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団粒構造とは?植物の生育に最適な土壌の仕組みや、良い土の作り方を体系的に解説

団粒構造とは?植物の生育に最適な土壌の仕組みや、良い土の作り方を体系的に解説

野菜でも果樹でも、作物を育てる上では「良い土を作ることが大切」とよく言われる。その中でも、理想的な土とされてきたのが「団粒構造」である。しかし、団粒構造とは具体的にどのような状態なのか、なぜ作物の生育に良いのかを、説明できる人は意外と少ないと思う。
「ふかふかの土」「水はけの良い土」といった感覚的な表現だけでは、団粒構造の本質は見えてこない。団粒構造とは、有機物や微生物、植物の根の働きが関与して形成される、れっきとした土壌の構造であるためだ。本記事では、団粒構造の仕組みや単粒構造との違い、作物へのメリット、形成に関わる微生物や有機物の役割、さらに実際の作り方までを体系的に解説する。

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団粒構造とは?


団粒構造とは、土壌粒子が有機物と微生物の作用によって集合し、孔隙を伴い安定構造を形成した状態である。感覚的には、土の状態がバラバラでもベタベタでもなく、土の粒が適度にまとまり、水・空気・養分がうまく循環する土の構造を指す。水はけと水もちの両方に優れ、作物が根を張りやすい理想的な土の状態なのである。
農業分野では古くから「団粒の発達した土は良い土」と感覚的に知られていたが、近年はその理由がより詳しく理解されてきた。

団粒構造の仕組み

団粒構造は、単に土壌粒子が物理的に固まってできるものではない。
その形成には有機物、微生物、植物の根、鉱物成分などが関与する複雑なプロセスが存在する。

土壌を構成する砂や、それよりも細かいシルト、それよりもさらに細かい粘土といった一次粒子が、微生物由来物質や有機物、無機コロイド(シリカやアルミナ、粘土鉱物などの無機物が、1nm~1μm程度の非常に微細な粒子となって水などの液体中に分散している状態)などを介して結合し、団粒と呼ばれる二次的な塊を形成し、さらにそれらが集合した土壌構造を指す。団粒と団粒の間には大小さまざまなすき間が存在し、この空間が水・空気・養分・生物活動の通路として機能するとても優れた構造なのである。

単粒構造との違い


単粒構造とは、砂質土などに多く見られるように、土壌粒子がお互いに結合せず、ほぼ独立した状態で存在する構造である。単粒の構造は排水性こそ良好だが、保水性・保肥性が低くなりやすく、乾燥や養分流出が起こりやすいとされる。鉢植えで植物を育てる場合や、屋内でコバエなどの虫の発生を抑えて育てたいと言う場合は、シンプルな単粒構造の土の方が都合が良い場合もあるが、露地でそれなりに大きな面積で作物を育てる場合には、団粒構造の土壌の方が良い場合が多い。団粒構造では、大小様々な孔隙が安定しているため、根は酸素と水分を同時に確保しやすく、健全に張ることができる。

団粒構造が育む作物へのメリット

団粒構造が発達した土壌は「作物が育ちやすい土」であるが、以下のメリットが存在する。

根の伸長が促進され、安定感のある植物が育つ

団粒構造土壌では、団粒と団粒の間に形成された孔隙が、根の物理的な通り道として機能する。そのため、横方向にも下方向にも伸長しやすい。また、通気性が確保されていることで、根が呼吸に必要な酸素を安定して得ることができる。これにより、根の先端部が健全に保たれ、吸水・養分吸収能力の高い根系が形成される。根がしっかり張ることは、地上部の生育安定や倒伏防止にもつながる。

環境による水分・乾燥ストレスを受けにくい

団粒構造の最大の特徴は、水はけの良さと水もちの良さを両立できる点にある。
大きな孔隙は余分な水を速やかに排出し、過湿による根傷みを防ぐ。一方で、団粒内部や微細孔隙には水分が保持され、乾燥時にも根が水分を利用できる。つまり、雨後に根が窒息しにくく、晴天が続いても急激に乾きにくいのである。

肥料効率が高まり、養分が安定供給される

団粒構造の土壌では、肥料成分が雨水とともに一気に流亡することが少なく、作物へ肥料の安定供給がなされる。また、有機物や粘土鉱物が団粒内部に取り込まれることで、養分が土壌中に保持されやすくなる。

病害に強い土壌環境が形成される

団粒構造が発達した土壌は、微生物のすみかとして非常に適している。
その結果、多様な微生物が共存するバランスの取れた土壌生態系が形成されやすい。このような土壌では、特定の病原菌だけが優占することが起こりにくく、いわゆる土壌病害が発生しにくい環境が整う。作物にとっては、病害リスクの低下は、生育の安定化につながる重要な要素である。

作物の生育が安定し、品質が向上する

病気が少なく、水分・乾燥ストレスを受けないことにより、作物の生育の安定化につながる。生育の安定化とは、初期生育の立ち上がりがよいことや、その後の生育ムラが出にくいことである。その結果、収量や品質が安定しやすいといった効果が現れる。

団粒構造を持つ理想的な土壌の条件

団粒構造は、自然に存在する土壌であれば必ず形成されるわけではない。
有機物、微生物、水分、物理的攪乱の程度など、いくつかの条件がそろったときに、はじめて安定した団粒構造が発達する。

有機物が適切に含まれていること

団粒構造の形成において、土壌有機物は最も重要な要素である(1)。
有機物は、微生物のエサとなるだけでなく、分解過程で生成される多糖類や腐植質が、土壌粒子を結びつける結合剤として機能する。理想的な土壌では、有機物が一時的に存在するだけでなく、継続的に供給され、土壌中に蓄積·循環している。
堆肥や作物残渣、緑肥などが定期的に還元されることで、団粒構造は徐々に安定していく。

土壌微生物が活発に活動できる環境であること

団粒構造には、微生物が活発に活動できる環境が不可欠である。そのため、過度な乾燥や過湿が起こっておらず、極端に酸性やアルカリ性に偏っていない必要がある。

過度に攪乱されていないこと

団粒構造の理想的な土壌では、必要以上の土壌の耕うんは避けるべきである。頻繁な耕うん、重機による踏圧などは、団粒を物理的に破壊し、孔隙構造を失わせる原因となる。

団粒形成の仕組みを知ろう


団粒構造は、単に土壌粒子がただ固まってできるものではない。有機物と微生物、植物の活動が連動した結果として時間をかけて形成される土壌構造であり、その団粒も、大小様々なのである。大きな団粒の中も小さな団粒で構成されており、それぞれマクロな団粒(数ミリ程度)、ミクロな団粒(0.25mm以下)と呼ばれるが、これらの団粒が集まり、さらに大きな団粒を構成しているところに団粒構造の強みがある。

土壌微生物の種類とその役割

団粒構造の形成と維持を語るうえで、土壌微生物は欠かすことができない存在だ。
土壌微生物は単なる「分解者」ではなく、有機物を団粒へと変換し、土壌構造を内側から作り上げる主体である。細菌・放線菌・原生動物などの土壌微生物は、有機物を分解する過程で多糖類や粘性物質を分泌する。これらは土壌粒子同士を結びつける「セメント」の役割を果たし、団粒形成の初期段階を担う。

菌類の働き

特に重要なのが細菌や放線菌、糸状菌などの菌類である。
まず、細菌は、土壌中で最も数が多い微生物群であり、有機物分解の初期段階を担う。
植物残渣や堆肥が土壌に投入されると、まず細菌がそれらを分解し、糖類やアミノ酸などの低分子化合物へと変換する。この過程で細菌は、多糖類や粘性物質(EPS:細胞外多糖)を分泌する。これらの物質は、土壌粒子同士を結びつける接着剤として働き、ミクロ団粒形成の出発点となる。

放線菌は、細菌と菌類の中間的な性質を持つ微生物で、難分解性有機物の分解を得意とする。セルロースやリグニンなど、分解に時間のかかる成分を処理することで、有機物をより安定した形へと変換する。

この過程で生じた微生物代謝産物や再結合した有機物の一部は、次第に微生物分解を受けにくい腐植成分へと移行していく。腐植とは、植物残渣などの有機物が微生物分解と再合成を経て生成した、微生物分解を受けにくい安定有機物成分である。

土壌微生物の中でも、団粒構造に最も大きな影響を与えるのが糸状菌などの菌類である。
菌類は菌糸を伸ばし、土壌中を立体的に張り巡らせる。この菌糸が、土壌粒子やミクロ団粒を物理的に絡め取ることで、マクロ団粒の形成が進む。

さらに菌根菌などは、グロマリン様物質などの耐水性を高める糖タンパク質を分泌する。
これにより、形成された団粒は雨や潅水によって崩れにくくなり、構造が長期間維持される。
腐植は、これらの団粒内部や鉱物表面に取り込まれることで、団粒構造を長期的に安定させる役割を果たす。
菌類は、団粒構造を「作る」だけでなく、「壊れにくくする」役割も担っている。

有機物の分解と団粒化のプロセス

堆肥、作物残渣、緑肥、根の枯死部などの有機物が土壌に供給されると、細菌や放線菌などの土壌微生物が、有機物をエネルギー源として利用しながら、炭水化物、タンパク質、脂質などを低分子化合物へと分解していく。有機物を分解する過程で、微生物は多糖類や粘性物質を分泌するが、これらは土壌粒子同士を結びつける結合剤として働き、砂・シルト・粘土をまとめていく。

この作用により、まず形成されるのがミクロ団粒である。形成されたミクロ団粒は、それ単体で存在するわけではない。植物根の分泌物や菌類の菌糸によって、複数のミクロ団粒が結びつけられ、マクロ団粒へと発達していく。この段階になると、団粒と団粒の間に明確な孔隙が生まれ、通気性や排水性といった土壌機能がはっきりと現れてくる。

団粒構造の作り方の手順

団粒構造は資材を一度入れれば完成するものではない。有機物・微生物・植物・管理方法がかみ合い、時間をかけて育まれる土壌構造である。ここでは、団粒構造を形成するための基本的な手順を、実践的な視点で整理する。

① 有機物を「継続的」に供給する

団粒構造づくりの出発点は、有機物の投入である。
堆肥、作物残渣、緑肥、刈草、チップなどは、微生物のエサとなり、団粒形成の材料となる。
重要なのは、一回の投入で終わることなく、毎年・毎作ごとに継続して供給することである。

有機物は分解されながら団粒へと組み込まれていくため、供給が一定期間、途切れると構造は次第に弱体化する。有機物に関しては、定期的に入れることから、ご自身の近くで手に入りやすいものが良い。筆者らも、堆肥や落ち葉、刈草などは定期的に畑に入れており、さらに米糠や魚粉などで作ったぼかしを自作して投入している。

② 微生物が働きやすい環境を整える

有機物を団粒へ変える主体は、土壌微生物である。 そのため、微生物が活動しやすい環境づくりが不可欠となる。
具体的には、管理が重要である。

● 極端な乾燥や過湿を避ける
● 強い酸性·アルカリ性に傾けない
● 化学資材の過剰使用を控える

微生物が安定して活動できることで、有機物の分解と団粒化がスムーズに進行する。

③ 土を過度に攪乱しない

深耕や頻繁な耕うん、湿潤状態での重機作業は、形成途中の団粒を物理的に破壊する。
団粒構造を育てるためには、必要最小限の耕うんにとどめる。

④ 何かしらの植物を育てながら作る

団粒構造は、植物の根によっても強く支えられている。根は土壌を物理的にほぐすだけでなく、根から分泌される有機物が微生物を活性化し、団粒形成を促進する。被覆作物や輪作を取り入れ、裸地期間をできるだけ短くすることで、団粒構造は安定しやすくなる。

根が存在しない期間が長い土壌では、団粒構造は徐々に崩れていく。

⑤短期効果を求めすぎない

団粒構造づくりは、数か月から数年単位で進むプロセスである。
即効性を求めて資材を過剰投入すると、かえって微生物バランスを崩すこともある。団粒構造は、土壌生態系を育て続けた結果として現れる状態である。焦らず、ゆっくりと着実に作っていこう。

団粒構造についてよくある質問

ここでは、団粒構造について特によく聞かれる質問に回答していく。

Q1 団粒構造は短い期間で作ることができますか?

A.短期間では完成せず。数か月~数年単位の時間が必要である。
団粒構造は、有機物の投入 → 微生物分解 → 団粒化 → 安定化、という段階を経て形成される。
このプロセスには時間がかかる。安定した団粒構造は、継続的な管理の結果として育つものである。ただ、土壌は気にかけていけば、毎年良くなっていくものでもあるため、そういった経過も楽しんでいきましょう!

Q2 団粒構造はどんな土壌でも作れますか?

A。基本的には可能ですが、土質によって難易度は異なる。
砂質土壌では保水性・保肥性が低いため、有機物管理が特に重要になる。一方、粘土質土壌では、排水や過湿対策を誤ると団粒が壊れやすい。どの土壌でも団粒化は可能だが、管理のポイントは土質によって異なる。

Q3 団粒構造はふかふかの土と考えてよいですか?

A.半分正解で、半分誤解でもある。と言うのも、耕うんしたばかりの土はある程度ふかふかであるため、いっときの判断だけでは難しいが、団粒構造土壌は確かに手触りが良くなることが多い。団粒構造の本質は「柔らかさ」ではなく、孔隙構造が整い、水・空気・養分が循環していることにある。

Q4 化学肥料を使うと団粒構造は壊れますか?

A.使い方次第である。もちろん、過剰使用は悪影響を及ぼす可能性が大きい。
化学肥料そのものが団粒構造を壊すわけではないが、過剰施用により下記の状態になると、団粒構造は弱体化しやすい。

● 微生物バランスが崩れる
● 有機物投入が減る
● 土壌が酸性化する

有機物供給と併用し、微生物環境を維持することが重要である。

Q5 耕うんは団粒構造にとって悪いのですか?

A.耕うんそのものが悪いのではなく、「やりすぎ」が問題である。
過度な深耕や頻繁な耕うんは、形成された団粒を物理的に破壊する。
一方で、適度な耕うんは、空気供給が行われたり、除草により作物が育ちやすかったりと、プラス面も持つ。重要なのは、目的とタイミングを考えた必要な耕うんである。

Q6 団粒構造ができると病害虫は出なくなりますか?

A.完全になくなるわけではないが、発生しにくくなる。
団粒構造が発達した土壌では、微生物多様性が高まり、特定の病原菌が優占しにくい環境が形成される。その結果、土壌病害のリスクは低下する傾向にある。

Q7 団粒構造ができたかどうかは、どうやって判断しますか?

A.見た目·触感·作物の反応を総合的に見ることが重要です。
具体的な土の状態には下記の点が目安になる。

● 乾いた土を軽く握ると、適度にまとまる
● 水に入れても、土の塊がすぐに崩れない
● 雨後でも表面が締まりにくい

最終的には、植物が十分生育しているのかどうかなどで総合的に判断すると良い。

まとめ

団粒構造とは、単に土が柔らかい、ふかふかしているという状態ではない。
有機物と微生物、植物の根の働きが連動し、時間をかけて形成される、水・空気・養分が循環する土壌構造である。
団粒構造が発達した土壌では、根が健全に張り、水分や養分が安定して供給され、微生物が活発に活動する環境が整う。

その結果、作物は水分や養分のストレスを受けにくくなり、病害の発生も抑えられ、生育や品質が安定しやすくなる。一方で、団粒構造は資材を一度投入すれば完成するものではない。
有機物を継続的に供給し、微生物が働きやすい環境を整え、土を過度に攪乱しない管理を続けることで、少しずつ育まれていく土壌環境である。

団粒構造を理解することは、「今の作物」だけでなく、「これから先の畑」を考えることでもある。
目に見えにくい土の中で起きている変化に目を向けながら、ゆっくりと着実に土づくりを進めていきたい。

参考文献
1. E.V.Shein, The Role of Organic Matter in the Formation and Stability of Soil Aggregates, Eurasian Soil Science 36(1):51-58, 2003.

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