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日鉄興和不動産と日本農業が共同で新会社設立 2026年よりリンゴの高密植栽培をスタート

日鉄興和不動産と日本農業が共同で新会社設立 2026年よりリンゴの高密植栽培をスタート

「鉄のまち」として発展してきた北海道室蘭市に、リンゴ栽培を行う農業法人「日鉄興和不動産農業株式会社」が設立されました。日鉄興和不動産株式会社と株式会社日本農業による合弁会社で、2026年4月から市内初というリンゴ栽培をスタートさせます。これを皮切りに、室蘭市を「鉄と農業のまち」にしていきたいと意気込む日鉄興和不動産農業。その経緯や狙いが関係者から語られました。

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室蘭で初のリンゴ栽培に踏み出す

不動産デベロッパーである日鉄興和不動産が、農業事業に本格参入することを発表。同社の代表取締役社長、三輪正浩(みわ・まさひろ)さんは「CSRではなく事業として取り組みます。微力ながら地域経済を支えて、持続可能な地域創造ができればと考えています」と語りました。
同社は2024年に農業スタートアップへの出資を行って以来、農業界への知見を深めてきました。その中で知り合ったのが、今回の新会社設立におけるパートナーとなった日本農業の代表取締役CEO、内藤祥平(ないとう・しょうへい)さんです。日本農業の圃場を視察するなど、情報交換を行い、日本では珍しいリンゴの高密植栽培や、アジア圏で日本のリンゴが高く評価されていることなどに関心を持ったといいます。「内藤さんとの出会いがなかったら、農業を始めることはありませんでした」と三輪さん。
その上で、北海道室蘭市で新会社を設立し農業事業をスタートさせることを決定。遊休地であった約5ヘクタールを農地とし、初年度は約0.7ヘクタールを開園、次年度は約3.9ヘクタールと、段階的に広げる予定です。

室蘭の農地(提供:日鉄興和不動産農業)

リンゴを生産する上での強み

日鉄興和不動産がタッグを組む日本農業は、2016年の創業以来、リンゴを中心に複数の農産物を、生産から販売まで一気通貫で行ってきました。24年11月から25年1月の春節シーズンの東アジア圏へのリンゴ輸出は、約2,761トン、約15.8億円と同社の過去最高値を記録しています。
そんな日本農業が取り組んできたのが、リンゴの高密植栽培です。青森県で主流の丸葉栽培の平均収穫量が1反当たり約2トンに対し、高密植栽培では約6トンが可能だといいます。また省力化により、生産性の向上も見込めるともいいます。

 

高密植栽培のリンゴ圃場(提供:日本農業)

まちづくりで培った行政との信頼関係

生産性に加えて、新会社が強みとするのが、日鉄興和不動産が以前から築いてきた室蘭市との信頼関係です。
日本製鉄株式会社の製鉄所エリアに事業所を構え、住宅や⼤型商業施設を手掛けてきた同社。「鉄のまち」としての発展に尽力してきました。
新会社設立について、市の経済部長の舛田喜代志(ますだ・きよし)さんは「一次産業は気候変動や人手不足に悩まされています。本市で、諸課題の解消に取り組む新会社がスタートすることは、大きな意義があります。将来的にはふるさと納税の返礼品への展開や、市内の事業者とのコラボレーションにも期待しています」とエールを送りました。

「不動産デベロッパーがなぜ農業?」

一方で、今回の新会社設立に当たっては「なぜ農業?」という声がなかったわけではないといいます。
新会社の取締役の山下恒(やました・ひさし)さんは「当初は、少し距離が遠い事業ではないかと感じました」と正直な思いを話しました。「ですが、単なる農産物の生産ではなく、付随する産業づくりや、そこに関わる人々の生活づくりと読み解いたときに、我々がまちづくりの中で培ってきたものとの親和性を感じました。またさまざまな新しい農業技術を拡大させるに当たっては、我々の投資家という側面が持つ意義を強く感じました」
さらに新会社の取締役・アグリ事業部長、白木智洋(しろき・ともひろ)さんは「もちろん農業事業には、我々がこれまでやってきた不動産事業と異なる部分はあります。ですが、土地のポテンシャルを最大限に活用するという点では、不動産事業で培ってきたノウハウが生きてくると考えています」と話しました。
こうした考え方から新会社の事業コンセプトに掲げたのが「アグリデベロッパー」です。投資家ではなく、あくまで生産者として地域の価値を高めるという意味合いがその言葉に込められています。

10年後に目指すもの

新会社の代表取締役社長に就く鈴木誠治(すずき・せいじ)さんは、室蘭市を「鉄と農業のまち」にしていきたいと10年後の展望を描いています。
「青森県の日本農業の畑を視察した際に『若い人がたくさん働いている』と感じました。室蘭においても雇用を生み出し、若い人に農業に携わってもらいたいです」
日本農業の内藤さんも「鈴木さんの言うように若い人がたくさん働いているような景色にしたいですね」と思いを共にしています。「日本農業は創業10年目。現在は、創業時からは想像できなかった規模になっています。今回の新会社は、日鉄興和不動産がこれまで室蘭で築いてきた信頼やノウハウなどの蓄積もありますので、更に大きな規模になるのではと思います。一緒に事業を走らせていくことを、とても楽しみにしています」
10年後に生産体制を100ヘクタール規模にすることも視野に入れる日鉄興和不動産農業。大きなビジョンの実現に向けた取り組みがスタートします。

左から日鉄興和不動産の三輪正浩さん、日本農業の内藤祥平さん、日鉄興和不動産農業の山下恒さん

 

左から日鉄興和不動産農業の鈴木誠治さん、白木智洋さん、北海道室蘭市の舛田喜代志さん

(編集協力:三坂輝プロダクション)

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