1.草刈りで畑周辺の「隠れ場所」を一掃!

まず気を付けたいのが、田畑の周辺の草刈りです。
草に覆われた田畑は、野生動物にとって国道沿いのファーストフード店のような存在。人に見つかる心配がほとんどなく、巣や寝屋から直行で訪れられて、いざとなったらサッと姿も隠せます。
今は土や枯れ葉しかない野原や畔も、春になると一気に草が伸びてあっという間に人の背丈ほどになることも…。見通しをよくするだけでもかなり野生動物の出現率は減ります。特に、山や森から続く草むらは一掃して、畑との間にしっかりとスペースを作りましょう。
2.犬や人による日常的なパトロール

筆者宅の甲斐犬、つゆこ。総勢8匹の甲斐犬が、代わる代わる近所の田畑の近くを歩いています
人の姿が定期的に見えるだけでも効果がありますが、おすすめは犬と散歩すること。甲斐犬ブリーダーでもある筆者は8匹の甲斐犬と暮らしていますが、犬の散歩コースにある畑の人からは「あなたが犬と散歩するようになってから、イノシシがこなくなった」と言われることがあります。
糞は持ち帰るべきですが、畑の際に犬がするマーキング(おしっこ)も効果絶大。犬を飼っているなら畑周辺を散歩コースに入れるか、飼っていない場合は知り合いに散歩コースに入れてくれるよう掛け合ってみてはいかがでしょう。
3.簡易な小屋やシートで野生動物の警戒心を刺激

山からの侵入経路に簡易な農機具小屋を作っている田んぼ
野生動物は、見慣れないものに敏感です。また、「中が見えない」ものにも不信感を抱きます。そこで、侵入経路付近にシートを張ったり、箱や材木を積んだ簡易な小屋を作ったりして、「中に人がいるかも」と思わせるのも一つの手。
上の写真は、筆者の近所にある田んぼに作られている農機具小屋です。山に隣接しており、道路を挟んだ向かいの田んぼは掘り返されているのに、ここが荒らされているのを見たことがありません。
ただし、単なる風景として慣れると効果が薄れるので、実際に昼間はそこで休憩して匂いを残す、夜はラジオをかけておくなど、「人の気配」を演出すると効果がアップします。
4.たい肥にはしっかりシートを掛ける

春はたい肥も大量に使いますよね。畑に入れるために、いったん畑の際にたい肥を積んでおくというシーンも多いと思います。
しかし、たい肥はミミズや幼虫といったイノシシの大好物が大量発生します。このため、むき出しのままで置いておくと余計にイノシシを呼び込んでしまう原因に…。ミミズと野菜のフルコースが楽しめる優良な畑として認知されてしまいかねません。
少し面倒でも、たい肥の置き場所を畑から離したり、シートできちんと保護するだけでも被害が減らせる可能性大!
野菜くずや摘果した果実も餌付けに

たい肥だけでなく、農作物の残渣や摘果で放置された未熟果なども野生動物のエサになります。こちらもできればすぐ処理するか、畑にすき込んで肥料として使う場合は場所を話すかシートをかけておくなどの工夫をしましょう。
5.土手に彼岸花を植える

田んぼの土手や、段になった畔の法面は、イノシシの恰好の食事場所。土手を崩されると戻すのも大変ですし、水路が埋まって困る、という声も筆者の周辺ではよく聞きます。
そこで、昔から植えられてきたのが彼岸花。同じように土手を掘り返すモグラの被害が軽減するために土手に植えられることが多いそうですが、彼岸花が植えられている場所はイノシシの被害が少なくなるという研究結果も出ています。
その理由は、彼岸花の根にあるアルカロイドのリコリンに、動物の忌避の効果があるからだとか。種ではなく、球根を分球することで増えるためやや手入れに手間はかかりますが、土手を守るための選択肢の一つとして、検討してみてはいかがでしょう。
6.野生動物の浴場「ヌタ場」を埋める

ダニをはじめとする寄生虫を落とすため、イノシシやシカなどの野生動物は「ヌタ場」と呼ばれる湿地帯で転がって身体を擦ります。
この「ヌタ場」は水が溜まっていることが必須条件のため、田んぼや畑、またはその周辺に通常的に水が溜まっている場所があると、そこが公共浴場になってしまう可能性大!
写真は田んぼなのですが、水はけが悪い場所がまんまとヌタ場として活用されています。田んぼが荒らされているだけでなく、水たまりの右手にある土手も掘られているのが分かるでしょうか。こうした場所はできるだけ土を入れて、水たまりを放置しないことが大切です。
7.早めの忌避剤で「嫌な印象」を付ける

野生動物が嫌う匂いや成分で、動物を畑へ近付けない「忌避剤」。実は、使うタイミングを間違えるとせっかく広範囲に撒くという労力を費やしても、効果が出ないことがあります。
使うタイミングは、ズバリ「被害が出る前」。一度被害が出てしまうと、嫌な匂いよりもおいしいごちそうの吸引力が勝ってしまうことがあります。
また、匂いに慣れてしまうと効き目が薄れるため、できれば複数の種類を使って常に警戒心を煽るのがおすすめです。
乾燥したヒトデや狼の尿など、天然由来のものも多いため、農作物やペットへの影響が心配という人にもいろいろな選択肢があるのもうれしいところ!
8.電気柵で「来店お断り」アピール

物理的に追い払う方法として広く活用されているのが電気柵。
導入している農家の方も多いと思いますが、これも設置方法によっては「まったく効果がない」ということも。
そもそも、電気柵は対策したい野生動物によって、支柱間隔や柵の幅、段数などが変わります。例えば、イノシシなら支柱間隔が4m以内で柵の上下幅が20cm以内で2~3段、シカなら支柱間隔が5~10m、柵の上下幅は30~45cm間隔で4段など。
柵が多い分にはいいのですが、シカ対策がしたいのに柵が2~3段しかなければ飛び越えて入ってきてしまうし、イノシシ対策をしたいのに上下幅が広ければ潜って侵入を許してしまいます。
また、夜だけ通電しているという人もいると思いますが、基本は24時間通電!電気が通っていない時に電気柵を潜り抜けられた経験をした野生動物は、電気が通っているときでもだんだん慣れて侵入するようになってしまうので注意しましょう。
9.獣の「好物」はできるだけ道路側で作る

野生動物に狙われやすい果菜類やじゃがいも・さつまいもなどは、道路側に作るのがおすすめです。
生存本能を何よりも優先する野生動物にとって、狙いやすい畑は「いざとなったらすぐ逃げられる」というルートが確立されている地形。ということは、車や人が頻繁に通る舗装された道路は、逃走ルートとしては選ばれにくいのです。
実際、筆者が借りていた畑やその隣の畑でも、道路側の畝の作物だけはいつも無事でした。連作障害のことを考えると毎回道路側に…ともいかないものですが、条件が許すなら野生動物が好む作物はできるだけ道路に近い場所に植えましょう。
10.猟師と連携してわなを掛けてもらう

有害鳥獣の捕獲をメインにしている猟師の先輩いわく、「一匹でも獲れると、そのあと被害がぱったりなくなる」ことがよくあるそう。
野生動物にとって仲間が捕獲されるというのは、やはり最大級に警戒すべきことのようです。あまりにも被害が止まないようなら、猟師にわなを仕掛けてもらうよう依頼してみてはいかがでしょう。「知り合いに猟師がいない」という人は、市役所に相談すれば猟友会などの団体を通じて紹介してもらえることがほとんどです。
筆者は最近わな猟を始めたばかりですが、暇さえあれば野生動物の痕跡を探しているので、逆に「うちに出るから捕獲してほしい」と声を掛けられるのはうれしいです。
獣害は、農林業従事者と狩猟者の連携でより早く確実に減らせるはず。気兼ねなく猟師を頼ってください!
まとめ
今回は、本格的に播種や植え付けが始まる春を前に、畑を守る10の方法を紹介しました。
もちろん、地形や周辺環境、生息する野生動物によって対策もさまざまですが、ここに書いた「本能や習性を利用した対策」は、やはり一定の効果が期待できます。
筆者の実体験や周辺の農家の方、猟師の先輩に聞いた実践的な話ばかりなので、ぜひ「これは」と思うものがあれば試してみてください。















