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町内会の脱退がきっかけ!? 無視やゴミ出しの嫌がらせに辟易【農業法律相談所#11】

町内会の脱退がきっかけ!? 無視やゴミ出しの嫌がらせに辟易【農業法律相談所#11】

読者から寄せられた農業に関する法律のお悩みや相談ごとに、弁護士が答える連載企画「農業法律相談所」。今回は、町内会を辞めたことで、さまざまな嫌がらせを受けていると話す男性からの相談だ。

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町内会から抜けたことがきっかけ? 無視や陰口に悩む

昨年、都市部からとある農村へ移住しました。引っ越し後ほどなくして町内会に加入するよう促され、加入することに。しかし、加入以降は回覧板の配布や地域の清掃、イベントの企画などの名目で頻繁に呼び出されることが続きました。

未経験の仕事を始めたばかりという事情もあって、半年ほど前に退会を申し出ました。町会長からは「ここに住んでいるうちは退会できない」などと突っぱねられたものの、法的には町内会への加入義務がないことを伝えるなど、話し合いを経て、結果的に退会することができました。しかしその日以降、特定の近隣住民数名から無視されるようになったほか、側聞するところによると、私のことを「非常識」「変人」などと吹聴しているとのことでした。最近では、ゴミ捨て場に出しておいたはずのゴミが「きちんと分別してから出してください」との張り紙付きで自宅前に置かれるなどエスカレートしています。もちろん、規定の通りゴミの分別をしているにも関わらずです。タイミング的にも町内会の退会以外に思い当たる節がなく、役所にこのことを相談しましたが、まともに取り合ってもらえません。今後、より嫌がらせがエスカレートする可能性も危惧しており、どのように解決すればよいかアドバイスをいただけるとありがたいです。

「非常識」「変人」と吹聴する行為は名誉毀損罪又は侮辱罪の可能性

被害の状況及び嫌がらせを行っている犯人を特定するために、客観的な証拠を収集したうえで、弁護士などの専門家に相談しながら、被害の内容に応じた対応を行うことが考えられます。

嫌がらせと呼ばれる行為の中には、不適切ではあるものの法的には違法とまでは言えない行為から、刑法に定められた犯罪行為に該当する行為まで、さまざまな種類が存在しています。不適切ではあるものの法的には違法とまでは言えない行為について、法的な対応を行うことは難しいと言わざるを得ません。

しかしながら、犯罪行為など法的にも違法であると評価される行為については、一定の法的な対応を行うことが可能となります。今回の事例でいうと、ご質問者様のことを「非常識」「変人」であると吹聴している行為については、刑法の規定する名誉毀損罪又は侮辱罪に該当する可能性があり、犯罪行為であると判断できる可能性があります。また、ルールに従って分別されたうえでゴミ捨て場に捨てられていたゴミを「きちんと分別してから出してください」と張り紙付きで自宅の前に置く行為については、ご質問者様のゴミの回収を阻害する行為であり、民法の規定する不法行為に該当し、違法な行為である可能性が高いものと言えます。

一方で、特定の近隣住民数名から無視されるという行為については、不適切な行為であるとは言えるものの、近隣住民の権利として、「ご質問者様に対応しない権利」というものが認められる余地がある以上、原則として、不法行為に該当する違法な行為であるとまでは言い難いものと考えられます。

このように、嫌がらせを受けている行為を一つ一つ検討したうえで、犯罪行為又は不法行為に該当する違法な行為なのか、不適切な行為にとどまるのかを判断することは、当該行為にどのように対応するかを決定するために重要であるといえます。犯罪行為に該当するのであれば、警察に相談することも可能ですし、不法行為に該当するのであれば、相手方に対し損害賠償などの請求の訴訟を裁判所に提起することが可能となります。

なお、市役所には、基本的には特定の個人間の争いに介入して解決を図るという機能はありませんので、騒音や悪臭などある程度多数の被害者が発生しているような事情がない限りは、市役所が直接トラブルの解決にあたるということはないものと考えられます。

客観的な資料の収集

嫌がらせの内容に応じてさまざまな対応を行う前提として、客観的な資料を集めることが必須であるといえます。最低限、「誰がどんな嫌がらせをしているのか」に関する客観的な資料(防犯カメラによる録画や録音、写真、ご質問者様に協力してくれる人の目撃証言など)がない場合、警察や裁判所に積極的な対応を行わせることはできません。また、例えば防犯カメラには、新たな嫌がらせ行為を行うことを躊躇(ちゅうちょ)させる機能があるため、嫌がらせ行為の反復やエスカレートを防ぐことができる可能性があります。従って、嫌がらせ行為を防止するという意味でも、客観的資料を収集することができる体制を整えることが必要であると考えられます。

専門家による対応

仮に、客観的な資料が集められたとしても、ご質問者様本人で対応を行うことは控えたほうが良いと考えられます。当事者同士の交渉や話し合いでは、双方が感情的になり、かえって更なるトラブルが発生してしまう可能性があります。また、警察に相談する場合でも、弁護士などの専門家が関与している場合の方が、そうでない場合より警察がより積極的に対応してくれる可能性が高まるものと言えます。
従って、嫌がらせに対して何らかの対応を行う場合は、弁護士などの専門家に相談し、ご質問者様ご本人で対応を行わない方が良いものと考えられます。

まとめ「客観的資料を集めたうえで、一つ一つ対応を」

嫌がらせには、単に不適切な行為であるというものから違法な行為に該当するさまざまなものがあります。問題の解決のためには、一つ一つの行為について、客観的資料を集めたうえで、それぞれの行為の内容に応じた対応を行うことが必要であると考えられます。その際には、弁護士などの専門家に相談し、一人で対応しない方が良いものと考えられます。

本事案のポイントを整理

✅嫌がらせには、犯罪行為や不法行為に該当する行為があるため、行為の内容に応じた対応をする必要がある。
✅嫌がらせに適切に対応するために、客観的な資料を収集する必要がある。
✅嫌がらせには一人で対応せず、弁護士などの専門家に相談したうえで対応した方がよい。

回答者プロフィール

弁護士・杉本隼与
2003年早稲田大学法学部卒業。2006年に旧司法試験合格(第61期)
2016年東京理科大学イノベーション研究科知的財産戦略専攻卒業 知的財産修士(MIP)
同年に銀座パートナーズ法律事務所を開設し、現在に至る。

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