セリ」は、雪深い寒冷地で育まれる伝統野菜です。厳しい寒さの中でゆっくり成長するセリは、葉茎より根が長く伸びるのが特徴。山々からの清浄な伏流水が根の成長を助け、収穫後の徹底した洗浄にも用いられることで、根まで美しく食べられるセリとして市場に届けられます。秋田県の郷土料理「きりたんぽ鍋」や「だまこ鍋」に欠かせない、冬の味覚の主役です。
セリの旬は冬から早春にかけて
セリの最盛期は12月〜3月頃の冬から早春にかけて。寒さが厳しくなるほど香りが引き締まり、茎にはしっかりとした張りが生まれ、葉はみずみずしく鮮やかな緑色に育ちます。旬のセリは香りが濃厚で、根・茎・葉それぞれの食感のコントラストも際立つため、鍋物・炒め物・薬味など、冬の食卓を豊かにする幅広い料理で活躍します。
セリの栄養と健康効果

セリにはβカロテンやビタミンC、葉酸などのビタミン類、鉄やカリウムなどのミネラル類が豊富に含まれています。香りのもととなる精油成分にはリラックス効果があるとされ、ポリフェノールの一種ケルセチンも含むため、高い抗酸化効果が期待できます。
βカロテン
可食部100g当たり1900μg|体内でビタミンAとなり、粘膜や皮膚の健康を支えます。抗酸化作用が強く、細胞の老化予防や免疫力維持に役立ちます。油と合わせると吸収率が高まるため、炒め物や天ぷらがおすすめです。
ビタミンC
可食部100g当たり20mg|抗酸化作用に優れ、ストレスや紫外線から体を守ります。コラーゲン生成に関わり、肌のハリ維持にも重要。熱に弱いため、スープごと食べられる鍋や汁物に適しています。
葉酸
可食部100g当たり110μg|血液生成に欠かせない栄養素で、貧血予防に役立ちます。細胞分裂を助けるため妊娠期の女性にも重要です。熱に弱いため、生のままサラダで食べるか、汁ごといただく鍋物・スープが効率的です。
カリウム
可食部100g当たり410mg|余分な塩分を排出し、むくみ対策や血圧コントロールに役立ちます。水に溶けやすいため、スープごといただく鍋物や汁物がおすすめです。
セリの選び方|美味しいセリを見分けるポイント
香りと食感の良さを楽しむためには、セリの鮮度がとても重要です。葉・茎・根それぞれの状態を見ることで、おいしいセリを見分けることができます。特に根付きセリは鍋料理で真価を発揮するため、根の鮮度にも注目しましょう。
美味しいセリを見分けるポイント
香りと食感の良さを楽しむには、セリの鮮度が重要です。葉・茎・根それぞれの状態を見ることで、おいしいセリを見分けられます。特に根付きセリは鍋料理で真価を発揮するため、根の鮮度にも注目しましょう。
葉が鮮やかでみずみずしいものを選ぶ
セリは鮮度が落ちやすいため、まず葉の状態を確認しましょう。濃く鮮やかな緑色で、しおれや黄ばみがないものが新鮮です。葉先までピンとしてツヤがあるものは香りも強く、調理後もシャキッとした食感が残ります。
茎に張りがあり、太さが均一なもの
茎はセリの食感を大きく左右します。持ったときに張りがあり、折れや曲がりがないものを選びましょう。太すぎず細すぎない均一な太さの茎は、筋っぽさが少なく食べやすいのが特徴です。切り口が乾いていないかも鮮度のポイント。鍋物や炒め物には、適度な太さの茎がアクセントとなり、シャキシャキ感を楽しめます。
根付きセリは根の白さと新鮮さがポイント
根まで食べられる根付きセリは、香りの高さで人気があります。根が白くみずみずしく、ひげ根がピンと張っているものが良品です。茶色く変色したり乾燥しているものは鮮度が落ちている証拠。
セリの保存方法

セリは鮮度が落ちやすいため、保存方法が重要です。乾燥を防ぐ冷蔵保存や、根付きセリなら水に立てておく方法など、家庭で実践しやすいコツをご紹介します。
常温保存の期限の目安
セリは常温ではしおれやすく、日持ちしません。買ってきたら早めに冷蔵するか水に立てて保存し、常温ならその日のうちに使い切りましょう。
冷蔵保存では乾燥に注意
湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、ポリ袋に入れて野菜室で立てて保存します。セリは乾燥に弱いため、湿気を保つことが大切です。冷気の強い冷蔵庫(5℃以下)では黒く変色するため、必ず野菜室へ入れましょう。
加熱したセリは冷凍保存も可能
生のままではなく下茹でして保存します。10〜15秒茹でて絞り、小分けにして冷凍すれば、味噌汁や炒め物に便利です。保存期間は約1か月が目安です。
根付きセリは「立てて保存」で鮮度長持ち
軽く水にくぐらせてから、バケツや深めの容器に水を張って立てて保存するのが最適です。根が水につかっていれば、冷暗所で1週間ほど鮮度が保たれ、葉や茎がシャキッとよみがえります。
セリの栽培方法

セリは自生するほど丈夫で、家庭でも育てやすい香味野菜です。水辺を好むためプランター栽培が管理しやすく、春から初夏に植え付ければ長く収穫できます。種は発芽率が低いため苗から育てるのが一般的で、食用の根付きセリをリボベジ(再生栽培)することも可能です。
準備
深さ20〜25cm程度のプランターに市販の培養土を入れます。セリは乾燥を嫌うため、保水性の高い土が適しています。元肥は不要です。
植え付け
植え付けは4〜6月が適期です。苗は株間5〜10cmで植え付けます。料理用の根付きセリを使う場合は、茎の節を含めて5〜6cm残すと再生しやすく、そのまま育てられます。植え付け後はたっぷり水を与えます。
管理・水やり
水切れ防止が最も重要です。常に土がしっとりした状態を保ち、夏場は朝夕の水やりが理想的。受け皿に水をためる「腰水」も有効です。日当たりは半日陰が適し、真夏の直射日光は避けます。追肥は月1回、薄めた液肥を少量与える程度で十分です。
収穫
植え付けから1〜2か月で草丈20〜30cmになったら、地際から数cm残してハサミで切り取るか、根ごと引き抜きます。多年草のため根を残せば翌年も収穫できます。
セリの食べ方
セリの香りと歯ざわりの良さを生かすには、下処理と加熱時間がポイントです。根・茎・葉それぞれの特徴を理解し、調理法に合わせて使い分けることで、セリ本来の風味を楽しめます。
下処理のポイント
根付きの場合は、まず根の泥をていねいに落とします。流水で洗いながら茶色い根は取り除き、根の隙間の汚れは竹串などで掻き出します。根・茎・葉では火の通りが異なるため、調理時は、根→茎→葉の順に加えると食感がそろいます。長く加熱すると香りが飛び、食感も損なわれるため茹でる場合も10〜15秒ほどにとどめましょう。
セリの香りを生かす調理法
セリの魅力は、短時間の加熱でふわっと立つ爽やかな香り。鍋やおひたし、生食や炒め物など、火の入れ方次第で味わいが変わる万能野菜です。
鍋や汁物に
セリは短時間で火が通るため、鍋や汁物の仕上げに加えることで、鮮やかな緑色と軽やかな香りが広がります。根付きセリなら根も一緒に煮て香りと食感を楽しむのもおすすめです。
おひたしや和え物に
さっと湯通しして冷水にとるとシャキッとした歯ざわりが残ります。しょうゆや白だしで仕上げるおひたしや、胡麻和え・ナムルなども定番。加熱時間が短いほど香りが立ち、セリの風味がシンプルに楽しめます。
サラダなどの生食・さっと加熱料理
生のまま使うと、セリの爽やかな香りをよりダイレクトに味わえます。刻んで薬味にしたり、葉先をサラダにしたりと使い方は自由。炒め物も、強火で手早くサッと加熱すると香りが飛びすぎず、程よい歯ざわりに仕上がります。
アク抜きは必要?
セリはホウレンソウなどの葉物と比べてアクがほとんどないため、アク抜きは不要です。気になる場合でも短時間の湯通しで十分。下処理が簡単な点も、家庭で使いやすい理由のひとつです。
セリを美味しく食べる!おすすめレシピ3選
旬のセリを使った定番のおかずから、鍋やそば、天ぷらまで、セリの魅力を存分に味わえる厳選レシピをご紹介します。手軽に作れるものばかりなので、ぜひ日々の献立に取り入れてみてください。
セリのナムル

さっと茹でたセリを、ごま油としょうゆであえるだけ。作り置きもでき、箸休めやお弁当のおかずとしても活躍します。
材料(2人分)
- セリ 1束
- 塩 少々
- ごま油 小さじ2
- しょうゆ 小さじ1
- 白いりごま 小さじ1
- ニンニクのすりおろし 少々(好みで)
作り方
- 鍋に湯を沸かして塩少々(分量外)を加え、セリを茎から入れて10〜15秒ほどさっと茹でる。冷水にとって冷まし、水気をしっかり絞る
- セリを3〜4cm長さに切る
- ボウルにごま油・しょうゆ・塩少々・白ごま・ニンニクを入れてよく混ぜる
- セリを加えて全体をあえ、味をなじませる
セリと鶏肉の水炊き風

鶏ガラスープにセリを合わせた水炊き風の鍋です。根・茎・葉を順番に煮ることで香りと食感をいかし、残ったスープにご飯やうどんを入れて、〆まで美味しく楽しめます。
材料(2人分)
- セリ 1束(根付きなら根も使用)
- 鶏もも肉 200g(一口大)
- 長ねぎ 1本
- 豆腐 150g
- 舞茸 1/2パック(約80〜100g)
- 水 600ml
- 鶏ガラスープの素 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 薄口しょうゆ 小さじ1(好みで)
- ポン酢、柚子胡椒など(つけだれ用)
作り方
- セリは根・茎・葉に分ける。根付きの場合は、根の泥をていねいに洗い落とす。茎と葉は4〜5cm長さに切る
- 長ねぎは斜め切り、舞茸と豆腐は食べやすい大きさに切る
- 鍋に水・鶏ガラスープの素・塩を入れ、鶏もも肉を加えて火にかける。アクを取りながら中火で5〜6分煮る
- 長ねぎ・舞茸・豆腐を加え、さらに3〜4分煮る。好みで薄口しょうゆを加えて味をととのえる
- セリは、根、 茎、 葉の順に加え、根は2分ほど、茎は1分ほど煮る。葉はサッと火を通す程度で火を止める
- 器に取り分け、ポン酢や柚子胡椒を添えていただく
セリそば セリ根天ぷらとともに

生のセリをたっぷりのせたそばに、揚げたての根天ぷらを添えて。葉と根の香りと食感のコントラストが楽しめます。
セリそばの材料(2人分)
- そば(乾麺) 2人分
- セリ 1束
- そばつゆ(ストレート) 400ml
- 長ねぎ 適量(小口切り)
- かまぼこなど(お好みで)
セリそばの作り方
- セリは根・茎・葉に分ける。茎と葉は3〜4cm長さに切る
- 鍋に湯を沸かし、セリの茎を10秒ほどさっと湯通しして冷水にとり、水気を切る。葉は生のままとっておく
- 別の鍋でそばを袋の表示どおりに茹で、湯切りする。そばつゆは温めておく
- 器にそばを盛り、つゆを注ぎ、セリの茎、葉、長ねぎ、かまぼこなどをトッピングする
セリの根天の材料(2人分)
- セリの根 根付きセリ1束分
- 薄力粉 大さじ3
- 冷水 大さじ3
- 揚げ油 適量
- 塩 少々
セリの根天の作り方
- セリの根は泥をていねいに洗い落とし、水気をキッチンペーパーでよく拭く
- ボウルに薄力粉と冷水を入れてさっと混ぜ、薄めの衣を作る
- 根に衣をくぐらせ、170℃程度の油で1分弱を目安にカラッと揚げる
- 油をよく切り、塩をふり、セリそばに添えるか、別皿に盛り付ける
旬のセリで香り・食感・栄養を味わう
セリは、爽やかな香りとシャキッとした歯ざわり、そして豊富な栄養を同時に楽しめる、冬から春にかけての旬の味覚です。葉・茎・根まで余すところなく味わい尽くすことができ、料理に加えるだけで食卓に季節の彩りが生まれます。
とくに根付きセリは、香りの強さと食感の豊かさが魅力。鍋料理に入れれば、湯気とともに立ち上る清々しい香りが、冬の食卓を特別なひとときに変えてくれます。「仙台セリ鍋」や「セリそば」に代表されるように、近年その美味しさが広く知られるようになり、人気も上昇中です。
選び方や保存、下処理のコツを押さえれば、家庭でも扱いやすく幅広い料理に活用できます。寒い季節だからこそ味わえる、セリならではの香りと食感。ぜひ旬の時期に、この冬の恵みを存分に楽しんでみてください。

仙台名物「せり鍋」
















