セイタカアワダチソウとはどんな植物?

セイタカアワダチソウは北米原産の多年草で、日本には戦後に急速に分布を拡大しました。日本では嫌われがちな雑草ですが、北米ではゴールデンロッドという名前で呼ばれ、日本ほどには大きくならず、秋に咲く観賞用・景観植物として親しまれているようです。ネイティブ・アメリカンの間では重要な民間薬として、整腸剤や風邪、喉の痛み、傷の手当などに利用されてきた歴史もあります。僕の友人も花が咲く前のセイタカアワダチソウの穂を摘み取り、乾燥して、入浴剤として使っていて、肌がスベスベになると言っていました。
黄色い花が咲くため「花粉症の原因」だと思われがちですが、これにはやや誤解もあるようです。セイタカアワダチソウは昆虫に花粉を運んでもらう虫媒花であり、花粉が風に乗って飛散しにくい性質があります。花粉症の主因は、同時期に黄色い花を咲かせる風媒花のブタクサであるとされています。
セイタカアワダチソウの生存戦略

セイタカアワダチソウは地下茎を伸ばすことによって横方向へ一気にテリトリーを広げていきます。人の手が入らなくなった耕作放棄地などでは、頻繁に刈り取られることもないため、安定して繁殖します。
また、根から化学物質を分泌し、周囲の植物の生育を阻害するアレロパシーという能力も持ちます。戦後に広がった外来植物であるセイタカアワダチソウが持つこの生育阻害物質に、在来の植物がうまく適応できなかったことが、勢力を伸ばした大きな理由の一つだと考えられています。ただし、この物質は群落密度が高まると自らにも悪影響を与えるため、群落がピークを過ぎると自然に勢いが弱まるという特性があります。そのため、無尽蔵にセイタカアワダチソウが増えていくことはないようです。
戦後の日本で一気に増殖した理由

実はセイタカアワダチソウが日本で一気に繁殖した理由は、戦後に日本の土壌環境が大きく変わったことも関係しているようです。化学肥料が普及するようになり、それまで酸性土壌で育ちにくかった農地にも石灰が入れられるようになり、土壌のpHが全国的に上がっていきました。セイタカアワダチソウはpH6.5〜8くらいの弱酸性〜弱アルカリ性の環境を好むため、これによって繁殖しやすい農地が増えたことも一因となっている可能性があります。道路沿いなどによく生えているのも、コンクリートから溶け出るカルシウム分で土壌がアルカリ性に偏るからではないかと思っています。
また、もともと日本の土壌には少なかったリンという栄養素が、リン肥料が導入されたことで増え、セイタカアワダチソウの繁殖に影響を与えているようです。実際に僕も畑作りの相談を受ける際に、全国のいろんな畑の土壌分析データを見せてもらうのですが、結構な割合でカルシウムとリンが過剰な農地が見受けられます。このような状況もセイタカアワダチソウが日本で勢力を伸ばした大きな要因になっているようです。
彼らが土壌を改善してくれている?

ここからは個人的な考察も含まれるのですが、全国的にカルシウムやリン過剰の農地が増える中、結果的にそこにセイタカアワダチソウが繁茂することで、土壌が改善されているという見方もできるのではないかと思っています。
セイタカアワダチソウの近縁種(ソリダゴ・カナデンシス)を調査したとある研究では、その植物が繁茂したことによって、土地の栄養素の総量は変わらないものの、植物に利用可能な形の栄養素の濃度が上昇し、土壌中の微生物バイオマスと窒素、リン、炭水化物分解に関わる酵素の活性が上がっていました。つまり人為的な過剰施肥でバランスが崩れてしまった土地の栄養循環が、ソリダゴ・カナデンシスが生えることによって、きちんと循環していくような構造に変化したということです。
この研究結果からセイタカアワダチソウでも同じような効果が期待できるのではないかと私は考えます。
また、土地を耕作し始めれば、自然とセイタカアワダチソウは消えていくわけですし、結果的に土地の有機物量は増え、栄養素循環機能は高まっているので、以前よりも野菜が育ちやすい土壌に変化していくと考えています。
ただし過剰な栄養素の総量自体が減るわけではないので、場合によっては残渣(ざんさ)の持ち出しなども考えても良いかもしれません。
セイタカアワダチソウの対策について

セイタカアワダチソウはとても繁殖力が旺盛な植物ですが、ポイントを抑えていれば対策自体はそこまで大変なわけではありません。
まず大切なのは定期的に草刈りを行うことです。セイタカアワダチソウは耕作放棄地のような草刈りされない土地では繁殖しますが、定期的に草刈りをしている場所では、十分に地下茎にデンプンをためきれないためか、格段に繁殖力が弱ります。 年に2〜3回草刈りを行うだけでも十分で、特に開花前に刈ることで、種をつけさせずに勢いを大幅に衰えさせ、減少傾向に向かわせることが可能です。また地下茎は無理に根絶しようとしなくても大丈夫です。 草刈りやマルチングを行うことで、次第に生えなくなっていきます。
土づくり資材としても活用できる
刈った後のセイタカアワダチソウは畑の栄養源、有機物資源として優秀です。刈り取ったあと軽く乾かしてから畝立て時に鋤き込むと、フカフカになります。
地下茎の部分は取れる範囲では取って、完全に枯らしてからすき込むと良いですが、そこまでしなくても、草刈りさえ定期的にしておけば次第に減っていきますので、無理をしなくても大丈夫です。ただしセイタカアワダチソウの残渣からも生育阻害物質はしばらくは出てきます。それらが分解されるまで半年ほどは影響が考えられるので注意しましょう。
外来種は必ずしも悪ではない
外来種といえば危険で良くない存在として見られがちですが、私たちがもたらした大きな土壌環境の変化があったからこそここまで繁茂した面もありますし、それによってその土地の栄養循環が保たれてきたのも事実だと思います。一方的に敵視するだけでなく、その存在意義や役割をもう一度確認した上で、どう彼らと付き合っていくかを考えてみてはいかがでしょうか。


















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