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冬に相次ぐ山火事、約7割が人的要因。新たに始まる「林野火災注意報・警報」に従い予防すべし!

kawashima_reijiro

ライター:

冬に相次ぐ山火事、約7割が人的要因。新たに始まる「林野火災注意報・警報」に従い予防すべし!

冬の乾いた空気が肌を刺す頃になると、ニュースなどで山火事の映像を目にする機会が増える。強風に煽られ、近隣の農地から斜面を駆け上がる炎は、森林だけでなく集落で暮らす人々の生活さえも脅かす。自然災害のように見える山火事だが、実はその多くが、人間の活動によって引き起こされているのだ。そこで今回は、林野庁への取材をもとに、山火事が起きる背景やメカニズム、そして2026年1月から運用が始まる新制度の内容を解説する。山火事は防ぐことができる災害であり、その鍵は私たち自身の行動にある。(画像提供:総務省消防庁)

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山火事が増えるのは冬だが、春まで注意すべし!

山火事は農業生産者にとっても脅威である。畔焼きなどの農作業のほか、地域の清掃活動(野焼き)が山火事の原因となるケースも少なくない。ほんの小さな火でも、乾いた落葉や下草に触れれば、わずかな時間で取り返しのつかない事態へと発展する。

近年、大規模な山火事が増えているように感じる人は少なくないはずだ。実際のところ、山火事(消防機関をはじめ行政機関では「林野火災」と呼ぶ)は、いつ、どのように発生しているのだろう?林野庁研究指導課企画係の担当者に話を聞いた。

提供:農林水産省林野庁

「日本における林野火災は、長期的には減少傾向にありますが、直近5年間(2020年~2024年)で年間平均約1,200件の林野火災が発生し、焼損面積は約800haに上ります。これは1日あたりに換算すると全国で毎日約4件、約2haの森林が燃えている計算になります」

林野火災が増えるのは冬季だ。林野火災の6割は1〜5月に集中しているが、林野庁の担当者によると、強い季節風、乾燥、降水量の少なさが影響しているという。

林野火災の月別発生件数(2020年~2024年の平均)。提供:農林水産省林野庁

特に注意すべきは3〜4月だ。

「積雪量の違いなどにより、地域によって山火事発生のピークにはズレがありますが、全国平均でみると、3〜4月が発生のピークになっています。これは気象条件に加え、屋外で火を扱う機会が増えたり、レジャーなどで山に入る人が多いためと考えており、ゴールデンウイーク明け頃まで林野火災発生の多い時期が続きます」

気象は“起こりやすい状態”を作るにすぎず、“火をつけている”のは人間である可能性が極めて高いのだ。

林野火災の原因のほとんどは人間! 注意すれば減らすことができる

林野火災の原因別出火件数(2020年~2024年の平均)。提供:農林水産省林野庁

林野火災の原因を分析したデータを見ると、人間の活動が引き金になっているケースが圧倒的に多い。「たき火」「火入れ」「放火(疑い含む)」「たばこ」「マッチ・ライター」「火遊び」を合わせると、実に67%に達する。

「『その他』の33%には、調査しても原因の特定に至らなかったケースが含まれており、落雷などの自然現象が原因となるケースは稀です」

林野火災は自然災害のように考えられがちだが、実際はほとんどが人為的な火災である可能性が高いと考えるのが自然だ。

火入れは実施前に市町村の許可を得ること。条例で定められた人数以上で、消火用の水などを用意して行うこと。完全に消火するまで、その場から離れないこと。飛び火に注意し、風が強い日は延期すること。提供:総務省消防庁

さて、農業生産者に関係が深い活動が、畔焼きなどの火入れである。これについて林野庁の担当者は、次の6点を強く呼びかけた。

1.枯れ草が多い場所でのたき火はしない
2.火気使用中は絶対にその場を離れず、完全に消火する
3.強風時・乾燥時にたき火、火入れを行わない
4.火入れは市町村の許可を必ず得る
5.たばこは指定場所で吸い、吸い殻は必ず消して投げ捨てない
6.火遊びは絶対にしない

5と6は当たり前に守らねばならない事柄だが、特に忘れてはならないのが、4の「市町村の許可を得る」だ。これは法律で定められている。森林法では「森林内または森林から1kmの範囲内で火入れを行う場合、市町村長の許可が必要」とされている。

「許可を得たうえで、当日の風の強さなどによっては延期する判断も必要です」

林野火災のメカニズムを知る

原因となる行為は理解できたが、林野火災はどのように広がって行くのだろうか? そのメカニズムについても教えてくれた。

「多くは落葉や下草が燃える、地表火と呼ばれる状態から始まります。これが立ち木の枝葉に燃え移ると樹冠火になり、火の粉を飛散させながら急速に延焼します」

乾燥した落葉や下草を燃やす火が風に煽られるなどして立ち木の枝葉に燃え移ると、一気に広がり、容易には消火できなくなる。地表火から樹冠火へ移行してしまうと、消火は極めて困難になる。人間の不注意による小さな火が、悪条件下では手のつけられない災害へと変貌する理由はここにある。

2026年1月より「林野火災注意報・警報」の運用が始まる!

2025年3月に発生した岩手県大船渡市の林野火災を教訓とすべく、消防庁は新たに「林野火災注意報・警報」を創設した。

新たに設けられた「林野火災注意報」と「林野火災警報」は市町村が発出主体であり、気象状況を踏まえた火の取り扱いの注意喚起として用いられる。運用は2026年1月1日開始予定で、周知方法は各自治体のホームページ、SNS、防災無線などが想定されている。たき火や火入れの実施可否は、この注意報・警報の確認が前提となる。林野火災注意報の発令中はたき火や火入れをしない、と理解してほしい。

法人・自治体向けのサービス

ウェザーニューズ社プレスリリースより転載

この市町村による「林野火災注意報・警報」の発出判断に活用できるサービスが、ウェザーニューズ社からリリースされた。それが「林野火災危険度予測サービス」だ。林野庁が委託事業として開発したシステムが基になっており、主な利用対象は地方自治体を想定している。

この「林野火災危険度予測サービス」では、ウェザーニューズ社の気象予測技術と森林データを組み合わせることで、72時間先まで1kmメッシュで「発生危険度」と「延焼危険度」を予測できる。発令基準の調整や火気使用制限区域の判断をデータに基づいて行えるため、火災予防効果が期待できるし、判断の根拠として有用となるはずだ。

林野火災注意報・警報が出たら絶対に火入れしない!

林野火災は、多くが人間の不注意によって起こる“防ぎ得る災害”である。本稿のまとめとして、林野庁の担当者の言葉を紹介したい。

「火入れをする際は必ず市町村の許可を取り、指示に従ってください。当日は乾燥注意報や強風注意報、林野火災注意報などが出ていないか、必ず確認してください。実施できる場合でも、消火体制を整え、完全に消火を確認するまで絶対にその場を離れないこと。この徹底こそが林野火災の予防に不可欠です」

冬から春にかけて、特にたき火や火入れの多い春先は要注意。農地を守るためにも、地域を守るためにも、火の扱いには例年以上に慎重でありたい。

取材協力・写真提供:農林水産省林野庁
写真提供:総務省消防庁ウェザーニューズ

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