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スイートスプリングはどんな柑橘? 旬の時期・育て方など解説

スイートスプリングはどんな柑橘? 旬の時期・育て方など解説

爽やかな香りと上品な甘みが特徴の希少な柑橘、スイートスプリング。外皮に緑色が残っていても甘く食べられる珍しい柑橘です。スーパーでもあまり見かけないスイートスプリングについて、今回の記事では基本情報・旬の時期・栽培方法を解説していきます。

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スイートスプリングとは?

スイートスプリングの基本情報

スイートスプリングは、上田温州という温州みかんと、八朔(はっさく)を交配して誕生した柑橘です。1947年に交配が始まり、育成に30年以上の歳月をかけて、1982年にタンゼロ農林1号として品種登録されました。八朔由来のしっかりとした果肉に、温州みかんの甘さが加わった独自の味わいが特徴です。

スイートスプリングの特徴

外皮はゴツゴツとしてやや厚く、色も黄緑〜薄い黄色のため、一見すると酸味が強そうな印象があります。しかし実際には酸味がほとんどなく、まろやかで甘みの強い果汁がたっぷりと詰まっています。見た目と味わいのギャップが大きいため、初めて食べた人が驚くことも多いです。果肉はジューシーで食感が柔らかく、苦みもないため、柑橘の中でも非常に食べやすい品種といえます。

スイートスプリングの由来


スイートスプリングという名前は、その味の甘さ(スイート)と、出荷が始まる時期が春先であること(スプリング)にちなんで付けられました。農林水産省の柑橘育種事業の一環として育成・開発された品種です。味と香りのよさ、食味のバランスのとれた品種として評価されつつも、全国的な生産量は少なく、「知る人ぞ知る」希少な柑橘となっています。

スイートスプリングの旬の時期

旬の時期は11月下旬〜2月頃

スイートスプリングの旬は11月下旬〜2月頃。収穫初期の果実は果皮に青みが残ることもありますが、糖度は高く、熟すにつれて酸味がよりまろやかになります。

希少品種なので早めに購入を

スイートスプリングは市場に出回る期間が短く、近年人気が高まっているため、旬の時期でも手に入りにくいことがあります。とくにギフト需要が高まる1月は品薄や売り切れになりやすいため、見つけたら迷わず購入するのがおすすめです。

おいしいスイートスプリングの選び方

表皮にハリとツヤがあるものを選ぶ

スイートスプリングを選ぶ際は、まず果皮をチェックしましょう。ツヤと張りのあるものは新鮮で、果肉が詰まっているサインです。逆に、皮が乾燥していたりシワがあるものは、鮮度が落ちている可能性があるため避けるのが無難です。

手に持ってずっしり重いものを

柑橘類の選び方で重視したいのが重さ。同じ大きさの果実で比べたとき、ずっしりと重く感じるものほど果汁が多く、ジューシーな傾向があります。また、果汁が豊富な品種なので、重みのあるものほど甘くてみずみずしい傾向があります。反対に、軽く感じる果実は内部が乾き始めている場合があるので要注意です。

色は緑でもOK。外観より中身で選ぶ

スイートスプリングは、出始めの時期には黄緑色〜淡黄色の果皮をしていることが多く、オレンジのような濃い色にはなりません。しかし、緑色が残っていても中身はしっかり甘く、酸味もまろやかになっているのがこの品種の特徴。色味で敬遠するのはもったいないです。色よりもツヤや重さなど、全体のコンディションを優先して選ぶのがコツです。

スイートスプリングのおいしい食べ方

基本はナイフでカットして食べる

スイートスプリングは皮が厚く、手だけでむこうとすると果汁がこぼれたり、力が入りすぎて実がつぶれたりしてしまうことがあります。そこで、まず上下のヘタ部分を薄く切り落とし、果実を安定させるのがきれいに仕上げるポイントです。続いて縦に包丁を入れて半分にカットし、さらにくし形に6〜8等分ほどに切り分けると、果肉が取りやすく食べやすい形になります。

そのまま食べる以外のアレンジ

スイートスプリングの魅力は、カットして食べるだけではありません。果汁が多く、甘みが穏やかなので他の料理やデザートとの相性も良く、いろいろなアレンジが楽しめます。
例えば、果肉をサラダに加えると爽やかな香りと甘みがアクセントとなり、彩りもぐっと華やかになります。また、果汁を絞ってジュースにしたり、ゼリーやスムージー、ジャムに加工したりするのもとてもおいしいです。

スイートスプリングの栽培方法

植え付けに適した時期

スイートスプリングの植え付けは、暖かくなり始める3〜4月が最も適しています。寒さにやや弱いため、冬の冷え込みが厳しい地域では鉢植え栽培が安心です。日当たりがよく、風通しの良い場所を選び、冷たい風が直接当たらないようにしましょう。
特に地植えでは、冬場に株元をわらやチップ材で覆うと霜対策になります。水はけのよい土壌が向いており、水はけが悪い場合は堆肥(たいひ)や腐葉土を混ぜて改善します。

用土と植え付けのコツ

鉢植えの場合は、柑橘類専用の培養土や、赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使うと育てやすいです。根鉢を強くほぐすと根を痛めるおそれがあるため、ポットから外したらそのままの形で植え付けるのが基本です。
植え付け後はたっぷりと水を与え、乾燥を防ぐために株元をマルチングしておくと保温と保湿の効果があります。

水やりと肥料管理

地植えの場合は雨に任せ、極端に乾燥する時期のみ水やりを行います。鉢植えでは、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでしっかり与えます。過湿状態が続くと根腐れの原因になるため注意が必要です。
肥料は、春の芽吹き前(2〜3月)・初夏(6〜7月)・冬前(12月)の年3回が目安。柑橘用の有機肥料や緩効性肥料を与えると、果実の甘みが安定します。

剪定と樹形づくり

スイートスプリングは枝が込み合いやすいため、日光が全体に当たるように枝を広げて整えるのがコツです。植え付け初年度は主幹を30〜40センチほどの高さで切り戻して、将来の骨格を作ります。その後は毎年冬の終わり〜春先にかけて、内向きや交差した枝を間引くように剪定(せんてい)します。過度な切り込みは避け、風通しと採光を意識すると、病害虫の発生を防ぎながら良い果実が育ちます。

病害虫の予防と対策

アブラムシやカイガラムシ、ハダニ、アゲハチョウの幼虫などがつきやすい果樹です。特に新芽の時期(春〜初夏)は発生が多いため、早期発見と除去が大切です。枝葉を間引いて風通しをよくするだけでも、害虫の発生をかなり抑えられます。必要に応じて園芸用の殺虫せっけんや木酢液などを使用し、薬剤散布の回数はできるだけ少なく保ちましょう。

収穫と管理のポイント

スイートスプリングは植え付けから3〜5年ほどで実をつけ、開花は5月、収穫は11〜2月頃が目安です。果実は枝の先端につきやすく、風による揺れで落果しないよう、実が多い年は早めに支柱や摘果で負担を軽減しておきましょう。柑橘類は成り年と不成り年を繰り返す傾向があるため、豊作の翌年には剪定を控えめにし、花芽をしっかり残しておくと安定した収穫につながります。

スイートスプリングのよくある質問

Q. 酸っぱいときの対処法は?

スイートスプリングは基本的に酸味が少なく甘い品種ですが、出荷初期などでまれに酸味が強く感じられることがあります。そんなときは、風通しのよい室内で2〜3日追熟させてみてください。収穫後でも酸が抜けやすい柑橘なので、日数が経つことでまろやかな味わいに変化します。どうしても酸味が気になる場合は、ヨーグルトやサラダに加えて食べるのもおすすめです。酸味がアクセントとなり、料理全体のバランスが良くなります。

Q. 皮はマーマレードに使える?

はい、スイートスプリングの皮はマーマレードにも適しています。果皮は厚めで苦みが少なく、加熱することで爽やかな香りとほんのりとした甘みが引き立ちます。使用する際はよく洗い、白いワタ(アルベド)を適度に取り除くことで、口当たりの良い仕上がりになります。皮と果肉の両方を生かした自家製マーマレードは、トーストやヨーグルトとの相性も抜群です。

Q. 種から育てられる?

スイートスプリングには種が含まれていることもありますが、種からの栽培は可能です。ただし、種から育てた場合は親と同じ果実ができるとは限らず、発芽から実がなるまでに10年以上かかることもあります。家庭菜園でスイートスプリングを楽しむには、苗木を購入して育てるのが一般的で確実な方法です。市販の苗は接ぎ木されており、2〜4年で収穫できることが多く、初心者にもおすすめです。

まとめ

スイートスプリングは、甘みと香りのバランスに優れた希少な柑橘で、見た目とのギャップも楽しめる魅力的な品種です。出回る時期は短く、生産量も限られているため、見かけたらぜひ手に取ってみてください。

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