地域と農地は、あとから変えられない
僕自身、ニンジン → パセリ → 多品目 → キャベツ・白菜
と、栽培品目はその時の販売状況や出荷先に合わせて変えてきました。

最初は有機JASニンジンを生産していたが、適地適作ではなかった
しかし、地域と土の性質だけは変えられませんでした。
どれだけ土づくりを工夫しても、粘土は粘土のまま。砂にはなりません。
土に合わない作物の限界は、技術で多少は広げられます。
ですが、産地と比べると、どうしても不利になります。
「産地 × 適した作物」と「適地ではない場所 × 努力した作物」
この差は、どうしたって埋まりません。同じキャベツを作っても、価格差は歴然です。
御殿が建つか、疲弊するか。僕は、疲弊する側も経験し、その後、産地のうまみも経験した、少し珍しい立ち位置で農業を続けています。
なぜ珍しいかというと、僕の周りでは、疲弊して辞めていく人の方が圧倒的に多かったからです。
生き残っているのは、基盤がある二代目以降の農家ばかり。
その基盤の正体が「産地 × 適した作物」で、最初の1年、特に「地域・農地の選び方」でその後のすべてが決まると、僕は断言できます。
では早速、具体的な現地調査チェックリストを見ていきましょう。

ようやく理解した適地作物「キャベツ」と「ハクサイ」に変えた瞬間、好転し始めた
①作物ではなく、産地で見ているか
農業には「適地適作」という大原則があり、作物には、それぞれ向いている土地と、向いていない土地があります。
それでも未経験者ほど、「作りたい作物」から決めてしまいます。
実際、僕もそうでした。虫がつきにくく、販売先もあり、かつ有機でやりやすそうだと思い最初に選んだのはニンジンでした。
しかし、地域の土壌は粘土質。水はけが悪く、根の伸びも悪い。結果として歩留まりが上がらず、思ったように収量が出ませんでした。
これは技術の問題ではありません。土地と作物の相性の問題です。
利益が出ない農業は、続けられません。根性や努力でどうにかなる話ではない。それが農業の現実です。
- その地域で長年作られている主力作物は何か
- 価格・出荷量・販売先の実績があるか
「やりたい作物」ではなく、「その地域が選び続けてきた作物」を基準に見ましょう。

②農地条件だけでなく「相談できる人」がいるか
成功するためには、人に教わる必要があります。
ですが現実として、利益が出るところまでの技術を、見ず知らずの人に、無償ですべて教えてくれるケースはほとんどありません。この前提を知らずに農業を始めると、確実に行き詰まります。
僕が16年前から続けてこられたのは、とにかく丁稚奉公をしていたからです。
ただで働き、自分から仲良くなり、「働かせてくれてありがとうございます」「またよろしくお願いします」と挨拶する。
そして自分の畑で、見て学んだ作業をすぐ試す。うまくいっても、いかなくても、毎回結果を伝える。
そうやって「こいつは本気だな」と思ってもらい、関係性を構築していきました。
- 地域に顔を覚えてもらえる人はいるか
- 「教える・教えない」以前に、関係を作れる空気があるか
人が冷たいかどうかではなく、自分が関係を作れるかどうかを見ましょう。
③強い部会に「入れる可能性」があるか
「部会に入れば教えてもらえる」そう思っている人も多いですが、現実は違うことが多いです。
部会は、あくまで出荷がメインの組織であり、農家を育てるための場所ではありません。
研修制度もありますが、研修は「教育」の部門です。教育を引き受ける農家は少なく、現実的には作業員として働きながら、自分で身につけていくケースがほとんどです。
その前提で、まずは産地ブランドとしてすでに成り立っていて、新規就農者が現実的に受け入れられている部会を探してみましょう。
- その地域の部会は、実際に機能しているか
- 新規就農者が、現実的に受け入れられているか
部会=教育機関ではないので、出荷できる自分になれるかが前提です。
④継続できている農家が多いか
辞める人が多いからといって、その地域がダメとは限りません。世代交代は、どの地域でも起こります。
今は設備投資を個々で行う時代です。設備投資ができている農家が多いか。結果として若手が継いで残っているか。そこを見ることで、その地域で農業が成り立っているかが見えてきます。
例えば下の写真のように、①その日収穫②次回収穫と、その日の収穫手順が非常に明確化されていると、効率が非常に高く、継続できる農業であることがうかがえます。

- 辞めていく人の理由は何か(高齢・世代交代か、赤字か)
- 設備投資をしている農家が多いか
- 若手・後継者が残っているか
- 農業で生活が成り立っている人が見えるか
「辞める人がいる=ダメな地域」ではありません。続いている人の共通点を見ましょう。
ここまで地域・農地の選び方の4つのポイントを紹介しました。
「とにかく早く農業を始めたい!」という人もいると思いますが、こうした地道な現地調査や努力が後の成功の分かれ目になり、持続可能な農業への第一歩となるのです。
ぜひ参考にして、新規就農への新たなスタートをきってください。
まとめ【保存版】現地調査・最終チェックリスト
以下は、未経験から専業農家を目指す人が、現地で必ず確認すべきチェックリストです。
地域・農地を決める前に、必ず自分で確認しましょう。
①作物ではなく「産地」で見ているか
- その地域で長年作られている主力作物は何か
- 価格・出荷量・販売先の実績があるか
②農地条件だけでなく「相談できる人」がいるか
- 地域に顔を覚えてもらえる人はいるか
- 「教える・教えない」以前に、関係を作れる空気があるか
③強い部会に「入れる可能性」があるか
- その地域の部会は、実際に機能しているか
- 新規就農者が、現実的に受け入れられているか
- 「育ってから来てほしい」という前提を理解しているか
④継続できている農家が多いか
- 辞めていく人の理由は何か(高齢・世代交代か、赤字か)
- 設備投資をしている農家が多いか
- 若手・後継者が残っているか
- 農業で生活が成り立っている人が見えるか



















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