1. はじめに:プロ農家が実践する土作りの方法
「土作りは野菜作りのすべてを決める」と言っても過言ではないくらい重要です。ここで紹介するのは、プロ農家が長年の経験から実際に行っている本物の土作りでありながらも、家庭菜園でも簡単に実践できる方法です。
この方法のメリット
- 質の良い畑を短期間で実現:通常5年かかるような質の良い畑を、たった半年で実現できる方法です。
- 作業が簡単:畑の広さにもよりますが、家庭菜園であれば作業時間は半日で完了します。
- 有機肥料を使用:化成肥料を使わず、有機肥料のみを使用するため、安心・安全な土作りが可能です。
僕自身、この方法で作ったニンジンが品評会で賞を受賞。さらにケールやハクサイなどさまざまな野菜が立派に育っている実績もあります。
半年の積み重ねの重要性
半年で野菜が育つ土になりますが、この方法を毎年継続して土を耕し続けることで、畑の土はさらに成長していきます。野菜作りは、地道な積み重ねが大切です。

2. 基本の土作り:準備するもの(材料と道具)
この土作りで使用する材料は、主に3つです。いずれもホームセンターやネットで購入できます。
使用する肥料(3つの材料)
- 緑肥 (りょくひ):連作障害を防ぐなどの効果があり、目的に合わせて種類を選びます。
- 牛糞堆肥(ぎゅうふんたいひ):「発酵牛糞堆肥」と書かれているものを使用します。
- 乳酸菌:植物の成長と病気の抑制を手伝う目的で使用します。ヨーグルトを水で薄めて代用できます。
使用する道具
スコップ、耕うん機、またはトラクター。販売目的などで大豊作を目指す場合は、肥料を均一にまける肥料散布機を使うと、プロレベルに均一に緑肥の種をまくことができます。
3. 土作りの重要材料:緑肥・牛糞堆肥・乳酸菌
緑肥
緑肥とは、栽培中の作物を収穫せずにそのまま土にすき込み、次に植える作物の肥料とすることです。比較的安価で、次のようなさまざまな役割をもつため、費用対効果が高いです。
役割
- 連作障害の防止と雑草の抑制。
- 土壌の保水性を高め、乾燥を防ぐ。
- 微生物の働きで土壌の肥沃度(ひよくど)を上げる。
種類
- クローバー(豆科) : 根に共生する菌が窒素を供給し、苗を植えるときの元肥を減らす効果がある。
- ライ麦(イネ科): 根がたくさん増えることで、土壌改良効果が高い。

牛糞堆肥
牛糞堆肥は、土を柔らかくするためには最も手っ取り早い材料です。 栄養補給を主目的とするのではなく、「土を柔らかくし、肥料を効きやすくする」 ための資材として考えます。
役割
- 有機物を補給し、野菜の根が伸びやすい土を作る。
- 微生物の活動を促進し、根の成長を助ける。
- 土の水分保持力を高める保水性の向上。
- 土の粒子を結びつけ、通気性や水はけを良くする団粒化(だんりゅうか) を促進する。

乳酸菌
乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌は、土壌中の有機物を分解し、乳酸の力で病原菌を抑える働きを持つ善玉菌の一種。発酵力で植物の根が育ちやすい「ふかふかの土」づくりをサポートしてくれます。
役割
- 植物の成長を手伝う。
- 病気の抑制を助ける。
4. 【実践】基本の土作りの手順(半年間ねかせる方法)
土作りは年中行えますが、半年間土をねかせる(耕すだけで種をまかない期間)ため、畑が空いたタイミングで行うのがおすすめです。
手順は、「牛糞堆肥」→「乳酸菌」→「緑肥」の順で行います。
①牛糞堆肥をまく:厚さ5センチ程度の量を目安に、畑全体に均一に広げます。

②乳酸菌をまく:牛糞堆肥の上から、水で薄めたヨーグルト(乳酸菌)をまんべんなくかけます。
③耕して混ぜる:雨が降らなければ、水で土をびたびたになるくらい濡らせます。土の表面を発酵させるイメージで、スコップや耕うん機を使い、表層10〜15センチを耕して土と堆肥をよく混ぜます。

④緑肥の種まきをする:混ぜ終わったら、緑肥の種をまきます。均一にまくことで、雑草も防ぎ、緑肥の効果を均一に得られます。耕した土の上にまくだけでも発芽しますが、耕うん機などがある方は表層5センチくらいを浅くかき混ぜてあげるとカラスなどに食べられず発芽もよくなります。(理想は1センチですが、専用の種まき機が必要なので、とりあえず5センチで大丈夫です)
⑤緑肥の管理と分解:種まき後、余分な雑草を抜きながら植え付けの1カ月以上前に緑肥をすき込みます。すき込んだ緑肥が完全に分解されるまでの期間は、夏場は約2週間以上、冬場は1カ月程度が目安です。土の中の草の繊維(茎のようなもの)がなくなったら、分解が完了したサインです。
5. 時短テクニック:1カ月でできる土作り(葉物野菜向け)
キャベツやハクサイなどの葉物野菜であれば、1カ月で土作りを完了させることも可能です。

手順
苗を植える1カ月前に、牛糞堆肥と乳酸菌をまき、水で濡らして耕します。この場合、緑肥は使いません。
注意点
やらないよりは大きく育ちますが、半年ねかせる方法に比べ、病気が出やすくなるリスクがあるため、病気の予防準備も行う必要があります。(殺虫剤のほかに殺菌剤の準備が必要です)
6. Q&A:土作りに関する疑問を解決
Q1. なぜ根菜類は半年もねかせる必要があるのですか?
ダイコンやニンジンなどの根菜類は、未分解の堆肥(牛糞、緑肥など)や土の塊が土中に残っていると、根がまっすぐに伸びず、途中で割れてしまう 「肥料あたり」 というトラブルが起きやすくなります。この未分解の有機物を土の中で完全に分解させるために、半年間待つことが必要です。
Q2. 寒起こし (冬の荒耕し)とは何ですか?
1月から2月の最も寒い時期に、畑を荒く(ゴロゴロと)耕しておく作業です。最低気温が5℃以下の期間が1カ月以上あるのが理想ですが、1日でも寒さに当てれば効果はあります。
- メリット1:害虫の駆除:土中の害虫(コガネムシの幼虫など)が寒さに耐えられず減少し、豊作の助けになる。
- メリット2:土の団粒化:土が凍結と解凍を繰り返すことで、フカフカで水はけのいい土(団粒構造)になる。
7. 土作りの仕上げ:元肥(もとごえ)の考え方
半年間の土作りが終わったら、最後に育てたい野菜に合った「元肥」を与えます。
土作りと元肥の関係の考え方
- 牛糞堆肥と緑肥:家を建てる際の「基礎」です。この土作りで土が柔らかくなり、元肥を十分活用できる土台を作ります。
- 元肥:家の「柱を立てるための土台」です。苗を植えた後、元肥をしっかり活用することで、丈夫な茎(柱)を作ってくれます。
基礎がしっかりしていない家は倒れてしまうように、土作り(基礎)をしっかり行うことで、植えた苗が元肥を十分に活用でき、立派な野菜に育ちます。
今回は土作りのステップのため、順番に解説していきました。
ぜひ読むだけではなく、実際にチャレンジして感想を教えてくださいね!

















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